さぁ、エビフライとクリームコロッケ・・・どちらから行こうか。 後編
何とか間に合いました。
「お待たせいたしました。ミックスフライ定食、エビフライとクリームコロッケになります。」
お、来た来た。
もう厨房で作ってる時から美味しそうなこのエビフライとクリームコロッケ。
油で揚げた時のあの音、じゅーっと言うフライの鳴き声。
このカウンター、特等席なのは間違いないが。
空腹のときに座ると更に空腹に誘われる、魔性の席だ。
ほら、このエビフライとクリームコロッケ、まだ油がシュワシュワしてる部分が・・・。
・エビフライ
特大サイズ、ドドンと2本が真っすぐと。この前食べた天丼のシュリンプとはまた違ったこのフライ、齧り付き甲斐があるじゃないか。
・クリームコロッケ
カキフライと悩んだ末にクリームコロッケがランクイン。きっと中身、トロっとしてるだろうなぁ・・・。もう食べる前から楽しみだ。
・キャベッジの千切りサラダ
エビフライ、クリームコロッケの後ろにそびえたつキャベッジメインのサラダ。横にはざく切りトマト、そして上からコーンが数粒乗っている。
・ライス
白い皿に盛られたライス。こいつらがエビフライやクリームコロッケを思い切り受け止めてくれる。パンでも良かったんだが・・・まぁ、ライスにしました。
では、いただきます。
さぁ、エビフライとクリームコロッケ・・・どちらから行こうか。
どっちも美味いのは間違いなしなんだが。
うーん、良し、ここは。
クリームコロッケ、君から行こう。
タルタルソースをたっぷりつけて。
先ずは1口、がぶっとな・・・!
―――うっほお、クリームトロットロ!海鮮系の良い味染み出て、タルタルソースが抜群だ・・・!これは美味い、やばいくらいに美味いクリームコロッケだぞ・・・。
美味い、美味い以外に言葉が出ない。
私が何か言おうとしても、このトロトロのクリームがそれを洗い流してしまう・・・!
これはクリームコロッケ、頼んで大正解だったな。
サクッとした衣、そこからあふれる暴力的な美味しさ。
もう、クリームが爆発しているぞ、このクリームコロッケ。
クリーム、何て言えばいいんだろう。
そう、そうだ。
魚介のうま味、これだ。
魚介のうま味、そしてほのかに感じる海の香り。
それを思い切り閉じ込めた、この白いクリーム。
見た目は白いのに、その味は驚くほど多彩で多色。
サクサクした衣とそんなクリーム。
それをタルタルソースの酸味がまた・・・良い。
深く語ろうとしても全てが美味しいにつながって、上手く語れないこの心。
美味いのに上手く語れない・・・フフッ。
・・・と、自分の上手いギャグで笑うんじゃなくて。
とりあえずこのクリームコロッケ、美味しい。
私が今まで食べてきたクリームコロッケも美味しかったが・・・うーむ。
この深い味わい、美味しさ・・・こんなに濃厚なクリームのクリームコロッケは初めて食べた。
と、こいつを味わったら、次は。
ライスで追いかける、これしかないでしょうよ。
そうだな、ライスで追いかけるし今回はタルタルなしで。
思い切り齧り付いて、すかさずライスで追いかける!
―――海の美味さがクリームとなって、陸のライスへ襲い掛かる。この美味さの洪水、ライスだけじゃ抑えきれんぞ・・・!
美味い、美味いぞ。
追いかけライス、クリームコロッケ×ライス。
このコンビ、最強すぎる。
濃厚なクリームが見事にライスのおかずになって・・・もう、美味しさが流れ込んでくる。
ライスとクリームコロッケ、非常に美味、美味・・・!
カキフライと悩んだが、クリームコロッケ選んで正解だった。
もうこの美味しさ、これだけでこの店当たりも当たり、大当たりよ。
と、そうしたら次。
エビフライ、こいつを食ってみようじゃないか。
ドドンと1本、まっすぐ伸びるその姿。
コイツをタルタルソースに付けて、思い切り先端から齧り付けば・・・。
―――サクサクの中には、ぷりぷりの宝物がありました。これはやばい、思わずこう、背を丸めたくなるような美味しさ。シュリンプに同化しそうだ、この味・・・!
ああ、美味い。
なんて幸せな気分になるんだ、このエビフライ。
シュリンプのぷりぷり感がもう・・・凄いぞ。
サクサクの衣、そこからはじけんばかりのぷりぷり加減。
やはりレストランでフライを選んだ私に間違いはなかった。
タルタルソースを合わせたこのエビフライ。
大きい、美味しい、ぷりぷり。
もう油断も隙も無い、あるのは唯美味しいという感情のみ。
クリームコロッケが煮込まれたような海の美味さ。
だとすればこのエビフライはシュリンプという海の美味さ、それをダイレクトに伝えてくる。
あー、噛むたびプリプリぷつんとはじけるこの身。
堪らないじゃないか・・・。
大きいエビフライ、大きい食べ応え、大きい美味しさ。
そしてそんなエビフライ、これもライスで追いかけよう。
というか追いかけないとこのエビフライに、そしてライスに失礼な気さえしてくる。
どれどれ、ライスで追いかけたエビフライはどんな味になるだろうか・・・?
