5日目の戦闘シーン(読み飛ばしてもOKです。食事なし。)
戦闘描写、まともに会話作るのも初めて。読み飛ばしてもOKです。
「ルールは1対1、初級魔法のみの使用、互いに致命傷を与えない事。どちらかの戦闘不能で試合は終了。途中でのギブアップは認めます。ここまでで質問は?」
誰も反応しない。
いや、むしろワクワクしている生徒が大勢だな。
「先生はルールについて大丈夫でしょうか?」
「はいぃ・・・大丈夫です・・・。」
まだ落ち込んでるのかこの人、少しやりづらいな。
「では用意ができ次第始めますね。」
そういって修練場、その戦闘スペースへ、歩こうとした。
「この模擬戦楽しみだけどさー、先生絶対負けるよね。」
「先生あれでしょ、初級魔法の専攻でしょ?相手になるのかな。」
「あの魔術師の人、前の実技のときすぐに事故収めたし決まりじゃないか?」
・・・何?
今、何といった。
「お、じゃあ賭けでもする?俺魔術師の人ー!」
「はぁ?お前言い出しっぺなんだからすぐ候補取るなよー。」
「オッズが偏りそうだよね、それ・・・。」
こいつら、初級魔法を。
それに留まらず、自らの恩師を、バカにしているのか・・・?
「ていうか先生も初級魔法は良いから他の事教えてほしいよねー。」
「この模擬戦のルールも先生が言い出したんじゃね?」
「あー、ありそう。」
申し訳なさそうに、うつむく先生が見える。
「まぁでも楽しみだよね、模擬戦。」
「案外先生勝つかも?」
「じゃあお前先生にかけろよ。俺は立ち合いの魔術師さんに・・・。」
「ま、もう勝敗決まりでしょ。「何が、決まりなんだ?」・・・え?」
まだ、模擬戦は始まっていない。
「模擬戦は始まっていない、だというのに、何が決まったんだと聞いている。」
「え、いや、えーっと・・・。」
「あ、わ、私は大丈夫ですっ!さ、行きましょう?」
駆け寄ってくる先生。
その目じりの涙、何も大丈夫には見えない。
折角の気遣い、悪いが断らさせてもらう。
「・・・諸君らは非常に大きな問題を持っている。」
「ま、魔術師さん!」
話すことを、止はしない。
「そこの君。」
「え、あ、えーと私ですか?」
「そうだ、決まりだといっていた君。君は先生に、1対1で勝てるか?」
「え・・・。いやそれは・・・無理だと思いますけど。」
流石にここでは無理というか。
「なるほど、では、そうだな。このクラス全員でなら、勝てると思うか?」
「え、全員、ですか。あー・・・えーと・・・。さすがに、勝てそうかなーって。」
「そうか。周りはどうだ?そう思うか?思わない奴は反論するがいい。」
・・・そうか。
誰も、反論しないか。
これは筋金入りだ。
筋金入りの、愚物どもだ。
「先に言っておこうか。君たちのクラスが1丸となって、いや、君たちがそれぞれ10人いたとしても。」
―――ここ、魔術学院の教師には、傷1つ付けれない。
「・・・はぁ?俺たちをバカにしてんのか?」
「血気盛んな生徒だな。答えはもちろん、バカにしている。そうだな・・・。今日この模擬戦が終わった後、希望があれば先生との模擬戦をさせてやろう。万が一にも勝つことができれば、できた奴は補習は終わり、そして上のクラスへ行けることを約束する。」
「ああ、何ならそれこそクラス1丸で挑んでもいいぞ?無理だろうがな。」
「・・・チッ。やってやろうじゃねーか。」
「いい返事だが、まだ続く。ただ諸君らが負けた場合」
「潔く、この学院を去って旅にでも出るといい。どうせそこらで野垂れ事ぬ。」
ま、強制ではないがな、と付け足しておく。
「あ、あの、良くないですよ、魔術師さん!」
「・・・先生。何故です?」
「えっ?」
「何故あなたは、自分がバカにされ、初級魔法専攻の身でありながら、その魔法を否定され、それでも尚、何も言わない?」
「・・・。」
「私は、私のために、魔術師になった。その選択を後悔していないし、むしろ誇ってすらいる。」
「なのにあなたは・・・私でいう選択した誇りに対し、何も反論しない。」
「何故です?」
「そ、れは・・・。」
ちらっと生徒の方を見る先生。
・・・お優しい事だ。
私がもし、先生の代わりにここの生徒を受け持っていたなら、もうすでに見捨てているだろう。
「・・・無駄な問答でしたか。まぁ、とりあえず始めましょう。」
「ただ、先に言いますが。」
「生徒たちはあなたの勝利なんぞ望んでいないし、期待もしていないようですよ。」
――――――――――――――――――――――――――――――
「戦闘の開始は・・・そうだな、4分後の10時ちょうどに始めます。鐘が鳴るのでそれを合図にしましょう。」
修練場に立っている私と先生。
先生は・・・短杖を使うタイプか。
対し私は素手。
相性は五分五分といったところだろう。
もっとも、対戦相手はうつむいているが。
「先生も、それでよろしいですね?」
「あ、はぃ・・・。」
ぱっと顔をあげて返事をしたと思ったら、また顔を下げる。
この調子なら、私の勝利は揺るがないな。
さて、今日の勝利の宴は何にしようか。
胸糞悪いガキの戯言もあったし、ここはパーッと「あの・・・。」
「あ、何でしょうか。」
「あ、いえ、そのぅ・・・。」
何だ?
