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美味い、美味いぞジャーマンポテト。

またもや遅れました。

おーおー、朝起きたら雨がざーざー降ってる。

朝からどんよりしたこの空模様、何だかなぁ。

しかも今日は午後から営業、午後までにこの雨は・・・止まりそうにないな。


まぁ、昨日は休日だったし。

おかげで気合いも入った。

思い切り惰眠を貪ったからな、昨日。


その分今日も頑張らねば。

さ、先ずはシャワーを浴びるとしよう。

その後コーヒーを飲みながら加工依頼をこなして営業だ。


その時には雨、止んでるといいんだがな。




結局、雨は止まず。

いや、朝よりは小雨になったか?

とりあえず、雨の中営業をしている私。


成果はまぁ、可もなく不可もなくといったところか。

ま、一昨日臨時ボーナスが入ったから焦ることもないんだが。


さて、次が今日最後の営業。

学院時代からの知り合いが営業するカフェだ。


確か去年オープンしたばかりだったか・・・?

なんだかんだで行ってなかったんだよな。


・・・おっと、雨が少し強くなってきた。

とっとと向かおう。


―――――――――――――――――――――――――


「よ、久しぶり。」


「おう、久しぶりだなぁ、魔術師さん?」


「おいおい、止めてくれよ。」


「はは、冗談だよ冗談。そこ座って待っててくれ。今コーヒー淹れてくるよ。」


なんだかんだで来ていなかった知り合いのカフェ。

これは、結構硬派な店というか。

昔ながらのカフェの様な、そんな雰囲気が漂っている。


うん、良い店じゃないか、ここ。


「お待たせ。コーヒーだ。それ飲んでちょっと待っててくれ。」


「分かった。」


カフェといえばコーヒー、コーヒーといえばカフェ。

店だけじゃなくこのコーヒーの味、それを確かめさせてもらうとしようか。


・ホットコーヒー

添えられてるのはミルクとシュガー。しかし私はブラックでいただく。うん、良い香りがしてるじゃないか。


良い香りがしている時点で私の期待はもはや大きい。

では早速、いただきます。



まずはコーヒーの香りを、もっとよく嗅いで・・・おお。

芳醇な香りというか、リラックスする香りというか。

それを楽しみながら、まずは1口。


―――程よい苦み、ほのかな酸味。何だ、美味いコーヒーを淹れるじゃないか。


働きづめだったアイツがカフェを始めると聞いた時は驚いたものだが。

この美味しいコーヒー、しっかりカフェのマスターをやってるな。

いや、バリスタといった方が正しいか?


いつも飲んでいるコーヒーとは確かに違うのに、美味しい。

これぞコーヒーの奥深さ、人の数だけコーヒーには正解があるんだろうな。


うん、良い、良いぞこのコーヒー。

これならコーヒーを求めてこの店に入ってきた人も大満足だろう。


アイツが戻ってくるまで、じっくりこのコーヒーを味わうとしよう。


―――――――――――――――――――――――――


「・・・てな訳でな、インテリアを頼みたいんだ。」


「ああ、大丈夫だ。美味しいコーヒーを飲めたし、しっかり用意してやるよ。」


「そりゃ助かる。コーヒーを淹れた甲斐があったわ。はは。」


「んじゃ、また改めて来るから。今日は失礼するよ。」


「おう、またいつでも来いよ。コーヒー1杯なら奢ってやる。」


「はは、楽しみにしとく。じゃあな。」


さて、今日の営業終了。

ちなみに依頼内容はインテリアを変えたい、との事だった。

硬派な店だが、こう、少しでもお洒落にしたいとの事。


私からすれば今のままでもそこそこお洒落ではあると思うんだが。

でも確かに、品の良い花瓶と花でもあれば華やかにもなるか。

・・・うん、あの店と結構良い感じにマッチしそうだ。


店を出ながらそんなことを考える私。

あの店の雰囲気、それを損なわず、もっと華やかにするインテリア。

色々考えたら、ああ、いつの間にか。


―――私の腹、空腹の限界だ。


美味いコーヒーを飲んで、久しぶりに旧友に合って。

何故か食欲が刺激された私。

不思議だ、不思議だが、腹は減る。


良し、とっとと飲食街へ向かうとしよう。

何を食おうかな・・・。




到着、飲食街。

結局食いたいものが決まることはありませんでした。

まぁ、いつもの事なんだが。


しかし、本当に腹は減っているんだが。

何を食いたいか、といわれると何でも良い。

美味い飯が食えれば、どこでもいいんだ。


あー、でも、酒飲みたくなってきた。

となれば・・・居酒屋?


