ミートソースも唐揚げも、しっかり独立して美味い。
今日は更新できました!
最近スランプ気味で・・・。
今回の話もかなりあっさり目です。
ブクマ&評価増えてました、ありがとうございます!
励みになります・・・本当に・・・!
ここをこうして・・・回路をこう刻んで、と。
・・・見た感じ問題はないな。
うん、これで一応完成だ。
農業用の冷暖房、上手く機能すると良いんだが。
とりあえず試供品をもって農家さんの所へ伺おう。
本当は今日は加工のみ、営業無しの日だったんだが。
結構加工依頼が消化できたし、時間に余裕もある。
それに農家さんにはいつも野菜を大量にもらってるしな。
少し優遇したって問題あるまい。
あ、そうだ。
菓子折りも持っていくか。
前食べたどら焼き美味しかったし、あれでいいだろう。
さ、用意して向かうとしますか。
―――――――――――――――――――――――――
「・・・あとは安静にしてれば大丈夫ですね。」
「おお、すまんの、若いの。」
「いやぁ、ありがとう魔術師さん。本当に助かったわい。」
「あはは・・・。でもびっくりしましたよ。伺ったらいきなり庭先で人が倒れてるんですから。」
いや本当にびっくりした。
菓子折り買って伺ったら誰かそこに倒れてるんだもの。
何でも回覧板を農家さんに渡しに来たらしいが。
ついフラッと来たらしく、そのまま倒れてしまったらしい。
そしてそのまま中々起き上がれず。
天気も快晴だった為、熱中症の一歩手前まで来ていた。
あと少し見つけるのが遅かったら治療院行き、もしくは手遅れだったぞ・・・。
良かった、ポーション携帯してて。
こういう時に役立つんだよな、ポーション。
特にクールポーションを持ってきておいて正解だった。
「ああ、しかし死ぬかと思った。倒れて動けない上に日差しがじりじりと・・・九死に一生じゃな。」
「全くじゃ。魔術師さんがいなかったら治療もできてないからの。」
「今度から暑い日に外へ出る際は水分補給等をしっかりしてくださいね。お話を聞いた限りでは脱水症状が大きな原因みたいですし。」
うん、この調子なら大丈夫そうだな。
もう少し辛そうだったらポーションを追加しようかと思ったが。
「魔術師さん、どうぞ。お茶です。ほら、あなたも。」
「お、すまんの。」
「あ、おばあさん。ありがとうございます。」
とりあえず普通に起き上がれるようになるまで待ってみるか。
その後軽く問診して大丈夫そうならそれでOK。
まだつらそうだったり、手足にしびれがある場合とかは治療院だな。
「いやぁ、すまんかったな、魔術師さん。」
「いえいえ。」
「いや、本当に助かったぞ。魔術師さんのくれたポーションのおかげで体もすっかり軽いわい。むしろ倒れる前より元気じゃぞ。」
「あはは・・・。」
いや、本当に元気だな。
ポーション効きすぎたんだろうか?
「あ、そうじゃ。ポーション代はいくらかの?」
「いえいえ、お金が欲しくて助けたわけじゃないので・・・。」
まぁ、高いポーションを使ったとはいえ・・・流石にこれでお金をもらうのも気が引ける。
「そうか・・・お、そうじゃ。のうお前さん、酒は好きかい?」
「え・・・まぁ、好きですけど。」
「そうかそうか!じゃあちょっと待っとれよ!今取ってくる!」
え、何を持ってくるんだ?
酒?
というか走り出したよ。
ポーション効きすぎてるな、あれ・・・。
―――――――――――――――――――――――――
「では、失礼しますね。」
ふぅ、まさかあの倒れてた爺さん。
酒造メーカーの会長だったとは。
そしてそんな会長が友達のあの農家さんも凄いな。
結局あの後は農家さんと会長さんと軽く談笑をして終了。
農業用の冷暖房の試運転はできなかった。
・・・まぁ、実際に凄く暑い日や寒い日じゃないと効果は分からないか。
使い方は教えたし、それなりの数試供品は持って行ったし。
また今度使い心地を聞きに行けばいいだろう。
そして会長さんからお礼にという事でニホンシュをもらったが・・・。
これ、絶対高い奴だろ。
だって木の箱に入ってるし、大吟醸って書いてあるし。
何本かは飲まずにとっとこう。
ああ、しかし、ふと思えば。
―――私、腹が減ってるな。
人命救助で予想以上に体力を消費したんだろうか。
凄く腹が減ってるぞ。
・・・うん、飲食街へ行くとしよう。
このニホンシュは今日の夜のお楽しみだ。
到着、飲食街。
快晴だからか、歩いてるうちに少し暑くなってきた。
今日の天気少し暑いけど凄く暑くはないんだよな。
この微妙な気温よ。
さて、とりあえず今日何を食べるかだが。
麺。
今日は麺系が食いたい。
ラーメン、パスタ、ウドン、ソバ・・・こいつら辺りだな。
今日爺さんたちと話してる時に、ふと麺系が食べたいと思ったんだ。
良し、メイン料理のジャンルは決まった。
ならばあとは店探し、美味い店を探すんだ。
レストラン。
レストランとなればパスタ系か。
パスタも良いんだが・・・並んでるな。
パス。
ウドン屋。
ウドン、豪快にずるっと行きたい。
・・・が、臨時休業。
パス。
ラーメン屋。
ここも並んでる。
なんだ、私の知らないうちに麺ブームでも訪れたのか?
