表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
188/235

やきとりだが、鳥肉だけじゃないこのラインナップ。 前編

後編は0時に上げれたら・・・いいなぁ。

うーん、良い朝だ。

・・・と思ったが天気は雨か。


いや、この際天気はどうでもいいんだ。

今日はいい朝、これに間違いはない。

何故かって?


ふふ、聞きたい?

ほんとに聞きたい?


それはなぜか・・・そう!

高級家具店で仕入れし、私が加工したオンリーワン家具。

そう、例のドレッサーとイス。


これが2つとも売れたからさ!


おかげで今の私は小金持ち気分。

うきうきして朝を迎えるのも仕方ないというもの。


しかも私の場合、購入してもらった際に少し試しに使ってもらったり、座ってもらったりするんだが。

その際のお客さんの喜びようや感動っぷり。


魔術の加工によるデザイン、加工のメインとしてドレッサーの場合はライト。

イスの場合はリラクゼーション効果、全て納得してもらっての購入。


お客さんが喜んでくれて、しかも現金ニコニコ一括払い。

これでウキウキにならない魔術師がいるだろうか、いや、いまい。


お客さんの笑顔、高額な売り上げ。

そして加工して良かったと思える、この充実感。

これぞ魔術師冥利に尽きるってものだ。


それに高額の商品だからな。

多少なりとも売れ残らないか、そのプレッシャーはあった。

高級家具で使い心地が良い、だからと言ってバンバン売れるわけでもないし。


心のどこかでは不良在庫にならないか、そんな責任感もある。

でも売れたから問題なし、心が晴れやかだ・・・。


さ、シャワーを浴びてくるかな。

今の軽やかな心で浴びるシャワー、さぞ気持ちよいだろう。


そしてシャワーを浴びた後はコーヒーと煙草で一服して。

臭いを落としてから営業だ。


良し、今日もがんばろう。


―――――――――――――――――――――――――


「成程、椅子に家紋を掘る、ですか・・・。」


「ええ、色々な家具やインテリアを加工してるってお聞きしたものですから。是非うちの家紋を入れてほしいんです。」


気合を入れて営業に出た、今日最後のお客さん。

今日は此処で最後、夕方の良い時間だ。


伺ったのは一般の家庭、だが。

何でも由緒正しいお家らしい。


家具やインテリアに加工をしているという話を聞いて私に依頼をかけたそうだが・・・。

家紋、か。


出来なくはないんだが・・・実際の所、紋章を刻むほうが簡単なんだよな。

魔術で加工する場合は魔術である程度家具屋インテリアを強化して彫る。

しかし家紋だけの場合とかだと、魔術を使うと材質が変化する可能性がある。


つまりデザイン次第でできるかどうか変わるという訳だ。


「とりあえず、彫りたい家紋を拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」


「ええ、分かりました。ちょっと待っててくださいね・・・。」


ちなみに家紋を彫るという依頼、何回か受けたことはある。

まぁどれもが簡単な家紋だったから引き受けたんだが・・・。

複雑すぎるものも引き受けたことはあるが、殆どが外注。


つまり知り合いの彫刻家に任せた。

とはいっても私の知り合いの彫刻家、ここ近年でかなり有名になったらしい。

むしろあの値段で良かったのかもしれない。


今知り合いに頼むと昔頼んだ時より3倍くらいになるからな。


「お待たせいたしました、こちらになります。」


「拝見させていただきます・・・ああ、これは・・・。」


うーん。

これは・・・凄く微妙。

簡単なものではないが、かと言って難しすぎるものでもない。


ギリギリ私の手に負えるか・・・?

