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ブーストサマー  作者: 水室二人
学園編 
23/42

新入生を囲え その2

「もうすぐ、また死ぬんだ・・・」

 目の前には、絶望。前世の記憶が蘇り、ぼくは二度目の人生を歩んでいた。

 機械を再生するという不思議なスキル。前世の世界で定番の、異世界転生だと喜んだ。

 ぼくは、女の子だったけど、この手の小説は好きだった。

 今の人生も女の子なのは嬉しい。前世だと、何も出来ないまま死んでしまった。

 今人生、死んだ時と同じ年齢になった。ここで死ぬのは、運命かもしれない。ぼくは、この年齢を超える事ができないのかなと、考えてしまう。

 魔物がいて、それと戦うのに、ぼくのスキルは向いていない。

 だけど、前世の記憶がある子供は、プレイヤーと呼ばれ集められる。

 訓練をして、銃を使えるようになったけど、腕は悪いと自覚してます。この世界、銃の評価が悪いです。クラスメイトは剣や槍を使い、敵を薙ぎ払っています。

 同じクラスで、生産系と呼ばれるスキルを持っているのは、紺ちゃんだけです。

 紺ちゃんは、ものを分解できる能力です。ただ、無機物だけしか出来ません。戦闘には向いていない能力です。

 私達は、生き残るために、できる事を色々と考えていました。

 その結果、学園を去ることを検討しています。ここにいたら、確実に死にます。

 まだ、死にたくありません。

 紺ちゃんの前世は、何処かの国の宰相をしていたそうです。性別は女だったというので、優秀な人かもしれません。色々と、陰謀を重ねていたので、いつかまた天罰が下ると、恐れを抱きながら生きています。

 それでも、私のために色々と考えてくれました。その結果、学校を辞めるという結論を出しました。

 その為に、最初の実習だけは生延びようと、二人で誓ったのに、紺ちゃんは死にかけています。

 色々と根回しして、移動用の車を手配したのは紺ちゃんです。その結果、指導役の先輩が暴走しました。

 輸送力の増加で、欲が出たみたいです。下級生の指導が目的なのに、自分の手柄を求めてしまったのです。

 魔物を引き寄せる、違法な薬物を使用しました。私達の中に、剣の達人がいたので、最初は優勢でした。

 でもこの世界、武器の手入れが雑なのです。迷宮から、武器が手に入るのは知っています。

 私達はまだ、その手の武器を持っていません。先輩たちも同じです。

 学校で販売している武器は、そこそこみたいです。剣の達人さんは、常に買い換えています。修理しないのと聞いたら、修理する施設が無いという返事でした。

 私の修理スキルで、少し治せましたが、効果は少ないです。これは、熟練度が低いのと、私の魔力が少ないのが原因です。

 目の前で、車が大破して、紺ちゃんが閉じ込められました。

 狼が、まっすぐ車に突っ込みました。フロントガラスが大破して、運転手は死んでしまいました。

 物凄く、あっけない出来事。衝撃で、車は横転。ドアが歪んでいます。

「紺ちゃん!」

 中にいるはずの紺ちゃんの返事はありません。

「誰か、助けて!

 周りは、混乱しています。ぼくの声は、届いていません。

 後ろのほうで、大きな音がしました。それを確認する余裕は無いです。

「動け、動いて!

 修理スキルを使っても、扉は治りません。私の力が足りてない。

「どうかしましたか?」

 そんな時、話しかけられました。見たことのない人です、

 黒っぽい装備の人です。ヘルメットかぶっているので、顔はわかりません。声で、男の人だと解ります。

「中に、誰かいるの?」

「友達が、まだいるの。お願い、動いて!」

 助けに来てくれた人かな?でも、今は紺ちゃんです。

「それは、スキル?」

「はい、私の再生で、治るはずなのに、治らない!」

 魔力は空です。治るはずが無い。変な臭いがします。危険な感じです。

「君は、逃げなさい。爆発する」

 油の匂い?爆発するなら、余計に逃げられない。

「嫌っ!」

「後は任せて」

 黒っぽい人は、50トンパワーと叫ぶと、車の扉を破壊しました。怪力な人みたいです。

「紺ちゃんっ!」

 中で気絶していました。抱きついていると、後ろに引っ張られます。

 黒っぽい人が、私達を抱き上げます。抱えられたまま、車から離れます。

 そのついでという感じで、大きな魔物に銃を撃ちました。

「嘘・・・」

 その一撃は、物凄く自然に魔物命中しました。そして、消え去る魔物。どうすれば、ああなるのか理解できません。

 ただ、私達は助かった。それだけは理解しました。

 救助に来た人の車に、乗せられました。

 簡単な医療設備もあるみたいで、紺ちゃんはそこに運ばれた。

 この車、色々とすごいです。機関銃みたいなのが、火を噴いて魔物を殲滅しています。

 その隣に、不思議な形の乗り物がいて、それも魔物を倒しています。

「むぅ、仁君引きが強すぎ」

 その声で、ぼくの隣に女の人がいることに気づきます。

「仁君?」

 その事よりも、その名前が気になります。黒っぽい人のことかもしれません。

「私のだんな様です」

「さっきの、黒っぽい人?」

「はい」

 にっこりと笑顔の女の子。その顔は、本当の事を言っていると証明しています。なんか、寂しい。

 この人、物凄く綺麗で可愛いです。

「愛人枠は、あるよ」

「ななな、なににのにょこです?」

「愛人はともかく、九重緑ちゃんでいいのかな?」

「は、はい」

「私達の会社に、就職しない?」

「にゃ?」

 何を言われたのか、わかりません。私達という事は、黒っぽい人もいるのかな?

「瞬時に、そう考えられる子は、嫌いじゃない」

「ななな、にょにのことでしゃう?」

「こんな、可愛生き物、失いたくないわね。世界の損失かも」

 女の人が、ぼくを抱きしめます。

 ぼくは、どうすればいいのでしょう?


 

3日ごとの更新予定です。

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