麻婆豆腐は、こんな感じでストイックじゃないと・・・!
少し短めです。
泥酔状態で書いたので許してください。
ああ・・・飲みすぎた。
パーティーで年甲斐もなくはしゃぎすぎたな。
いやでも、あれはアイツが悪い。
気を使ってか知らないが、本当に高い酒ばかり注ぎに来た。
しかも度数の高いやつ。
「俺も飲むから!」じゃないよ・・・よく考えたらアイツ、凄いザルじゃないか。
調子に乗って飲みすぎるんじゃなかった。
まぁでも、高くておいしい酒、いっぱい堪能した。
後は今日も起きて、仕事を頑張るだけだ。
だけなんだが・・・頭が重い。
そして私の体が起きようとしない。
うぐぐ・・・動け、私の体よ。
何とか頑張れ、美味い酒を飲んだだろう。
さぁ、今日も働くんだ・・・。
―――――――――――――――――――――――――
「やぁ、魔術師さん。よく来てくれた。」
「どうも。先生。」
「・・・何だか顔色が悪いが、大丈夫かい。」
「ええ。お気になさらず・・・。」
あの後頑張って起きたが。
シャワーを浴びても顔色は戻っていないようだ。
さて、今日来た仕事先。
それはマッサージ屋だ。
ここの先生の腕は評判が良く、色々な人が訪れるらしい。
そんなマッサージ屋、そこでの今日の仕事だが・・・。
「こちらがマッサージベッドの一覧になりますね。」
「おお、ありがとう。どれどれ・・・。」
マッサージベッド、その販売だ。
というのも最近ここのマッサージベッド、ガタが来ているんだ。
前に修理依頼をもらって修理した際、魔術回路、また素材の耐久性がかなりギリギリ。
これを完全に治すなら新しいものを購入した方が良いとの話で、今日来訪した訳だ。
とはいってもマッサージベッド。
ベッド自体の用意は簡単だが、加工が結構大変なんだよな。
折り畳み機能等の利便性も考慮しないといけないし。
「おお、色々あるねぇ。」
「ええ。とはいっても全部加工前ですが。」
「うーん、どれにしようか・・・。お、これ良さそうだな。」
「そちら最近人気みたいですね。何でもベッド部分が凄く寝やすいらしくて。」
「へぇ・・・。じゃあこれなんかは?」
「それはですね・・・。」
「いやぁ、ありがとう。加工は頼むね。」
「ええ、任せてください。来週までには納品ができると思いますので。」
ふぅ、良かった。
色々悩むこともなくスパッと決定。
しかし結構高いやつを選んだなぁ。
これは私も、加工を頑張らないと・・・!
「では、これで失礼します。」
「ああ、ありがとう魔術師さん。納品の際は是非頼むよ。」
「ええ、もちろん。では。」
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さて、仕事も無事終了。
今日はこれ以外の予定は入っていない。
というのも昨日のパーティー。
あそこで酒を飲むだろう、そういう理由もありあまりこの日に仕事を入れなかったんだ。
だから後はこのまま帰って、寝るのも良いんだが・・・。
―――その前に、飯を食いに行こう。
二日酔いで少し体調が悪い、そんな今だからこそ。
美味い飯から元気をもらう、これもありなのかもしれない。
それに少し小腹も空いてる。
うん、飯だ飯。
・・・二日酔いでも腹が減るとは、私の食欲はとんでもないな。
という訳でやってきました飲食街。
二日酔いのこの体、それを受け入れてくれる料理はあるんだろうか。
いや、逆か。
二日酔いの体でも受け入れれる料理か。
まぁ美味けりゃ何でも受け入れるんだろうが。
さて、何を食べようか。
ガツン系で元気を取り戻すもありだが。
うーん、中々候補は出てこない・・・。
となれば、やっぱり歩くか。
美味い飯の為だ、二日酔いの体にムチ打ち店を探そう。
ピザ屋。
うーん・・・パスだな。
食堂。
ここは・・・混んでる。
パスだ。
レストラン。
ここに至っては並んでるよ。
残念ながらパスだ。
うーん、どうしよう。
二日酔いの私が入るべき店は・・・あ。
何、「中華料理 センダイ」か。
中華・・・そうだな。
私の今弱った体。
これを中華料理で持ち直す。
何とも良いじゃないか。
良し、今日は此処、中華料理で体の立て直しと行こうじゃないか。
決めた、入店!