なぜこうも行きたい店が埋まっているんだ・・・。
どこだ、他にどこがある。
麺を食べる場所・・・そんな場所は・・・。
あ、食堂。
え、食堂?
食堂かぁ・・・あ、でも。
ヤキソバとかならあるよな、食堂に。
うん、それにしよう。
今日はこの「食堂 きらやか亭」に決まりだ。
「いらっしゃいませ!お好きなお席にどうぞ!」
やはり美人な給仕さん。
飲食街、何処に行っても従業員が美男美女。
飲食街7不思議の1つだな、これは。
さて、お好きな席、ときたか。
ならばここはカウンター・・・あ、でも少し埋まってるな。
常連さんみたいな人が座ってる。
そうだな、ここはお好きな席って言ってたしテーブル席に座るとしよう。
「お冷とメニューです、どうぞ!」
「ありがとうございます。」
座って辺りを少し見てみるが。
うん、ザ・普通の食堂。
お洒落とかそういうのが無い、武骨な感じ。
でもそういう食堂なほど、意外に料理は美味しいんだよな。
今まで色んな店で色んな料理を食べた私だからこその持論。
・・・まぁ、流石に店が汚すぎるのはアウトだが。
こう、壁に貼られた短冊メニュー。
それが少し破れてるところとか、もう。
美味い料理を出してる気配がビンビンだ。
さ、そんな店の麺料理は・・・。
・日替わり定食
・ミンチカツ定食
・肉野菜炒め定食
お、定番の定食コーナー。
メンチカツじゃなくてミンチカツ、か。
ちょっと楽しいな。
でも今回は麺料理を頼むから、パス。
・カレーライス
・ハヤシライス
・オムライス
この欄もスルー。
・・・ていうか。
壁の短冊メニューにあるな、ヤキソバ。
あれに、いや、その隣。
ミートソース、だと?
食堂でまさかのパスタに出会うとは。
これはもう・・・運命を感じずにいられない。
今日はあのミートソース、アイツに決定だ。
「お待たせいたしました!ミートソース大盛、唐揚げになります!」
おお、これがこの食堂のミートソース。
・ミートソース大盛
ミートソースも麺も大盛。良い香り、そして鮮やかな色が私の食欲を誘惑してくる。食堂のパスタ、なのに凄く美味しそうじゃないか。
・唐揚げ
ミートソースだけじゃ寂しいかと思い何となく頼んだ唐揚げ。1人前4つ、大きさは中くらい。ショウユと塩があったから今回は塩をチョイス。
では、いただきます。
さぁ、ミートソースだ、パスタだパスタ。
今日求めていた麺料理、それをパスタという形で食堂で食べる。
何とも不思議な感じがするな。
でもこのミートソース、凄く美味しそうなんだ。
香り良し、見た目の色がもう。
食欲が燃え上がったような赤色だ。
フォークでソースをしっかり絡めて・・・良し。
そのままくるくるっと回転させれば。
ほら、赤を纏った小麦の麺のご登場だ。
それを大口で一気にパクリ。
―――お?おー、お!美味い!食堂のパスタ、美味いじゃないか!
気軽に入れる食堂。
そこでこんなに美味しいパスタに出会えるとは。
気取っていない、しかしその美味しさは本物のパスタだぞ、こいつは。
ミートソースの名の通り、ひき肉もたっぷり。
お肉スキーな私にとっては凄く嬉しいポイント。
それをトマトのソースがしっかりと支えてる。
何よりこのパスタ、麺。
麺だよ、麺。
麺がしっかりモチモチなんだ。
思えばこの麺、他のパスタに比べたら太い様な気がする。
・・・まさかヤキソバとかに使う麺だったりして。
でもつやつやとして、太くて、コシがある麺。
もしや、本当にヤキソバの麺・・・?
