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油そばとTKG、ここに爆誕。

油そば、良いですよね・・・。

TKG=たまごかけごはんの略。


感想、評価、ブクマ、ありがとうございます。

執筆の励みになってます・・・!

ああ、今日も今日とて朝が来た。

清々し・・・くはないな。

何だかジメジメしてるし。


天気も明るい曇り、雨は降りそうに無いが今日一日はずっとジメジメしてるんだろうな。

うーむ、クールポーションを飲むかどうか凄く迷う。


クールポーションも一応ポーション、そんなにカパカパ飲む物でもないし。

材料費だってそこそこかかるからな。


でもポーションは飲まないと存在意義が無い訳で。

そもそも飲む為に作ったんだし。

いや、でもなぁ。


余り個人的に使い過ぎると試供品が無くなるし・・・そうだな。

今日は午前の営業だけだし、我慢するか。


良し、先ずはシャワーを浴びてサッパリするとしよう。


―――――――――――――――――――――――――


「どうも、こんにちは。」


「こんにちは、ええと・・・。」


「あ、すいません。今日お約束頂いた魔術師です。小物やインテリアの件で。」


「ああ、魔術師さん!すいません、今娘を呼んで来ますね!」


さて本日最後の営業、それは服飾店。

因みにここ、インテリア工房の顔馴染みから紹介された新規のお客さんだ。


今回の営業が上手く行けば久々に新規案件ゲット。

これは気合いを入れないとな。

失礼な事をしたら私だけで無く顔馴染みにまで泥を塗ってしまう。


まあ今回の営業内容としては小物やインテリアについてだし、失敗する事は無いだろう。

基本はカタログや資料を片手に色々説明するだけだし。


「すいません、魔術師さん。お待たせ致しました。」


「いえ、全然待ってませんよ。今日はよろしくお願いします。」


「ごめんなさい、お忙しい中来て頂いて。本来なら此方が伺うべきなんですが。」


「いや、そんな事ありませんよ。」


というか、基本的に私の営業は伺うスタイルだからな。

ギルドみたいな殿様商売では大きな案件を取り逃がしそうで怖い。

しかも直接伺った方が色々見えてくる物もある。


ギルドにはギルドの良い所もあるが、私の場合は個人営業。

ならば個人営業の強み、小回りが効く営業スタイルを徹底するのみだ。


では、早速インテリアの方から。先ず此方のカタログを・・・。


さ、営業を頑張りましょうか。




「・・・と、こんな所です。」


「ありがとうございました、魔術師さん。それにしても・・・インテリアや小物、こんなに取り扱ってらっしゃるんですね。」


「ええ、まあ。色々とやっていたらいつの間にかこんな感じになりまして、あはは。」


本当、色々とね。

・・・祭りとか、祭りとか。

まあ顔馴染みが工房を持ってるって事もおおきいが。


「あ、何か質問等あれば。」


「いえ、大丈夫です。大丈夫ですが・・・此処まで色々あると、どれを仕入れるべきか悩んじゃいます。」


「でしたら、最近流行りの物等をリストに纏めましょうか?それを見てご考慮頂ければ。」


「本当ですか?ありがとうございます、お願いします。・・・あ、お茶お代わり入れて来ますね。」


「いや、お構い無く。またリストが出来次第お伺いしますので。今日はこの辺りで失礼します。」


「あ、そうですか・・・では、よろしくお願いします。」


「ええ。では失礼しますね。」


うーん。

凄く微妙だな、この感じだと。

食いつく人は凄く食いつくが、この感じだと微妙そうだ。


リストを作成して渡しても余り受注には繋がらなさそうだが・・・まあ、ダメ元で渡してみるか。

もしかしたら発注かけてくれるかも知れないし。


ま、新規は中々取れないって事だな。

取り敢えず今日の営業終わったし、顔馴染みの工房に顔でも出すか。

アイツも紹介した立場、今日の結果ぎ気になるだろうし。


ついでにこっちからいくつか発注もかけておこう。


―――――――――――――――――――――――――


ふう、今日の仕事これにて終了。

インテリアの発注もしたし、正真正銘仕事終了だ。


というか、アイツ。

何がやっぱりか、だ。

元々期待薄だったじゃないか。


絶対アイツこうなるの見越して私に回しただろ。

しっかり準備して、気合いを入れた私の時間を返して欲しい。

