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タコ焼き、それを食うべし食うべし。

今回少し少なめです。


チヂミ、たぶん主人公食べたことないはず。

天気は快晴、暑くもなく寒くもない、凄く過ごしやすい今日の天気。

しかし・・・私の心はどこか曇り空。


というのも今から行くお客さん、やりづらいというかなんというか・・・。

悪い人ではないんだけどなぁ。


色々気まぐれな人で、結構大変なお客さん。

まぁしっかりお金払ってくれるし、喜んでくれるのはありがたいんだが。

少しやりづらい社長さんなんだ。


とりあえず・・・頑張るとしますか。

さぁ、向かうとしよう。


―――――――――――――――――――――――――


「やぁ、どうも魔術師君。今日もよろしく頼むよ。」


「あはは・・・お手柔らかに頼みますね、社長。」


「いやいや、君ならできると思って頼んでるからね。私は。」


その期待、ありがたいんだが・・・。

頼むから無茶ぶりはやめてくれよ。


「それで、どういった内容でしょう?」


「ああ、実はね。今度この会社専用に、寮を作ろうと思ってるんだ。」


「それはまた・・・凄いですね。」


「まぁ、私の会社の大切な人員だからね。業績も大事だが、まずは社員を大切にしないと。」


おお、良い心がけ。

でもこういうの大事だよな。

ここの社長さん、無茶ぶりさえなければいい人なんだ。


「良い心がけだと思います。・・・なんか、上からですいません。」


「いやいや、その言葉だけで嬉しいよ。それで、寮を作るんだが。」


「ええ、それで?」


「中の内装を君に頼みたくて。」


「私にですか、ありがとうございます。」


それはまた、ありがたい。

寮ってことだし、結構大規模な仕事になりそうだ。


「頑張らさせていただきます。」


「うむ、よろしく頼むよ。」


「では、早速ですが・・・どんな内装に?」


「いや、特に決めてないんだ。君に頼むよ。」


「・・・え?」


おっと、そう来たか。

成程、でかい仕事で安心したと思ったら。

無茶ぶりがまた来そうだ。


「えーっと、何かこう、コンセプトとかは・・・。」


「何もない!すべて君に任せる!」


「えーっと・・・ありがたいんですが・・・。」


「大丈夫だ、予算はしっかりある。そうだな・・・強いて言えば、コンセプトとしてはリラックスできる部屋か。」


「リラックスできる部屋ですね・・・。わかりました。予算はいくらくらいでしょう。」


「えーっと、確かこの書類に・・・これだ。」


おお、この額。

結構な予算だぞ。


しかしそれだけに失敗はできないな。

準備はしっかりしないと。


「分かりました。部屋の見学や場所などは?」


「そこは大体しか決まってないんだが・・・今度来るときにはある程度案内できると思うよ。」


「分かりました。ではこっちも準備を進めておきますね。」


「うむ、頼んだ。またこちらから連絡するから。よろしく頼む。」


「ええ、任せてください。」


さーて、インテリアの工房や内装屋。

それに建築屋とも打ち合わせだ。


「あ、建築はどこに頼む予定です?できれば先に見取り図をいただきたくて。」


「ああ、それはね・・・。」


期待をしてくれているんだ、しっかりその期待に応えないとな。


―――――――――――――――――――――――――


ふぅ、やっと終わった。

インテリア工房を回ってカタログの仕入れ、あとは実際に目で商品を見る。

その後建築屋で見取り図を見せてもらって話し合い。


しかし、これ普通の魔術師の仕事じゃないよな。


・・・まぁ、私はもう半分くらい便利屋みたいなものだが。


でもおかげで、結構イメージがつかめてきた。

リラックスとも言ってたし、うん。

私のイメージにピッタリ合ってる・・・筈。


色んな店に行ってるのもあるし、うん。

このコンセプトで大丈夫だろう。


多分私の家より内装良くなるぞ。


よーし、気合を入れて頑張るか。


そうとなれば、あ、いきなり。


―――凄く、腹が減ってきた。


・・・うん、今日は歩きっぱなしだし、飯もまともに食べれてない。

そうだな、ここは飯にしよう。


美味い飯を食って、このプロジェクトを上手く成功させなければ。


そうと決まれば早速飲食街だ。




今日も絶好の美食日和。

そんな訳で到着、飲食街だ。


さて、今日は何を食べよう。


私の腹は・・・うん。

なんでも良いと言っている。

