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焼肉、そして〆のモリオカレイメン。 後編

後編です。

食事シーン、少しでも皆様のお腹を減らせれば幸いです。

「お待たせいたしました。上タン塩とカルビ二人前、ライスとエールになります。レイメンは〆にお持ちしましょうか?」


「あ、じゃあそれでお願いします。」


「かしこまりました。あ、あとこれサービスのキムチね。」


お、嬉しい。

これで焼く間の飢えを凌げる。


「ありがとうございます。


「では、ごゆっくりどうぞ。」


よーし、肉だ肉、肉!


・カルビ

綺麗なピンク、中々の厚切り。焼き甲斐も食べ甲斐もありそうな、美味そうなカルビだ。


・上タン塩

分厚い、分厚いぞタン。しかもそれがドドンと二人前並んでいるこの光景。腹減り人にとっては夢のような光景だ。


・ライス

焼肉と言ったら白いライス。肉と一緒に掻き込むライスは絶品。


・エール

これまた焼肉と言えばエール。最近テンセイシャ達が生ビールなる物を開発していると聞くが・・・果たして。


・キムチ

ハクサイのキムチ。焼ける間はコイツをつまもう。きっとエールにもピッタリだ。


では、焼こうか。



先ずは上タン塩を焼き台の上に乗せると、「ジュウゥウゥ・・・」ほら。

腹減り人に堪らない鳴き声を上げてくれる。


3枚ほど置いたら、次はカルビ。

コイツを乗せまして、と。


そしてこの焼ける時間、その合間にキムチをつまんで飢えを凌ぐ。

どれどれ、この真っ赤なキムチ。

何だか情熱的にすら見えてきた。


箸で掴んで、パクっとな。


―――あ、これ、辛いけど超美味しい。美味しい系キムチだ。


キムチと言えば辛いか美味い、その2択が多いが。

ここのキムチは見事に辛さと美味さが両立してる。

歯ごたえもしっかり感じられて、うん。


キムチ、ハクサイなのに肉厚。

まさか上タン塩の前に、いや、肉を食う前に肉厚という言葉を使う羽目になるとは。


この旨辛い絶妙な塩梅、素晴らしいなぁ。

あー、ダメだ。

肉焼けてないけど、ちょこっと。


ちょこっとだけ、ライス行っても良いよね・・・?


―――おっほう、抜群、相性とっても抜群くん。白いライスに赤いキムチが良く刺さる!


これはやばいぞ。

キムチとライス、これだけで腹の減った私にとって超御馳走。

ここは抑えて、少しずつ行かなければ。


キムチとライスを掻き込んでペースを崩されるようじゃダメだ。

そうだ、ここでエールの手助けを呼ぼう。


キムチを再びつまんで、食べて。

そのままエールを流し込む。


―――あー、結局これも御馳走じゃん!美味い、美味い辛さとエールのシュワシュワがもうばっちり!


くっ、エールすらも味方に付けてしまうのか、このキムチは。

あくまでメインは焼いてる肉、焼肉とレイメン。

落ち着け、落ち着くんだ私の右手・・・。


肉よ、早く焼けてくれ。

じゃないとこのキムチとライス、そしてキムチとエールでダメになってしまいそうだ。



と、そんなことを思ってたら。

タンが良い感じに焼けてまいりました・・・いや。

これカルビの方が焼けてるな。


そうか、タンは分厚い分まだ時間がかかるのか。

分厚さには食べ応えがある分、時間がかかるという罠も潜んでいたか・・・。


という訳でとりあえずカルビを食おう。

キムチ食いながらひっくり返してたし、うん、良い焼き加減。

我ながらベストな焼き加減だぞ、これは。


さ、網から降ろして・・・タレに浸す。

このタレが焼肉屋の命だって、どこかで聞いたような気がする。


そしてタレをつけたカルビを、ライスの上にバウンドさせて。

さぁ、いただきます。


―――う、うまぁ・・・美味い美味い、美味いぞカルビ!柔らかくて、脂が溶け出して・・・キムチで繋いでいた私の胃袋が、今一斉に讃美歌を歌いだした。


美味い、感動的な美味さ。

空腹も相まってこの美味しさ、もう泣きそう。

今日頑張った働きが、たった1切れの肉で報われてしまった。


このカルビ、普通にカルビとしか書いてなかったが。

そこら辺の店だと上カルビ、いや、間違いなく特上のカルビだぞ。


もう、柔らかさがね、凄いのよ・・・。

その上でこう、旨味がじゅわぁって広がってくる。

柔らかさ、旨味、どれをとってももう抜群。


それでいてこう、少し焦げた部分。

ここがカリッと香ばしい。

この部分、ライスとかで言うおこげみたいで美味しい。


そんな焼き加減のカルビをこのタレ、この美味いタレで頂く。

いやそりゃ美味いにきまってるでしょう?


甘辛い、けど肉の邪魔をしないこのタレ。

キムチと言い、このタレと言い。

絶妙な味付けでもう、言葉が出ない。


これを食べたら、それはもう。

ライスへ走るしかない、それが人間・・・!