・・・まあ、その分発注こなくても顔に泥は塗らなくて済むが。


いや、そもそも営業に気合いを入れないのは悪い事か。

うん、しっかり準備してしっかり説明したんだ、私の努力は無駄じゃない筈。


と、なれば、後は。


―――飯で、気合いを入れて帰ろう。


どれだけ頑張っても、準備をしても。

それが報われないときはある。

でも、美味い飯だけは私を裏切らない。


それにこんな日こそ美味い飯で気合を入れなおさないと。


そんなこと考えてたら、ほら。

丁度私の食欲も騒ぎ始めた。

騒ぎすぎてうるさいくらいだ。


良し、さっさと飲食街へ向かうとしようか。




という訳で到着しました飲食街。

今日は何を食べようかな・・・。


あー、全く持って決まらない。

じめっとした暑さが私の思考を妨害してくる。


なのに食欲は早く飯を食えと叫んでるんだ。

暑さと食欲の板挟み。

中間管理職はこんな板挟みのつらさを味わってるんだろうか。


・・・いや、それは中間管理職の方に失礼か。

私の知り合いにも中間管理職がいるが、あいつ元気だろうか。

最後に合ったとき、何というか目がぎらついてた。


ま、個人営業の私には関係ない話だし。

とっとといつも通り、歩いて店を探すとしよう。



ウドン屋。

あー・・・。

もう少しがっつり行きたい気分。

今回はパスだ。


寿司屋。

お、寿司か。

久しく行ってない・・・様な?

あ、でも準備中だ。


食堂。

無難に食堂・・・と行きたかったのに。

かなり混んでるじゃないか。

焦って飯を食いたくはないし、パスだな。


さて、こうなってくるといよいよ直感で店を選ぶしかないが。

うーん、どうもピンとくる店が無いというか。


いや、探せばどこかに私が求める店があるはず。

ゆっくり、じっくり周囲を見渡せば・・・。


お、あれは。

「ラーメン&油そば 盛宴」、なるほど、ラーメンか。


蒸し暑い中食うラーメン・・・それも良いかもしれないが。

何より気になるのはこの油そばの文字。

これは新しい料理と見た。


きっとラーメンか何かの親戚なんだろう。

うん・・・決まりだ。


この店で、油そばを食うとしよう。




「いらっしゃい!御一人?」


「ええ。」


「カウンターへどうぞ!」


大将、元気良いな。

細マッチョにスキンヘッド、ワイルドな見た目してる。


「あ、お冷はセルフだから!」


「あ、はい。」


じゃあとりあえずお冷を用意するか。

給水機にコップを押し込んで・・・。

おっと、氷が凄く多い。


お冷というよりは氷水になってしまった。

これ、飲食店あるあるだよな。

ま、今日は蒸し暑いし丁度いいか。


さ、席に座って改めて店内を見ると。


カウンター席がそこそこ、テーブル席もそこそこ。

店の大きさとしては中規模か。

インテリアとか内装はこだわってないのか、武骨な感じが逆にそそる。


こう、俺の店!って感じ。

硬派な店のラーメン・・・今回は油そばか。

どんな料理か楽しみだ。


そんな店内、私の他には数名の客。

今日は蒸し暑いからか、ラーメン食いに来る人少ないのかな。


「はい、ラーメンお待ち!」


「お、待ってました・・・そういや大将、娘さんいないけど。今日は学校かい?」


「いや、友人と遊ぶとかでどっか行っちまってなぁ。まぁ、いつも手伝ってもらってるからこういう時には遊べばいいさ。」


「お、もしかして・・・これかい。娘さん可愛いからなぁ。」


成程、普段は給仕がいるのか。

しかも可愛い娘さん。


というか大将、厳つい見た目に反して結婚してるとは。


・・・と、そんなことはどうでもいい。

私は私で注文しないと。


店内見て話聞いてるだけじゃ、私の腹は満たされないんだ。


早速メニューを開いて、あった。


・油そば

※豪快に混ぜて、勢いよく食うべし!

※大盛、特盛無料!


豪快に、勢いよく、か。

良いね、良いじゃないか。

今の私に凄く突き刺さるぞ、その言葉。


しかも大盛と特盛が無料、更に嬉しくなってくる。


メインは油そば、そうだな・・・大盛にするか。


後はサイドメニューなんだが。

定番どころの餃子、炒飯か。

それとも他のメニューにするか。


いかん、メインはすぐ決まったのに、サイドメニューで迷宮入りだ。


ここはスパッと決めないと、食欲がいつまでたっても満たされないぞ・・・!