だからそれが一番困るんだよな。


しかし、此処で悩んでいても仕方ない。

私の腹は正解を出さないからな。


結局は私が歩いて正解を見つける必要がある。

さあ、店を探すとしますか。



食堂。

色々な食べ物があり、正解が多い店。

しかし混んでいる、パスだな。


焼肉。

焼肉。

この文字だけで心が躍る男、私だけじゃ無いはず。

・・・今日は貸切か、残念。


レストラン。

コース料理のみ、か。

コース料理って、何となく1人だと難しいよな。

パス。


さて、こうなると候補は。

屋台や居酒屋になるんだが。


居酒屋は行ったし、此処は屋台にするか。

幸い今日は暑くも寒くも無い。

雨も降って無いし、屋台で決まりだな。


後はどの屋台にするか、それだけだ。




「いらっしゃい!好きな席にどうぞ!」


元気の良い大将。

これは・・・私の中でこの店の当たり指数が上昇した。


小さい、それこそ3人程座ったら埋まる客席。

外にテーブルと椅子が出してあるが。


今の所誰もいないし、大将の言葉に甘えて外のテーブル席を占領しちゃおう。

広々と食う屋台飯も良いものだ。


さて、今回入った店、「タコ焼き タコの宴」。

となれば此処はまず、看板メニューを頼む必要がある。


しかしタコ焼き、か。

何とも不思議な響き。

何となく復唱したくなる、タコ焼き。


まあ、取り敢えずタコ焼きは決定。

他のサイドメニューは・・・あ。


これはこれは。

見つけちゃったよ、エール君。

そうだな、この前は居酒屋で酒を飲んだんだ。


なら今日は屋台で酒、それも悪く無い。

寮の内装というビッグプロジェクトも進行してるんだ、ぱーっと行こうじゃないか。


良し、タコ焼きとエール、これは確定として。

後もう一品くらい欲しいな。


他のメニューは。


・お好み焼き


・焼そば


お、食べたことのあるメニュー。

候補入りだな。


他には。


・チヂミ


・・・チヂミ。

焼肉屋で偶に見るメニューだ。


そう言えばなんだかんだでチヂミ、食べてない。

良いじゃ無いか、チヂミ。


うん、決まりだ。

タコ焼き、エール、チヂミ。

コイツらで行こう。


「すいません。」


「あいよ!」


「タコ焼きとエール、チヂミをお願いします。」


「あいよ!タコ焼きはどうする?8個か16個が選べるよ!」


なんと、そうなのか。

なら此処は。


「じゃあ16個でお願いします。」


「あいよ!少し待ってな!」


あいよ、この声の何と威勢の良い事か。

大将と言えばあいよ、これは鉄板なのかも知れない。


昼から1人で屋台宴会。

楽しみだ。




「はいお待ち!タコ焼き、チヂミ、エール!タコ焼きは中熱いから気をつけてな!」


あいよからならはいお待ち、私にとっては勝利の雄叫び。

おお、美味しそうじゃないか。


・タコ焼き

小さいボール、綺麗に2列で8個ずつ。ソースがテカッてて、凄く美味しそうだ。見て!カツオ節が踊っているよ!


・チヂミ

タコ焼きと似たような色、しかしこちらは平べったい。特製のタレに付けていただきます。


・エール

ライスとは違う意味でいつでもどこでも寄り添ってくれる黄色い液体。人によっては寄り添い過ぎて二日酔い。


では、いただきます。



さあ、タコ焼き。

このボールから頂こう。


しかし、見るからに熱そうで。

そして美味しそうだ。


爪楊枝で上手く持って、お。

見た目に反して結構重い。

中身がずっしりしてる証拠だ。


良し、いただきます!


―――あっ、アツ、ハフ・・・美味い。サクっとした周りから、ふわふわの生地。そして今、プリコリのタコが私を出迎えている。


タコが潜む、美味しさの塊。

まるでこの美味しさ、タコツボの様だ。


最初に来るサクフワ感、そこからいきなり飛び出るタコの美味しさ。

タコ焼き、これは見事な美味しい料理。


この時点で今日の私の屋台飯、大正解だ。

・・・でも口の中、少し火傷してしまった。


そんなタコ焼き、コイツを語る上で外せないのは。


やはりこのソース、コイツだろう。

ソースとタコ焼き、この相性が抜群なんだ。


この大部甘めな甘辛ソース。

その甘辛さがこのタコ焼きの行く末をしっかりと導いている。


タコツボ、その外観。

食欲をそそる色、食べ応えを、美味しさがソースに含まれている。


そしてタコツボの素材。

コイツがタコ焼きの生地。


そこから中身のタコに移る訳だ。

そう考えると、ほら、このタコ焼き。

タコツボみたいな美味しさでしょ?