それを確かめるべく、もう一度フォークをミートソースへ差し込んで。
くるくるっと、そして1口。
―――あー、美味しい。どんな麺だっていいや、美味しければそれでいいんだ。
こう、小麦の力強さを思い切り出してくる麺。
そしてそこに絡むひき肉とソース。
このミートソースパスタはこれで完成しているんだ。
麺がどうこうとかじゃなくて、美味いから、それで良い。
良いじゃないか、ヤキソバの麺でも。
美味しければ、それだけで幸せなんだ・・・。
だから、そのまま3口目へ行ってしまう私。
何だかフォークをくるくる回すのが楽しくなってきた。
―――うん、お、今回はソースが濃く絡んでる。でもそれも美味しい。
このソースの濃厚な感じもまた良い。
トマトのコク、甘さ、何だかそういうのがこう・・・口の中にワッて広がる。
巨大なトマト農園が口の中に広がる美味しさだ。
そんな広がったトマト農園、そこに登場するは牛。
ひき肉がトマト農園をごろごろと、我が物顔で歩いている。
あー、ひき肉美味しい。
たぶんこのミートソースのひき肉、単品でもライスとかのおかずになると思う。
良し、次はひき肉多めでくるっとな。
―――おーおー、肉の旨味もたっぷりじゃないの。トマトの酸味と肉の旨味、そこに麺のモチモチが良く合う!
酸味と甘さ、肉の旨味を小麦の麺で。
正解、この店でミートソースを選んで大正解だ。
今日の私と食堂、そしてミートソース。
この関係に運命を感じずにいられない。
間違いない美味しさ、何度でも食べたい美味しさ。
それがこのパスタにぎっしりと詰まっている。
具はひき肉とパセリのみのシンプルさ。
なのにぎっしり詰まってるんだ、美味しさが。
直感で大盛を選んだ私に花丸を進呈したい気分だ。
と、ミートソースも美味しいが。
ここで忘れちゃいけない、唐揚げさんの存在。
・・・何故か唐揚げに君を付けると危ない気配がする、何故だ。
と、まぁ、気を取り直して。
2口か3口で食いきれそうな大きさの唐揚げ。
コイツをフォークでぷすりと刺しまして。
思い切り齧り付く訳ですよ。
―――するとほら、サクサクの衣、下味の塩味、ぷりっとした鳥の肉。唐揚げのトライアングルを私は今堪能している。
うん、美味しい。
唐揚げはいろんな味があるが、そのどれもが美味しい。
むしろ私、外れの唐揚げを食べたことない様な気がする。
一部の唐揚げに至っては冷えても美味しいもんな。
そしてここの唐揚げは衣多めのサックサク。
中の肉はしっかりジューシー、肉汁が決まり手。
しっかりアツアツ、うーむ、美味い。
先ほど冷めた唐揚げも美味しいものがあるといったが。
やはり出来立てアツアツの唐揚げ、こいつに勝つことはできない。
うん、この美味しい唐揚げ。
1口だけじゃ物足りない。
残った半分をそのまま口の中へ放り込めば。
―――しっかり美味しい唐揚げは、1口目も美味しければ2口目も美味しい。
唐揚げ、頼んで正解だったな。
頼んだ後ミートソースに合うかどうか不安だったが。
ミートソースも唐揚げも、しっかり独立して美味い。
この組み合わせ、これはこれでアリだ。
互いに邪魔せず美味さを主張する、むしろ良い組み合わせかも?
再びミートソースへフォークを突き刺し回転させる私。
まるで広大な山にグングニールを突き立てたかのような、そんな気分。
そしてグングニールを回転させ、口へ運べば。
―――美味い、美味いぞミートソース。トマトの海と小麦の大地、その恵みを今私はいただいている・・・!
いやぁ、食えば食うほど食いたくなる。
このミートソース、本当に美味しい。
この食堂、このパスタをもっと前面に押し出した方が良いぞ。
私だったら間違いなく食いつくだろうな。
いや、待て。
壁のメニュー、もう少し見たら。
・カルボナーラ
・ペペロンチーノ
何と、他のパスタもあるじゃないか。
食堂という名からの恵まれたパスタメニュー。
きっとカルボナーラとかペペロンチーノもこの太麺だと。
凄く美味しいんだろうなぁ。
これは今度ここに来たとき、何が何でも食わねばなるまい。
ふふ、次にこの店へ来る時の楽しみが増えた。
だからこそ今はこのミートソース。
コイツを集中して味わうとしよう。
美味いミートソースなんだ、楽しまねば勿体ない。
さぁ、食うぞ、思い切り食うぞ。
フォークを回してパスタを口へ、時には唐揚げにフォークを突き刺す。
この至福な昼食・・・堪らない!
「ありがとうございました!」
いやぁ、美味しかった。
大盛で量もあったし、唐揚げ以外に何か頼んでたら食いきれなかったかも。
満腹満腹。
とりあえずここは煙草で一服。
ミートソースを食べきった私、それを労うはこの煙。
―――ふぅ、満腹に煙草が良く合う。
やはり食後の一服は止められないな。
さて、家に帰るか。
今日消費した分のポーション作っとかないとな。
願わくば、次も美味い店に会えるように。
主人公(男)・魔術師。ポーションを補給するついでに、老人や子供向けのポーションも作成。子供用は甘く味付けしてある。
倒れてた爺さん(男)・農家さんの友人。テンセイシャ達とも関わりのある老人。この世界でニホンシュを始めて作った人。