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早い、美味い、牛丼

抜歯しました。

「ありがとうございました!すごくすっごく勉強になりました!!」


「すいません、でも本当にありがとうございました・・・。」


「いやいや、これも依頼ですので。いい経験になったみたいでよかったですよ。」


翌日、無事依頼達成した私。

まぁ依頼達成といっても先輩に丸投げしただけなんだが。

いや、それも私の人脈のおかげ、私の功績なんだ。


しかし・・・いい経験になったみたいでよかった。

先輩教えるのも上手だしなぁ。

前の私みたいに切れることも中々ないし・・・。


ああ、止めよう。

もう終わったことなんだ。

今は依頼を達成、それで良し、だ。


ただ・・・魔術師として気になるのは・・・。


「・・・ちなみにですが、お二人とも。どんな技術教えてもらいました?ああ、別に言えないなら大丈夫ですが。」


「あ、えーと・・・。」


「はい!!美味しいお菓子の作り方教えてもらいました!!」


元気ちゃん・・・違うんだ、そうじゃない・・・。


「あ、ああ、そうですか、良かったですね・・・?」


「す、すいません・・・えっと、教えてもらったのは魔物と戦う際の魔法のコツとか、新しい魔法とか、後は・・・。」


おっ、流石クールちゃん、すかさずフォロー。


「後は・・・?」


「あの、ええと・・・その・・・。」


何だ、ずいぶん言いにくそうだ。

しかも顔を少し赤らめていて・・・。

やばい、犯罪集がする。

私は何もしていません!


「あ、いや、さっきも言ったように言いづらいなら・・・。」


「あ、あとはナンパしてくる男性の撃退法とか、宴会で薬を盛られないようにする注意点とか教えてもらいました!!」


「あ、もう・・・!」


あー・・・。

それは言いづらかっただろう。

なんか申し訳ない。


・・・私がそう見えてるから、言いづらかったとか、そんなんじゃないよね?・・・ね?


というか元気ちゃん大声でいうから・・・何だか注目を集めている様な気がする・・・。


「とりあえず絡まれたら思い切り股のあいd「あ、大丈夫です!」えー?」


元気ちゃん本当に元気ちゃん。

今度から天然も付けようか?


・・・先輩、中々えげつない事教えたんですね。

いくら私でもそこまではしませんよ。


――――――――――――――――――――――――――――


「それでですねー!その時雑貨屋さんが」


うん、もう充分話を聞いた。

もう依頼達成をしているんだ。


なのに・・・元気ちゃん、全然話すのを止めない。


さっきからクールちゃんにアイコンタクトを送るも、申し訳なさそうに目を逸らされる。

苦労してるんですね・・・。


仕方ない、意を決して!


「オホン、あー、もうこんな時間ですね・・・。」


うーんこの大根役者。

可愛い女の子に強く出れないこの感じ、私もおじさんなんだろうか・・・?


「えっ、あ!そうだ、リーダーのおじさんにも報告しないと!」


ウッ、止めろ、その言葉は私に効く・・・。

だが元気ちゃん、素直そうで良かった。


「・・・すいません、あの子、話に夢中になるといつもあんな感じで。」


「いえ、大丈夫ですよ。」


「魔術師さんありがとうございました!また何かあったらお願いしますね!」


「え、ええ、内容にもよりますが・・・。こちらこそ、今後とも御贔屓にお願いしますね。」


良し、今度こそ、本当に、依頼達成だ!


――――――――――――――――――――――――――――


あー、もう昼過ぎだ。

朝から凄い話し込んでたな・・・。


カフェ、コーヒー3杯もお代わりしてしまった。


しかし依頼も達成、今日はこの後フリー。


と、なれば。


―――話疲れには、飯だろう。


朝からコーヒーしか飲んでいない。

お菓子類はすべて元気ちゃんが食べていた。

なんか・・・食べる姿に覇気があったような気もするが・・・。


まぁいい、とっとと飲食街へ行こう。





さあさあ今日も飲食街。

さてさて今日は、どんな新しい料理が私を待っているのだろう。


今日の私の腹は・・・何でも良いらしい。

コーヒーしか入れていないせいだろうか?

全く、それが一番困ると言うのに・・・。

しかも何でも良いとか言ってはいるが、美味い物じゃないと暴動を起こす始末。


おっと、こんな事を言っている場合じゃない。

早く店を探さないと、それこそ本気で暴動を起こされてしまう。


さ、行こうか。





レストラン。

うーん・・・混んでる。

残念だがパス。


焼肉。

あー・・・ありだな。

と、思ったが今日ここ貸切か。

ちょっと高い焼肉屋なのに、随分とお金持ちだな・・・。


食堂。

・・・うん、もうここでいいんじゃないかな。

腹が減って、歩く力が出ない。

席も空いてる、「食堂 タツミノ」、ここに決定。




「いらっしゃい!適当にどうぞ!」


お、おお。

適当と来たか。

私の持論、元気のいい店主の店は当たり法則、バチバチに反応してる。


凄く使い古された歴史を感じる机や椅子、ちょっとぼろぼろなメニュー、こんな雰囲気、好き。


いかん、毎回店に入ったら店のチェックをしてしまう。

私は飯を食べに来たと言うのに・・・。


さてメニューは・・・これまた幅広いな。

定番の定食から、果てはラーメン、カレーまで。

こりゃ迷宮入りしそうだ。

落ち着いてメニューを攻略しないと。


まず私が今食べたい物・・・そうだな。

ライス、ライス系だ。


そして早めに食べたい所、とすれば。

丼物なんていいんじゃないか。

大盛りにすれば量も食える、良し、決まり。


後はどんな丼にするか。

カツ丼は前に食べたし・・・シンプルな物を。

お、これ、良さそう。


決まりだ、注文しよう。




「はいお待たせ!牛丼大盛り、セットのサラダとスープ!」


おっほ、これは・・・!