職人によって妥協を許さず作られたタコ焼き、これは美味い以外に言い様がない。


こんなタコ焼き、これを食っちゃうと。


こう、何かを呷りたくなるよね?



そう、エールだよ!

そこの君、大正解だ。


・・・私は何を言ってるんだろう。


ま、まあ、取り敢えず。

この美味しさ、こいつは間違いなく。


主食にもなるし、酒にも合う。


さあ、エールを持って、1人乾杯だ!


―――っく、ふぅー!堪らないこの喉越し!しっかり冷えてるエール、これを昼から飲んじゃうこの幸せよ!


しかもお供がタコ焼き、こんなに幸せな事はない!


しゅわしゅわしたこの喉越しに、タコ焼きの熱さとしっかりした味付け。

もう、ベリーグッド。


しかし、昼にこんな贅沢をしてもいいんだろうか。

いくら個人営業とは言っても・・・いや。

個人営業だからこそ堪能出来るのか。


ギルドとか入って昼に酒飲むとか、普通だったら許されない。

つまり個人営業最強、万歳。


ああ、この背徳感が堪らなくデリシャス。


キンキンに冷えたエールを片手にタコ焼き、また一つ新しい真理を見つけてしまった。



あ、そうだ。

チヂミ君、君も居たよね。


すまない、存在を忘れていた。

どうか許してくれ。


さて、このチヂミ。

箸で持って、このタレにつけるんだよな。


・・・よし、べったりと付けたぞ。


では、行ってみよう。


―――おっ、これは。カリカリなのに、どこかふわふわ。シンプルなチヂミにタレの味のしっかりさ、美味い!


しまったな、私は今までこの美味しさを逃していたのか。

今度焼肉に行ったら頼んでみないと。


タコ焼きと同じカリフワ感、これ凄く良い。

でもどこかタコ焼きとは違うんだよな。


お、良く噛んだら何となく分かる。

これ、コイツにも海鮮系が使われてるな。

少しコリコリするこの歯応え、うむ、苦しゅうない。


そして分かったぞ、私。

これ、主食にはならないが。


間違いなく、酒に合う。


チヂミを食べて、そこにエールを流し込めば!


―――くぅー、堪らん!普通のエールが至高の酒に早変わり!


美味い料理には人を元気にするだけじゃなく、酒を美味くする効果まであったとは。

これには唯々驚き。


おかげで酒が進んで、進んで・・・あ。


「すいません、エールお代わりお願いします!」


「あいよ!」


良し、エールの援軍が来た。

後は食べ進むのみ。

タコ焼きとチヂミに舌鼓だ!



タコ焼き、それを食うべし食うべし。

ああ、ハフハフ言いながら食べる私。

でもこの行動を止められない私が、確かに今ここにいる。


だってこのボールの中には、灼熱の美味さが閉じ込められているんだぞ。

しかもそこからタコがお出迎え。


そんなタコ焼きに舌鼓を打ってからの、エール!

これが、もうっ・・・たまらんのよ!


その後更に続くはチヂミ。

シンプルながら奥深い味も併せ持つ、四角く平べったい美味しさの塊。

これを食べて、またエール!


止められない、止まらない。

粉もの、それを今私は思う存分楽しんでる。


しかも外、昼から酒も相まって。

気分は最高、絶好調。


これはもう、仕事にも気合が入っていくというものだ・・・!


「すいませーん!エールお代わり―!」


「あいよ!」


だから3杯目も仕方ないんだ。




「ありがとうございました!」


あー、美味しかった。

タコ焼きとチヂミ、そして酒。

堪能させていただきました。


昼からの酒、止められない止まらない。


結局5杯も飲んでしまった。

おかげで軽く水腹だ・・・。


ここは、良し。

とりあえず煙草を取り出して・・・。


ふぅ、一服。

飯の後はこれに尽きる。


さて、家に帰ってカタログの物色と行こうか。

私のイメージに合うものがあればいいんだが。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。後日全自動タコ焼き機を作ろうか真剣に悩んだ。


「タコ焼き タコの宴」・実は主人テンセイシャの一員。この世界に来る前もタコ焼きを焼いていた。絶品。


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