「あなたは、どうして自分に自信が持てるんですか?」
・・・自信、ねぇ。
「・・・先に言いますが、私は自分自身に対して過度な信頼は寄せていません。」
「え、でも、さっき誇りがどうとか・・・。」
「そうですね、誇りはありますよ。そして私が生徒たちに言ったことに関しても自信があります。」
「え、えーと・・・自分自身に自信がないのに、ですか・・・?」
まぁ、そう思うよね。
「私は自分に自信は余りない。でも、自分の過去、努力、今までやってきたこと、過ごしてきたことに対しては自信がある。」
「何を経験したか、どうやって対処したか、何を食べ、何を考え、どうやって生きるか。」
「報われなかったことの方が多く、やるせない気持ちになったことが多い。フリーとして安定してきたのも3年前くらい。」
「つ、つらかったんですね・・・?」
「ええ、そうです。大変でしたし、つらいことも多かった。でも、だからこそ、その経験をもとに今の私がいる。」
「あの時もっとうまくやれば、こう立ち回れば、そんなことは山ほどある。」
「魔法も魔術も、もっと学べばよかったと思うし、同時に今だからこそできる発見も数多い。」
「この過去。これに関してだけは、誰にも譲れない私の誇りなんです。この経験をしてきたのが私、今の私を形作るすべてなのですから。」
「だから私は自分に自信があまりない。この先も失敗し、そのたびに何かしらの犠牲や時間を払うから。」
「先生は、どうですか?」
「えっ・・・。」
「・・・フリーの、一魔術師として見れば、あなたはとてもかわいそうな人ですよ。本当に。」
「自分の専攻を否定され、得意な魔法を否定され、挙句の果てには生徒になめられている。」
「・・・そうですね。」
「だというのに、否定すらしない。怒りもしない。」
「・・・はい。」
「それとも、もしかして実は先生、初級魔法は弱いと思ってます?」
「そ、そんなことはないですっ!」
「じゃあ、見せてもらえます?その証拠。」
「証拠、ですか・・・?」
・・・簡単な事。
「この模擬戦、私は勝ちに来ました。もしあなたが初級魔法を専攻し、初級魔法に誇りがあるなら、」
「まぁ、できるならば、私に勝ってください。それが証拠になりますよ。」
「・・・はい。」
「・・・ここで直ぐはいといえる、その自信がすごいですね。いつもみたいにうろたえてもいいですよ。」
「えっあっいえ、そ、そんなつもりじゃないんですけど・・・!あぅ・・でも・・・。」
「でも?」
「・・・勝ちます!」
「勝っても生徒たち喜びませんよ?生徒想いの先生さん。」
「え、えーっと・・・それは勝ってから考えます!」
「それに初級魔法に興味を持ってもらえるかどうかも・・・。」
「大丈夫です!その時は補習を増やします!」
「・・・それは、意味があるんでしょうか?」
・・・と、もうすぐ時間か。
「それでは先生、もうすぐ時間です。10時になったらそのまま戦闘開始、合図もないのでよろしくお願いしますね。」
「はい!よろしくお願いします!」
少し元気が出たみたいで何よりだ。
――――――――――――――――――――――――――――――
杖を向ける先生、対し手のひらをプラプラさせている私。
カチ・・・カチ・・・カチ・・・
さぁ。
カチ・・・カチ・・・ゴォーン。
戦闘、開始!!
私も先生も、両者一斉に魔法を発動させる・・・が・・・。
1足遅かった。
先生の魔法が、先に私に当たるだろう。
初級魔法で重要な事、そしてメリットとして展開の素早さが挙げられる。
というのも初級魔法、詠唱破棄でもほとんど威力が下がらないのだ。
その為戦闘などでは詠唱破棄をメインにするが、それでも・・・。
―――この速さ、尋常じゃないっ!!
