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屋台でのジンギスカン

いつも見てくれてありがとうございます。この深夜に少しでもジンギスカンが食べたくなったら幸いです。

ああ、忙しい。

何故だろうか、中々無いレベルで今日は依頼が多い。

いや、忙しいのはありがたい事なんだ。


ありがたいが・・・忙しい。

しかし納期までには絶対終わらせなければ。

・・・よく考えたら営業、開発、納品、全て1人なのはいかがなものだろう。


誰か新しい人を雇うか?

いや、辞めておこう。

大手のギルドでもないんだし。


元は少しゆっくりしすぎた私が原因だ。

だから私がやる、それしかないんだが・・・。

少し気分転換だ、先にできた分だけ納品に行ってしまおう。


――――――――――――――――――――――――――――――


「ごめんください。奥様いらっしゃいますか?」


「はーい、あら魔術師さん!先日はどうもありがとうね。」


「いえいえ、お礼に串焼きもいただきましたし、こうして依頼もいただいたのでむしろ私の方がありがたいです。」


そう、先日ピザとパスタを食べた日の事。

壊れていた屋台を直した後、正式に魔道コンロの修理を請け負うことになった。


「こちら、修理した魔道コンロになります。ご確認ください。」


「あら、ありがとう。・・・それにしても凄い、ぴかぴかじゃない。新品みたいだわ。」


「ええ、せっかくのご縁でご依頼いただいたので無料でクリーニングさせていただきました。ボタンやツマミなども新しいものへ交換しました。」


・・・まぁサービスだが、使い込まれていて少し反応が悪かった点もある。

折角内部を直したのに外部が壊れて使えない、そんなことになったら互いに嫌な思いをするからな。


「そこまでしていただけるなんて・・・あなたに依頼して良かったわ。」


「こちらこそ依頼をいただいてうれしい限りですよ。また他にも何かあればぜひご依頼ください。」


「ええ、何かあれば頼ませてもらおうかしら。」


「ありがとうございます。では、これで失礼しますね。」


よし、次の納品先へ行こう。




ある程度納品が終わった。

いくら魔法や魔術で物を運べるといっても、大きいものだと1回配達した後1度家へ戻り、再度配達の流れになる。

いや、魔術や魔法で運べる魔術師だからこそこれで済んでるともいえるが。


今度配送業者にでも営業をかけてみようか?


まぁ何はともあれある程度終わった。

後は家で修理や開発しているものを完成させて納品、それで終わりだ。

終わり・・・だが・・・。


―――腹が減って、やる気が出ない。


いや、やる気はある。

忙しい事はうれしい事なんだ。

あくまで腹が減ってるからやる気が出ない、そういうことだ。


よし、とりあえず店を探そうじゃないか。


いつもなら飲食街へ向かう、所なんだが。

今回は屋台の近くにいる、折角だし屋台で飯を済ませてしまおう。


さてさて、何の屋台にしようか。


串焼き。

今はそんな気分じゃない。


居酒屋。

酒は飲みたい、が、料理のメニューが少なそうだ。

料理にもこだわりたい。


うーん、なかなか決まらない。

と思っていたら途端にいい匂い。

この匂い・・・あの屋台か。


「ジンギスカン ウール」・・・へんてこな名前だな。

でもジンギスカン。

良いじゃないか。

根性と元気、やる気がもらえそうなそんな気がする。

それに羊肉なら何回か討伐で食べたことがある、外れもないだろう。


この店に決定。




「いらっしゃい!そこの席どうぞ!」


おお、屋台ながら結構しっかりしてる。

肉は・・・七輪での網焼きか。

珍しいな。

ジンギスカンは鍋焼きが多いと聞いたが。


しかしこの屋台、結構大きい。

こんな大きい屋台どうやって運んでいるんだろうか。


いや、そんなことはどうでもいいな。

ジンギスカンの香りが腹を刺激して反乱を起こしそうだ。

というか何だこの香り。

私が食べた時はこんないい香りしなかったぞ。


いかんいかん、早く注文を。


メニューは・・・どうしようか。

うーん。

羊肉を食べたことはあるが、どの部位がどうとかこだわっていなかったからな・・・。

あ、おすすめセットがあるのか。


これにしてしまおう。

飲み物は・・・エールで決定だ。




「お待ち!おすすめセットとエール!焼き方はそこの紙見てくれ!」


来ました来ました。


・おすすめセット

ブラックシープという魔物の肉。肩ロース、味付けロース、ネック、ランプ、そして豪快なラムチョップ。肩ロース、ランプ、ラムチョップは生。味付けロース、ネックはたれが絡んでいる。しかし綺麗な色じゃないか。


見た目だけでもう美味しいとわかる。

では早速焼いていこうじゃないか。


ラムチョップは・・・最後だな。

まずはほかの肉から焼いていこう。

良し、肩ロースからだ。


肩ロースを網の上に乗せる・・・ああ、この音と香り、たまらん。

これだけで酒が進むじゃないか。


おっと、焼き方を確認しておかなければ。

肩ロースは・・・軽くでいいのか。

新鮮な肉だからこその焼き加減と書いてあるが、この一文にこの屋台の自信が見えてくるな。


おっと。

もう両面に焼き目がついてる、まずは塩でいただこうか。


―――羊のクセがないのに、その美味さがクセになりそうだ。


なんだ、この肉は。

美味い、本当に美味い。

口の中を羊が駆け抜けていったようだ。


塩との相性も抜群じゃないか。

クセのない肩ロース、その美味さをガツンと引き出している。

肉汁と塩、そのハーモニーもまたすごい。


というかこの肩ロース、羊肉だから癖があると思っていたのに全然ない。

これはたまらん。

おかずとライスならぬ、エールとジンギスカン、幸せだ。

軽く焼くだけでこんなに美味くなる肉、これ以外に存在しないのでは・・・?


