勇者連合 その1
「人のが、色々と手強いですね・・・」
今までは、獣型の魔物しか出現しない迷宮でした。5年生になると、人型の魔物のいる迷宮に入れるようになります。
ヤマノ重工の依頼で、数回入った事はありますが、正式に挑戦するのは初めてです。
動きなどは、獣と違って遅いです。ただ、連携の錬度や、武器の使用、魔法攻撃など、今までに無い部分は大きいです。
「この手の相手も、やり難いですね・・・」
前世の中の記憶に、ゲームで遊んでいた事があります。絵柄重視の、可愛い系モンスター。女の子のモンスター、抵抗無く虐殺できる主人公を、今なら尊敬できます。現実で敵対すると、やりにくいです。
これを考慮して、その姿を作る敵は、手強いです。
「大丈夫ですか?」
「慣れるしかないんだな、自分でもわかる・・・」
そう、慣れるしかない。出来なければ、死ぬだけ。この世界の魔物とは、和解出来ない。人型であっても、無理だ。
会話は通じない。相手には、理性が無い。怨念の塊。そう言う風に造られた存在だから。
「死体が残らないのは、正直助かりますね」
魔物は、死ねば消滅する。たまにドロップアイテムを残すだけ。人型の魔物からは、武器弾薬が手に入りやすい。現状、必要の無い物が多いです。
「仁君、焦らず確実にですよ」
「了解」
チャウスの中から、なつ様が指示をくれます。学校の訓練なので、緑と紺はここにいません。
「援護の必要は、なさそうですね」
「近づくと、巻き込まれるだけです」
今回は、同級生と合同での実習です。ここまで生き残り、最前線でたたかうとなると、常識から外れた存在もいます。今回の同行者、勇者連合のメンバーは、全員化け物です。
嬉々として、敵の集団に飛び込み、敵を撃破しています。
「生ぬるい、もっと強い奴はいないのかっ!」
「無双突き、突き、つききゃぁぁぁぁああ!」
「お前ら五月蝿い、ただ、敵を斬れば良い!」
3人の少年は、それぞれ拳、槍、剣で敵を倒しています。
「仁君、100メートル先にマジックユーザーです」
「了解」
指示されたポイントを、狙撃します。
今回の迷宮も、廃墟です。比較的見通しの居場所を選んで、魔物を迎撃しています。
「残りは?」
「増援です。全部で100。残りとあわせて、130」
「俺たちは、300、お前たちは50。割があわないから、増援は任せた」
拳の勇者が、そう言います。これまでに倒した数みたいですが間違っています。
「正直、武器の消耗が激しい。頼めますか?」
槍の勇者は、疲れているみたいです。
「こっちも同じだ。武器が無ければ力が出せない・・・」
剣の勇者も、同じみたいです。
「お前ら、情けないぞ、拳こそ、最強の武器と認めさせてやる!」
1人だけ、元気な拳の勇者が、敵の群に突撃していきます。
「猪が・・・。前しか見ていないから、お前はあほなんだ」
「悪いな、あいつ馬鹿だけど、悪い奴じゃないから、馬鹿だけど」
その援護に、二人が向かいます。
「訂正する?」
「面倒だから、いいです」
これまで倒した数は、3人が300.僕達が500です。遠距離で壊滅させた魔物、気づいていなかったみたいですね、1人だけ。
「せっかくだから、実験を続けましょう」
「良いのですか?」
最近、僕達はいろいろと実験をしています。魔物を使った実験です。敵を知るために、色々と行っています。捕獲して、解剖をしたいのですが、中々上手く行きません。
「あの様子なら、周りを見れないでしょう」
出来れば、他の人たちに知られたくありません。でも、機会は逃したく無いのです。
「あせるのは、禁物ですよ」
「焦っている、自覚はありますよ」
失いたくない物が、増えています。焦る気持ちも沸くものです。
「トリモチランチャー、射出」
強力な接着剤です。当たった魔物は、身動きを封じられます。
「捕獲容器、いけそう?」
「今回は、いけそうです」
敵を調べる事は、基本中の基本です。しかし、この世界今まで、捕獲して調べる事をしていませんでした。出来なかったという冪かも知れません。
基本的に、魔物に状態異常系の攻撃は通用しません。一瞬、動きを止める事は出来ます。毒で殺す事や、麻痺させて動きを封じる事は、出来ません。
スキルで、空気を集め、窒息させる事は可能でした。この場合、すぐに消えてしまいます。
凍らせたり、石化魔法も通用しますが、死亡と判断された時点で、消滅します。
鑑定のスキルで、種族や、スキル、色々な事が判明するので、危険を冒してそれ以上のことを調べる人がいませんでした。
「成功です」
殺さないよう注意して、動きを封じ込める事に成功。接着剤の当たり所が悪く、窒息した魔物もいます。この辺は、仕方ないと割り切ります。運任せの部分もあったので、仕方ありません。
上手い具合に、動きを封じる事ができた魔物がいます。
「3体の捕獲に成功しました」
「ゆりかごの様子は?」
「今の所、大人しくしています」
魔物に、感情があるのは確認済です。その大部分を、恨みで占めています。最近、なつ様と緑と紺のおかげで、幸せ要素が増えています。そのお裾分けではないですが、せめて安らかにと、最高級の寝具を利用した捕獲容器を製作しました。名前はゆりかご。
「残りを、殲滅したら撤収する」
「了解」
作戦は、成功です。貴重なサンプルが手に入りました。
勇者連合の3人も、無事みたいです。この連合、今回は3人ですがメンバーは他にもいます。仲良くしたいと思いませんが、敵対する必要もありません。程々がいいでしょう。
「正直、助かった。ありがとう」
ドロップアイテムの回収や、武器メンテナンスを支援しています。
こちらも、他の人の戦闘データが得られたので助かっています。チャウスガ、3人の行動を明確に記録しています。動きのデータは、参考になるので、重宝するのです。
色々画策していたのは、勇者連合も同じです。無人の偵察機が、こちらを撮影していました。もっとも、映像に写る事はしていません。妨害工作もしています。
魔物の脅威に対抗する為なら、協力すべきですけどね。色々と面倒ごとが多いです。
3の倍数の日に投降予定です。




