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このブリの照り焼きの、甘めの味付け。

総合5万PV行きました!ありがとうございます!


皆様のおかげです・・・!

今日は晴れ、結構しっかり太陽が出ている。

気温は少し暑い程度、まぁ過ごしやすい1日といえるだろう。


そんな中、今私が来ている場所。

住宅街の・・・ちょっと端の方。

そこにある文具屋さんだ。


何でもかなり長くここで営業している文具屋さんらしく。

ここが住宅街として栄える前にはもう営業していたらしい。


さて今日最後の営業、頑張らなければ。


確か依頼内容は・・・冷暖房の修理、だったよな。

しかもそこそこ古いタイプとの事。


古いタイプは色々と部品が多くて面倒なんだが・・・まぁ、大丈夫だろう。


さぁ、文具屋さんへ向かうとしよう。


―――――――――――――――――――――――――


「いやぁ、ありがとうございました。魔術師さん。」


「いえいえ、こちらこそ。ご指名いただきありがとうございます。」


さて、冷暖房の修理。

手間取ることもなく、かなりスムーズに終わることができた。


丁寧に使われていたらしく、故障の内容も軽い物。

魔術回路を入れ替えて刻んだらすぐに直った。


後は今後壊れそうな場所を予めメンテナンス、それで終了。


「しかし・・・相当丁寧に使ってらっしゃるんですね。修理が凄くしやすかったですよ。」


「ああ、あれね・・・。実は私が妻と結婚するときに、私の両親が買ってくれたものなんですよ。あの当時は冷暖房が凄く高いってのに、見栄張ってくれて・・・。それを思うとなんだか、ずっとしっかり使わなきゃって・・・。」


