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ブーストサマー  作者: 水室二人
学園編 
26/42

前世と今

「前世の事ですか・・・」

 なつ様が気にしていたのは、前世の事でした。主に、女性関係が気になるみたいです。

「思い出せないと言っても、信じてもらえるかな?」

 僕の場合、前世の記憶は曖昧です。個人としての記憶は、既に失われています。

 複数の前世の記憶は、経験として残っているだけです。一番大きな記憶は、集合無意識の一つになり、安らぎの中にいた記憶です。

「どうしたら、なつ様は喜んでくるのかな?」

 一番の問題は、それです。色々と、気を使いすぎたのかもしれません。一応、欲望の赴くままに行動しましたよ。ただ、経験というのは侮れず、かろうじて思い出せる最初の時の失敗は回避しています。

 でも、それが当たり前な場合は、違和感を感じるかもしれません。人は、失敗を重ねて成長するという人もいますから、上手く行き過ぎるのも問題なのかもしれません。

「しかし、緑と紺が、前世で親子とはね・・・」

 普通の親子という感じではないです。

「トキトキクォの魔女と言うは、第8艦隊ですか・・・」

 銀河脱出艦隊。星喰いに襲われ、滅亡する前に、星から逃げるための宇宙船の群。前世の中の記憶にあります。

「あの計画の・・・」

 色々と、危険な事を思い出しました。精子提供に協力していますよ、前世の中の僕。

 何で、関係者がここまで集まるの?他にも、過去の縁者がいる可能性があります。

「逃亡は、今更駄目なのかな?」

 過去の計画を、思い出します。戦う術が無く、ただ逃げるだけ。

 過去の、文明の進んだ世界でも、星喰いに滅ぼされています。今更、この程度の文明が頑張った所で、勝てるとは思えません。

 しかし、この世界の神はそれを望んでいない。

「出来ることを、するしかないか・・・」

 ならばやるべき事は一つ、なつ様の機嫌回復です。前世は前世と、今大事なのは、なつ様だけと、しっかりと伝えます。

「お父さん!」

 そう言いながら、緑がやって来ます。裸のままで、抱きついてきました。

「誰がお父さんですか?」

「お父さん!」

 しっかりと抱きつかれて、剝がせません。

「じ~~~~ん君」

 遅れて、なつ様がやって来ます。笑顔が、とても素敵です。

「いつの間に、子供を作っていたのかな?」

「この子が僕の子供なら、幾つの時の子供なんだよ!」

「仁君なら、出来る!」

「出来るか!」

「ドクターなのですか?」

「人違いです」

 そう呼ばれて時もありますが、今は仙石仁です。

「お父さんじゃないの?」

「どうして、そう思うのです」

「お母さんをも出だした時、繋がったの」

「何と?」

「お父さんと。お父さん、遺伝子提供者で、私達に興味ないのは知っていたけど、守ってくれていたから・・・」

「それは、何処かの世界の、別の人の物語です」

「でもっ!」

「それに、その人たちはみな死んでいます。後悔や、いろいろな思いがあったでしょう。だからこそ、この世界で出来なかったことを、やり直しましょう」

 昔は昔、今は今。引きずるのは、意味のの無い事です。

「うぅぅ」

「今は、九重緑ですよね?」

「はい」

「なら、素の緑がやりたい事を、やればいいのです」

「やりたい事?」

「何か、無いの?」

「私、今のお母さんに嫌われて、前世のお母さんを探していたの・・・」

「プレイヤーの家庭に、多い問題ですね」

「うん、前世のお母さんが、紺ちゃんだとは思わなかった」

「私は、うすうす感じてたけどね。今更何を言えばいいのか、解らなかった」

「トキトキクォの魔女様の言葉とは、思えませんね」

「ドクターZと呼べばいいのかな?」

「呼ばないでください」

「貴方が転生していると言う事は、計画は?」

「失敗したのでしょうね。その辺は、記憶に無いです」

「そうなのかい?」

「断片的な記憶しかないです」

「女関係の記憶は?」

「少しだけです」

「あるのね?」

「非人道的で、思い出すのもおぞましい手段で作り上げた生物兵器。その子達の最後の姿は、忘れられません・・・」

 と言っても、断片的です。これは、思い出さないといけない記憶ですよ?

「少ししかないのが、申し訳ないです」

 緑の頭に、手を載せます。そう言えば、この子いました。あの時代、あの場所に。

「お父さんお手です」

「お父さんでは在りません」

 それだけは、言っておきます。遺伝子を提供しただけです。実施問題、自分の子供として認知した存在はいません。

「それに、いつまでも裸だと風引きますよ」

「それは大丈夫、この部屋の温度調整は優秀。ずっと裸でも風引かない」

「何でそんな機能を?」

「存在除去をつかうと気のため」

「なるほど」

 俺は納得です。同じ部屋に増すけど、緊急事態のときは、つかう必要ありますからね。

「ふむふむ、ほうほう・・・」

 なつ様が、へんな顔をして、なぞの呟きをはじめました。

「仁君は、色々と経験豊富。私の心は嫉妬の炎が燃え上がっていました」

 そう言って、にやりとわらう。

「前世は関係ないとしても、仁君ほどのテクニシャンを独占してもいいのだろうか?否、それは無い!」

 何か、恐ろしい事を言いそうです、

「この浸りは、縁のある人物なので、ご一緒しましょう」

「な、何を言い出すのですか?」

「いいの?」

 紺は、びっくりで緑は嬉しそう。

「幸い、この国の法律は重婚OKです」

「そうなの?」

「さ、遠慮は入りません。みんなで家族になりましょう」

 嬉しそうななつ様。この子、実は家庭に植えています。おや兄妹派、前世持ちのプレイヤーです。疎外感があったみたいです。

「わ、私はまだ遠慮します」

 そう言って、逃げ出す紺。

「緑は?」

「不束者ですが、よろしくお願いします」

「ちょと、待て。緑はまだ子供だよね?」

「私は、仁先輩の子供じゃないよ」

「仁君の負けですね」

 そう言う意味じゃないのに、そういわれると、否定できません。

 この後、二人がかりでいろいろとされました。この手の経験は無かったので、何となく負けた気がします。

 これは全て、彼女の掌の上だったのかもしれません。

 


 3の倍数の日に投降予定です。


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