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そんなエビマヨを食べたら、これはやはり。

本日は無事投稿できました。


魔道学院、その外れの方。

街の外に出る門の近くにて。


久しぶりに先輩に呼ばれたんだが・・・。

ここら辺昔から変わらないなぁ。


しかしなぜ今日呼ばれたんだろうか。


待ち合わせはここで合ってるな。

だがまだいない、か。


少し日差しが強いし、なるべく早めに来てほしいんだが・・・「おーい!」


「どうも、先輩。お久しぶりです。」


「おう、久しぶりだなぁ!こんなに大きくなって・・・。」


「大きくって・・・先輩と私、2つしか違わないでしょう。」


「お、そうだったか?あはははは!」


全く、久しぶりに会ったというのに。

昔から変わらないというか、調子が良いというか。


「そうだそうだ、お前聞いたぞ!」


「え、何がですか?」


「最近祭りとかなんとか、思い切り活動してるらしいじゃないか!本業は大丈夫なのか、ん?」


おお、また祭りか。

最近祭りの事、どこ行っても言われるような気がする。


「それにお前、魔術師の免許取ったんだってなぁ!」


「ええ、まぁ。」


「くぅ~!「ええ、まぁ」、だってよ!スカした面しやがって!」


「いやいや、どうしてそうなるんですか・・・。」


「ま、何はともあれ頼むぜ、魔術師さん!」


「ちょ、止めてくださいよ。先輩。」


お世話になった先輩に魔術師、しかもさん付で呼ばれるとかどんな罰ゲームだ。

というかこの先輩も取ろうと思えば魔術師の免許取れるだろうに。

この先輩、私が学生時代の頃学院一の天才とか言われてたし。


特に結構イケメンで明るくて頭が良い、そんなことから女子生徒にモテてたな。


私も課題やレポート等ではとてつもなくお世話になった。

確か卒業した後は・・・冒険者になったんだっけ?


「それはそうと先輩、今日ここに呼ばれた理由を聞いてないんですが・・・。」


「ああ、そういや伝え忘れてたな。実はこの辺で店でも開こうかと思ってよ。」


「え?・・・確か冒険者やってませんでしたっけ。」


「ああ、冒険者パーティーはこの前解散してな・・・。冒険者を続けようかと思ったが、あのパーティーが最高だった。だからこの際冒険者を止めて、店でもやろうかと思ってな。」


「へぇ・・・ちなみにどんな店ですか?」


「一応雑貨屋をやろうと思ってる。主に冒険者たちの必需品を売ろうかと思ってんだ。それにここで店やってりゃ、色々と冒険者の手助けができるだろ?」


まぁ、確かにここで店やってれば便利なのは間違いない。

冒険者たちがポーションを買い忘れた時とか、ここで直ぐに買えるし。

逆に急患が街の外から運ばれた際、この店で応急処置ができるからな。


それに先輩の魔法や魔術の腕があればかなりの人を助けれるだろう。


「冒険者を引退しても冒険者の手助けですか。それはまた・・・。」


「まぁ、俺が冒険者時代に色々と助けられたからな。頭良いだけじゃ生き残れないのが良く分かったぜ。」


「というか先輩でしたら、今からでも魔術師免許取れるのでは?」


「ああ、魔術師免許か?ほれ。」


え、これ・・・魔術師の免許じゃないか!