・牛丼大盛り

その色じっくり煮込まれた証、ビーフとオニオンが茶色に輝いている。しかもそれが正に大盛りなライスの上にどっさり。食べ応え、間違いなく丸。


・サラダ

いないと寂しい、いるとちょっぴり嬉しい野菜。この牛丼を攻略する上で心強い味方。


・スープ

その名の通り、シンプルなスープ。その黄金色、具材が無くとも魅力的。牛丼攻略の味方そのニ。



さあさあ、凄い事になって参りました。

牛丼、君から行くが・・・。


そのボリューム、正に大盛りの名に恥じぬ大盛り。

ドーンと丼が鎮座するその姿、私の素晴らしいギャグも相まって盛り上がる事間違い無し。

もしやこれが噂のデカ盛り・・・?


良し、会場も温まった所で一口、牛とライス、両者入場だ!


―――美味い、見た目だけじゃない、確かな食べ応えと見事な美味さ!牛とライス、口の中で旨味の大乱闘開始!更にオニオン飛び入り参加だ!


これは何とも、ガッツリ美味い。

牛とライス、そしてオニオン。

この3つの美味しさ、それが口の中で三つ巴の戦いを始める。


まず牛肉。

しっかり煮込まれながら、それでいて柔らかく、薄いのにジューシー。

煮込んだ汁がしっかり絡んで、まるでラーメンのちぢれ麺。


肉、その曲がりくねったところに絡む汁、それが行き着くはライス。

このライス、普通のライス。

だがこの汁が交われば・・・どうだ、もう立派な料理じゃないか。


私、この汁とライスだけで3杯はいける。

絶妙に汁が絡まった牛肉、それを受け止めるライス。


・・・そこででてくる、オニオン。

透き通った茶色、その姿、一級の宝石にも劣らない魅力。


こいつには絡んでるとかじゃない、汁がもうしみ込んでる。


そしてちょっとしたシャキシャキ感、これがまた食感を楽しませてくれる。

牛とライス、その争いに漁夫の利を得んといわんばかり、とんでもなく美味しい所での、参戦。


そんな牛丼、こいつを、こいつを。

思い切り、頬張れる、この嬉しさ、この感動。


牛丼の大盛、シンプルながらそこら辺の店の2、3品はありそうなこの量。

美味いものを思う存分食べれる、この幸せ、これが私の中で1番の感動だな。



うん、うん、まだまだ量がある。


ここいらで少し箸休め行こうか。

サラダ君、出番だよ。


見た目・・・普通のサラダ。

箸でつまんでも・・・うん、普通のサラダだな。

では、いただきます。


―――うん、サラダ。普通の、サラダ。でもそれがいい。


シャキシャキとした、サラダ。

それ以外にこのサラダで思いつくことはない。


だが、こんな普通の、普通だからこそ箸休めになるんだろう。


野菜が良い感じに口の中の牛丼を洗い流してくれる。

そのおかげで、牛丼の次の1口、こいつがまた新鮮味を醸し出すんだ・・・!


うーん、牛丼とサラダの永久機関が出来そう。

やはり牛丼攻略のお供、私の見立てに狂いはなかった。



と、なれば、牛丼攻略のお供その二、スープ。

こいつはどんなものだろうか。

見た目はシンプル、でもその香り、普通じゃない。


汁物は箸休めに最適、私の持論通りであれば・・・。


―――あ、これはこれは・・・。こいつ、美味いやつだ。


まさかまさかの大番狂わせ。

スープ、箸休めどころかその濃厚な味、牛丼に劣らず。


このスープ、こいつとパンがあればモーニングとして通用する、そんなレベルで美味い。

いや、スープ単品でも私はお金を払おう。


まるで、こう、このスープに店主の生き様が刻まれている様な・・・味わい深い、スープだ。


ここまでのスープがセットで食べれるとは・・・。

やはり私の持論は間違っていなかったな。




スープで美味さの戦闘が終わった口の中、そこに牛丼を入れることでまた新しい争いが始まる。

それをサラダで中和しつつ、味わい続ける私。

そこでまた口の中へスープが流れて、戦いが終わる。


まるでずっと、闘技場での熱戦を見ているかのような・・・。

いつ見ても、いつまで見ていても飽きず、むしろ熱くなってくる。


私は今日、ここで見た大激闘、一生忘れることはないだろう。



ごちそうさまでした。





「ありがとうございました!またのお越しを!」


あー、いかん、食いすぎた。

あの大盛、中々反則級だぞ。


だが、体に力はみなぎってきた。

食堂を見つける前の疲れが吹き飛んだかのような、そんな錯覚すら覚える。


しかし早くて美味くて量もある、何て私に嬉しい組み合わせ。

牛丼、その名前、私の歴史から消えることはないだろう。


さてさて・・・腹ごなしに少し歩くか。

いや、その前に煙草でも吸おう。


一服して・・・歩いたら・・・どうするかな。

顔なじみの店でも行ってみようか。

よし、そうしよう。


願わくば、次も美味い店に会えるように。


人公(男)・魔術師。食いすぎで夜ご飯を抜く。結果深夜に腹が減り居酒屋へ直行。見事二日酔い。


元気ちゃん(女性)・お菓子を食べて一部分を相方の様に増やそうとした。結果体重が増加。八つ当たりの魔の手がクールちゃんに迫る・・・。

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