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基本に忠実な豚骨ラーメン、私好きだぞ。

感想&ブクマ登録ありがとうございます!


励みになります、嬉しい・・・ウレシイ・・・。


そして投稿時間に遅れました。すいません。

「どうも、ありがとうございました。」


「いえいえ、こちらこそ。また何かありましたら是非。では失礼しますね。」


ふぅ、これで今日最後の営業が終わった。

でも仕事は終わりではなく、むしろこの後が本番。


冒険者ギルド、そこでついに。

祭りをいつ開催するか、その話し合いをしなければいけない。


あー、ついに来るか、祭り。

まぁ私の仕事はほとんど終わっている様な物だが。


とりあえず向かうとしますか。




「お、来たか。」


「どうも、いつもお世話になってます。」


「いやいや、こちらこそ。さ、座りたまえ。」


「失礼します。」


さて、今日ここで祭りがいつになるか決まるわけだが。

私へ無茶ぶりが来ない様にもしないと。

直前で仕事が増えるのはノーサンキューだ。


「早速ですが、祭りの日にちについて何ですけれど。」


「うむ、実は私の方でも考えた日があってな・・・。」


「あ、そうなんですか。」


「来週、祝日が2日あるだろう?そこならちょうどいいんじゃないかと思ってね。」


「来週、来週ですか?」


それはいくら何でも急すぎやしないだろうか。


「む、何か予定があったかね。」


「いえ、私は大丈夫ですが・・・。少々急すぎじゃないかと。」


「まぁ、そうなんだが。いや実はね、早めに開催してほしいとせっつかれてな・・・。前の祭りからそこそこ経ったし、じゃあ来週でもいいんじゃないかという話になったんだ。」


「いやー・・・流石にどうかと・・・。そもそもその場合、参加するお店に日にちを今から伝える必要がありますよね?」


流石にそれは難しいぞ。

というか、やりたくない。

今から私、参加者の所回らないといけないじゃないか。


「うむ、そうなんだが・・・。魔術師君。何とか頼めないか?」


「いやいや、いきなりすぎですよ・・・。」


「そこを何とか、頼む!」


「えぇ・・・。」


これはさすがに断りたい所。

しかし逆にここで受ければ、ギルドへの借りにもなるか。


あーでも、今日私、もう疲れた。

しかもこの話を受けると多分今日は深夜まで時間がかかってしまう。


うん・・・流石に断るか。

サービス残業はちょっと・・・困る。


―――――――――――――――――――――――――


「まぁ、そういう訳でな・・・。何とか頼みたいんだが・・・。」


「いえいえ、そういわれましても。私この後全部これ1人で回るんですよ?」


「ああ、大変申し訳ないとは思ってるんだが・・・。」


結局、話はずっと平行線。

ギルドマスター、どうしても来週にしたいらしい。


だが申し訳ないが、私としても金の出ないサービス残業はご免だ。


「来月辺りなら私も余裕をもって参加者さんに声をかけることができるんですが・・・。」


「いや、そうかもしれないんだが、私もせっつかれてて。」


仕方ない、こうなったら、本当に嫌だが。


「じゃあせめて指名の依頼にしてもらえますか?それならまぁ、一応折り合いがつくので。」


「そうか・・・分かった。ありがとう、魔術師君。指名依頼、金額かなり高めにしておくよ。すまないな。」


あー、この後深夜まで仕事、確定。

まぁ金額、かなり高めにしてくれるって今言ってたし。

本当に高いんだろうな。


「金額は・・・これでどうだ。」


どれどれ・・・。

お。


「わかりました、ではこれで。」


これはまた・・・結構な金額じゃないか。

うん、この金額ならこの後仕事しても良いだろう。

仕方ない、頑張るとしましょうか。


お金も貰えるし、ギルドにも借りができるし。

そうだな・・・明日は休みにするか。

その分この後頑張ろう、うん。


―――――――――――――――――――――――――


「では、急で申し訳ないんですが、お願いしますね。」


「いえいえ、こちらこそ!むしろ祭り待ってたんだ。有難い話さ。・・・しかしこんな遅くまで、大変だねぇ。」


「ええ、まぁ何とか終わったんですが。」


「ありゃ、あたしの所が最後だったのかい?」


「ええ。・・・ああ、他意はありませんよ。偶々です。」


「あはは、分かってるって。じゃ、来週までに用意しとくよ!」


「すいません、お願いしますね。」


お、終わった・・・。

流石に疲れたぞ。


だが、これで参加者全員への通達は終わった。

幸運なことに、皆嫌な顔せず参加表明してくれたのは意外だったが。


資材屋とか商業ギルドへはギルドマスターが連絡するって言ってたし。

私の祭りでの仕事、これで終了だ。


だが、おかげで、もう、凄く。


―――お腹、ぺこぺこぺっこぺこ。


もしかして今、私のお腹は背中とくっついているんじゃないか?

