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トマトをつつきながら鍋の沸騰を待つ・・・ふふ。 前編

後編は0時更新予定です!

是非読んでください!

おー・・・もう朝か。

何というか、昨日疲れた分ぐっすり寝た気がする。

こう、頭がぼーっとしている感じが凄い。


昨日は大変だった。

あっちへ営業、こっちへ営業、更には飛び入りの納品依頼。

冷暖房を3セットいきなり納品してほしいとか急に言われても・・・。


まぁ、何とかパーツがあったから組み立てて納品はできたんだが。

おかげで昨日の仕事終わりはもう深夜、久々の日付越えだった。


あー・・・眠い。

睡眠時間が短いからか、まだ眠いぞ。


でも今日、午前中に営業入ってるんだよな・・・。

たしか午前に4件、午後に1件だったか。


でも確か1件目はまだ時間空いてるし。

2度寝と行こうか・・・いや。


ここはシャワー&コーヒーwith水まんじゅうで眠気覚ましと行こう。

だから、ベッドから降りるんだ、私の体よ。

ああ、こら、2度寝の体制に入るんじゃない・・・!


―――――――――――――――――――――――――


「いやぁ、ありがとうございます魔術師さん。娘も凄く喜びますよ。」


「いえいえ、こちらこそご依頼いただきありがとうございます。ただ・・・本当にこれでよろしかったんですか?」


「ええ、娘もこの味が気に入ったとかで・・・。」


「は、はぁ・・・。」


さて、今日最後の営業先。

午前の営業がするっと終わり予定より早めにこのお客さん、眼鏡屋さんへ着いた。

幸い店主さんも今なら時間が空いてるという事で納品もさせてもらったんだが・・・。


その納品したもの、それがなんと。

ポーションのグミなのだ。


そもそもポーション、そんなに美味しくないものが殆ど。

偶に特注やオーダーメイドなんかで甘い味付けにすることはあるが、殆どが苦い。

こう、コーヒーとかとはまた違う苦みがあるんだ。


酒ポーションとかは色々調整して作ったため味はちゃんとしているが・・・

ここに納品しているポーションのグミ。

これ、ポーションそのままの味なんだよな。


最初に試供品としていくつかの味のポーショングミを渡したんだが、甘い物よりもなぜかそのままの味のものが選ばれた。


「娘もこれを食べるようになってから、どんどんと元気になってきてまして。本当に魔術師さんにはどうお礼を言っていいか・・・。」


「いえ、まぁ・・・ですが、グミにするよりそのまま飲んだ方が効果は高いですよ。」


そう、ここの娘さん。

確か7歳だったか?

ポーションを飲むのは嫌がるのに、グミはなぜか食べるのだ。


ポーションを飲ませようとしても凄く駄々をこねて暴れるらしいが。

グミだと嬉しそうに食べるとの事。


しかし・・・味、変わってないんだけどな。

ポーションそのままでもポーションのグミでも、全く味は変わらない。

なのになぜかグミはOKなんだよなぁ。


「それはそうなんですが・・・親ばかなんでしょうね、私も。娘が泣いているとこう、仕方ないなぁと思ってしまって。結局グミを渡してしまうんですよ。それにグミを嬉しそうに食べる姿を見ると、何とも言えなくて・・・。」


あー、まぁ。

確かここの娘さん、1人っこだっけ。

中々子供を授かれなくて、やっと授かったとかそんな話をしてたような気がする。


「それにどんどんと元気になってきてるので、無理やりポーションを飲ませるというのが中々どうも・・・。」


「まぁ、元気になってるようでしたら無理やり飲ませる必要はないんですが。ただグミにしてる分加工費や手間賃がかかってしまいますが・・・。」


「そのくらいは別にいいですよ。娘の笑顔が1番ですから。あはは。これじゃ本当に親ばかですね。」


「いえ、娘さんが大事にされてるという事が良く伝わってきますよ。・・・あ、今回のグミから少し効能を強くしましたので。味は全く変わってないので、大丈夫だと思います。」


「わかりました、ありがとうございます。」


「ぱぱ、だあれ~?」


おっと、娘さんがここでエントリー。

お目目くりくりの可愛い幼女さんだ。


「ほら、いつもお前が食べてるグミを作ってくれてる魔術師さんだよ。」


「どうも。」


「グミ!グミおいしいの!」


「そう言っていただけると嬉しいです。・・・ちなみにポーションのジュースは?」


「やだ!グミがいい!」


取りつく島もない、か。

一体ポーションの何がいけないんだろうか・・・。


―――――――――――――――――――――――――


「では、失礼します。」


「どうもありがとうございました。」


「まじゅつしさん、またねー!」


「ええ、また。」


良し、今日の営業これにて終了。

午後も営業のはずがすべて午前で終わり。

しかもポーションのグミ、今より数を増やすとの事だ。


手間がかかる分、結構お高いお値段になってるんだが。

やはり娘さんの笑顔には勝てないんだろうな。


だがなぁ・・・こう、普通のポーションはダメなのにグミならいける、か。

何がいけないんだろう。


もっとこう、ポーションに甘い味をつけてみるか?

