表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/235

そしてまたハヤシライス、ローストビーフ。

徹夜で書いたのでおかしい部分多々あるかもしれません。

あー、暑い。

昨日天気は快晴とか言ってたら、今日は猛暑日だよ。

誰だ変なフラグ立てた奴は。


・・・私か。


「アイスクリーム、どうだい!冷えてるよー!」


おお、屋台の兄さん。

暑い中腕まくりして、頭にタオル巻きながら。

アイスクリームを売っている。


冷たいものを売る本人が汗だくってどうなんだろう。

いや、そんなことはどうでもいい。


とっとと今日の依頼先、カジノへ向かうか。

少し早いが大丈夫だろう。


―――――――――――――――――――――――――


「どうもどうも、魔術師さん。お久しぶりでございますな。」


「どうも、オーナー。ご無沙汰してます。」


あー、カジノ涼しい。

暑い中歩いてきたから尚の事。

この涼しさが気持ち良い。


しかしカジノ、本当に久しぶりに来た。

私基本ギャンブルしないからな。


「それで魔術師さん、早速なんですが・・・。」


「ええ、こちらがカタログになります。中でもお勧めなものは付箋を貼っておきましたので。」


「おお、ありがたい。ではでは拝見させていただきます・・・。」


・・・相変わらず、裕福が良いというか、このオーナー。

前あった時よりもこう、少しふくよかになられた?