でもがっつり行きたい気分もあるんだよな。


ええい、とりあえず歩いて店を探そう。

いつも通り、良い店の一本釣り勝負だ!



焼肉。

いい匂いだが・・・今回はパスだ。


食堂。

あー・・・。

食堂って気分でもないんだよな。


寿司。

お、寿司か。

酒を飲みながら寿司、悪くないじゃないの。

早速・・・今日臨時休業だってさ。


となれば、やはり居酒屋か。

なんかこう、がっつり系の料理がある居酒屋だと良いんだが。


・・・いや、よく考えればどんな居酒屋でもがっつりした料理はあるか?

〆にライス系や麺物がある所が殆どだし。


そうか、そうだな。

うん、居酒屋にしよう。


となれば、次に目のついた居酒屋。

そこで決定だな。


うん、何だか私の腹も居酒屋腹になってきた。

酒を飲んで美味い飯を食う、良いじゃないか。


さーて、どこかに良い店は・・・。




「いらっしゃいませ!御一人様ですか?」


「ええ。」


「かしこまりました!こちらのお席にどうぞ!」


元気、活発という言葉が似合いそうなショートボブの給仕。

うん、元気よく声をかけてもらった方がこちらとしても嬉しいぞ。

特に1人客だからな、私の場合。


案内されたのはカウンター席。

木目調が際立つカウンターのテーブル、中々良いじゃないか。


店自体も、こう。

明るい雰囲気というか・・・いや、明るいな。

この明るさ、誰でも拒まず受け入れてくれるような感じがして、少し心地良い。


「居酒屋 船五郎」、その渋い名前とはイメージが違うが。

これはこれで良い店そうだ。


「お飲み物は何にしますか?」


「あ・・・。とりあえず、エールをお願いします。」


「かしこまりました!」


カウンターに座ると同時にすかさず聞かれた飲み物。

勢いのまま、とりあえずエールを頼んでしまったが・・・。

まぁ、いいか。


居酒屋なんだし、酒を飲むのは当たり前。

流れるようにエールを頼んだのは私が酒を求めていたからだな、うん。


「お待たせいたしました!エールとお通しの生ハムです!」


お、提供が早い。

有難いことだ。


生ハムと一緒にちびちびやりながら、この後のメニューを組み立てるとしようか。


・生ハム

何と原木切り落とし。薄くスライスされたこの生ハム、もう色が鮮やかで絶対美味しい。


・エール

とりあえずエール、働いた今日1日に改めて乾杯。


では、いただきます。



まずは生ハムを箸で、一掴み。

鮮やかな色、そしてしっとりしてそうなこの見た目。

これは美味さの期待もでかくなる。


さ、まずは一切れ、行ってみよう。


―――お、うん、美味しい。良い生ハムだな、これ。このちょっと癖を感じるところがまた美味しい。


流石原木切り落とし。

美味しいじゃないか、この生ハム。

程よい塩気とこの肉の感触。


薄いのにその存在感は分厚い、つまり美味しい。


これはエールに合う、合っちゃうぞ。

・・・というか、エールがこのお通しだけでなくなってしまいそうだ。


ああ、我慢できない。

酒に、手が伸びていく・・・!


―――あ、合う、合いますね、これ。冷たいエールと塩味の生ハム、最高のコンビネーション。


っあー・・・!