何と、そうなると20年くらい前のモデルか。

古いとは思っていたが、そこまでだとは。


「今はもう両親も墓入っちゃったし、そうなるとあの冷暖房がますます、何だか形見の様にも思えちゃって。その分丁寧に使おうって気分にね・・・。」


「そうだったんですか・・・。修理してる際にも、本当に丁寧に使われてるのが良くわかりましたよ。」


「そう言っていただけると嬉しいですねぇ。・・・あ、お茶お代わり入れてきますよ。」


「ああ、いえ、お構いなく。」


「いえいえ、遠慮せずに。」


行ってしまった。


しかし両親、か・・・。


私が昔お世話になった孤児院はもう無いしなぁ。

形見といえるものも何も無いし・・・。


そうだな、今度墓参りでも行ってみようか。

墓掃除して花刺して、酒でもぶっかければ院長も嬉しいだろう。

酒飲みで豪快、そんな人だったからな。


そん時は何人か孤児院からの知り合いも誘ってみようか。

墓参りが終わった後、皆で酒を飲むのも悪くない。


「どうも、お待たせいたしました。」


「ああ、すいません。」


おっと、ノスタルジックに浸ってしまったが。

今は仕事中なんだ。

こんな気分に浸っていると、それこそ院長に怒られてしまう。


「あ、このお茶美味しいですね。」


「お、魔術師さん。わかりますか?これ、実は私の知り合いが育ててる物で・・・。」


―――――――――――――――――――――――――


うーん、終わった。

今日も1日働きました。


とはいっても、まだ早い時間だが。

だが、何というか。

こう、温かい気持ちで仕事を終わることができた。


良いものを長く、大切に使う。

親の形見を大事にする、当たり前なそんなこと。

でも、それを実際に目の当たりにすることは中々無い。


さらに言えばあんなに古い冷暖房、それ自体が中々お目には書かれない。


しかも美味しいお茶、その仕入れ先まで聞くことができてしまった。

今度行ってみないとな。

ちょっとした小遣い稼ぎが出来そうだ。


と、そんなことばかり考えていたら。

なんでだろう、院長のあの笑顔。

渋い、けど豪快なあの笑顔を思い出してきた。


そして。


―――今、私は空腹な事に気づいた。


・・・うん、院長。

いつか墓参りに行くので待っててください。


今日は私、飯を食いに行ってきます。

さ、飲食街へ向かうとしますか。




到着、飲食街。

さーて、何を食べるとしようかな。


この前は美味いビビンバと焼肉を食ったしな。

今日はあっさり系でがっつりいける、そんなものを食べてみたい。


・・・なんか矛盾してるな、これ。

あっさりがっつりってなんだ。


いや、でもここは飲食街なんだ。

そんな料理もあるかもしれない。


歩いて探せば、きっとそんな店が見つかるはずだ。



レストラン。

うーん、コース料理か。

あっさりでもがっつりでもないな、パス。


焼肉。

がっつりの王道、焼肉。

しかしこの前食べた、今回はパス。


食堂。

うーん・・・ここはがっつり系しかなさそうだ。


さて、どうしたものか。

どうにもがっつり系の店ばかり目に入ってくる。

どこか良い店は無いものか。


いつもならこんな風になっているときに、良い店を見つけるもんだが、お。


やはり・・・見つけてしまった。

良さそうな店。


「鮮魚料理 海の鼓動」、何というか凄くカッコいい名前だ。

そしてなんといっても、魚ですよ魚。


そう、肉を食ったなら魚。

あっさり、それでいてがっつり食える料理、魚。


これはもう、ここで決定というものでしょう。

美味い魚を食べて元気をつける、良いじゃないか。


では、入店!