そう錯覚するくらい腹が減った。


だが、今は深夜。

殆どの人が寝ているであろう時間だ。

・・・まぁ、さっきの奥さんはまだ営業していたんだが。


しかしこうなったら、どこかで飯を食っていかないと。

この空腹に耐えながら寝る、そんなことは私にはできない。


幸い今いるところは飲食街。

後は今の時間でもやってる店を探し、そこに突入。

美味い飯を食って家に帰るとしよう。


明日は休みだしな。


さ、店を探そう。



居酒屋。

やはりここが候補になるか。

でも酒も良いが・・・がっつり行きたいんだよな、今の気分は。


食堂。

流石にもうやってないか。


屋台。

屋台って気分でもなぁ。

こんな遅い時間に贅沢言うなって話だが。


いや、それでもどこかに私の求める店があるはずだ。

飲食街は眠らないって、誰かが言ってたし。


何か、どこか・・・おや。

「麺や テツロウ」。

どれ、ああ。


ラーメン、か。

・・・良いじゃないか、ラーメン。

深夜にがっつり、疲れた体を癒すラーメン。


うん、これだな。

この時間までやってるありがたいラーメン屋、ここに今入らないでいつ入るのか。

美味いラーメンに元気貰って、疲れを吹き飛ばすとしよう。




「いらっしゃいませ。お好きなお席にどうぞ。」


店主が厨房から声をかけてくる。

やはり深夜だからか、厨房の人も少ないし給仕もいない。

しかし客もあまりいないので、それでいいんだろう。


さて、お好きなお席といわれたからには。

テーブル席でゆったりしたいと思ったが。


少し厨房から離れてるんだよな、テーブル席。

注文の時大声で呼ぶのも嫌だし・・・カウンターで良いか。


赤い一直線のカウンター、その真ん中あたりに座りまして。


お冷は・・・これか。

セルフサービス、いちいち給仕を呼ばなくていいのは助かる。


さて、何を食おうかな。

いや、ラーメンは確定だが。

とりあえずメニューを見ると。


・豚骨ラーメン


・豚骨から味噌ラーメン


・魚粉まぶし味噌ラーメン


・豚骨醤油ラーメン


・・・なるほど、この店は豚骨ラーメンが売りの店か。

となればここは基本に忠実、私も豚骨ラーメンを頼まねばなるまい。


あと・・・あったあった。

ライスメニュー。


基本的な半ライスも良いが・・・ここは。

ミニチャーシュー丼。

コイツにしよう。


豚骨ラーメンにミニチャーシュー丼、この完璧な布陣。

深夜にがっつり行きたい私、その望みを叶えてくれる。


「すいません。」


「はいよ。」




「お待たせいたしました。豚骨ラーメンとミニチャーシュー丼です。」


お、来たか。


・豚骨ラーメン

ネギ、キクラゲ、チャーシューの3種の神器を纏ったオーソドックスな豚骨ラーメン。このシンプルな感じがまた美味しそうで良いんだ・・・。


・ミニチャーシュー丼

タレをまぶした茶色いライス、その上にコロコロチャーシューがコロッと乗ってる。ミニサイズかもしれないが、美味しさはビッグサイズだろう。


では、いただきます。



さぁさぁ、今日の一杯。

お疲れさまでしたの乾杯をエールではなく豚骨ラーメンで行う私。


箸をスープに突っ込んで。

麺を引っ張り出す。


おお、細いストレート。

基本に忠実な豚骨ラーメン、私好きだぞ。


では、早速・・・。


―――うー・・・美味い。疲れた体に沁みる美味しさ。この時間に食べるラーメンの美味しさも相まって、凄く特別な感じがする。


いたって普通の、オーソドックスな豚骨ラーメンなのに。

そのオーソドックスさが、今の私に効果抜群。

沁みる、沁みるなぁ、この美味しさ・・・。


きっと今日一日頑張った私、そのご褒美なんだろう。

働いたという事実、そして限界になった私の食欲。


それらがこの基本に忠実な豚骨ラーメン、その味をとんでもなく昇華させている。


ズズッ・・・ズズッ・・・。

美味い、美味い。

麺を啜る手が止まらないぞ。


・・・よく見れば、このラーメンのネギ。

結構大きいな。

ざく切り何だろうか?