次はランプ、君に決めた。

こいつは・・・普通に焼けばいいのか。

じゃあランプを焼いてる間に同じく普通でいいネック、味付けロースを焼こうじゃないか。

あー、幸せの音が肉からこだまする。


さて、ランプ焼けただろうか。

・・・うん、大丈夫だろう。

では・・・。


―――ランプ、私の味覚を明るく照らす、まぎれもないランプ。


感動的な美味さ。

肩ロースと違いクセが少しある、しかしそのクセがこの肉の美味さを倍増してる。

きっと好きなやつにはたまらなく好きに、もっと深みにはまるだろう。


しかも塩。

先ほどの肩ロースと塩の相性が抜群だが、これはそれ以上に抜群。

これはよく聞くジンギスカンの臭みじゃない、美味さという名の香り、それがこのランプのクセだ。

ジューシー感、肉を食っている感じもまた凄い。


次、ネックだ。

こいつは味がついているのでそのまま食える。

焼き加減も・・・ヨシ!


―――これはまた、美味い。見た目から全然わからない美味さ。


肉がぷりっぷり。

しかも味付けもばっちり。

肩ロースやランプと違ったその美味しさ。

まるで羊に首根っこ咥えられた様な、そんな化かされた気分になる、それほどの感動。


これはエールにも合うが、ライスにも凄く合う肉だろう。

ジンギスカン、奥深し。


さてさて、ラムチョップは最後、ということは味付けロースの出番だ。

こいつ、焼いてた時の香りから肩ロースとは全然違った。

それがまた私の期待感を高めてくれる。


―――ガツンと来る、この美味さ。羊が突進してくる。


おとなしい美味さだった今までの肉から一転、攻撃的な美味さ。

その美味さの攻撃力、半端ない。


エールやライスとの相性、別の意味で抜群だろう。

まるで真っ向からエールやライスに勝負を挑む、そんな美味さなのだ。


さてさて、ほかの肉がどんどん焼ける。

焼けたそばから味付きはそのまま、生は塩で、どんどん食べる。


仕事が忙しいのに、飯でも忙しくなるとは。

でもこれは、とてつもなく嬉しくて幸せな忙しさだ。

気合が、根性が、そして元気が湧いてくる。

忙しいのに回復していく不思議な感じ。


さてさて最後。

ここのボスといってもいい、ラムチョップのお出ましだ。

この豪快な大きさ、見た目、これは最後にふさわしい。

今までの肉が四天王、そしてこいつがその奥に座るラスボスだろう。


焼き方は・・・両面3~4分ずつ、その後1分ほど休める。

最後だけあって、中々時間がかかるな。

しかしこの時間が、良い。


最後のエールを少しずつ傾けながら、焼けるラムチョップを見る。

ここらへんで・・・1度ひっくり返すか。

しかしこれは、美味そうな焼き加減・・・!!


さて、焼き上がり、後は1分ほど待つのみ。

しかしこの休ませるという工程、何のためにあるんだろう。

だがこれも美味いラムチョップの為。


よし、もういいだろう。

あとは・・・お好みでレモンか。

どうせだ、レモンも豪快にかけよう。


では、豪快に・・・。


―――ドゴンとくる、ザ・肉。美味さ、食べ応え、全てがビッグ。


とんでもない、超弩級と言っても差し支えないような、そんな羊。

ブラックシープ、ここまでだったか?


肉の食べ応えあるのに、柔らかい。

大きいのに、味は繊細で美味い。

何より、食べる手が止まらない!

口の中で、羊が、美味さが、暴れている!!


もはや骨だけになっても、しゃぶるのを止められない。

骨の髄までしゃぶりつくす勢いだ。


ジンギスカン、その味、その美味さ、完敗です。




「ありがとうございましたー!」


くぅぅ、美味かった。

凄い屋台だ。


ジンギスカン、あんなに美味いとは思わなかった。

いま求めているもの、食べたいもの、それにピッタリ一致するものを食べた時の充実感。

これはポーションにも勝る、元気の特効薬だろう。


元気、根性、そしてやる気、全てが出てきた。


あとは・・・煙草を一服。

あぁ、充実感を得た後、その余韻に浸りながら吸う煙、沁みるじゃないか。


さぁ、帰って残りの依頼を済ませようじゃないか。

今の私なら朝の2倍、いや3倍で依頼を進めれる、そんな気がする。


あー・・・ジンギスカン。満足。


願わくば、次も美味い店に会えるように。


主人公(男)・魔術師。羊の美味さに感動、家で食べれないか試したものの火力が強すぎて肉が蒸発した。


屋台の奥さん・可愛い娘さん(幼女)がいる。串焼き1筋10年。娘さんは銀髪でお目目くりくり、かわいい。

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