「はいお待ち、油そば大盛と盛宴TKGセットだ!油そばは良く混ぜてから食べてくれ!途中で酢やラー油を入れても美味しいぜ!」


おお、来たか。

油そばとTKG、ここに爆誕。


・油そば 大盛

まるですり鉢の様な容器、そこにメンマ、大判なチャーシュー、ネギ、2枚の海苔、そして極太の太麺。ドドンと鎮座するその姿、圧倒的存在感だ。


・盛宴TKGセット

生卵とライスのセット。卵はこだわりの卵らしい。今回は油そばの〆に採用。何でも油そばを食いきった後、油そばの器にライスと卵を入れて食うとか。


では、いただきます。


さぁさぁ、まずは油そば。

これを豪快に箸で混ぜる。


なるべく下からこう、ひっくり返すように・・・。

あ、でも具材の海苔とかは上に残すように混ぜないと。

海苔がくしゃくしゃになってしまう。


豪快に、されど繊細に。

落ち着いていけ、私。

この混ぜ具合が油そばの味を決めるといっても過言ではない。


・・・良し、こんなもんだろう。


一口目、勢いよく麺をいただこうか。


―――ドスンと直球一直線。濃厚な油そばのタレと極太麺が私の食欲を貫いてきた・・・!


おお、凄い。

麺とタレの相性抜群な、もはや攻撃と言っても良いような美味しさ。

ストレートにまっすぐな衝撃、私の食欲は一撃でふらふらだ。


これは美味い、じめじめした暑さなんて何のその。

夏バテも防げそうな強い美味しさじゃないか。


しかし、タレ意外に少ないかと思っていたのに。

そんなことなくしっかり麺に味がついてる。


いや、むしろラーメンより濃いまであるぞ、この味。


どこまで圧縮すれば、こんな濃厚なタレになるんだ・・・?


そんなタレの味に負けない、この極太麺。

しっかりコシがあるこの太麺が、タレを受け止めるんじゃなく、むしろ反発する勢いで私の味覚を刺激する。


ラーメンの様で、でもラーメンじゃ味わえない。

力強いストレートな美味しさ、これは良い発見だ。


そしてラーメン、もとい油そば。

そこでは外せないトッピング№1、チャーシュー。

次はコイツを食ってみようじゃないか。


大判のこのチャーシュー、こいつも混ぜた余波でしっかりタレがついてる。

さ、思い切り齧り付こうか。


―――あ、濃厚なこのタレ、チャーシューにまで相性抜群。麺とはまた違った美味しさがここに見参。


大判な割に少し薄いかと思ったチャーシュー。

しかしその実、しっかりジューシー。

濃厚なタレと相性抜群、しっかり美味い良いトッピングだ。


こう、大判な肉って見てる人を笑顔にするが。

こいつはしっかり、その味で笑顔にさせてくれる。


チャーシューをがぶ、ガブリ。

腹が減った肉食獣の様な今の私、目の前に肉があったらそりゃ食らいつく。

食らいついて、食らいついて・・・。


もう、チャーシューが無くなってしまわれた。


ええい、ついでにメンマも食べちゃえ。


―――お、しっかり硬いメンマだ、これ。歯ごたえがあって良い感じじゃないの。


うん、メンマ。

ラーメンや油そば、その側使えにふさわしい味と食感。

こういう奴がいると、こう、円滑に食えるというか。


定食の汁物、いやサラダか?

私的にはそんな立ち位置。


メンマをモグモグ、そのままごくん。


チャーシューロスをメンマで補填したら。

さぁ、また麺を啜ろう。


豪快に混ぜた油そば、それを勢いよく啜るんだ。

・・・飛び跳ねには注意しないとな。




美味い、美味いぞ油そば。

もう半分くらいになってしまった。


しかし、油そばに入ってたあの2枚の海苔。


どうやって食うか悩んだ末に編み出した、海苔巻き油そば。

タレが海苔に染みてて、それで麺を巻いて食うもんだから、もう。

私の求めるがっつり感、それを思い切り堪能させてくれた。


2枚しかないのが悔やまれる。

しかしその2枚で見事成功と言える食べ方を見出した私。

これは今日のファインプレーと言えるだろう。


まぁ、他にも食べ方があるのかもしれないが。


とりあえず麺も半分を切ったこの辺りで。

酢を器に一周させて・・・混ぜる。


大将が言っていた油そばの味変、さぁ、どうくる?


