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異世界の居酒屋にて

少しでも夜食テロの手助けになれば幸いです。

「ポーションに、アルコール、ですか・・・。」


「うむ、近々新しいポーションを開発しようとギルドが動いていてな。冒険者は酒を好むだろう?」


「まぁ、そりゃ好むみたいですが・・・。」


「うむ、そうだろう。だが、ただ酒に酔うだけでは体に悪いと思わんか?」


「まぁ、悪いでしょうね。」


「うむうむ、そうだろう。そこでだ、酒の代わりに飲めるポーションを開発したいのだ。」


どういう訳だ・・・?

まるで意味が分からんぞ。


「いや、冒険者は日々体を張って戦うだろう?」


「そうですね。」


「しかし、その休息日にただ酒を飲んで酔っ払うのでは戦い後のケアができない!」


「はぁ・・・。」


「そこでだ!酒でもありポーションでもある、そんな飲料があればほれ、完ぺきではないかね!?」


えぇ・・・。

つまりなんだ、酒の場で酒の代わりに飲むポーションを開発したいと?

アルコール入ってる時点で体にどうとか、関係ないんじゃないですかねぇ・・・。


「今、アルコールの時点で関係ないとか思ったな?」


「え?いや、あははは・・・・。」


なぜばれた。

そんなに顔に出ていたか、私・・・?


「ま、まぁ、とりあえずできるだけやってみたいと思いますね、はい。」


「うむ、よろしく頼むよ。ところで君、お酒は飲むのかね?」


「え?まぁ、はい。人並みには飲みますけど・・・。」


人並み、といったが私の場合ウィスキーが大好きだ。

晩酌と言えばいつもウィスキーのロックを飲んでいるくらい。

まぁ、ウィスキーのロックを飲むことがウィスキー大好きにつながるのかどうかは不明だが、まぁ、人並みには飲むのだろう。


「そうか、今回のポーションはすなわち酒の代わりだろう?つまり実際に酒の味を知っている人でなければ難しいのではないかと思ってだな。まぁ、心配はなさそうで良かったわい。」


開発するこちらとしては心配しかないです。


「ま、納期は特に決めていないし、気長に頼むよ。」


うーむ、どうしたものか・・・。


――――――――――――――――――――――――――――――


やはり、悩んだら実際に行動してみるべし。

そこで今回は酒を飲みに行こうと思う。理由はもちろんお分かりですね?

クライアントが無茶な依頼をよこし、酒味のポーションを開発するように求めてきたからです!

酔う覚悟の準備をしておいてください!(どこかの某ジョ〇ノ風)


とまぁ、こんなバカな真似はやめて、さっさと店を探すことにしよう。

今回は冒険者向けに開発・・・となると大衆居酒屋のような場所がうってつけだろうな。

幸いここ魔道学院周辺の飲食街には居酒屋なんぞそこら中にある。


さて・・・どんな店にしようか。




午後、日が傾きかけの頃。

さっそく飲食街へ足を運ぶとほら、飲んべえどもの集まりがちらほら。

騒がしいところに至ってはもう宴会なんて始めちゃってる。


毎日がお祭り騒ぎってか?羨ましいねぇ・・・。

こっちも仕事に関係なく、素直に飲めたら文句なしなんだが。


さて、今回向かう店は騒がしすぎず、されど静かすぎずの店を探す。

冒険者と言ってもソロ、パーティー、また人格もそれぞれだからな。

誰にでもあう居酒屋、尚且つメニューも豊富ならそれがいい。


さぁ、いつもの様に、歩いて、音で、目で、直感で店を選ぶとしますかね。


ここは・・・騒がしいな。却下。

ここは・・・バー、だな。普通に飲む分にはいいが・・・。

そしてここは・・・うーむ、よさそうなんだが席が埋まっている。団体客か?


お、ここは・・・いいんじゃないか・・・?