これだよこれ、このシュワシュワ感。

私は今日、この爽快感を味わうためにこの店に入ったのかもしれない。


そして生ハムとエール、これがまた相性抜群。

お通しの段階でこれとは、中々やりおるなこの店。


ちびちび行こうと思ってたのにこれはもう・・・手が止まらん。


あ、でも他のメニューも頼まなきゃ。

何にするかな、さてさて・・・。




「お待たせいたしました!ニホンシュの<華三郎>、ジャーマンポテト、パン、ポテトフライになります!どうぞごゆっくり!」


来た来た、1人宴会の御馳走達。

今日はポテト祭りだ。


・ジャーマンポテト

ウインナー、ベーコン、そしてポテトが合わさったこの料理。中々量があって、食べ応えありそうじゃないか。・・・というかこれとライスで十分な夜飯になるんじゃないか?そんな量があるぞ、こいつ。


・ポテトフライ

こいつもまた結構な量がある。厚切りポテトを揚げて塩でまぶしたこの料理、でもその料理が酒に合う。ケチャップが添えられてるのがちょっと嬉しい。


・パン

何となしに頼んでみたパン。ジャーマンポテトと一緒に食おうかなと思って頼んでみた。


・ニホンシュ<華三郎>

エールがもう無くなりかけたので、次はニホンシュ。ウイスキーでもよかったんだが・・・見たことのない銘柄だったから頼んでみた。


ポテト尽くしの1人酒。

さぁ、いただこうじゃないか。



まずはやっぱり。

メインのポテト料理、ジャーマンポテト。

ポテト、ベーコン、ウインナーがそれぞれ輝いて見えるようだ。


フォークでベーコン、ポテト、ウインナー。

これをまとめて1刺しだ。

そしてそのまま、いただきます。


―――お、おお、肉とポテトのフェスティバル。ベーコン、ウインナー、ポテト、全部美味しい。これは良いジャーマンポテトに出会った。


美味い、美味いぞジャーマンポテト。

しかもこの味、この美味しさ。

主食にも、肴にもなる。


ベーコンとウインナーがきっちり炒められていて。

香ばしい味わいからの美味しい肉汁。

これ、ベーコンとウインナーが良い証拠だろう。


そしてこのジャーマンポテトのポテト。

これがまた・・・美味しいんだ。


ポテトなのに、ポテトの3文字じゃ表せない美味しさがここにある。


こう、思ったより硬いんだよな。

でもカッチカチじゃなくて、少ししゃきっというか、でもほくほくしてて・・・。

この絶妙な食感、私ではこれを表現することができない。


そう、表現できないほど、美味しい。

しかも香ばしく炒められているから、肉の良い香りも纏っているというおまけつき。



あー、さっきエール飲んだばっかりなのに。

こんな美味しいジャーマンポテト、これを食っちゃあ。


酒、飲むしかないよね?


ニホンシュの華三郎、こいつを器にとくとくっと。


ささ、グイっと一杯・・・。


―――スッと透き通る、ニホンシュの香り。膨らむんじゃない、するっと透き通る様な香り、その後にニホンシュの味がやってくる。


これはまた・・・新しいニホンシュだ。

今まで飲んでたニホンシュはどれも華やかな香りが膨らむ様な感じだったが。

このニホンシュはスッと喉を通り過ぎていく、そんなニホンシュ。


これ、お酒が苦手な人でも飲みやすいかも。


しかもジャーマンポテトにこのニホンシュ、結構合う。

ポテトを食った後にこのすっとしたニホンシュ、うん、悪くないぞ。

むしろ良い感じだ。


あーでも、多分。

ニホンシュ、この感じだとするっと飲みきっちゃいそうだ。

調子に乗って飲むとよろしくない奴だぞ、このお酒・・・。



ゆっくり飲む、その為にも。

ここでパンの登場だ。


ジャーマンポテトをパンの上に乗せて。

どうだ、ジャーマンポテトパン。

・・・我ながらそのままのネーミングだな。


だが重要なのは名前じゃない、その美味しさだ。


では、思い切り口を開けて。


―――パンとポテト、それだけなのに凄く美味い。このポテトの肉の香りと・・・かすかなガーリック?これが良いアクセント。


普通に食べても美味しいパン。

それに美味しいジャーマンポテトを乗っけたら。

そりゃまぁ、美味しいのは当たり前か。


でもこういう食べ方、なんだか楽しい。

最近なんだかんだパンあまり食べてなかったからなぁ。

私根っからのライス信者だし。


いや、でも、これは。

このジャーマンポテトパン、この美味しさの前ではパン派に寝返りそうだ。

ポテトだけでも美味しいのに、その後ベーコンとかウインナーも一緒に乗せれるんだぞ?