対処するしかない、か!
攻撃に回す予定の魔法を防御へ。
・・・なんだ?何かがおかしい。
魔法が空中で止まってッ!?
下ッ!!
2メートルほどの槍、土でできたそれ。
速さで当たると錯覚させ、防御する隙をついての奇襲。
後ろに避けるも、その瞬間に飛んでくる停止していたはずの魔法。
この教師。
戦い方がとんでもなく、えげつない。
「・・・中々えげつない戦いをしますね。先生。」
「で、でも避けられましたし・・・。決めるつもりだったんですが・・・。」
なるほど、初級魔法を専攻しているだけあって、強い。
単純なスピード、威力、全てが高水準だ。
しかも回避させることで距離を取らせ、速さ勝負に持ち込ませようとする戦術性。
さて、どうやって攻略する?
高水準なのはいい、しかし私は勝ちに来た。
私が勝利するには近づかなければならないだろう。
速さでは勝てない、なら速さが関係ない勝負、もしくは関係ないような距離まで詰めるしかない。
幸い威力は普通よりも高水準だ。何も幸いじゃないな。
と、なれば・・・。
ファイアを右手に、できるだけ、大きく、見せつけるように。
しかし流石の初級魔法を専攻している先生、私のファイアができる前にウォーターを打ってくる。
・・・そう、それでいい!
ファイアを消される、しかしそれはどうでもいい。
私の切り札、それは・・・左手の、フラッシュだからな!
フラッシュ、これもまた光の初級魔法。
非常にシンプルで、ただただまぶしい球体を出す。
そしてこいつ、なんと爆発する。
まぁ、爆発しても光が思い切り出るだけで、攻撃的要素は何もない。
しかし、今この場では、これが重要ッ!!
フラッシュを確認した先生、慌てるがもう遅い!
くらえ切り札!目くらまし!!
「キャッ!」
この一瞬を待っていた。
距離をつめながら魔法を両手に展開。
目くらましから立ち直ったようだが・・・先生、どうする?
そちらは杖から出る1つの魔法。
対しこちらは両手、2つの魔法。
どちらを消しても、距離は詰めれる・・・!!
と思っていた時期が私にもありました。
「まだっ!」
・・・一瞬でこうも2つ消されたら、たまったもんじゃない。
確かに同時には消していない、ただ早撃ちで消しているだけだ。
が、早すぎて、同時に見える。
ならアースで盾を・・・と思ったが地面に向け魔法が曲がってくる。
ふぇぇ・・・何だこいつ・・・。
近寄ったら無視できない超早撃ち。しかも無視すると奇襲される。
中、遠距離だと勝ち目ない速さの早撃ちとコントロールでの正攻法と奇襲、罠。
ほんとえげつない。
ぅゎょぅι゛ょっょぃ。
と、考えている間にも魔法が・・・!
早っ!!今ちょっとかすった!!
仕方ない、使いたく無かったが・・・隠し玉。
ウィンドとウィンド、さらにウィンドの連結魔法!
ウィンド自体はただの風、ウィンドとウィンドの連結は暴風!
そしてウィンド3つの連結は・・・もはや空気砲!
「な・・・ひゃうっ!」
この風、まともに立つことすら難しい。
特に先生の様な小さくて可愛らしい方には!!
まぁ、私も暴風に耐えられなくて動けないんだが。
だが、これでいい。
先生は杖を構えないと十分な早撃ち、威力も期待できない。
あとはこの隙に、ファイアを連結させるだけだ。
「かぜ、に、ねつが・・・まさか!?」
「先生・・・一緒に、燃えましょうかぁ・・・。」
「え、ええー!?」
ウィンド3つのファイア1、の連結魔法。
簡単に言えば超熱い風の台風だろうか。
まぁこれを防ぐにはウォーターやウィンドで体を囲えばいい。
が、囲んでいる間、先生は身動きが取れない。
ウォーターやウィンドを解除した瞬間、火傷で戦闘不能だろう。
対し、私の場合は片手で防御、もう片手で攻撃ができる。
つまり後は。
じわじわと追い込むのみ・・・!
「はーはっはっは!!」
「うう、動けない人に魔法を打ち込んで楽しいんですかぁ!!」
「タノシイ、タノシイ!」
うわーん、と言いながら必死に耐える先生。
すいません、私基本的に初見殺し専門なんです。
――――――――――――――――――――――――――――――
これが、私の戦闘描写の限界でした・・・。南無・・・。