しかしお通しが無い居酒屋か。 前編
後編まだ書いてる途中です、許して・・・。
「魔術師さん!お久しぶりです!」
「今日は、よろしくお願いします・・・。」
「ええ、二人とも。よろしくお願いしますね。」
さて、今日の依頼。
それはポーションの原料の採取依頼、なんだが。
今回は元気ちゃんとクールちゃんの2人が同行する。
金髪碧眼ミディアムショートの元気ちゃん。
そして銀髪碧眼ミディアムのクールちゃん。
ただし一部分はクールちゃんの圧勝。
2人とも魔法使いの登録はしており、今後は魔術師を目指すとの事だ。
ま、つまり今回の私の仕事は引率の先生みたいなものだ。
というのもいつも私が納品しているポーションの材料、これは少し面倒な場所、あるいは危険な場所に合ったりする。
なので学院側は簡単なものは学生たちの小遣い稼ぎに依頼として出し、難しいものは私達魔術師や冒険者へ依頼を出している。
そんな中、この2人。
元気ちゃんとクールちゃんは後学の為に難しい場所にある材料を自分たちで採りに行きたいとの事。
学院側も優秀なこの2人なら・・・という事で許可を出したが、それでも保険はかけておこうという話になり。
この2人と何回か一緒に行動したことのある私が選ばれたという訳だ。
ただ今回採取しに行くポーションの材料は危険というよりは面倒なものだからな。
この2人なら大丈夫だろう。
紹介した冒険者のパーティーとも上手くやってるらしいし。
「じゃあ、早速移動しましょうか。今回取りに行く素材は危険というよりは面倒なので、2人でも大丈夫だと思います。」
「はい、わかりました!」
「わかりました・・・。」
―――――――――――――――――――――――――
「魔術師さん、どうですかこれ!」
「おお、上手く採れてますね。これなら高品質で納品できますよ。」
「これは・・・?」
「あー・・・少し茎の部分に傷がついてますね。品質としては並になるでしょう。」
あの後移動し、特に何もなく森の中へ到着。
早速今日採取する予定のポーションの素材、「テトラ草」だ。
このテトラ草、主にポーションの効能を高める、あるいは長持ちさせるのに役立つ。
私も前に作った普通より長く持つポーション、それにはこのテトラ草が存分に使用されている。
とりあえず迷ったらテトラ草、そんなくらいこいつ万能だからな。
ただ、採取が少し・・・いや、結構めんどくさい。
テトラ草は主に根っこから葉っぱまですべてが材料になるんだが。
この根っこを取るのが結構大変なんだ。
というのも普通にテトラ草を引っこ抜こうとすると、間違いなく茎がちぎれる。
これに関しての詳しい説明は省くが・・・まぁ、そうだな。
根っこに魔力があって、その魔力が周りの土とがっしり結びついてるんだ。
だから根っこ諸共採取する場合はこの魔力をどこかにどける必要がある。
「もう少し根の部分まで魔力を浸透させる必要がありましたね。まぁ、とりあえず次です次。いずれ慣れますから。」
「はい・・・。」
そのどける方法、それが。
テトラ草の茎をもち、そこから根っこまで魔力を浸透させる方法だ。
普通に掘っても良いが、それだと時間がかかる上に根っこについた細かい土が中々離れない。
ただ、込める魔力が強すぎると破裂するし少なすぎると取る際に力がかかり茎からちぎれてしまう。
それに何本もひょいひょい抜いていくと、自分の魔力がすっからかんになってることもあるからな。
テトラ草を時間をかけて沢山採取したのに魔物に対抗できずに死にました、何てことが何年かに1度はある。
その為テトラ草を採取する際は魔力回復用のポーションは必須だ。
元気ちゃんはすぐに順応したみたいだが・・・クールちゃんはもう少し練習が必要か?