もう、試してみるしかないよね。

次はベーコン、ウインナー、ポテトの全部乗せだ。


―――美味い、美味さが口の中で大暴れ。まるでプロレスをしているかのような、そんな美味しさがある。


美味い、美味いぞジャーマンポテト&パン。

納得の美味さが今、私の口の中に降臨した。

この味、これは一発で好きになる味だ。


ジャーマンポテトの味がしっかり濃いからかな?

パンに凄く合うんだよな・・・。


そんなことを考えながらもりもり食べる私。

その結果、どうなるかと言えば。


・・・あ、パンが無くなってしまった。


こうなる訳だ。

うーむ、美味い料理に目がくらんでペース配分を間違えたような気がする。


いや、でもジャーマンポテトはまだまだあるんだよな。

ならあながち間違いでもないんだろうか。



うん、ここはとりあえず気を取り直して。


ポテトフライ、こいつを食ってみようじゃないか。


カリカリに揚げられたこのポテト。

ジャーマンポテトとはまた違った感じが凄くそそる。


こいつは・・・うん、手で行っちゃえ。

1人酒なんだ、豪快に手で行っても怒られやしないだろう。


―――お、カリッとホクホク、しっかり塩味。ジャーマンポテトのポテトも美味しいが、ポテトフライのポテトも美味しいじゃないか。


うん、素直に美味しいポテトフライ。

塩味の塩梅も良い感じ。

文句の付け所が無い美味しさだ。


カリ、ホクとつまみながら食べる私。

何だろう、食べる手が止まらなくなってくる。


この食べる手が止まらなくなるこの魔力。

これポテトフライの魔法也。


私ほどの魔術師でも解明ができない中毒性が、このポテトフライには秘められている・・・!


そして同時にポテトフライは。

水分も要求してくるんだよな・・・。


・・・。

ニホンシュを、器に入れて・・・。


―――あー、美味い。美味い肴に美味い酒。この時間が酒飲みの幸せなんだ。



気づけば残っているのは。

ジャーマンポテト、ポテトフライ。

そして酒と私。


生ハム、エール、パン、みんな良いやつだった・・・。

そしてそろそろ息を引き取りそうなのは・・・ニホンシュ。


となれば追加注文するしかあるまい。

まだまだこの1人宴会、酒の宴は続くんだ。

大丈夫、私も良い大人なんだからへべれけになるまでは飲まないさ。


しかし、本当にジャーマンポテトとポテトフライ。

こいつらの量、結構あるな。

これだけで本当に主食も肴も賄えてしまうぞ。


次はポテトフライを食べるか、はたまたジャーマンポテトか。

迷う、迷うところだが・・・。


とりあえず、酒をお代わりだな。


「すいません。華三郎冷で。」


「かしこまりました!」




「ありがとうございました!お気をつけてお帰りください!」


あー・・・飲みすぎた。

いや、何もかもあの酒が悪い。

飲みやすくて美味しい酒が悪いんだ、私は悪くない。


・・・おっと、足がふらついた。

これは結構来てるな。


早めに家に帰らないと。


おっと、でもその前に。

酒を飲むと何故か吸いたくなるコイツ。

煙草を口にくわえて・・・火をつけて。


・・・ふぅー、ああ、美味かった。

満腹、満足、へべれけだ。

結局何杯飲んだっけ?


とりあえず、煙草を吸い終わったらすぐ家に帰ろう。

そして寝よう、うん。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。翌日は勿論二日酔い。何故ならば彼もまた、酒飲みだからです・・・。(某CM風)


ニホンシュ<華三郎>・最近飲食街に流行りだしたニホンシュ。製造元は何とテンセイシャではなく現地の酒蔵。安くて美味いが人気の秘密だとか。


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