たのもー!
「いらっしゃいませ。おひとり様でしょうか?」
「ええ。」
「失礼いたしました。お席までご案内いたします。」
おお、これはまた丁寧な男性の給仕。
しかもイケメン。
・・・女性客には、さぞかしモテるんだろう。
さて、そんな中案内されたのは・・・カウンター席。
いかにも町中華の様な、赤いカウンター。
そして背もたれの無い丸い席。
いいぞ、私の中の期待度がどんどん上がっていく。
こういう町中華にこそ、私の求める味があるんだ。
さて、中華といえば。
私がほとんどの場合で食べている、麻婆豆腐。
コイツにいつも気合を入れてもらっているわけだが・・・。
お、あった。
麻婆豆腐。
しかも極みがある。
麻婆豆腐極み、いいじゃないか。
二日酔いの私の体、そこにびしっと気合を入れてくれそうだ。
あとはライスと・・・そうだな。
サイドメニューでも1つ頼んで置こうか。
麻婆豆腐、その一色に染まった頭。
何故かは知らないが、辛いものに妙に惹かれる私がいる。
さーて、何にしようかな・・・。
「お待たせ致しました。麻婆豆腐極み、セットのライス、水餃子になります。麻婆豆腐はお熱いのでお気をつけください。」
おお、勇んで頼んだはいいが。
イメージの数倍熱くて辛そうだ。
二日酔いの状態でこれを食べる、うーむ、デンジャラス。
・麻婆豆腐極み
グツグツ言ってる石窯麻婆豆腐。この刺激的な香りがもう、危険が危ない。しかし、そこに何故か惹かれる私がいる。
・ライス
麻婆豆腐のお供に採用。辛さを和らげてくれる…はず。
・水餃子
今回の食事、そのオアシスと言えるだろう。モチモチそうな皮、スープの良い香り、中々美味そうじゃないか。
では、いただきます・・・!
先ずは・・・この麻婆豆腐極み。
ではなく、水餃子から行こう。
辛さで水餃子の味が分からなくなっては申し訳ない。
おお、橋で待てば分かる。
こいつ、モチモチしやがって・・・!
美味そうじゃないか。
さあ、箸でもって、と。
―――モチモチのモッチモチ。圧倒的な皮からの美味い種が弾けてる。これは良い水餃子だ。
美味い、美味いぞ。
この優しい味が二日酔いの身に染みる。
あー、しみじみと美味い…。
このモチモチの皮。
こいつ、噛めば噛むほど楽しくなってくる。
モチモチ感、これぞ水餃子だよな。
そしてモチモチ感、コイツを楽しんだ後。
いきなりグッとくるこの旨味よ。
水餃子の種、味がぎっちり詰まってる。
焼き餃子にも負けないこの美味さ、そして水餃子ならではの優しさ。
ああ、二日酔いが、美味い飯に駆逐されていく・・・!
そんな水餃子、忘れてはいけないのが。
この、スープよ。
水餃子の旨味の素、それが詰まっているだろうこのスープ。
これを飲んで初めて水餃子を味わい尽くしたと言えるだろう。
スプーンで、一口掬えば…。
―――あー、染みる、身に染みる。スポンジの様に私の体がこのスープを吸い込んでいく。
最早これは・・・命の水。
私という生命、それの繁栄を願うかの様な、この深みのある味。
体に染み渡るこの味、スープ、本当に素晴らしい。
この味を水餃子が吸い込んでるんだもんな、そりゃ美味いわけだ。
しかし、これを味わってからの麻婆豆腐か。
少し怖い気がするが・・・ええい。
男は度胸だ。
さぁ、麻婆豆腐を掬って。
いざ、いざ!
―――あっつ、ハフ、美味い・・・あ、辛い!!!辛さが遅れてやってくる、けど、美味い!!!
美味い、ああ。
辛くて、美味い!!
この辛くて美味い感じ、正に麻婆豆腐。
二日酔いの私の体、そこにビシバシ響いてくる。
この辛さの中に響く美味さ、これだよこれ。
二日酔いの体に入れる、そんなことは普通想像つかない麻婆豆腐!
体調があまり良くないときに入れるこの辛さ。
しかし、その辛さこそが私の体を奮い立たせるんだ・・・!
