表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/235

レストランでの鉄板ハンバーグ

ハンバーグを見た時のワクワク感。


追伸:ブクマ登録1増えてた。うれしい。

魔王祭りが終わり、早数日。

世間はすっかり通常営業、いつもの魔道学院らしい風景が広がっている。

あれだけいっぱいあった屋台も今じゃ通常営業してる店だけか。


なんだか祭りの終わり、少し寂しい感じがする。

喧騒がなくなったからだろうか。


しかしながら仕事は毎日舞い込んでくる。

まぁありがたい事ではあるんだが。

数年前までは閑古鳥が鳴きまくってたからな。


さ、今日ラストの依頼、宝石店での納品頑張りましょうか。

自分のためになる忙しさはありがたい事、そう思っておこう。


――――――――――――――――――――――――――――――


「・・・今回の納品はこちらですね。」


「確認いたします。・・・確かに、ブルーストーン10個ですね。にしてもこれは素晴らしい出来。さすがですね。」


「いえ、でも今回のブルーストーンは良い出来だと自負しております。」


ブルーストーン、その名の通り青い石。

一応分類では宝石になる。

ただこの宝石、魔石の分類でもある。


というのもこのブルーストーン、原石の状態だとまったくもって輝いていない。

むしろただの石ころといえるだろう。


しかし、魔力を込めると青く輝く。

その輝き方が非常に綺麗、且つ比較的手に入りやすい素材なのでアクセサリーなどで大人気だ。


だが当然その輝き方は職人によって変わってくる。

魔力の込め方で輝きが変わり、それと同時に削る必要があるので高いものは高い。


私の場合は魔力を込める、そして削るの2つの工程を1人でできる。

その為普通よりも人件費を抑えれるのはうれしいポイント。


「ご謙遜を。ここまでのブルーストーン、中々お目にかかることはできませんよ。」


「いやいや。まぁ、昔よりかは私の腕が上がったのかもしれませんね。」


先ほども言ったが、魔力を込めるという魔の要素、そして削るという手先の技術。

魔術師に必要な両方の技能が必須なこの宝石、自分のレベルの判断にもなる。

つまりこのブルーストーンをどれだけうまく加工できるか、これがそのまま評判にもつながるのだ。


「いい取引でした。またのご取引、お待ちしております。」


「いえ、こちらこそ。また機会があればぜひ。」


さ、今日の仕事は終了だ。


――――――――――――――――――――――――――――――


しかしブルーストーン、昔に比べて本当にうまくなった。

ああいった依頼、受けるたびに自分が成長していると実感できて、何か嬉しい。

特に厳しい評価が査定のあの人でもいい出来だとの事、素直に喜ぼうじゃないか。


だが、何だろう。

入る前に緊張していたからか、または喜びで忘れていたんだろうか。


腹が減った。


よし、店を探そう。

今日はいまだ成長を続けている自分に対してのご褒美が必要だ。




定番の飲食街。

今日はここでどのような店が私を待っているのだろうか。


毎度のことながら歩いて店を探す。

色々な店に目移りするんだが、それもまた楽しい。

いや、楽しいんだが腹が減っているんだ。

早く店を決めよう。



居酒屋。

今日はパス。休肝日だ。


居酒屋2。

今日はパスだよ。


居酒屋3。

ここ居酒屋しかないのか。


いつの間にか居酒屋ロードに迷い込んでしまったのだろうか。

どこか、私に居酒屋以外で夕飯を食べさせてくれる店は・・・。


「レストラン コクテツ」


・・・あるじゃないか。

良さそうな雰囲気、手ごろな感じの大きさのお店。

席も・・・空いてそうだな。良し。




「いらっしゃいませ。こちらのお席へどうぞ。」


「1人ですが・・・。」


「大丈夫ですよー。」


おお、人がいないとはいえ大きな席へ。

1人で大きい席に座ると何だか贅沢している気分だ。


さて、メニュー・・・お。


・鉄板プレートハンバーグ 100gより


・・・そそるな。


よく見ると他にもいろいろな鉄板の料理がある。

ステーキもあるのか・・・悩むな・・・いや。

決めた。

鉄板プレートハンバーグ、君に決まりだ。


あとライスが欲しいところだが・・・セットがあるな。

これで決まり、早速注文しよう。



「お待たせしました。鉄板プレートハンバーグ200g、セットのライス、サラダ、スープです。鉄板はお熱くなっておりますのでご注意ください。飛び跳ねにはこちらを。」


来た来た、いい音携えてやってきました。


・鉄板プレートハンバーグ200g

アツアツの鉄板、跳ねる肉汁、焼ける音、見るだけで楽しい気分になってくる。食べる前のワクワク感、たまらない。付け合わせはキャロットとポテト。


・ライス

ハンバーグのお供。


・サラダ

コーンが乗った定番サラダ。特別じゃない、でもそれが良い。


・スープ

こちらもコーンポタージュ。サラダとスープでコーン繋がり。優しい香り、これが魅力。