いや、でもそれだとその分コストがかかってしまうし・・・。


まぁいい、とにかく早めに営業が終わったんだ。

睡眠不足だし、家に帰って昼寝でも・・・いや。


―――腹が、減ってきたな。


そうだ、早く営業が終わったなら。

その分美味い物を食わないとな。


寝るのも良いが、美味い物を食べて疲労回復というのもまた良い。


となれば早速、美味いものを求めて飲食街へ向かおうか。




そんなこんなで到着、飲食街。

しかし食いたいものは何も決まっておらず。


そうだな・・・今日は少し暑いし。

涼しい物も良いかもしれん。


するっとさっぱり、されどがっつり行くような、そんな飯。

あー、でも。

暑い日だからこそ熱いものをハフハフ言いながら齧り付く、それも良いかもな。


まぁ、とにかくがっつり行きたいんだ、私は。

思い切り飯が食える店を探して飯食って、腹ごなしに歩いて夜飯買って一休み。

うん、完璧な布陣だ。


この布陣を完璧というためにも、とっとと店を探してしまおう。



レストラン。

レストラン、うんここで良いじゃないかと思ったが。

残念ながら臨時休業。

無念、パスだ。


居酒屋。

家帰ったら寝る予定だし、酒入れるか・・・?

いや、それだと疲労がとれなさそうだ。

今回はパスだな。


食堂。

此処も良いんだが、かなしい事に満席だな。

並ぶのも何だかだし、今日はパス。


さて、こうなってくるとどうにもこうにも。

中々店が見つからないという悪循環に陥る訳だが。


うーん、どうしようか。

そもそもこう、ピンとくる食べ物が決まってないからなぁ。

この店を探そう!て気分にもならないし・・・おや。


「鍋の鉄人 オーカワ」・・・鍋、ね。

まさかの暑い日に熱い鍋。

・・・それもありだな。


しかもこう、店名が凄く力強い。

こう、鍋を思い切り売り出してるって感じがする。

硬派な店なのかもしれん。


うん・・・うん。

気分がすっかり鍋に傾いた。

暑い日に熱い鍋、それをハフハフ言いながら食べる私。


野菜もとれるし、一石二鳥だろう。


良し、ここだ。

ここに決定。

いざ、入店。




「いらっしゃい!お客さん、お一人?」


「ええ、1人なんですが。大丈夫ですか?」


「おう、大丈夫だ!うちの鍋は1人前からできるからな!ま、沢山食いたい人には2人前をお勧めしてるが。」


気さくな大将、涼しい店内。

そしてこう・・・風情ある店内。

これはこれは、どうやら私はまた当たりの店を引いたらしい。


もう見た目というか佇まいというか。

そこら辺でこの店が当たりだ!って雰囲気出してる。


「ま、とりあえずここ座んな。今お冷とメニュー出すからよ。」


「では、失礼します。」


とりあえず案内されたカウンター席へ。

おお、カウンターのテーブルも椅子も、何ならテーブル席も木でできてる。

もしやここ、和風のお店なのかもしれない。


いや、鍋自体が和風なのか?

・・・まぁ、今は関係ないな。


というか私以外客いないな。

やっぱり暑い中鍋は皆嫌なんだろうか。


「ほい、お冷とメニューな。うちのお勧めは鳥鍋だ。」


「ありがとうございます。」


とりあえず水をグイっと。

ふぅー、一息ついた。

暑くて喉が渇いてたんだ。


暑い日にはただのお冷ですら御馳走になるんだ。


さて、メニューには・・・。


・鳥鍋

※当店お勧め。鳥ガラの出汁にショウユが効いてます。


おお、1番人気の鳥鍋。

そんな説明文を書かれちゃ、もう・・・これを頼むしかないような気になってくる。


いや、まだ早い。

他の鍋も見てみないと。


・すき焼き 上


・しゃぶしゃぶ


・もつ鍋


・鳥野菜味噌鍋


おお、鍋料理のオンパレード。

色々な鍋料理が勢ぞろいだ・・・が。


やはり、最初に見たあの鳥鍋。

あれがどうしても気になってくる。


大将もお勧めって言ってたし・・・うん。


初めて入店した店なんだ、ならばここは大将の言葉を信じよう。


「すいません、では鳥鍋をお願いします。」


「量はどうする?沢山食いてぇなら2人前がお勧めだ。」


あー、ここは。


「では2人前で。」


腹も減ってるし、食いきれるだろう。

最近飲食街によく来ているからか、食べる量が増えたんだよな。


「あいよ!今準備するからな、少し待ってくれ。」


後編へ続く。

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