「いらっしゃいませ!御一人様ですか?」


「ええ。」


普通のエプロン姿に銀色のストレートロング。

眼鏡をかけて、知的なイメージの美人給仕。

こう、大人のお姉さん的な給仕だ。


・・・どうしてこうも、飲食街では美男美女ばかりなんだろう。


「ではこちらのカウンター席にどうぞ。・・・あ、後ろのハンガー、自由にお使いください。」


カウンター席の奥が座敷席か。

座敷席に座る何人かはもう酒を飲んで・・・おお、顔が赤いじゃないか。

いつから飲んでるんだろう、あの人たち。


こう、全体的に細い店だな、ここは。

まぁ、私にとっては美味しければ何でもいいんだが。


折角ハンガーがあるし、ローブをハンガーにかけて・・・。

うん、少し涼しくなった。

過ごしやすい。


席は四角くて、短い背もたれがついてるタイプ。

カウンターのテーブルは白。

何というか、居酒屋って感じ。


いや、きっと居酒屋なんだろうな。

昼からやってるってだけで。


しかし今日の私は魚料理、これをメインに食いに来た。

酒はまた今度だ。


さぁて、席に座って早速メニューを拝見だ。

・・・あれ、メニューの冊子が無い。


「すいません、メニューは・・・。」


「ああ、そこのホワイトボードを見てください。」


あ、あった、あれか。


・☆キンメダイの煮つけ


・☆ホッケの開き


・鯖の味噌煮


・サンマの開き


おお・・・並んでる並んでる。

私が食べたかった魚のメニュー、それがしっかり並んでるよ。


そしてあの☆マーク。

あれはきっと、今日のおすすめメニューだろう。

分かりやすくていいじゃないか。


お、ホワイトボードの端に。

セット可能、ライス&味噌汁、小鉢のツケモノがつくと書いてある。

今の私にとっては非常にうれしい字面だ。


さて、他のメニューは。


・☆ブリの刺身


・☆ブリの照り焼き


・うな重


お、ウナギまであるのか。

幅広い、流石は魚料理屋。


だが・・・ここは。

ブリの照り焼き、こいつの文字に凄く惹かれる。

うな重も良いが、何となく定食の方が食べたい気分。


しかもお勧めの☆マーク付きだ。

これは・・・決定。


今日はブリの照り焼き定食、こいつで勝負と行こうじゃないか。


「すいません。」


「はい。」




「お待たせいたしました。ブリの照り焼き定食です。」


おお、照り焼き、これは綺麗な照り焼きだ。


・ブリの照り焼き

大きいブリの照り焼き。その上には照り焼きのタレがしっかりと。見ただけで分かる、これは美味い照り焼きだ。


・ライス

白いライス、何とお代わり無料との事。お代わり自由、この文字は何となく幸せになる響きだ。


・味噌汁

今日はアサリの味噌汁。普通の味噌汁も良いが、魚料理には魚の味噌汁。良いじゃないか。


・小鉢のツケモノ

小鉢ながら侮れない、それがツケモノという料理。口直しに、ライスのお供に、場所を選ばない1品。


では、いただきます。



まずは、そうだな。

この逸る気持ちを抑えて、あえて味噌汁から行こうか。


この良い香りのする味噌汁、絶対に美味しいぞ。


最初にスープ、器の縁に口をつけまして・・・。


―――ズズ、あふっ、美味い!喉が鳴るこの美味しさ、貝の美味しさが味噌汁にまで溶け込んでいる!


うん、これは美味い。

この美味しさ、私の気持ちが安らぐような。

身に沁みる美味しさだ。


こう、普通の野菜や肉の味噌汁と違って。

貝の美味さ、これががっしりと味噌汁を支えている。

この味はきっと、貝がいないと味わえないだろう。


そしてもう一つ嬉しいのが。

この貝の量。


結構な量がごろごろ入ってて、具沢山をその見た目で表している。

野菜が無いから具沢山なのか、それとも汁物はすべてこの量なのか。

後者だったら凄い、毎日色んな汁物を頼んでしまいそうだ。


ああ、我慢が出来ない。

味噌汁で落ち着いた食欲が、この具沢山な貝を見て騒ぎ出してしまった。

ここは1つ、貝を箸で取りまして。


その身をガブリと、いただきましょう。


―――うん、うん、美味い。砂もしっかり抜かれてて、弾力のある歯ごたえとそこから出てくるこの旨味。


嬉しい、嬉しいぞ。

こんなに美味しい貝が、まだ味噌汁の中にゴロゴロある。

これをセットメニューで出してしまうというこの店の懐の深さ。


何と素晴らしい店なんだ・・・。


もう、汁物だけでこの店、この定食、当選確定だぞ。



さぁ、貝をある程度つついた所で。

今日のメイン、ブリの照り焼き行ってみよう。


しかしこの照り焼き、うーむ。

皿の中心にドスンと乗っていて、半端ない存在感。


しかもそれが光に当たって、照り輝いてるんだぞ。

これは魚だが、今の私にとっては金の延べ棒。

それが目の前にあるこの状況。


もう・・・食欲が興奮してきた。


早速箸を立ててみれば・・・おっほ。

ほろっとその身がほぐれたぞ。

この柔らかさ、いかん、美味そうだ。


良し、口の中へ・・・。


―――う、美味い、感動的な美味さだ。これはもう想像通り、いや想像を超える美味しさ。見た目も輝いているが、その味も輝いているぞ。


美味い、素晴らしい、マーベラス。

そんな感想しか出ない、このブリの照り焼き。

見た目で美味かったブリの照り焼き、実際に食えばそれ以上に美味しかった。


このブリ、凄く良いブリなんだろうな。

1口食べて分かる、この脂の乗り。

しかも身がしっかり締まってる。


そこにこの柔らかさ。

そして味。

これが不味いはずがない。


肉厚な見た目通り、肉厚なこの美味しさ。

しかしその身は柔らかくほぐれるという。


こんな美味いブリの照り焼き、これはもう。


ライス、行くしかないでしょう。


―――あ、ああ。ライスがブリの照り焼きの美味しさを、一身に受け止めている。美味い魚と美味いライス、これだけでもう、幸せだ。


このブリの照り焼きの、甘めの味付け。

そして濃いめのタレが、素晴らしくライスに合う。

1口食べれば2口目を誘う、美味しさの入れ食い状態。


そう、この濃いめのタレ。

これがブリにもライスにも合うんだ。

もう縦横無尽の大活躍。


タレの海、ブリが美味しさの魚群となって口の中を駆け巡る。

それをライスがなだめるが、むしろブリの興奮は高まるばかり。

その騒動が美味しさとなって、私を満足させて行く・・・。


美味い魚と美味いライス、この幸せを、ありがとう・・・!