―――あー、合う、もはや私の食欲が絶体絶命なくらい、合う。ライスにタレにカルビ、このトライアタックで私の食欲が思い切り撃ち抜かれた。


あ、撃ち抜かれたなら絶命してるか。

でもそれも仕方ない。

空腹も相まって、猛烈に肉が美味しいんだもの。



と、危ない危ない。

カルビに感動するのは良いが、上タン塩もしっかり焼けてる。

危なかった、カルビの攻撃でタン塩を焼きすぎてしまうところだった。


どれどれ、カルビの次は上タン塩。

こいつをいただくとしようじゃないか。


箸で持つと、うん、分厚い。

焼いた後もしっかり存在感を放つ、上タン塩の文字に偽りなし。

それを口の中へ放り込めば・・・。


―――美味しい。この美味しさ、命を感じるほど美味しい・・・。味も食感も食べ応えも、全てが二重丸、いや花丸だ。


凄い、これは何というか、凄い出会いをしてしまった。

この上タン塩、分厚いのに柔らかい。

それでいて食感はしっかりコリコリ、肉感も満載だ。


これはもはや、焼肉屋のタンというよりは・・・そう、前に食べた牛タン定食。

ああいうタンに近いタン。

タンタカタン、美味しいタン。


肉って焼くほどに硬くなると思ってたんだが。

この上タン塩は全くそんなことを感じさせない。


というかむしろ分厚い分、このくらいの焼き加減がベストだったんだろうか?

今まで結構焼き肉屋に通っている私だが、まだまだ精進せねばならないようだな。


そしてこのタン、これを味わったら、それはもう。

エールをグイっと呷るしかない!


―――っぐっ、ぐっ・・・くぅー、美味い!美味いタン塩に冷えたエールは最高だ!


爽快感すら感じる冷えたエール。

そこにこの上タン塩を組み合わせれば、もう最高よ。

今日の営業の疲れがエールと一緒に胃袋へ流れ込んでいく。


カルビ、ライス、タン、ライス、エール。

延々と焼きながら食べ続ける私。


しかし肉が美味すぎて、これは。

ライスとエールが足りないな。


「すいません!ライスとエールお代わりお願いします!」


「はーい!」


というか私、タンとカルビ0.5人前でライス一杯とエールを消費したのか。

・・・いや、肉が美味すぎるんだ、仕方ない。


「はい、ライスとエールお待ちどおさま。」


「ありがとうございます。」


とりあえず2杯目のライスとエール、こいつらを片手に。

肉だ、肉を食おう。

肉を食らい、ライスを食らい、エールを飲みまくるんだ。




ふぅ、食った食った。

結局肉を消費するのにライスが3杯、エールが4杯必要だった。

もう結構お腹いっぱいなんだが・・・私にはまだ、〆がある。


そう、店名にもなってるモリオカレイメン。

これを食わなきゃ帰れないだろう。


さっき持ってくるよう頼んだし・・・お、あれだな。


「はいお待たせ。モリオカレイメン辛さ普通ね。」


来た来た・・・お、何というか。

普通のレイメンとあまり変わらない・・・?


・モリオカレイメン

細切りのチャーシュー、キュウリがちょこっと。そしてキムチが入ってる。あ、でもこのキムチダイコンだし、麺も太いな。


前にレイメンを食べた時はキムチがハクサイだったし、麺も細かった気がする。

とりあえず〆だ、店名にも乗るこの店自慢の一品。

いざ、いただきます。


さぁ、箸で麺を挟んで。

そのままずるずるっと、な。


―――うおっ、細さからは感じられないほどのコシ。そしてその麺に絡む美味さと辛さの融合したスープ。これは・・・参りました。看板メニューに偽りなしだ。


凄い、麺に凄くコシがある。

ウドンみたいに角が立ってるわけでもないのに、どうしてこんなにコシがあるんだ?


ああ、噛んだ時に楽しく、呑み込む際のこのつるつる。

エールとは違う喉越しが美味しい、むしろ楽しい。


そしてそこに絡むこのスープがまた・・・絶品だ。

キムチを入れてるから辛いだけかと思ったんだが。


そもそもこの店のキムチ、辛いけど美味いを両立しているキムチ。

それをこう、奥の深いスープに入れて不味いはずがなかった。

いやしかしこのスープ、どうやってこの味を出してるんだろう。


辛くて、でも甘くて。

しょっぱい、そして酸っぱい?

そんな感じの味覚がこう、1つの器に収められている。


ラーメン、ウドン、ソバ、パスタ。

それらのどれとも違う、でも美味しいモリオカレイメン。


冷えててさっぱり、焼肉の〆にも最高だな。


しかし、失敗した。

ここまで美味しいならライス1杯減らしてレイメンお代わりすればよかった。

うぐぐ・・・しかしもう1杯は食えない。


くっ、私の焼肉道はまだまだ精進が足りなかったか・・・。


ま、食えないものは仕方ないしこのモリオカレイメン。

こいつを思い切り味わうとしよう。

最初の不安も何のその、今の私は幸福感と満腹感で一杯だ。




「ありがとうございました。また来てくださいね。」


「ごちそうさまでした、美味しかったです。」


いや、本当に。

最初のキムチから最後のモリオカレイメンまで、全部がずっと美味しかった。

こう、延々と豪速球の直球を食欲にぶつけられた感じ。


だが、ああ。

ライス3杯にエール4杯は食べすぎだ。

今更になって腹が思い切り膨れてきた・・・気がする。


こんな時はあわてず騒がず。

とりあえず喫煙所で一服。


火をつけて・・・ふぅ。

美味い焼肉の余韻を全身で感じるんだ。


焼肉、そして〆のモリオカレイメン。

そしてそれを提供してくれたこの店、覚えておこう。


さ、帰るか。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。相槌が上手い。聞き上手とよく言われる。


「モリオカレイメン&焼肉 ミトロード」・ミトと呼ばれるテンセイシャ直伝の店。店主がミトさんに感謝しこの店名にしたとか。ちなみにこの店ができた後ミトさんはテンセイシャ達の仲間内でからかわれた。

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