日常、豚の生姜焼きとミニチャーハン
チャーハンっていいですよね。
こう、心を広くしてくれる気がします。
うん、すっきりとした良い朝だ。
さては昨日の焼肉が効いたな?
外も暑くもなく寒くもなく。
良い感じの温度じゃないか。
こういう天気がずっと続けばいいんだがな。
たまに猛暑日や極寒になるの、勘弁してほしい。
そうだ、最近旅行とか言ってなかったし、遊びに行くのもいいかもしれん。
ま、なんにせよ今日の依頼が終わってからだな。
さて、依頼主の所へ向かいますか。
「どうも、魔術師さん。」
「こんにちは、今日はよろしくお願いしますね。」
さて、本日。
今日はインテリアを買いたいというお客さん。
何と農家さんの口コミで広まったお客さんだ。
いやはや、ほんとありがたい限りで。
インテリアを売れば仕入れ先の顔なじみにでかい顔ができるし、相手も何かしら返礼がある。
持ちつ持たれつ、実に良い事じゃないか。
「それで、インテリアに関してですが・・・。」
「ええ、確か像でしたよね?一応カタログをお持ちしましたのでご覧いただければ。」
「おお、ありがとうございます。」
「他にもご要望があれば、オーダーメイドもできますので。」
それは嬉しい、と言いながらもカタログに夢中なご主人。
像、けっこう高いんだが、これは購入まで行きそうじゃないか。
しかもオーダーメイド、もしくは加工などもあれば更に高くなる。
いい、いいね、最近は臨時収入が増えて嬉しいぞ。
「さらにご提案させていただきますと、このページにのっている像がですね・・・。」
「では、前向きに検討させていただきますね。」
「ええ、是非お願いします。」
無念、その場で購入、とまではいかなかった。
もしかして途中少しがっつきすぎただろうか。
うーん、甘い、甘すぎるぞ私。
臨時収入だからと天狗にでもなっていたのか。
まぁ、前向きなら望み薄だが可能性が0ではない。
それだけでも良かった、そう思うことにしよう。
色々な商品があることも説明できたし、結果オーライだ。
・・・まだ心のどこかで引きずってはいるが。
しかし、1仕事終わったからだろうか。
気づけば、何だか。
―――飯、食いたいな。
うん、そうだ、飯でも食いに行こう。
腹が膨れればこの引きずっている感情もどこかに行くだろう。
よし、そうと決まれば飲食街だ!
―――――――――――――――――――――――――
さて、到着飲食街。
今日は何を食べようか。
うーん、今日はなんかこう、普通の物でいいんだよな。
こう、普通の飯というか、定食だな。
そうと決まれば、食堂でも探そう。
レストラン。
・・・いきなりきわどい所を。
しかし今日は食堂へ行くと決めているんだ。
焼肉。
このまえ食べた、パス。
食堂。
発見!
よし、早速突入だ・・・!
「いらっしゃいませー。お好きなお席にどうぞ!」
お、食堂、食堂だ。
「お食事処 ブーンチャンス」。
内装はお洒落で綺麗、でも滲みでる食堂感。
壁に貼られたメニューがその感じを後押ししている。
しかし、そんなことはどうでもいいな。
私は飯を食いに来たんだ、早くメニューをみよう。
メニュー、これか。
お、いい、いいね。
ずらりと並ぶ定食の文字。
しかもライスを変更もできるのか。
これは、いい店に入ったんじゃないか・・・?
メニューで無限の組み合わせができるぞ。
だが・・・よし、決めた。
「すいませーん。」
「はい、お待たせしました!豚の生姜焼き定食、チャーハンセットです!」
お、来た来た。
・豚の生姜焼き
シンプルな生姜焼き、そしてキャベッジの千切り。それだけなのに、それがそそる。
・チャーハン
ライスをチャーハンに変更。茶碗1杯分のミニチャーハン、でも美味しそうじゃないか・・・!