まぁでも、その大きさもまた良し。

麺が良い感じにネギを絡めとって、シャキシャキした感触が私を飽きさせない。


そしてキクラゲ。

豚骨ラーメン、そこにはやはりこいつがいないと。

このコリコリした感触、私好きなんだよな。


そしてチャーシュー。

この少しだけ厚い肉、こいつに齧り付けば。


―――うん、美味い。パクパク行けちゃうチャーシューだ。


腹が減った私、そこにこのチャーシュー一枚じゃ物足りないか?

いや、その為にもミニチャーシュー丼があるんだ。


しかしこのラーメン、これは。

替え玉、確定だな。


・・・うん、替え玉するんだし、先に麺食いきっちゃおう。

ついでにチャーシューもだ。


ずるずる、バクバク。

あっという間に麺もチャーシューも消えていく。


しかし、私の食欲はむしろどんどん活性化。

もっと食えと騒いでいる。


「すいません、替え玉1つ。」


「硬さどうしますか。」


「あー・・・じゃあ、バリカタで。」


「はいよ。」



さて、バリカタの替え玉。

メニューを見ると硬めより少し硬いらしいが。

今の私なら何喰っても美味いだろう、そう思ってバリカタにしてみた。


そしてそんなバリカタの替え玉、それを待つ間に。

このミニチャーシュー丼、これをバクバクいただきます。


箸でチャーシューを口に放り込み、すかさずタレがまぶされたライスで追いかければ・・・。


―――そこには、美味しさという名の楽園があった。ホロホロのチャーシューと甘い味付けのタレライス、手を取りあって踊っているぞ。


美味い、ミニチャーシュー丼。

凄く美味しいじゃないか。

チャーシューもライスも、全てがばっちりマッチしている。


ほろっとほどける柔らかいチャーシュー。

甘めのタレをまぶされたライス。


その2つ、シンプルなこいつらだけなのに。

一緒に食うと美味しさの足し算じゃない、掛け算のレベルで美味しい。


しみじみと美味いラーメンに対し、思い切り美味しさを伝えてくるミニチャーシュー丼。

この美味しさ、ミニじゃない、ビッグだ。


こいつは・・・ガツガツ・・・行ってしまう。

はむ、モグ。


美味い、替え玉が来る前に食べきってしまいそうだ。

・・・何気にラーメンのチャーシューと全然違う気がするのは、気のせいだろうか。


ああ、美味い。

深夜のラーメン、そのお供にふさわしい。


しかしその美味しさがずっと続くことは無く。

ペロッと平らげてしまった。


「はい、替え玉お待ち。」


お、しかし悲しむ暇もなく替え玉が到着。

良いじゃないか。



さて、この替え玉をラーメンに入れたら・・・。

机の上のこのタレを適量入れる、と。

良し、これでいいだろう。


で、器の中で麺をほぐして・・・。

ほぐれたな。


うん、良い感じじゃないか。


後は箸で麺をつかんで、いただきます。


―――ぷつぷつとした食感、こう、アルデンテの様な感じの麺。良いじゃないかバリカタ、私この硬さ好きだぞ。


そしてタレを入れたからか、少しだけさっきと味が違う。

さっきはオーソドックスな豚骨ラーメンだった。

しかし今は少し濃いめの、ガツン系豚骨ラーメンだ。


しかも麺が硬いからか。

麺にスープが、良く絡む。


麺の硬さ1つでこんなにも味が変わるのか。

ラーメンって凄くて、深いんだな。


たださっきと同じなのは。

この美味しさよ。

さっきのラーメンも美味しかったし、今のラーメンも美味しい。


ラーメンってこう、どうしてこうも疲れた体に沁みるんだろう・・・。


替え玉、頼んで大正解だ。

・・・スープ少なくなるけど、追加でもう1玉行っちゃおうかな?




「ありがとうございました。」


ああ、美味しかった。

何というか、さっきは疲労感だけだったが。


今は程よい疲労感と眠気、満足感と充実感。

それらが私の体の中に渦巻いている。


しかし、美味い飯を食うだけでこんなに元気をもらえるとは。

やはり人生に美味い飯は必要不可欠。


あとは・・・ちょっとした合間の休憩に煙草だ。

火をつけて・・・吸って、吐く。


ふぅー・・・ああ、今日は疲れたな。

きっと家に帰ったら熟睡間違いなしだ。


良し、とっとと家に帰ろう。

シャワー浴びて、そのままベッドにダイブだ。

明日は休日、じっくり休むとしよう。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。美味い飯と酒、お金があればやる気が出てくる20代。嫌いなものは意味のないサービス残業。


「麺や テツロウ」・豚骨ラーメンが売りのラーメン屋。一番人気は豚骨醤油。深夜営業は曜日によって変わる。

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