「先輩、免許持ってたんですか?」


「おう、この前パーティーが解散するって時に取っといたんだ。」


取っといたって。

そんな簡単に取れるもんじゃないんだが、あれ。


「また、そんな簡単に・・・。というか先輩も魔術師ならさっきの魔術師さんの下り完全に関係ないじゃないですか。」


「まぁまぁ、そんな小さい事は気にすんな!とりあえず店自体はもうあるから、中のコーディネートとか家具、インテリアを頼みたいんだ。こっちだ、案内するぜ。」


―――――――――――――――――――――――――


「んじゃ、頼んだ。」


「ええ、また納品のときは連絡しますので。」


「おう。その他にも何かあったら此処に来てくれ。大体は此処にいるからな。」


「わかりました。では失礼します。」


ふぅ、これで今日の営業は終了か。

しかし先輩の店、結構立派だった。

あの店に合うインテリアや家具・・・結構高くつくぞ。


まぁ、幸い先輩冒険者で稼いでたらしく、家具やインテリアの値段は気にしないとは言っていたが。

とりあえずは色々な家具やインテリアをかき集めてみようか。

結構広いからな、数も必要になってくる。


ま、ここら辺は家に帰ってからリスト作れば良いし。

とりあえず今日の営業は終了、この後はやっぱり。


―――飯を、食いに行こう。


久しぶりに先輩に合ったら、不思議とお腹が減ってきた。

ならば目指すは飲食街だ。




良し、到着飲食街。

今日は何を食べようか。


こう、そこそこ腹が減ってる感じなんだよな、今。

だから少し飲食街をさまようくらいの体力はあるんだが・・・。


何を食いたいかが全然分からん。

さて、どうしようか。


定食系も食べたい気分だし、かと言って麺物も食べたい。

ライスを主食でも良いし、パン主食でも良い。

何だったら焼肉とかでも良い気分だ。


何というか、食べたいものが多すぎて・・・頭がこんがらがってきた。


ダメだ、きっと立ち止まって考えているからこうなんだ。

ここは最早毎度恒例、歩いて店を探すとしよう。



レストラン。

あー・・・なんかあんまり気分じゃない。

何でもいいんだけれど、こう、違うっていうか・・・。

我儘だな、私の胃袋。


焼肉。

おー、そそられる。

とんでもなくそそられる響き、そして香りなんだが・・・満席じゃないか。

流石に並んでまで食いたいわけでもないし、今回はパスだな。


食堂。

まぁ、こうなってくるとやはり候補に挙がるのは食堂。

安くて早くて美味い飯、しかもボリュームもあるからな。

・・・うん、今日はこの食堂でいいだろう。


席も外から見た感じ、座れそうだし。

それに、ああ。

何とも腹の空かせる香りを醸し出しているじゃないか、この店。


良し、今日は此処。

「中華食堂 シャンロウ」、ここで決まり!




「いらっしゃいませ!御一人様ですか?」


「ええ。」


出迎えたのはお団子ヘアーの可愛らしい給仕さん。

見た目高校生くらいだが・・・はて。

こう、魔道学院のあの女性教師みたいな雰囲気を感じる。


もしかしてこう、見た目若いけど実際は歳取ってるとかそういう感じなんだろうか?


「あのぅ、どうされました・・・?」


「あ、いえ、何でもないです。」


おっと、いかん。

私は今日ここに飯を食いに来たんだ。

給仕さんに見とれに来た訳ではない。


まぁ、でも。

あの給仕さん目当てで来る男性客もいるんだろうな。


だってほら、角のテーブルに座ってるあの4人客。

あからさまに給仕さんの方見てるし。


「いまお席にご案内しますね!」


そう言いつつ水とメニューを用意した給仕さんに導かれながら案内された席は・・・カウンター。

厨房がちょっこり覗ける、そんなカウンター席だ。


「どうぞ、お冷とメニューです!」


「ありがとうございます。」


席に着いたと同時にお冷を置き、メニューを手渡してくれる給仕さん。

うん、いい笑顔だ。

これは確かに、給仕さん目当てで来る人多いかも。


ま、私にとっては色気より食い気。

美味い飯が食えればどこだっていいんだ。

それこそ廃墟の様な店でも美味い料理があるなら行くだろう。


どれどれ、どんなメニューが載ってるのかな・・・?


・唐揚げ定食

人気№1!サクッとジューシーな唐揚げです!


お、いきなりの唐揚げ定食。

しかもその下の字、可愛らしい。

きっと給仕さんが書いたんだろうな。


他には、どれ。


・麻婆豆腐定食


・ニラレバ定食


・ムースーロー定食


おお、定食の目白押し。

しかもその定食コーナーの下には。


・炒飯セット


・ラーメンセット


そう、中華料理と言えばのセットメニューが勢ぞろいだ。

しかし、麻婆豆腐定食って。

麻婆豆腐をおかずにライスを食う・・・のだろうが。


こう、定食ってなると今一ピンとこない。

いや私も麻婆豆腐とライスを食ってはいるが。

でも・・・どっちかっていうと麻婆豆腐定食より麻婆豆腐セットじゃないか?


