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いつも通りの、洋食屋。

主人公の名前だけ考えてないんですよね。

今日は過ごしやすい気温だ。

肌寒くもなく、かと言って暑くもない。

こんな気温が毎日続けばいいんだが。


さて、今日は雑貨屋さんへ出向かねば。

凄く面倒くさい依頼だが、まぁ、先輩なら受けてくれるだろう、うん。

一応向こうにも伝えてあるし、うん、大丈夫なはず・・・うん。


――――――――――――――――――――――――――――


「どうも、こんにちは。」


「あ、後輩君!」


「え、どうしたんですか急に、呼び方変えるなんて。」


学院時代の懐かしい呼ばれ方。


「あ、えっとね、魔術師君だと他の人とも被るかなって・・・ダメ?」


「いや、別にダメではありませんが・・・。あ、依頼なんですが今日かららしいのでよろしくお願いしますね。」


「うん!大丈夫だよ!えへへ、どんな子なのか楽しみだなぁ・・・。」


「・・・優しく教えてあげてくださいね、優し「こんにちはー!!」・・・もう来たのか。」


「あ、いらっしゃいませー!」


――――――――――――――――――――――――――――


「・・・という訳で、こちらの魔法使い2人に魔法と魔術を教えてあげてほしいんですよ。」


「よろしくお願いします!!」


「すいません、よろしくお願いします・・・。」


久しぶりの元気ちゃんとクールちゃん。

すき焼き食べた時以来だが、やっぱり元気ちゃんは元気だしクールちゃんはクール。

というか人が出会ったときのことを料理でしか覚えていない私・・・何とも・・・。


「はい、よろしくお願いしますね。私も魔道学院出身なので、いろいろ教えれると思いますよ。」


「そうなんですか!じゃあ先輩ですね!!」


「も、もう・・・少しは落ち着こうよ・・・。」


ワイワイキャッキャ。

あの様子なら問題もなさそうだし安心だな。

しかし女三人寄れば姦しい、とはよく言ったものだ。


・・・別に会話に混ざれなくて寂しいとか、そんなんではない。

私も魔道学院出身だが。


それにこれは依頼、あの冒険者のおっさんからの依頼なんだ。


何でももう少し魔法のレパートリーが欲しい、そして特訓もしてほしいとの事。

だがあのパーティーでも結構優秀なレベルのこの2人、特訓はまだしも教えるとなるとそれ専門の人が適任。


と、いうわけで。

前の借りを返してもらう訳ではないが、先輩にお願いしたわけだ。


先輩、一応魔道学院ではトップクラスの成績を収め、そして後輩からも人気があった。

まぁ見た目良くて優しい先輩なんだ、人気になるのは当たり前か。

私の周りの奴も何人か告白したらしいが・・・優しく断られたらしい。


あいつら、今元気にしてるだろうか・・・。


おっと、いかん。


「ちなみに日程は今日と明日の2日間です。出来れば今日新しい魔法の勉強、明日を実践にしていただければ。」


「あ、それおじさんも言ってましたね!!」


「もう、ダメだよ・・・そんなこといっちゃ・・・。」


うっ。

おじさん、おじさん・・・。


私が言われたわけじゃないのに、心に刺さる一撃。

この子天然で元気なだけじゃない、毒も持ち合わせている・・・。


「それでは、また夕方にでも来ますので。私はこの辺で。」


――――――――――――――――――――――――――――


おじさん・・・つらい一撃だった・・・。

元気ちゃん、もしかしてパーティー内でも言ってないよな?