では、いただきます。


おお、まだハンバーグが良い音してる。

この音がまた食欲を刺激するんだよなぁ。


ナイフとフォークで切ると・・・おぉ、肉汁。

肉汁が飛び出してきた。

この光景、たまらん。

いざ、1口。


―――アツカリふわ美味い。


口に含んだ時の鉄板ならではの熱さ。

噛んだ時の、一瞬の香ばしい歯ごたえ。

それに対しふわっとしている中の肉。

そして噛むたびにあふれ出る肉汁。


目で見るエンターテイメントの鉄板ハンバーグ、口の中では四重奏。

これこれ、この見た目のワクワク感と安定した美味しさ、私はきっと今日この料理を求めていたんだろう。


ハンバーグに何も乗せていない、定番のデミグラスソースのみ、またこれが渋い。

渋くてどこか懐かしさを感じる。

私が子供の頃はこんな料理なかったが、それでも懐かしさを感じるこの力。

ハンバーグには肉汁だけじゃない、夢と思い出、力強さも詰まっているのだろうか。


いや、違うな。

詰まっているんじゃない、込められたんだ。きっと。

中々やるじゃないか、シェフ。


2口目、次はさっと呑み込んでみる。

うん、良い感じだ。

この安定感、何て言うのだろう。

ハンバーグがずしんと落ち着いているというか。


またこのソースも凄いんだよな。

ハンバーグの邪魔をしない、かと言ってのけ者でもない。

まさにこのハンバーグの為にある、そんな感じがする。


ここでいったんライスを間に、うん、ばっちり。

ライスと肉、相性ばっちりなのは当たり前、それでも驚くこのコンビの凄さよ。

どんな食べ物でも相棒として輝くライス、その白さと美味さ、いぶし銀。


何て言うかな、ハンバーグを食べて、ライスを食べる。

ハンバーグのおいしさに舌鼓を打って、その余韻をライスと一緒に味わう。

繰り返されるこの行動、このシンプルな行動。


普通といえば普通、だが今の私にはこれが素晴らしい。


このままでは一気に食べきってしまう、少しサラダに避難しよう。


千切りの野菜、上に乗っているコーン。

このシンプルな見た目がまたいい。

定番のハンバーグの頼れるお供、そんな雰囲気を出している。


・・・うん、サラダ。ザ・サラダ。

口の中がさっぱりしていい。


そしてコーンポタージュ。

この甘い香り。

きっとコーンポタージュは目で黄色を楽しみ、香りをかぎ、その後口で味わう。

この為にある料理といっても過言ではない。


・・・ああ、甘くて優しい。


ハンバーグが力強く、サラダが中和し、コーンポタージュが優しく口を癒す。

この鉄板セット、まるで冒険者パーティーじゃないか。


そしてまたハンバーグへ戻る。

一口ずつだったが・・・私の中の何かがささやいてくる。

大きく切って、豪快に行けと。


このささやき・・・だめだ、無視できない。

私は大きく切って食べる、それしかできないんだ。


―――圧倒的、食べ応え。カリふわ感そのまま、魅力大幅アップ。


これ、これだよこれ。

ハンバーグを1口サイズで食べると懐かしい感じ。

じゃあ大きく切ったこの感じ、これは正に大人の贅沢という奴だろう。

大きく食べるとその豪快さ、半端ない。

何だろう、別に関係ないのに、何だかいけないことをしている気分だ。


1つの料理で2つの満足感、これがハンバーグの魅力。


付け合わせのポテトとキャロットは・・・もちろんソースに絡める。

しっかり塗りたくるように。


・・・うん、良い味。


素材の味というんだろうか、それとソースがベストマッチでいい感じ。




夢見心地、ハンバーグを食べる私の様子、これにぴったりだろう。

時には懐かしく、時には贅沢気分。

ライスをお供に、時にはライス無で。


ああ・・・ハンバーグが無くなってしまった。

まるで夢が終わったかのようだな。


しかしソースが余った、少しもったいないが・・・ああ。

これ、サラダにかけちゃおう。

大人のささやかな抵抗だ。


ほらやっぱりいい感じ。

茶色い野菜、美味しい。




「ありがとうございました。」


うーん、満足。

こう、懐かしくて満足できる様な、不思議な気分。

ああいった鉄板のハンバーグ、きっと食べる人によって気分が変わる料理なのではないだろうか。


子供は楽しさ、そして美味しさ。

大人は美味しさ、そして満足感。

アツアツの鉄板に乗せることにより、子供も大人も楽しめるエンターテイメント。


きっと昔の私は今の私が煙草を吸うなんて思っていないだろう。

そう思いながら一服。


昔の私よ、想像できるか。

今の私はハンバーグで過去を懐かしみ、満足するような男だ。

でも、そんな日常が嫌いじゃないぞ。


さぁ家に帰ろう。


願わくば、次も美味い店に会えるように。


主人公(男)・魔術師。大体の魔道具は修理可能。万能型魔術師。


宝石店の店主(男)・ベテラン。渋い白髪オールバックのイケオジ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