「居酒屋 ナナコロビヤオキ」


おお、いいじゃないか。

店の名前が何ともそそる。

すぐ入れそうだし、かといってガラガラでもない。

よし、今日の夜飯&晩酌はここで決定だ。




「らっしゃい。1人かい?」


「ええ、1人なんですが・・・大丈夫ですかね?」


「おう、そこら辺の席にどうぞ。これメニューな。」


「ありがとうございます。」


うむ、このぶっきらぼうな感じ。悪くない。

これこそ何だか、ザ・居酒屋って感じだな。

店内も片付けすぎず、かと言って汚くもない。

商売繁盛祈願、いい雰囲気醸し出してる。


さて、メニューを見てみるか・・・。


おおお、メニューの量、すごいな。

串焼きから魚、主食、酒の種類もすごい。

そして・・・壁にも手書きのメニューがある。

手書き、そして薄っぺらい紙、それを壁に貼り付けただけのメニュー。

これは、そそるな・・・。


「はい、グリーンビーンズ塩ゆでお待ち!」


定番のおつまみも網羅している。

そしてその殻入れ、あれは灰皿か。

いいじゃないか、そそるじゃないか。

この店、あたりの様な気がするぞ。


っとと、観察もいいがメニューもあるんだ。

私も何か注文をするか・・・。


酒・・・まずはエールでいいだろう。

冒険者たちはまず最初エールを頼むことが多いからな。


「注文、決まったかい?」


「え、ああ・・・。とりあえず、エールをお願いします。」


「あいよ。他には?」


「あー・・・。少しメニュー見させてください。」


「あいよ。これ、お通しね。うちお通し代取ってないから安心しな。」


「あ、ありがとうございます。」


なんと、お通し代取ってないのか。

珍しい店だ。

だが、ありがたい。


「あいよ、エールお待ち。ごゆっくり。」


エールが来た。

まずはお通しとエールで軽く1杯やるか・・・。


・エール

基本的、普通のエール。この苦み、そして喉越しが愛される秘密。


・お通し(カルのムニエル)

大衆魚のカルをムニエルに。これは酒が進みそうじゃないか。小鉢なのもこの後注文があることを考えればうれしいポイント。


では、さっそく1口・・・。

うん、このムニエルでありながら気取ってない感じ、すごく良い。

酒のおつまみとしてガツガツ食えよと訴えてくる。


そして口をエールで洗い流す。

一気に・・・ゴッゴッゴ・・・・。

・・・ッふぅ。これがたまらん。


さて、ほかのメニューも注文するとしようか。




「お待ちどう!レッドポークの串焼き3種、グリーンビーンズの黒コショウ炒め、魚揚げ三種盛り、ポテトフライだ!あとお代わりの薬草割酒だよ!」


おお、きたきた。


・レッドポークの串焼き3種

それぞれポークのロース、カルビ、ポークのひき肉で作ったハンバーグの串焼き。タレもしくは塩を付けて食べるとの事。いい焼き加減じゃないか・・・。


・グリーンビーンズの黒コショウ炒め

酒のつまみ定番グリーンビーンズ、それを黒コショウで炒めている。こりゃ外れなわけがない。この濃さそうな味付けも酒に合いそうで良き。


・魚揚げ3種盛り

カル、ダラ、そしてオクトパスの3種揚げ。外側がカリっと揚がっている。こんがりきつね色、というやつだな。レモンを勝手に欠けるやつは戦争。


・ポテトフライ

特筆すべきことのない、おつまみの代表格。ここのポテトは厚切りだ。


・薬草割酒

薬草エキスで割ったウィスキー。スッとする感じがまたウィスキーと合って美味いんだよなぁ・・・。




おっと、机が一気に占領されてしまった。

とりあえず晩酌としゃれこもうじゃないか。


まずは・・・やはり串焼きだな。

酒を飲むときのメインディッシュ、酒がライスならこいつは主菜ともいえるだろう。異論は認める。

ロースから、いざガブリ。


うむ、うむ、あふれ出る肉感、美味い。

この俺は肉だって感じ、ロースの特権だよなぁ・・・。

さ、酒をすこしあおって、またガブリ。


さ、次はカルビだ。

このあふれ出る肉汁?脂?これがまたカルビの美味さを引き立てる。

・・・っくぅ、美味い!

ぎっとりとした味、酒飲みにはたまらん!


そして意外やハンバーグ。

串焼きにハンバーグとは、意外なラインナップ。

しかしもう見るだけで美味そう。


アツッ、はふ、これは、肉汁、美味い!

何だこの串、肉汁が半端ないじゃないか。

ジューシー、その言葉はこの串のためにあるといっても過言じゃない。

タレもいいが私はシンプルに塩、これ、好き。


っと、串焼きを食いつくしてしまった。

これは後で追加注文するしかないな・・・。


まぁとりあえず、グリーンビーンズとポテトフライで口直しと行こうじゃないか。

口直しの定番サラダもいいが、なんか今日は気分じゃないんだよな。

冒険者って基本的に宴会で野菜食べないし。


さて、まずはグリーンビーンズの黒コショウ炒め。

うむ、これはちょっぴりスパイシー。

野菜のはずなのに酒が進む進む・・・。


ポテトフライは、どうだ。

・・・うん、このほくほく感、ポテトだ。

厚切りで食べ応えのあるポテト、ほのかな塩味、安い料理なのにどうしてこうも私を魅了するのだろう。


このペース、お酒のお代わり必須だな。


さて、魚の3種揚げ。

まずはカルのフライだが、こいつはビッグだ。

ハンバーガーの具材になるんじゃないかってくらい大きい。

食べ応えは・・・うん、抜群!