―――うわ、何これ、うっまい・・・。でかいエビフライをライスで追いかける、それだけでこんなに幸せになるなんて・・・!
この組み合わせ・・・凶悪。
クリームコロッケ×ライスも良いが、エビフライ×ライスもとんでもなく美味しいぞ。
ぷりっぷりのシュリンプ、そしてそれを追いかけるライスよ。
そいつらがタルタルソースに巻き込まれて、こう。
新しい世界が口の中で作られるような、そんな美味しさ。
そもそも大きいエビフライ、こいつだけで美味しいのは当たり前なのに。
それにタルタル掛けてライスで追いかける、そりゃ新世界もできてくるか。
美味い、これは夢中になれる美味しさだぞ。
だってほら、もう、一本。
―――尻尾のふもとまで、しっかりいただきました。
というか尻尾辺りの殻がしっかりとられてる。
これ、嬉しいポイント。
さて、勢いのままにエビフライを1本食いつくしてしまったし。
ここはいったんサラダでも挟んでおくか。
このサラダにはドレッシングも良いが・・・やはり今回は。
シーフードのフライがある、ならば。
野菜もタルタルソースで行きたい所存。
しかしタルタルソースの残りが心もとないな・・・。
「すいません。タルタルソースをいただけますか?」
「かしこまりました。」
「お待たせいたしました。タルタルソースです。」
「ありがとうございます。」
良し良し、追加のタルタルだ。
これで心おきなくサラダもタルタルソースで食えるというもの。
では、上から思い切り、タルタルソースをかけて・・・。
良し、こんなもんだろう。
では、いただこうか。
―――お、やっぱりタルタルソース。千切りキャベッジにも良く合うじゃないか。エビフライとクリームコロッケ、その中継ぎにふさわしい美味しさだ。
唯の野菜にタルタルソースをかけただけ。
それなのに安定して美味しい、このサラダ。
タルタルソースはサラダにもしっかり合うという事、そんな一見普通で実は重要な事を私に教えてくれる。
この酸味が良いんだよ、酸味が・・・。
サラダと合わせて食べる分、何だかタルタルソースの味が普段より良く感じられる気がする。
うん、うんうん。
エビフライの後、クリームコロッケの後、そこにこういうサラダがいるだけで。
少し幸せな気分になってくる。
では、サラダを堪能した後。
改めてクリームコロッケへ戻ろう。
この美味しいコロッケ、クリーミーさがたまらない。
堪らずガブリと齧り付けば。
―――うわぁ・・・いつ食べても美味しいぞ、このコロッケ。外側の茶色からは想像できない白い美味しさが、私を待っていた。
サクサク、とろーり。
そのとろーりからまた、海の美味しさが思い切り漂ってくる。
すると、自然とライスが進む。
このクリームコロッケ、私にライスを食べるよう囁いてくる白い悪魔にさえ見えてくるぞ。
そしてエビフライ、こいつにタルタルソースを乗っけたら。
そのまま思い切り、がぶっとな。
―――うーん、サクサクプリプリ、海のジューシーさ。食えば食うほど食いたくなる、私の食欲に直線で突っ込んでくるエビフライだ。
クリームコロッケが優しくライスを進めてくる悪魔だとすれば。
このエビフライは・・・そう、死神。
エビフライという鎌を携えた、茶色い死神だ。
その強烈な見た目と味でライスを食わせようとしてくる。
美味いクリームコロッケと美味いエビフライ。
素晴らしい、美味しい、食べててもう嬉しくすらなってくる。
レストラン、選んでよかった。
美味い飯を食べれば食べるほど、活力が、元気が湧いてくる。
ああ、今、幸せだなぁ・・・!
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
いやぁ、美味しかった。
あの後ライスをお代わりして、満腹&大満足。
やはりレストランで食うフライ料理は美味しいな。
こう、外れが無い様な気がする。
しかもお腹の中、全然脂っこくないし。
美味い揚げ物、お腹にも優しいんだろうか。
そんなことを考えながら、とりあえず一服。
煙草に火をつけて・・・ふぅ。
良い余韻だ。
揚げ物を食べた後特有のこの奇妙な満足感。
そこに煙草の煙が突き刺さる。
さて、この後も頑張るとするか。
顔なじみのインテリア工房行けば・・・まぁ、何とかなるだろう。
願わくば、次も美味い店に会えるように。
主人公(男)・魔術師。実は水まんじゅうを自分用に購入。24個入り。当分の間朝食は水まんじゅうになった。
「レストラン サンシャイニー」の給仕(男)・金髪高身長のイケメン。最近入ったバイト。メインは冒険者をしている。役職は魔法剣士。主人公の方が強い。