さあ、先ずはこのメンチカツ。 後編 <総合7万PVありがとうございます>
後編です。
本当はジャンボ定食食べさせるつもりだったんですが、魔術師が勝手に・・・。
もうしばらく前編&後編でやっていこうと思います。
「お待たせ致しました!メンチカツ定食です!」
おお、おお。
来なさったか、メンチカツ定食。
ジャンボ定食と悩んだ末、選ばれたのはメンチカツでした。
・メンチカツ
しっかり大振り、サクサクそうなメンチカツがドドンと2個。相方にはキャベッジが山盛りの千切り、シンプルで良いじゃないか。
・ライス
大振りなメンチカツの相方にはやはりライス。パンも良いが、定食ならばライスじゃないと。
・ワカメスープ
ありがちな味噌汁でもなく、コンソメスープでもなく敢えてのワカメスープ。大量のワカメが漂っている。
では、いただきます。
さあ、先ずはこのメンチカツ。
大振りなこいつに齧りつかなきゃメンチカツ定食は始まらない。
最初からソースをかけるのも良いが・・・そうだな、先ずはそのまま齧りつこう。
そのままの味を楽しんでからソースをかけてもバチはあたるまい。
という訳で、重量感があるメンチカツを箸で持ちまして。
思い切り、ガブっとな。
―――サクサク、いやサックサク。そこから溢れるジューシーな味わいと肉汁。
ああ、たった一口。
それだけで、今日メンチカツ定食を頼んだ甲斐があったと思わせるこの美味しさ。
サクサクな衣、素晴らしいじゃないか。
サクサク、いや、私が当初予想していた三倍はサクサクなこの衣。
私は今ガッツリ揚げ物を食べている、その喜びと楽しみをしっかり伝えてくれる。
なんかもう、嬉しい。
このサクサク感を感じれて私は嬉しいぞ。
食べて美味しい揚げ物は色々あるが、楽しい揚げ物はそうあるまい。
そしてそんな衣に閉じ込められた、この美味しさ。
噛んだ瞬間にサクッと、そこから広がる肉の旨味よ。
本当にこれ挽肉なのかと、君は普通に美味しい肉じゃないのかと。
意味もなく疑ってしまう程のジューシーさ。
肉汁?
そりゃもう、バッチリよ。
噛むたび溢れ出るこの肉汁、私じゃなきゃ見逃しちゃうね。
・・・いや、私以外でも普通に気づくだろうけど。
そう言わなきゃいけない気がした。
そう、兎に角充実した肉の旨味と肉汁。
もう口の中が火傷しそうなくらいに溢れ出てくる。
香辛料なんだろうか、下味もバッチリ効いててとても美味しい。
あー、もう。
堪らずもう一口、ガブリとな。
―――くぅー・・・。憎い、憎々しい程のこの肉の美味しさ。これメンチカツだよね?
何というか、そうだな・・・ご馳走な感じ。
そこら辺で売ってる惣菜、そんなのとは一線を画すこの味わいよ。
あ、別に惣菜のメンチカツをとぼしている訳じゃないぞ?
惣菜のメンチカツも好きだが、このメンチカツがそれを超えているだけで。
衣の食感、肉の味。
それらが融合したこの味わい。
挽肉なのに肉本来の味すら感じる、素晴らしいメンチカツ。
しっかりと料理として、そして今このひと時を過ごす為のご馳走として。
メンチカツが憎い程美味しい。
こりゃ、もう我慢できん。
すかさずライス、メンチカツをライスで追いかけるんだ。
―――ほーら、美味しい。メンチカツの肉肉しい美味さ、ライスにピッタリじゃないか。
嗚呼、悲しいかな。
いや、この場合美味しいから嬉しいのか。
取り敢えずこのメンチカツ、今決まった。
一つ目はソースをかけず、そのまま食べてしまおう。
だってそのままライスで追いかけても美味しいんだもの。
仕方ないじゃないか・・・。
ライス、メンチカツ、そしてライス。
今私はメンチカツを消費する歯車。
それと化していると言っても過言ではない。
でもこの歯車、幸せなんだよなぁ。
社会の歯車、その数十倍は幸せだぞ。
しかし、歯車が回るには燃料が必要な訳で。
ある程度回ったら、燃料が無くなってしまった。
そう、ソースをかけていないメンチカツが無くなったのだ。
気づけばライスも残り半分。
まぁ、あれだけガツガツ行けばそうなるか。
ここいらでソースをかけたメンチカツに行っても良いが・・・一端落ち着こう。
その為にもこのワカメスープがあるんだ。
改めて嗅覚を研ぎ澄ませれば、嗚呼。
このワカメスープから漂う優しい香りよ。
いつだって汁物は、私を優しく出迎えてくれる。
おっと、まだ味わっていないのにそれは早計か。
取り敢えず先ずはスープから、ズズッと…。