・・・うん、どっちともいわずとも私の場合、麻婆豆腐定食より麻婆豆腐セットの方がしっくりくる。


と、そんなことはどうでもいいんだ。

麻婆豆腐定食か麻婆豆腐セットか、そんなことを悩む暇があったら私が食うメニューを決めないと。


さて、ここはやはり、そうだな。

定食系にしようか。


後はどの定食にするかだが、うーむ。

唐揚げ定食も良いが、もう少しこう、違う定食を食べたい気分。


何かないかなっと・・・。




「お待たせ致しました、エビマヨ定食になります!」


おお、黄色いシュリンプの大群がおいでなすったぞ。

唐揚げ定食と迷ったが・・・この光景を見ると、エビマヨ定食で良かったという気分になってくる。


・エビマヨ

黄色いシュリンプ、そこに濃厚そうなソースがたっぷりと。付け合わせはキャベッジの千切り、見るからに美味そうだ。


・ライス

エビマヨの黄色、それと対照的なこの純白。ピカピカの白さ、エビマヨの相方として不足無し。


・中華スープ

橙色の様で橙色じゃない、絶妙な色加減。味噌汁にも負けないその香り、飲む前から私を期待させてくれる。


では、いただきます。



さあエビマヨ、エビマヨですよ君達。

エビマヨ定食を頼んだんだ、ならば肝心要のエビマヨを最初に食べなければ。


そんな事を思いながらエビマヨを箸で掴むと、お、硬い。

成る程、このエビマヨ・・・がっちりと揚げてあるな。

衣の柔らかいエビマヨも好きだが、こういうエビマヨも大好きだぞ、私は。


しかもエビマヨの一つ一つが大振りときた。


さ、先ずはそんなエビマヨを一口で・・・。


―――うほ、アツアツ、そしてぷりぷり濃厚!熱いがこの美味さ、このエビマヨ堪らんぞ!


うっひゃあ、美味い。

そしてアツアツ。

思い切り頬張ったから、口の中少し火傷した。


でも・・・それを後悔させない程美味しいぞ。

いや、むしろこの美味しさ。

火傷してでも頬張るべきエビマヨだ。


もうね、エビマヨのエビ。

このシュリンプが凄く、ぷりっぷり。

噛むたびぷりっと、それでいて噛み締めるとプッと切れるこの弾力。


堪らんですよ、こいつは。

シュリンプのシュリンプたる働き、それを見事に果たしている。

噛むたびこの食感を味わえる事に万歳をしそうな勢いだ。


シュリンプよ、永遠なれ・・・!


っと、更に忘れてはいけない要素があったな。

そう、エビマヨの後半部分、エビマヨの半身たるマヨ。

こいつを忘れちゃいけないだろう。


見た目からして濃厚、味わえば更に濃厚なこのソース。

ほら、堪らずもう一個エビマヨを食べてみれば。


―――っかぁー!染みる、染みるぞこの美味さ!ぷりぷりのシュリンプに濃厚ソースがバッチリだ!


ダバダバじゃない、寧ろ少なめに見えるエビマヨのマヨ。

なのにその濃厚さ、深い海の底を思わせるくらい濃厚だ。

マヨの海にたっぷりと浸かったエビ、その美味さ。


とろっとしたトロみもまた、シュリンプにしっかり絡まる要素だな。

ぷりぷりのシュリンプ、トロトロ濃厚なマヨ。

最早言葉にできない充実感がここにはある。


しかもアツアツだから、その美味しさたるや、もう・・・。

やはり美味い飯は出来立て、そう私に教えてくれる。


そんなエビマヨを食べたら、これはやはり。

ライスで追いかけるしか無いという物。


さあ、二つ目のエビマヨがまだ残っている内に・・・!


―――もう、言葉はいらず。そこにあるのは美味さ、充実感、そして美味い飯を食べたという満足感。アツアツのエビマヨとアツアツのライス、組み合わさって無敵じゃないか。


これは・・・月並みな言葉で申し訳無いが。

敢えて言うならば最強、それ以外に言い様が無い。


ぷりぷり濃厚なエビマヨをライスで追いかける。

それによって少し濃いかな?と思ったエビマヨが真の美味さを発揮するんだ。


いや、そうか。

この濃厚さ、恐らくライスと合わせる前提なのかも。

エビマヨ単体で味わっても美味しいが、ライスと合わせるともっと美味い。


特にこの濃厚マヨソース。

これが口の中で良い感じにライスを黄色く染め上げる。

そしてライスをエビマヨの仲間にして、私の食道を通って行くんだ。


これは、そう。

私の空腹に、エビマヨがライスを纏って思い切り突き刺さってくる。

美味いだけじゃ無い、これは強いエビマヨ。


エビマヨがライスという鎧を纏い、私に逆エビ固めを仕掛けてくる・・・!