いや、でもこの曲線部分、かなり複雑だなぁ。


「・・・いかがでしょうか?大丈夫でしょうか?」


「あー・・・少し待ってくださいね。」


仮にこれを私がやるとしても、少し値段を上げざるを得ない。

出来れば魔術で加工して彫りたい家紋だが。


「ちなみにですが、魔術による加工をしても大丈夫でしょうか?」


―――――――――――――――――――――――――


「では、お願いします。」


「ええ、できる限り頑張ってみますね。・・・あ、勿論失敗したら弁償しますので。」


「あはは、またまた・・・。かなり評判良いって聞いてますし、期待してます。」


「そうですか・・・それはまた、より一層気合を入れないといけませんね。では、失礼します。」


「よろしくお願いします。」


あの後、魔術による加工のメリット、デメリットを話したが。

魔術による加工はNGとの事だ。

魔術で色変わったらその色に塗りなおしてしまえばいいという事も話したが、NG。


仕方ないので魔術加工なし、家紋を彫るのみで依頼を受けた。

・・・その分、しっかりお代は上乗せしたが。


それでも彫刻家に頼むよりははるかに安いし。

それに私の腕も昔よりは上がっている。


今なら彫刻、するするっと行けるんじゃないだろうか・・・と思いたい。


ま、何はともあれ今日の営業これにて終了。

しかも最後はそこそこ高額だ。

上出来な部類に入るだろう。


ならば、後は。


―――飯を食って帰ろうか。


話してたらもうすっかり夕暮れ。

商談中にコーヒーは頂いたが、それだけでは腹は膨れぬ。

更に今雨が小雨だし、ならばこの隙に飯を食ってしまわねば。


今日はまぁ、難しい依頼でもあるがそこそこ儲かったし。

少しだけ贅沢しちゃおうかな。


良し、とにかく飲食街へ向かおう。

飯を食おうと思った瞬間、食欲が騒ぎ出したからな。




到着、飲食街。

相変わらず今日の夜飯はどうしようか決まっていないが。


少し贅沢って気分だし・・・酒でも飲んでしまおうか。

この前飲んだけど、酒はいつでも美味いからな。

いつ飲んでも良いんだ、うん。


となれば居酒屋か。

はたまた屋台か。

そこら辺を探してみよう。


いざ、店探し開始!



食堂。

あー、残念。

今日は食堂って気分じゃないんだ、ごめんね。


レストラン。

酒を飲むならここでも・・・いや。

思い切り贅沢をしたい気分でもない。

パスだ。


居酒屋。

あったあった、ありましたよ居酒屋さん。

どれ、入店・・・え。

なんと、今日貸し切りか。


うーん、仕方ない。

ここはパスしよう。


となれば、屋台でも探してみるか。

今小雨だし、蒸し暑くもない。

雨が降ってるのに過ごしやすい気温だしな。


こういう日に外の空気に当たりながら飲む酒も悪くないだろう。


とか言ってたら、ほら。

見つけちゃったよ、屋台君。


「やきとりと酒 串の館」、館なのに屋台なのか。

そして焼き鳥ではなくやきとり。

しかしそこに惹かれる私がいる・・・。


すぐ座れそうだし、今日はここにしちゃおうかな。

やきとり味わって酒飲んで、〆に何か食べて帰るとしよう。

あ、良い匂いがする・・・。




「はいいらっしゃい!そこ座って!」


「失礼します。」


「雨なのにうちに来てくれてありがとね!お通しサービスするよ!」


おお、いきなり元気で威勢がいい大将。

更には気前まで良いと来た。

これはこれは・・・もうこの時点で当たりな気がして来る。


「いえ、美味しそうな香りがしたもので。」


「お、そうかい、そりゃ嬉しいな!メニューそこにあるから好きなもん頼んでくれ!」


精々座れて5人ほどの小さな屋台。

しかしそんな屋台に似つかない元気で人の良い大将。


さて、そんな店で頼むメニューは・・・。


・お任せやきとりセット

※鳥、牛、豚が混じった日替わりセット。


へぇ、やきとりなのに豚や牛が混じってるのか。


「このお任せセット、やきとりなのに牛や豚が混じってるんですね。」


「ああ、うちで一番でるメニューだ!お客さん、それ頼むかい?頼むなら今から焼いちまうぜ!」


「あ・・・じゃあ、お願いします。」


違う、聞きたかったのはそうじゃないんだが・・・。

まぁいいか。

焼き鳥とやきとり、この違いは詳しくは知らないが。


美味けりゃすべてOK、丸く収まるんだ。


と、串は頼んだから、次は酒を頼まないと。

店名に酒の文字があるんだし、どれどれ・・・。


・ウイスキー<サウンド>


お、ウイスキーか。

そうだな、久しく店では飲んでない。

が・・・他より結構高いな。


でも、今日は少しだけの贅沢をする日だし。

高いウイスキー行っちゃうか。


「すいません、ウイスキー<サウンド>をダブル、ロックで。」


「あいよ!串と併せて出すか?」


「じゃあそれでお願いします。」


良し、こんなもんでいいだろう。

今日は食う贅沢よりも飲む贅沢で行こう。

後編へ続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