―――あ、やっぱり優しい。やはり汁物は優しいんだな、私覚えた。
こう、どちらかと言うと中華系の味わい。
少し黄色がかった優しいスープ。
それが、もう、こう。
思い切り私に沁み込んでくる。
飲んだ後のスープ、それは優しく。
体調が悪い時に飲むスープ、それもまた優しい。
ならば定食についてくるスープ、これも優しくて美味しい、それは火を見るよりも明らか。
味わっていないから早計とか言ってた私を殴り飛ばしたい。
汁物はやはり、いつだって優しいんだ。
それはこの世の理、自明の理。
すいません、スープさん。
疑った私が間違っていました。
そう、心の中で謝罪しつつ。
次はその具、ワカメを食べにかかる私。
―――あー、染みてる、染みてます。おでんくらい染みてる美味しさ、このワカメ。
流石ワカメスープ。
美味いスープにワカメの名が付くだけある。
こう、プツッとした食感が堪らないね。
そして染みてるこのスープ。
優しい味がワカメに絡まってる。
もはや優しさを固形物にしたかの様なこのワカメ、大変美味でございます。
なんだろう、風邪引きたくなって来た。
風邪引いたらこのワカメスープ、もっと美味しくなるぞ。
・・・と、いかんいかん。
このままだとワカメスープを飲みきってしまう。
取り敢えず付け合わせのキャベッジを挟んで、と。
―――うん、シャキッとシャキシャキ。口の中がさっぱりする。
キャベッジ山盛りだからな。
合間合間に食べとかないと最後の〆がキャベッジになってしまう。
いや別にキャベッジが嫌いな訳じゃ無いが・・・最後はメイン、もしくはスープで〆たいだろう?
折角のメンチカツ定食のラストがキャベッジと言うのは少し残酷だ。
取り敢えずもう一口、シャキシャキっと。
―――野菜のパワー、素材の味。思い切り受け止めて。
良し、良い感じにさっぱりした。
さっぱりする事に関しては生野菜の右に出る者は早々居まい。
そしてさっぱりしたら、再びメイン、メンチカツ。
こいつにソースをかけまして・・・。
また、思い切り齧り付く訳ですよ!
―――うーむ、美味い以外に言い様が無いくらい美味。ソースがメンチカツを彩り、そして引き締めている。
やはり揚げ物、特にメンチカツにはソース。
マヨネーズ、タルタルソース、他には醤油や塩。
それらも揚げ物には合うが、ことこのメンチカツにはソースがピッタリバッチリマーベラス。
サクサクした衣、ガツンとくる肉に肉汁。
それをソースが一纏めの一本釣りだ。
強烈な美味しさにはしっかりしたソース、これは鉄板でしょう。
特に肉汁、これにソースが絡まって・・・。
本当に、今日メンチカツを頼んで正解だった。
この美味しさをライスで追いかければ、そこには。
―――メンチカツとソースの強烈な美味しさ、それをライスが確かに受け止めてくれる。
今日メンチカツ定食を選んだ私。
それを祝福するかの様な美味しさが、そこにはある。
こんな美味しさ、これはもう。
止められない、止まらない、止めたく無いし、止めようと思わない。
メンチカツ、ライス、メンチカツ、ライス、スープ。
そして合間に挟むキャベッジ。
ガッツリわガッツリ、優しくさっぱり。
この美味しさの猛攻、美味い飯を食う幸せの進撃。
これを止める術が私には無い。
誰か止める術を・・・いや、何でもない。
今はただ、この美味しさを受け止めるのみ。
美味いメンチカツ定食、その幸せを享受するんだ。
ガツガツ、はむ、はふ、ズズッ。
嗚呼、今、間違いなく私。
―――思い切り、幸せを楽しんでいる。
「ありがとうございました!またのお越しをお待ちしています!」
笑顔の給仕さんに見送られて退店。
満腹、そして大満足。
メンチカツ定食というどこにでもありそうな定食。
しかしそんな定食でこの店は私に確かな幸せを与えてくれた。
美味い物を当たり前のように出せる店。
其れこそが真の名店也。
さ、満腹で満足したら、ここはいったん。
煙草で一服と洒落こもうか。
火をつけて、吸って、吐く。
ああ、これだけなのにどうしてこうも身に沁みるんだろうか。
・・・良し、煙草吸ったら家に帰るか。
残りの加工依頼、頑張るとしよう。
願わくば、次も美味い店に会えるように。
主人公(男)・魔術師。実は何度か魔術師ギルドから勧誘を受けている。
「丼・定食 食堂グレイル」の給仕(女性)・美少女。美人。店主の娘、上に兄がいる。兄は冒険者、凄く強くてムキムキだとか。