これには堪らず私の食欲、3カウントを取られてしまい。

食卓と言うリングの上、満足しながら沈むのであった。



と、いかんいかん。

何終わりの様な話で締めているんだ、私。


まだまだ食事は始まったばかりだぞ。

エビマヨもライスもまだまだ残ってる。


が、しかし。


此処は一度、汁物で口の中を落ち着かせようか。

強烈な美味しさを堪能した後の汁物、これは私流の食事の作法にて鉄板なんだ。


そしてまた、そういう時に飲む汁物が美味しいんだよなぁ・・・。

きっとこの中華スープも例に漏れず美味いはず。

早速スープを1口。


―――あー・・・優しい。強烈なエビマヨパンチ、それを食らった食欲を優しく癒してくれるこの美味しさ。まるで中華料理界のポーションじゃないか。


やはり汁物は優しかった。

本当にいつだって、食卓の汁物は私を癒してくれる。

するっと私の口を通り過ぎていくこの中華スープ、まぎれもない本物の美味しさだ。


具材は無し、いや・・・ネギがほんのり浮いてるスープ。

見た目の橙色でもなく、薄い茶色の様なその見た目。

そこからの華やかな香り。


そして味わえば、この優しさ。

こういう汁物は食堂で地味に重要なポジションなんだが。

それをしっかり押さえている。


まぁ、エビマヨがあれだけ美味しかったし。

汁物が美味しいのも当たり前のような気もするが。


とにかく美味しいこの中華スープ。

コイツで私の口の中は見事零地点に返り咲いた。



そこでまたこのエビマヨを食う訳ですよ。

強烈なパンチを食らい、汁物で癒してからの、また強烈なエビマヨパンチ。

でもこの繰り返しが、腹の減った今の私には最高の至福。


という訳で再びエビマヨ、いただきます・・・。


―――あー、これこれ、この濃い味とぷりっぷり!エビマヨが口の中で跳ねてる、跳ねてます!


シュリンプがエビの海で跳ねまわって。

口の中、あちこちにその美味しさを伝えてくれる。


そしてその余波のアツアツさ。

これもまた口の中に響いて・・・良い。


そんなエビが大漁のマヨの海。

これはもう。

ライスという白い漁船で、エビマヨを一本釣りだ!


―――エビマヨの特大な美味しさ、それをライスで見事受け止めた!これはまさしく、美味しさの一本釣り!


美味い、美味い!

最早美味い以外言えないくらい美味しいぞ、エビマヨライス!

中華スープで零地点に戻って、また新鮮な美味しさを堪能できるこの嬉しさよ。


いやぁ、これは良い店、良い選択をした。

唐揚げ定食の人気№1、その文字の誘惑を振り切った甲斐があったぞ。


さぁ、美味いエビマヨと美味い中華スープ、そして白いライス。

ガツガツもりもり食って、この後のリスト作りも頑張ろうじゃないか。




「ありがとうございましたっ!」


可愛らしい給仕さんの可愛らしいお辞儀を背に退店。

ああ、美味かった。

しかし口の中、少し火傷してしまったなぁ。


まぁ、名誉の負傷だな、これは。

美味い飯を食って火傷したんだ、それも仕方ない。


さ、とりあえずは家に帰る、その前に。


煙草を一本取りだしまして。

火をつけて、吸う。


―――ふぅ、美味い飯の後の煙草は格別だな。


さて、吸い終わったら家に帰ってリスト作りだ。

お世話になった先輩からの依頼だし、ここは気合を入れないとな。


願わくば、次も美味い店に会えるように。


主人公(男)・魔術師。夜飯はエビマヨに合わせてエビチリにした。


「中華食堂 シャンロウ」の給仕(女性)・実は主人公より年上。そして天然。尚魔術学院の教師とは何の関係もない。かわいい。

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[一言] エビなのにオクトパスホールド、しかもカウントって 素直に逆エビ固めでギブアップでええやん
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