いやでも、あのリーダーはそんなこと気にしないか。

だがまぁ、今回の依頼はありがたい。


何せ先輩にお任せしてしまえばいいし、私はたまに見に行くだけで十分だろう。


となれば、時間つぶしでとりあえず。


―――飯、食べよう。


気づけば朝から何も食べていないんだ。

そりゃ腹も減ってくる。


時間つぶしにも良いし、まだ余ったらどっかのカフェとかぶらぶらしてればいい。

良し、移動開始だ。






いつも通り、変わらない街並みの飲食街。

だがこの変わらない街中で、いつも新しい発見がある。

さて今日はどんな料理が私を待っているんだろう。


腹は減った、しかしながら食べたい物は何でもいい。

うーん、とりあえずいつも通り歩いて探すことにしよう。



屋台。

・・・パス。

気分じゃない。


焼肉。

惹かれる、が・・・。うーん、なんか違う。


そうだな、食堂とかレストラン。

そんな店がいい。

きっと私の求める何かがそこにある、そんな気がする。


そうとなれば次だ。

次に見つけた食堂、もしくはレストラン。

そこに入ってしまおう。




歩く、歩く。

何だろう、なかなか見つからない。

いや一応あるにはあるんだが満席とか、並んでるとか。


こう、いつもは見つかるのに、欲しい時ほど見つからない。

そんな状態の私。


空腹も限界・・・だが、お。

見つけた。「洋食屋 レイ」

何ともシンプル、しかしその名前、佇まい、今の私が探していたものだ。


洋食屋・・・その名前的にきっとレストランの仲間だろう。

早速突撃だ。




「いらっしゃいませ。こちらのテーブル席にどうぞ。」


うん、いい店構え。

いかにも街のレストラン。

静かな雰囲気、しかしその雰囲気、一見さんお断り的な感じではない。


そしてメニュー。

メニューは・・・冊子、そしてお勧めが書かれた紙、この二つか。

シンプルで分かりやすい。


さ、とりあえず注文だ。

まずは紙のメニュー。

ソテー、ムニエル、魚の焼き料理があるが・・・あ。


バターホイル焼き、これ、いいな。

名前からして美味しそう、何より決め手は数量限定の文字。

人は、限定という文字に、弱い生き物。


サイドは決まった。

後はメインメニュー。

そうだな、ライス物がいい。


紙のメニューもいいが・・・ここはグランドメニュー、冊子の方を見てみようじゃないか。

うんうん、いかにも洋食屋らしいハンバーグ、ステーキ、グラタン。

だが・・・ごめんよ。


今日の私のメインはライス、君達はお休みなんだ。


さて、そんな中のライス系。

・・・ハヤシライス、カレー、お、まさかのカツ丼。

これ以外には何か・・・。


あ、来た、ビビッって来た、ドリアの文字。

ドリア、良いじゃないか。

中々食べる機会もない、でもその文字を耳にすることはよくある。

これ、メインはこれに決定。


「すいません、注文をお願いします。」




「お待たせ致しました、ミートドリア、スカロップ(ホタテ)のバターホイル焼きです。ごゆっくりどうぞ。」


うぉお・・・来た来た、美味そうだ。


・ミートドリア

焼けたチーズ、そこから見える赤い色。まるでグラタン、でもライス。オシャレにガッツリ、見た目がそう言っている。シンプルな見た目に隠されたその奥深さ・・・楽しみだ。


・スカロップ(ホタテ)のバターホイル焼き

銀色の薄い、まるで紙の様な金属、そこにいるのはスカロップ。まるでこのホイルがスカロップの貝殻の様な・・・あぁー、まだ明けてないのに、隙間から漂う良い香り。


さぁさぁ、早速いただきます。


まずはこのドリア、いや、ホイル、いや・・・。

ホイル、ホイル焼き。

君だ。


このホイルを開ければ・・・ほら。


白くプリプリ、香りとともにスカロップのお出ましだ。


こいつをバターの液にしっかり、絡めて・・・。


―――美味い、美味い!うーん、スカロップ、口の中に住み着いた。


濃厚な旨味、それがぎゅっと染み出てくる。

そしてそこに絡んでくる、バター。

この2つ、組み合わせるとこんなにも凶悪なのか。


黙ってもう1口、うーん、デリシャス。

その強烈な味、旨味で私の口を閉じさせる。


正に貝、私そのものを自分の貝殻にしてしまう、力強い美味さ。


この噛んだ時のぷりぷり感から、すっと切れる繊維のカタチ。

なのにジューシー感はたっぷり、これは肉では味わえない、海ならではの噛み応え。


そこからもう、さっきから言ってる旨味!

