前世と今
「前世の事ですか・・・」
なつ様が気にしていたのは、前世の事でした。主に、女性関係が気になるみたいです。
「思い出せないと言っても、信じてもらえるかな?」
僕の場合、前世の記憶は曖昧です。個人としての記憶は、既に失われています。
複数の前世の記憶は、経験として残っているだけです。一番大きな記憶は、集合無意識の一つになり、安らぎの中にいた記憶です。
「どうしたら、なつ様は喜んでくるのかな?」
一番の問題は、それです。色々と、気を使いすぎたのかもしれません。一応、欲望の赴くままに行動しましたよ。ただ、経験というのは侮れず、かろうじて思い出せる最初の時の失敗は回避しています。
でも、それが当たり前な場合は、違和感を感じるかもしれません。人は、失敗を重ねて成長するという人もいますから、上手く行き過ぎるのも問題なのかもしれません。
「しかし、緑と紺が、前世で親子とはね・・・」
普通の親子という感じではないです。
「トキトキクォの魔女と言うは、第8艦隊ですか・・・」
銀河脱出艦隊。星喰いに襲われ、滅亡する前に、星から逃げるための宇宙船の群。前世の中の記憶にあります。
「あの計画の・・・」
色々と、危険な事を思い出しました。精子提供に協力していますよ、前世の中の僕。
何で、関係者がここまで集まるの?他にも、過去の縁者がいる可能性があります。
「逃亡は、今更駄目なのかな?」
過去の計画を、思い出します。戦う術が無く、ただ逃げるだけ。
過去の、文明の進んだ世界でも、星喰いに滅ぼされています。今更、この程度の文明が頑張った所で、勝てるとは思えません。
しかし、この世界の神はそれを望んでいない。
「出来ることを、するしかないか・・・」
ならばやるべき事は一つ、なつ様の機嫌回復です。前世は前世と、今大事なのは、なつ様だけと、しっかりと伝えます。
「お父さん!」
そう言いながら、緑がやって来ます。裸のままで、抱きついてきました。
「誰がお父さんですか?」
「お父さん!」
しっかりと抱きつかれて、剝がせません。
「じ~~~~ん君」
遅れて、なつ様がやって来ます。笑顔が、とても素敵です。
「いつの間に、子供を作っていたのかな?」
「この子が僕の子供なら、幾つの時の子供なんだよ!」
「仁君なら、出来る!」
「出来るか!」
「ドクターなのですか?」
「人違いです」
そう呼ばれて時もありますが、今は仙石仁です。
「お父さんじゃないの?」
「どうして、そう思うのです」
「お母さんをも出だした時、繋がったの」
「何と?」
「お父さんと。お父さん、遺伝子提供者で、私達に興味ないのは知っていたけど、守ってくれていたから・・・」
「それは、何処かの世界の、別の人の物語です」
「でもっ!」
「それに、その人たちはみな死んでいます。後悔や、いろいろな思いがあったでしょう。だからこそ、この世界で出来なかったことを、やり直しましょう」
昔は昔、今は今。引きずるのは、意味のの無い事です。
「うぅぅ」
「今は、九重緑ですよね?」
「はい」
「なら、素の緑がやりたい事を、やればいいのです」
「やりたい事?」
「何か、無いの?」
「私、今のお母さんに嫌われて、前世のお母さんを探していたの・・・」
「プレイヤーの家庭に、多い問題ですね」
「うん、前世のお母さんが、紺ちゃんだとは思わなかった」
「私は、うすうす感じてたけどね。今更何を言えばいいのか、解らなかった」
「トキトキクォの魔女様の言葉とは、思えませんね」
「ドクターZと呼べばいいのかな?」
「呼ばないでください」
「貴方が転生していると言う事は、計画は?」
「失敗したのでしょうね。その辺は、記憶に無いです」
「そうなのかい?」
「断片的な記憶しかないです」
「女関係の記憶は?」
「少しだけです」
「あるのね?」
「非人道的で、思い出すのもおぞましい手段で作り上げた生物兵器。その子達の最後の姿は、忘れられません・・・」
と言っても、断片的です。これは、思い出さないといけない記憶ですよ?
「少ししかないのが、申し訳ないです」
緑の頭に、手を載せます。そう言えば、この子いました。あの時代、あの場所に。
「お父さんお手です」
「お父さんでは在りません」
それだけは、言っておきます。遺伝子を提供しただけです。実施問題、自分の子供として認知した存在はいません。
「それに、いつまでも裸だと風引きますよ」
「それは大丈夫、この部屋の温度調整は優秀。ずっと裸でも風引かない」
「何でそんな機能を?」
「存在除去をつかうと気のため」
「なるほど」
俺は納得です。同じ部屋に増すけど、緊急事態のときは、つかう必要ありますからね。
「ふむふむ、ほうほう・・・」
なつ様が、へんな顔をして、なぞの呟きをはじめました。
「仁君は、色々と経験豊富。私の心は嫉妬の炎が燃え上がっていました」
そう言って、にやりとわらう。
「前世は関係ないとしても、仁君ほどのテクニシャンを独占してもいいのだろうか?否、それは無い!」
何か、恐ろしい事を言いそうです、
「この浸りは、縁のある人物なので、ご一緒しましょう」
「な、何を言い出すのですか?」
「いいの?」
紺は、びっくりで緑は嬉しそう。
「幸い、この国の法律は重婚OKです」
「そうなの?」
「さ、遠慮は入りません。みんなで家族になりましょう」
嬉しそうななつ様。この子、実は家庭に植えています。おや兄妹派、前世持ちのプレイヤーです。疎外感があったみたいです。
「わ、私はまだ遠慮します」
そう言って、逃げ出す紺。
「緑は?」
「不束者ですが、よろしくお願いします」
「ちょと、待て。緑はまだ子供だよね?」
「私は、仁先輩の子供じゃないよ」
「仁君の負けですね」
そう言う意味じゃないのに、そういわれると、否定できません。
この後、二人がかりでいろいろとされました。この手の経験は無かったので、何となく負けた気がします。
これは全て、彼女の掌の上だったのかもしれません。
3の倍数の日に投降予定です。