「あっ・・・茎からちぎれちゃった・・・。」
「最初の頃はよくあることです。・・・そろそろ休憩にしましょうか。二人とも魔力が結構減ってるでしょうし、これを飲んでおいてください。」
「これ、ポーションですか?」
「ええ、私が作成したポーションです。結構効く上に味も加工してありますよ。」
「ありがとうございます!・・・あ、美味しい!」
「ありがとうございます・・・。」
貰って速攻飲む元気ちゃん。
まぁ、美味しいならよかった。
今日の為にわざわざ味をいじったからな。
ちなみにこのテトラ草。
そこそこ高値で売れるが、品自体が希少なわけではない。
というのも繁殖力が非常に強いんだ、こいつ。
根っこさえ残っていればそこからするすると成長して元通り。
中には根っこの一切れから元通りに復元したなんて話もあるほどだ。
さて、後はこの休憩中にテトラ草を取ってる時の注意事項とかを伝えて終わりだな。
「では、今のうちにテトラ草を取ってる時、あるいは取った後の注意事項をお話します。まず、テトラ草を取る際には魔力を消費するので今回みたいにポーションを用意しておくように。というのも取ってる際、あるいは取り終わった後魔物などに・・・。」
―――――――――――――――――――――――――
「今日はありがとうございました!」
「ありがとうございました・・・。凄く勉強になりました。」
「いえいえ。・・・では、私はこれで。」
「あれ、学院寄らないんですか?」
「ええ、明日学院に行く用事があるので。その際にまとめて伺うことにします。先生に聞かれたらそう伝えていただけると・・・。」
明日の用事は明日しかできない内容だからな。
だったら明日纏めて行った方が効率も良いだろう。
それに、何だか少し疲れた。
引率っていうか見守っているだけだったのに、結構大変なんだなぁ。
私はやはり教師とか先生にはなれなさそうだ。
「わかりました!任せてください!」
「伝えておきますね・・・。」
「あはは、お願いしますね。では失礼します。」
「ありがとうございましたー!」
さて、この後はとりあえず家に帰ろうかと思ったが。
―――無性に、腹が減ってるな。
気疲れか、それとも街の外まで行ったからか。
腹が猛烈にペコペコだ。
うん、飯、飯だ。
さぁ、そうと決まれば飲食街へ向かうとしよう。
到着、飲食街。
ああ、もう腹が減って仕方がない。
さっきまで感じてた疲れも何のその。
今は唯々腹が減っている。
しかし相変わらず今日何を食うかは決まっていない。
・・・あ、でも今日これで仕事終わりだし。
明日も学院寄るから仕事少なめの予定だし。
酒でも飲もうかな・・・?
それに昼過ぎのこの時間。
この時間から飲む酒というのがまた美味いんだよなぁ。
うん、何だかもうすっかり酒飲みな気分。
良し、とっとと店を探そう。
レストラン。
ワインを飲みながら優雅に・・・いや。
それは少し違う気がする。
今回はパス。
焼肉。
良いですねぇ!
と思ったが開いてない。
何だか最近焼肉食べようと思ったら店閉まってる気がするな。
居酒屋。
やはり酒を飲む、となればこういう居酒屋に行きつくか。
まぁ、それが真理なんだろうな。
それにこの店、「酒飲み処 アイズ」、何とも良い感じの佇まいじゃないか。
明るそうな外見、もしや最近できたのか?
今の時間から通し営業もしてるみたいだし。
うん、これは避けて通る選択肢はない。
ここはいっちょ、この店で酒を飲むとしますか。
「いらっしゃいませ!御一人様ですか?」
「ええ。大丈夫です?」
「勿論!こちらのお席にどうぞ!」
ニッコリ給仕さん、美人なお姉さんタイプ。
長い黒髪がビューティー、笑顔も素敵だ。
しかも元気の良い勿論!の一声、何だか安心感がある。
そして案内されたカウンター席。
うん、やっぱり色々なところが新しい。
ここ、最近できたのか、もしくはリニューアルしたのか・・・。
「どうぞ、メニューです!当店初めてですよね?」
「え?ええ。」
「当店お通しお出ししてないんです。その代わりお通し代もいただきませんよ!」
「そうなんですか、分かりました。」
成程、お通しが無い居酒屋。
しかし問題はないな。
飲み物と一緒に注文すればいいだろう。
「では注文が決まりましたらまたお声がけください!」
さて、メニューをじっくり読むとしようか。
どれどれ。
・ニホンシュ<ブラックドラゴン>
お、この銘柄飲んだことある。
最近色んなところでニホンシュ出てきてるよな。
テンセイシャ達が頑張っているんだろうか。
・ショウチュウ<ノボリウオ>
しかしここは新しい酒・・・つまりこの<ノボリウオ>。
コイツを飲んでみたい気もする。
うん、今日の酒はコイツにしようか。
後はおつまみ系だが・・・。
色々あるな。
フードメニューが充実している居酒屋、何だか良いよね。
色々なメニューを選べるのは個人的に嬉しいポイント。
だが、こうも多いと何を頼めばいいか分からなくなってくるな・・・。
さて、どうしようか。
後編へ続く。