こいつがとろけ出して、周りのバターと組み合えば・・・。


もう、食べる速度は加速するよね。

貝とバター、そのダブルパンチに一瞬でノックアウト。


寿司とは違う、スカロップの新しい形、それを垣間見た気分。


ああ、こいつ絶対普通のライスにも合う。

いや、何だったら酒にも合うだろう。


じっとしているのに、体はグッと、食欲はさらに力強く。

これが、スカロップの力、恐縮です。



箸を止めるのが名残惜しい、しかしここでスカロップを一気に食べきるのはよろしくない。

ここで、いや、違う。

これこそがメイン、大本命、ドリア。


スプーンで掬えば、ほーーーーら。

私の言葉と一緒にとろけるチーズ。


いやもう、何て言うか。

チーズというかチーーーズ、そんな感じ。


そしておいでます赤色のソースをまとったミート、ライス。


見た目がもう楽しいこの1匙、これを豪快に1口で食べれる幸せよ。

さぁ、いざ。


―――チーズはとろけ、肉が踊る。ライスはその土台、全てを支える、白いお立ち台。それを堪能する、私。


これは、新しくて、そしてなんと美味しいドリアなんだろう。

チーズ、ミート、そしてライスとソース。


この全て、どれか1つでもなくしたらこの味にはならないだろう。

そしてそう思わせるだけの、料理人の技術。


まず掬って口に入れた時、チーズとミート、こいつが存在感を主張する。

そしてソース、ライスが顔を出すんだ。


とろけるチーズにミートが絡んで、まるで液状のチーズを噛んでいるかと錯覚。

でも、噛むと、ひき肉、すなわちミートだと、誤解するんじゃないと、口の中で思い切り怒り出す。

それをなだめるソース、しかし怒りは収まらず。


その怒りを、ライスが、一瞬で鎮めてしまう・・・。


うーん、私に演劇の才能はないな。

意味の分からない記述。


しかし、こんな風になってしまうほど、このドリア、美味しい。


これ、ライスにも下味があるな。

この下味も凄くいい感じ、何だったらこのライス、いつものライスでもいい。


そして真っ赤なソース。

こいつ単体だと・・・トマト味?

酸っぱいけど甘さがある、そんな感じ。


でもこいつが他の奴と絡むと・・・ほら。

早く次、次を口に放り込めと、体が叫んでくるんだ。


このパリッとした部分のチーズも、また美味しいんだ。

普通のチーズにはない香ばしさ、それを堪能できる。


このライス、ソース、チーズ。

この3種の神器で美味いというのに、ミート何て加えたら。

その味、とんでもなく美味いに決まってる。



依然と続く、激しい料理と私のぶつかり合い。

ホイル焼きを食べたかと思えば、ドリアに手が伸びる。


その美味さを盛大に堪能していると、ホイル焼きをまた寄こせと叫びだす。

仕方なくそれに従いホイル焼きを食べれば、次は逆。

ドリアを寄こせと叫んでくる、私の食欲。


何て強欲、何て我儘。

しかしその強欲な我儘、今の私にはそれに逆らえる力はない。

いや、それどころか早く美味い料理を食べたい、その一心しかない。


ああ、私に口が2つ、腕が4本あれば。

それはもはやただのモンスター、食べたいものだけを食べ続ける、まさに化け物。


だが、今の私はそんなモンスターに憧れてさえいる。

普通じゃ考えられないな。


美味い飯には、人を魅了にする魔術がある。

きっと、そうなんだろう。


ごちそうさまでした。





「ありがとうございました。またのお越しを。」


うーん、美味かった。

正に今日、私が求めていたもの。

それを見事にクリアした、いや、クリアしすぎている味だった。


洋食屋のドリア、今後はチェックしていかねばなるまい。

あそこまで美味いんだ、ほかの店も違って、そしてまた美味いんだろう。


さ、煙草を1本・・・。


この吸う煙、いつになっても変わらない、安定した味だ。


さて、先輩の所へ行くには・・・まだ早いか。

ついでだ、少しぶらぶらして、甘いものでも差し入れしよう。


女性三人だし、外れはあるまい。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。女性1人に女の子2人の空間に耐え切れず逃げ出した。


女性三人組・甘いものの差し入れに大喜び、しかしクールちゃんは1部分の成長が体重増加につながったため遠慮気味だった。その理由を知った元気ちゃん、思い切り山を揉みしだく・・・。

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