―――あ・・・へぇ、ふぅん。成程、美味しいじゃないの。


思い切りガツンと、全身筋肉の様な美味しさだった油そば。

それが酢を加えたら、いきなり爽やかイケメンに早変わりしたような、そんな美味しさ。

・・・いや、でもこいつ筋肉の素質をまだ持ってる美味しさだ。


服を脱いだらシックスパック的な。

強さとカッコよさ、それを両方兼ね備えてる。


成程、これは面白い。

大盛という油そば、その途中でも改めて新鮮に食えるこの味変。

ラーメンじゃ中々こうはいかないからな。


それにさっき見つけたが、テーブルの上に油そばのタレがある。

酢が合わなかったらこいつを足して元通り・・・とまではいかなくても、最後まで美味しく食べれる寸法な訳だ。


うん、これはもう。


―――ガツガツ、食い進めてしまう。


箸が止まらず、延々と油そばを啜る私。

要所要所でメンマを食い、ネギのシャキシャキ感も味方に付けて。


濃厚な味からイメチェンを果たしたさっぱり油そば。

素晴らしい、実に素晴らしい料理じゃないか。


麺を啜り、啜り、啜って、啜る。


さぁ、ラスト。

ずずっと啜って・・・油そば、完食!


御馳走さまでした・・・はまだ早い。



さ、タレは・・・あった。

机の上にあったこいつを少し器に入れて。


皆さんお待ちかね。

〆のTKGの時間が来たぞ。

大盛り、結構量あったんだが・・・思いの外ペロリと行けた。


きっと油そばが美味かったからだろうな。

取り敢えず器にライスを入れて。

その上から生卵をポン!


そしてまた、豪快に混ぜるべし!


・・・良し、こんな感じで良いだろう。

後はいざ、実食。


―――ほお、ほお、ほおお。こりゃバクバク行ける美味しさだ。油そばのタレが卵とライスに良く合う、合う!


美味い、これは良い文化だ。

ちょっと行儀悪い感じもするが、それを押し潰すだけの美味しさはある。


こってりした油そばのタレ、絶妙に卵とライスに絡んでて。

途中味変に使った酢も良い仕事をしている。

卵とタレが合わさって最強に見えるどころか、もはや最強じゃないか。


美味い油そば。

そのタレ一滴も無駄にしないこの〆方、考えた人天才なんじゃなかろうか。


更に器に少し残った具材のネギ、これもしっかりライスが絡めとって。

何というか、豪華なTKGを食べてる感じがする。


しかし、一つだけ失敗した。

これ、TKGを後で持ってきて貰った方が良かったな。

そうすればアツアツのライスで〆に出来たのに。


そんな事を思いながら、また一口。


―――あ、でもそれが気にならない程美味しいから、良いや。


美味い料理、唯それだけで良かった。

別に失敗でも何でも無い、だって美味しいんだもの。

少し冷えたライスには、少し冷えたならではの美味しさがある。


今TKG食ってる私が言うんだ、間違いない。

異論は認める。


そんな事を考えながら、はむ、がつ、ガッと食べ進む私。


このTKG、魔性のTKGだ。

家じゃ真似出来ない、油そばを食った後だからこそのTKG。

油そばを食い切った者だけが楽しめる、ご褒美のTKG。


きっといつか、私はまたこのTKGを食べたくなるんだろう。

そしてその時は美味い油そばも一緒。

何と凶悪なコンビ、こんなのリピート必須じゃないか。


食べる、食べる、食べ進む。

ライスを、卵を、タレをかっこめ。

その先には満足が、明日への活力があるんだ・・・!


さあ、最高にして最後の一口。

ハム、ガツ、パクリ。

大満足、美味い飯に唯感謝。


―――ご馳走様でした。




「ありがとうございました!またのお越しを!」


うー、腹が、重い。

〆のTKGを食った後、お冷をゆっくり飲んでたら。

炭水化物が胃袋の中で膨れてきたぞ。


満足、大満足だが・・・大満腹だ。


ううっぷ、とりあえず店前の喫煙所で一服。

煙草に火をつけて。


・・・ふぅー、良し。

ゆっくり煙草を吸って落ち着こう。


そうだな、腹ごなしに帰りもゆっくり歩いて帰るか。

そして帰ったらリスト作成だ。

新規のお客さんから発注、くるといいんだが。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。リストはしっかりと作成、提出。注文来ないかそわそわしてる。


「ラーメン&油そば 盛宴」の大将(男)・美人な娘さんがいる。油そばのタレに絶対の自信あり。

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