新入生を囲え その2
「もうすぐ、また死ぬんだ・・・」
目の前には、絶望。前世の記憶が蘇り、ぼくは二度目の人生を歩んでいた。
機械を再生するという不思議なスキル。前世の世界で定番の、異世界転生だと喜んだ。
ぼくは、女の子だったけど、この手の小説は好きだった。
今の人生も女の子なのは嬉しい。前世だと、何も出来ないまま死んでしまった。
今人生、死んだ時と同じ年齢になった。ここで死ぬのは、運命かもしれない。ぼくは、この年齢を超える事ができないのかなと、考えてしまう。
魔物がいて、それと戦うのに、ぼくのスキルは向いていない。
だけど、前世の記憶がある子供は、プレイヤーと呼ばれ集められる。
訓練をして、銃を使えるようになったけど、腕は悪いと自覚してます。この世界、銃の評価が悪いです。クラスメイトは剣や槍を使い、敵を薙ぎ払っています。
同じクラスで、生産系と呼ばれるスキルを持っているのは、紺ちゃんだけです。
紺ちゃんは、ものを分解できる能力です。ただ、無機物だけしか出来ません。戦闘には向いていない能力です。
私達は、生き残るために、できる事を色々と考えていました。
その結果、学園を去ることを検討しています。ここにいたら、確実に死にます。
まだ、死にたくありません。
紺ちゃんの前世は、何処かの国の宰相をしていたそうです。性別は女だったというので、優秀な人かもしれません。色々と、陰謀を重ねていたので、いつかまた天罰が下ると、恐れを抱きながら生きています。
それでも、私のために色々と考えてくれました。その結果、学校を辞めるという結論を出しました。
その為に、最初の実習だけは生延びようと、二人で誓ったのに、紺ちゃんは死にかけています。
色々と根回しして、移動用の車を手配したのは紺ちゃんです。その結果、指導役の先輩が暴走しました。
輸送力の増加で、欲が出たみたいです。下級生の指導が目的なのに、自分の手柄を求めてしまったのです。
魔物を引き寄せる、違法な薬物を使用しました。私達の中に、剣の達人がいたので、最初は優勢でした。
でもこの世界、武器の手入れが雑なのです。迷宮から、武器が手に入るのは知っています。
私達はまだ、その手の武器を持っていません。先輩たちも同じです。
学校で販売している武器は、そこそこみたいです。剣の達人さんは、常に買い換えています。修理しないのと聞いたら、修理する施設が無いという返事でした。
私の修理スキルで、少し治せましたが、効果は少ないです。これは、熟練度が低いのと、私の魔力が少ないのが原因です。
目の前で、車が大破して、紺ちゃんが閉じ込められました。
狼が、まっすぐ車に突っ込みました。フロントガラスが大破して、運転手は死んでしまいました。
物凄く、あっけない出来事。衝撃で、車は横転。ドアが歪んでいます。
「紺ちゃん!」
中にいるはずの紺ちゃんの返事はありません。
「誰か、助けて!
周りは、混乱しています。ぼくの声は、届いていません。
後ろのほうで、大きな音がしました。それを確認する余裕は無いです。
「動け、動いて!
修理スキルを使っても、扉は治りません。私の力が足りてない。
「どうかしましたか?」
そんな時、話しかけられました。見たことのない人です、
黒っぽい装備の人です。ヘルメットかぶっているので、顔はわかりません。声で、男の人だと解ります。
「中に、誰かいるの?」
「友達が、まだいるの。お願い、動いて!」
助けに来てくれた人かな?でも、今は紺ちゃんです。
「それは、スキル?」
「はい、私の再生で、治るはずなのに、治らない!」
魔力は空です。治るはずが無い。変な臭いがします。危険な感じです。
「君は、逃げなさい。爆発する」
油の匂い?爆発するなら、余計に逃げられない。
「嫌っ!」
「後は任せて」
黒っぽい人は、50トンパワーと叫ぶと、車の扉を破壊しました。怪力な人みたいです。
「紺ちゃんっ!」
中で気絶していました。抱きついていると、後ろに引っ張られます。
黒っぽい人が、私達を抱き上げます。抱えられたまま、車から離れます。
そのついでという感じで、大きな魔物に銃を撃ちました。
「嘘・・・」
その一撃は、物凄く自然に魔物命中しました。そして、消え去る魔物。どうすれば、ああなるのか理解できません。
ただ、私達は助かった。それだけは理解しました。
救助に来た人の車に、乗せられました。
簡単な医療設備もあるみたいで、紺ちゃんはそこに運ばれた。
この車、色々とすごいです。機関銃みたいなのが、火を噴いて魔物を殲滅しています。
その隣に、不思議な形の乗り物がいて、それも魔物を倒しています。
「むぅ、仁君引きが強すぎ」
その声で、ぼくの隣に女の人がいることに気づきます。
「仁君?」
その事よりも、その名前が気になります。黒っぽい人のことかもしれません。
「私のだんな様です」
「さっきの、黒っぽい人?」
「はい」
にっこりと笑顔の女の子。その顔は、本当の事を言っていると証明しています。なんか、寂しい。
この人、物凄く綺麗で可愛いです。
「愛人枠は、あるよ」
「ななな、なににのにょこです?」
「愛人はともかく、九重緑ちゃんでいいのかな?」
「は、はい」
「私達の会社に、就職しない?」
「にゃ?」
何を言われたのか、わかりません。私達という事は、黒っぽい人もいるのかな?
「瞬時に、そう考えられる子は、嫌いじゃない」
「ななな、にょにのことでしゃう?」
「こんな、可愛生き物、失いたくないわね。世界の損失かも」
女の人が、ぼくを抱きしめます。
ぼくは、どうすればいいのでしょう?
3日ごとの更新予定です。