・中華スープ
澄んだ茶色、具材は無しのシンプルスープ。チャーハンと相性がよさそうだ。
では、いただきます。
まずは豚の生姜焼き、こいつから行かないとな。
労働後に食べる肉、やはりこいつから堪能しなくては。
しかし生姜焼き、いつ見てもその破壊力は凄い。
では、1切れ、いただきます。
おっと、オニオンも忘れず一緒にな。
―――これ、これだよ、シンプルで、凄く美味しい生姜焼き。
うーん、美味しい。
肉、そして少ししゃきっとしたオニオン、これはライスが必須だな。
まぁ今回はチャーハンだが。
肉、しっかり味沁みてるなぁ。
この生姜焼き独特の味、それをしっかり吸収して、まるで豚が鎧をまとったような・・・。
それでいて薄くて食べやすく、肉独特のジューシー感があるから、たまらない。
あ、もちろんオニオン、君もしっかり美味しいぞ。
味がしっかり、それでいて野菜の感じを残していて、食べるたびに楽しくなってくる。
そしてこのタレよ。
コイツが凄くいい味出して、肉とオニオンをしっかりつないでる。
このタレにキャベッジを浸して、食べれば。
―――ほら、キャベッジまでライスのおかずに早変わり。
もはやサラダじゃない、生姜焼きの亜種。
肉と組み合わせても、そのままでも美味しい万能サラダだ。
まさにシンプル、しかしそれだからこそ至高、そんな豚の生姜焼き。
と、くれば、必然的にライスが欲しい。
しかし今回、私のライスはチャーハンへ変貌している。
では、いざその実力、試してみようか。
―――少しもっちり、でもそれが良い。味、しっかりついてて、これは嬉しいチャーハンだ。
完全にパラパラのチャーハンではない、が、それが良い。
こう、ライスの代わりにもなりそうなチャーハンだ。
だが、味が薄いわけじゃなくて、そのままでも十分美味しい。
具材はシンプル、ネギ、卵、そしてベーコン。
この少なさがまた味を引き立たせているというか・・・。
これはまさに、食堂のチャーハン。
ライスもいいが、チャーハンも良いな。
じゃあ、早速生姜焼きと組み合わせようじゃないか。
そう、巻き食いだ。
生姜焼きの肉でチャーハンを巻き、口に入れれば。
―――今私は飯を食べている、そう思わせる様な素朴な美味しさ。このチャーハンと生姜焼き、合う。
肉のジューシーさが口の中で染み出たかと思えば、その中からチャーハンがはじけ飛んでくる。
うーん、美味い。
ただそれだけしか言えないが、美味い。
ここのチャーハンの万能さ、そして生姜焼きというおかずの美味しさが組み合わさって、こう、美味しい。
うん、美味く言えないけど美味しいんだ。
という訳で、口直しのスープへ行こう。
これまた凄くシンプル、具材なしの中華スープ。
しかしその澄んだ色、もはや芸術品。
どれ、飲んでみようか。
―――まさに、これは命の水。味わい深い後味、余韻、これは凄い。
いやはや、これは凄い中華スープだ。
こいつ、凄く美味しいじゃないか。
普通の中華スープかと思っていたら、とんでもない。
このスープ飲むためだけに通う客、いるんじゃないだろうか。
きっとこのスープでチャーハンを食べたりすれば、もっと美味しいんだろうなぁ。
しかし、うーん。
いや、ここはスープを最後に残し、チャーハンと生姜焼きで攻めていこう。
良し、食い進めようか・・・!
チャーハン、そして生姜焼き。
時にはそのまま、時には巻き食いを駆使して、食べ勧める。
豚がライスの鎧をまとい、口の中で大暴れ。
しかし、暴動が起きるたびに、スープがそれを鎮圧してくれる。
洗い流されたはずの口、しかし食欲がそれを見逃すはずもなく。
また次の1口を求め、手が動き出すんだ・・・。
肉、オニオン、チャーハン、キャベッジ、スープ、肉。
様々なローテーションで、私の食欲を満たしていく。
ああ、大満足。
今日の失敗も、引きずらなくて済みそうだ。
美味い飯には、人を元気にする力がある、それを実感する。
―――ごちそうさまでした。
「ありがとうございましたー。」
ふぅ、美味かった。
さっきの依頼での気分、吹っ切れたぞ。
仕方ない、次はそれを反省して活かしていけばいいんだ。
さて、煙草を1本。
火をつけて・・・ふぅ。
この余韻がまた、スープに負けず、素晴らしい。
「あ、魔術師さん。」
「あ、どうも、先ほどはありがとうございました。」
おや、さっきのお客さん。
「お食事ですか?」
「ええ、少し早めに夕食を取ろうかなと・・・あ、そうだ、魔術師さん、さっきの像の話なんですが。」
おっと、これは断られるパターンか。
「あの、魔術師さんがお勧めしてくれた奴、それを加工有でお願いしたいんですが。」
おっと。
おっとっと。
「そうですか!ありがとうございます。・・・でしたら、1度お見積り持っていきますね。」
「ええ、お願いします。」
まさかまさか、ラッキーパンチ。
これは嬉しい誤算だ。
「では、失礼します。・・・あ、あそこの食堂、美味しかったですよ。」
「本当ですか?じゃあ行ってみようかな。」
さて、家に帰ろう。
見積もりを作ってすぐ持っていこう。
この波に乗るんだ・・・!
願わくば、次も美味い店に会えるように。
主人公(男)・魔術師。見積もりを作成、その後持って行った。結果無事受注。やったね。
今回の依頼主(男性)・実は主人公の話、ほとんど聞いていなかった。