ああ、辛さにつられて。
どんどん私の体が元気になっていくようだ・・・。
―――ハフハフ、アツ、旨辛ッ!
ああ、食べるごとにお冷が進んでいく。
そしてそのお冷がまた、二日酔いの体を整えてくれるんだ・・・!
そして、そんな辛い物を食べつつ飲む、この水!
辛いもの、それを食ったときのこの冷たい水。
刺激性があるのに、どこか病みつきになる。
痺れるような辛さ、それが水を飲んでいても来る。
この感覚がこう、たまらないんだよな。
そして水を飲んだら。
また麻婆豆腐へ戻る私。
ああ、ひき肉美味し。
そして辛し。
豆腐の柔らかな感じ、この辛さとはミスマッチ。
でもそれが良い、食べれば食べるほど汗をかくこの麻婆豆腐。
ああ、汗をかくたび、二日酔いの不調が。
私の悪い体調が、汗と一緒に流れ落ちていくようだ。
この地獄のような辛さ。
そこに確かにある、天国の様な美味さ。
これだよこれ。
麻婆豆腐は、こんな感じでストイックじゃないと・・・!
食べてる人に勝負を仕掛けてくるような、この辛さ。
そしてそれを引き立てるこの熱さ。
これが麻婆豆腐、これぞ麻婆豆腐。
そんな麻婆豆腐、こいつを美味しく食べるためにも。
やはりライスの存在、これは忘れてはいけないだろう。
麻婆にライス、この組み合わせは鉄板。
辛いものを抑えつつ、その美味さを口の中へ伝えてくれる、ライスの働き。
これを忘れちゃいけないでしょう。
という訳で、いざ・・・。
―――辛い、けど・・・美味い!麻婆ライス、やはり正解。引き立つ辛さの中、ライスがその辛さの美味さを強調してくれている。この美味さ、バクバクいけそうな感じだ。
これだよこれ。
この辛さ、そして美味しさ。
ライスに合わないはずがないと思ってはいたが、正にその予想通り。
ライスに抜群、この辛さ。
熱いのに食べれば食べるほど、辛くて美味しいコンビネーションだ。
何だろう、この爽やかさ。
辛いのに、食べるとこう、不思議な爽やかさがある。
麻婆ライス、この辛さと旨味。
私はもう、この美味しさに病みつきだ。
辛さ、それにより。
汗が噴き出すたび、一段とこの美味しさに魅了されていくような。
脳がスプーンの動きを止めることを拒否している、おそるべしこの麻婆ライス。
このビシバシ来る辛さ。
いつの間にか私はこの辛さに魅了されたようだ・・・。
ああ、どんどんとスプーンは進んでいく。
辛い、辛いと思いながらも手は止まらず。
ライスと麻婆豆腐、そのコンビネーションが私を打ちのめしていく。
水餃子、こいつを先に食べて正解だったな。
今の私は辛さと美味さが重なり合い、水餃子の美味しさをしっかり確認できなかったかもしれない。
しかし、ああ。
やはり麻婆豆腐、この辛さと美味さ。
色々な麻婆豆腐を食べたつもりでいたが、毎回食べると思う、この辛さと美味さ。
毎回この辛さと美味しさに驚きながら、スプーンが止まらなくなるんだ・・・。
麻婆豆腐、辛くて美味いんだが。
店によってまたその美味しさが違うからたまらない。
ああ、麻婆豆腐にライス、この繰り返し。
止められない、止まらない。
辛いのに、ああ、本当に辛いのに。
この美味しさの前に、止められないんだ・・・!
「ありがとうございました。」
ああ、辛かった。
そして、美味しかった。
しかし、こう。
辛さと美味さのおかげ、そして汗をかいたおかげで。
二日酔いの怠い感じ、すっかり吹き飛んでいる。
やはり美味い飯にもらう元気、これは大事なんだな。
さて、辛い麻婆豆腐を食べた後。
その後の煙草の一服・・・。
ふぅ・・・。
良い余韻だ。
さて、家に帰るかな。
今日は早めに寝て、しっかり体を癒すとしよう。
美味い飯に貰った元気、それを体の治癒に充てるんだ。
願わくば、次も美味い店に会えるように。
主人公(男)・魔術師。辛さで二日酔いを吹き飛ばす、気合の男。
マッサージの先生(男)・結構古い付き合い。マッサージの腕が良く、老若男女問わず色々な客が来る。