いかん、食欲のボルテージが上がっていく。

これを抑えるためには・・・そうだ。

ツケモノ、小鉢のツケモノだ。


コイツをポリっといって落ち着くしかない。

まずは・・・このラディッシュ、ダイコンのツケモノだ。

白い見た目がこう、美しく感じる。


さ、つまんでパクっと。


―――ポリポリ美味しい、良いツケモノだ。少しある辛味がまたいいアクセント。


うん、軽い食感に確かな美味しさ。

これは間違いなく美味しいツケモノ。


きっと酒の肴にも合うぞ、このツケモノ。


こう、さっぱりと漬けられた、そんな感じのツケモノだ。


となれば、このツケモノ。

これはもう、ライスと一緒に行くしかない。


―――あ、美味しい。シンプルに美味しい。ツケモノとライス、野菜と穀物。この組み合わせだけで、ライスが一杯無くなりそうだ。


いや、このペースだとライスが持たない。

ただでさえ美味い魚があるというのに、そこにこの美味いツケモノ。


だが安心してほしい。

この店、ライスはお代わり自由。

だからここでツケモノと一緒にライスをバクバク行っても問題はない。


そういう訳でバクバク、ポリポリ・・・。


「すいません、ライスお代わりください。」


「かしこまりました。」



「お待たせいたしました、ライスのお代わりです。」


お、来たか。

ついつい思い切り食べすぎちゃったら、一瞬でライスが無くなってしまった。

でもそれも仕方ない。


美味い魚に美味いツケモノ、こいつらがいるんだから。

むしろこれを前にライス1杯で終わらせる、その方が難しいというもの。


さ、お代わりも来たし。

ここからは、思い切り食べるとしよう。


ブリの照り焼きを、箸でつついて。

そのままライスで追いかける。

そこにあるのは、確かな幸せ。


そんな合間にツケモノをポリっと。

またライスで追いかける。

ここにあるのは、確かな美味しさ。


これを堪能しながら貝の味噌汁を飲み、その貝の身を食べて。


ああ、こいつもライスに合うじゃないか。

味噌汁ライス、これも良いものだ。


美味い、美味いぞブリの照り焼き定食。

私は今、確かにあっさりがっつり、これを体験しているんじゃないのか?


食べたいものを食べたいときに食べれる幸せ、その幸せを私は今、思い切り堪能している。

素晴らしき夕食、この店に出会えた僥倖。


おっと、ライスが・・・。


「すいません、ライスもう一杯お願いします。」


「かしこまりました。」




「ありがとうございました。」


いやー、美味しかった。

そして、食いすぎた。


ライス、3杯で止めておけばよかった。

4杯はさすがに行き過ぎだよ・・・。


でも、美味しかったなぁ、ブリの照り焼き。

こう、久々に魚の定食を食べた感じがする。

あっさりがっつり、元気を確かに頂きました。


あとは、喫煙所で煙草を・・・お。

玄関の横に置いてある。

有難い限りだ。


火をつけて、吸って・・・吐く。

程よい満足感、良い余韻だ。


さて・・・帰るか。

墓参りは今度行こう。

他の奴らも誘わないとな。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。後日皆で墓参りに。その後のパーティーで酒を飲みまくり、無事二日酔い。


「鮮魚料理 海の鼓動」の給仕(女性)・店主の1人娘。綺麗なお姉さん。おっとり、知的、優しいの3つを兼ね備えている。

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[一言] 照り焼きのタレご飯はやったのだろうか・・・
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