外側サクッ、中ふわっ、シンプルな塩、マーベラス。

付け合わせの野菜の千切りと一緒に食っても、うん美味い。

このフライとライスで酒を飲まない人でも楽しめるんじゃないか?


しかし塩が合うとなれば、ほかの調味料も気になるところ。

ここで私が取り出したるは、そう、醤油。(机の上にあった)

このフライと醤油、合うんじゃないだろうか。


・・・やはり、私の見立ては間違っていない。

これは食べ応え感がさらにアップした。

醤油のいい感じと、フライのいい感じが、こう、いい感じに混ざり合ってる。

ライスのおかずに更に1歩前進したな。


さて、ダラのフライ。

これも結構な大きさがあるな。

こいつには・・・そうだな、レモンを試してみよう。


レモンを絞って、いざ、1口。

―――いいじゃないか。

ダラの素材の味、それをレモンが引き立たせている。

こう、ふわっとした感じがきゅってなるような、そんな感じ。

こいつを大きくガブリといって・・・酒を呷る!!

うん、素晴らしい!!


最後、オクトパスのフライ。

1口サイズのいい感じなオクトパス、これもまた美味そうじゃないか。

いや、美味そうじゃない、きっと美味い。

―――うん、美味い。


噛んだ時のコキュッて感じ、これがオクトパス。

そして噛むたびにフライの味付けとオクトパスの味、これが良い。

何だろう、海の味が広がるっていうか、次の1口が欲しくなるっていうか。


止められない美味さだな、これ。




さて、酒とつまみがなくなった訳だが・・・。

もう少し行けるな。


とりあえず酒は薬草割酒、これでいい。

しかし追加のメニューを何にしようか・・・。


メニューを見るが・・・お。


・スナッパーの燻製カルパッチョ


これは確か前に刺身定食で食べた、タイとかいう魚だよな。

燻製にしたカルパッチョ、そそるじゃないの。

1品はこれで決まりだな。


もう1品は・・・そうだな、〆の料理が良い。


お、


・特製焼きおにぎり


いいじゃないか。これで決まりだな。


「すいませーん・・・。」





・スナッパーの燻製カルパッチョ

燻しているのに透き通るような白身。もういい感じの香りがする。この店特製ソースも上からかけられていて、この店の決め手の1つかもしれないな。


・特製焼きおにぎり

食べ応えのあるごろっとしたサイズのおにぎり、それがなんと2個。こいつはうれしい。しかも三角じゃなくて丸型なのも何だか良い。


まずは酒を呷る。

少し口の中を酒で流そう。

これじゃ酒を飲みに来たのか飯を食いに来たのか、わかりゃしないな。


何はともあれ、カルパッチョ。

まずはダイレクトにスナッパーの身を・・・。

・・・うぉ、想像以上に香って美味い。

この香り、グッとくる感じなのにさっぱりしてる感じ、好き。


次は野菜を一緒に丸めて・・・。

うん、美味い。

燻した香りが少し弱め、しかし野菜の美味さが一緒に伝わってくる。

特製ソースの味をしっかり味わえる感じ、良いじゃない。


そして酒、燻した香りと酒の香り、口の中で、良い感じ。


こりゃたまらん。これはもうおにぎり行ってしまえ。


おにぎり、齧り付き、焼いた醤油の香り、パリッとしてもちっとした感じ、食べてるはずなのに腹が減る感じ。

何て美味さだ、焼きおにぎり。

シンプルな中にスペシャルな旨味が私を刺激してくる。

そしてこれがまた酒とカルパッチョの味を引き立ててくれる感じがする。


カルパッチョをおかずにした焼きおにぎり、たまに酒。

なんだ、この中毒性。


―――大満足。



「ごちそうさまでした、お勘定をお願いします。」


「あいよ、ありがとさん!またのお越しを!」


ふぅ、少し飲みすぎただろうか。

美味い料理につられて酒のペースも上がってしまった。


少し落ち着くために、店の外でまずは一服。

・・・ふぅ、身に煙が染みわたる。

しかし何だか、開発のためというよりただ美味い飯と酒を食っただけになった。


まぁ・・・いいか。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。いい感じに酔ってる。今は上機嫌。


ギルドのお偉いさん・冒険者の事を大事に思っている。ムキムキ。スキンヘッドがまぶしい。


評価ついてた。ウレシイウレシイ。

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