ふくよかなカジノのオーナー。

その字面だけ見るとこう、あまり良い印象を抱かない人も多いかもしれない。


だがこのカジノ、そしてこのオーナー。

この街への福祉や教会への寄付額が断トツなのだ。

そのおかげでこの街の道路や細かな整備が行き届いてる。


そういう理由もあり、孤児院などでは凄く人気。

見た目怪しいおっさんなのに・・・おっと。

これは失礼。


人は見かけによらないんだ。


「おお、これはどれも魅力的で・・・フフフ。」


「ええ、私もお勧めの椅子、絞るのに苦労しました。」


そんなオーナー、今回の依頼。

それは新しい椅子が欲しいというもの。

しかもその椅子に加工をしてほしいとの事だ。


具体的にはリクライニング機能等だな。

ただ性能はもちろんの事、見た目にもこだわらないといけない。


「あーでも、もう少し価格を出せばこの椅子が買えるのか・・・。」


「あ、そちらの椅子なら加工も可能ですよ。」


というか高いだけあって頑丈で、加工がしやすい。

できればそれを選んでもらえれば・・・。


「あ、この椅子は・・・どうですか?」


「それは申し訳ないんですが、加工に耐え切れないかと・・・。」


「そうですか・・・すいませんな、悩んでしまって。」


「いえいえ、私もこの後何もないので。しっかり選んでいただければ。」


「ありがとうございます。ではお言葉に甘えるとしますか。」




「うーむ、これも良さそうで・・・いやこっちも・・・。」


「・・・。」


「あ、これも良いな・・・。」


「・・・。」


この後、確かに予定はないが。

もう3時間、経ってますよ、オーナー・・・。


「あ、すいませんな魔術師さん。いざ見ると中々決められなくて・・・。」


「いえいえ大丈夫です。・・・ですが、もしよければ今日カタログ置いていきましょうか?私がいるせいで急かすのも申し訳ないですし・・・。」


「そうですか?ではお言葉に甘えさせていただきます。」


「わかりました。明日か明後日にでもお伺いしますね。」


「すいませんな、お時間を取らせてしまって・・・。」


「いえ、大丈夫です。では失礼しますね。」


―――――――――――――――――――――――――


あー、外あっつ。

暑い暑い、猛暑日だな。

冷房が効いてるカジノから出てきたら、尚更この暑さがきつい。


ああ、歩いてるだけで肌を突き刺すこの暑さ。

これに対抗するには、もう。


―――美味い飯、これで元気を出さないと。


暑くても、それこそ寒くても。

どっちにしても腹は減る。


ならこんな時こそ、美味い飯を食わないと。

それで元気を出して、明日につなげるんだ。


さ、汗だくになる前にさっさと向かおう。




毎度の如く飲食街。

最近の私、本当に外食ばっかりだな。


まぁ、それができる程度の稼ぎはあるからいいんだが。

しっかり稼いでしっかり食う、これが社会人には大切。

美味い飯から力強い元気をもらわなきゃ。


つまり私は社会人として正しい、そう思っておこう。


と、そんな事はどうでもいいんだ。

私の食う飯、それを見つけないと。

この突き刺す様な暑さがまた、私の体力を奪っていく・・・。


だが、今日は何を食べようか。

昨日魚食べたし、メロンも食べた。

あのサンマとメロン、美味しかったなあ・・・。


いかんいかん、また考えが変な方向に。

ここはあれだ。

結局の所歩いて探す、いつも通りで行こう。


早く見つけないと、汗だくと空腹で倒れそうだ。


カフェ。

うーむ、軽食って気分でもないんだよな。

パス。


居酒屋。

ランチ・・・やってないな。


レストラン。

レストラン、か。

・・・ありだな。

最近なんだかんだで行って無かったし。


しかもなんと言ってもここ、すぐ入れそうだ。

すぐに座れて注文できる、これ私の中で重要事項。


どんな料理があるかは知らないが・・・まぁ、お洒落で少なめな料理だったら数を食えば良い。

「レストラン フクロウの止まり木」、ここに決定だ。




「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」


お、最近ぶっきらぼうな大将ばかりだったから、美人な給仕はドキッと来る。

やはり美人に接客された方が、男としては少し嬉しいという物。

そして冷房が良く効いてる。


小さい食堂とかだと効いてないこともあるからな。

この涼しさがあるだけで、この店を選んでよかったと思う。


「はい。」


「かしこまりました!お席までご案内します!」


さて、恐らくこの店の看板娘。

そんな給仕に案内されたのは。


「此方をお使いください♪」


何と、まさかの4人席。

広いスペースはありがたい。

窮屈な思いをしながら飯を食べなくてすむ。


しかもこの椅子。

かなり良い革を使ってるじゃないか。

机も気品がある。


1人で使えることも相まって、これはちょっとした贅沢気分だ。


そんな席が並ぶこの店。

となれば、メニューも贅沢なのかな?

今の私ならコース料理とかも全然いけるぞ。


どれどれ・・・。


・ローストビーフ


・ローストポーク


・ローストチキン


ほう、ロースト三兄弟が揃い踏み。

成る程、味に中々自信があると見た。

主食系は何があるかな?


・ペスカトーレ


・ペペロンチーノ


・アラビアータ


成る程、パスタ系か。

他には・・・。


・ハヤシライス


・カレーライス


・ミートドリア


成る程成る程。


さて、全てが魅力的に見えるが。

この中から今日の私が食べたい物、それを選ばなければ。

どれにしようかな・・・。




「お待たせ致しました!ローストビーフとハヤシライスになります!ローストビーフには此方のソースをお好みでどうぞ!」


来たか、選ばれし精鋭達よ。


・ハヤシライス

ハッシュドビーフから漂うとてつもない芳香。この香りだけで分かる、こいつとんでもなく美味いぞ。具材は牛肉のみ、このシンプルさが潔い。


・ローストビーフ

ロースト三兄弟、その中から選ばれたのはやはり王道、牛肉。この綺麗なピンク色、見た目で美味しさを訴えてくる。


では、いただきます。



さ、このハヤシライス。

香りがもう堪らんのだ。

この香りを嗅ぐだけで猛暑日の暑さも忘れるようだ。


そして嬉しい、この肉の大きさよ。

結構大ぶりなカット、これがまた嬉しい。


では早速。

スプーンで掬って、いざ・・・。


―――あ、美味い、美味いぞハヤシライス。上品なのに、どこかわんぱくというか、元気な美味しさが私に力を与えてくれる!


美味い、これは美味い。

ハヤシライス、久しぶりに食べたが美味いなぁ。


カレーとは違う、辛さの全くないルー。

そこにこう、色々な旨味が凝縮されている。

この様々な旨味、私の言葉では表現できないのが残念だ。


そんな中、私でもわかる事。

それは美味い、上品、そして。

元気が出る、この3つだ。


まずこの美味しさ。

こいつはもう、言わずもがな。

人並みな言葉で申し訳ないが、こう、コクとキレが両立してだな・・・。


・・・そう、いろんな具材。

いろんな具材が溶け込んで、美味しい!

これだこれ、これで良いんだよ、きっと。


そしてこのハヤシライス、その上品な香りよ。


空腹を刺激しつつ、それでいてどこかほう、とため息をついてしまうこの香り。

今の私、もしかして凄く上品な食事をしてるんじゃないか?


そんな上品さと美味しさ、こいつらが。

食べる私に、活力を、新たな元気を与えてくれる。


改めて思う、ルーとライス、素晴らしく相性抜群だ。


食べれば食べるほど美味しくて、また次の一口が欲しくなる。

そしてそんな次の一口。


ここでこの大きい牛肉、行ってみよう。


―――肉、上品な肉。ハッシュドビーフ、その底力が今ここに。これとライスを一緒に食える喜び、言葉では表せない。


牛肉、味がとっても染みてて。

これと一緒にライスを食べたら、もうね、凄い。

おかずであり主食、ハヤシライスのハヤシとライス。


こいつらがもう、牛肉と一緒に食べて初めて融合したというか。

ハヤシ単体とライスでも美味しいけど、この具材が入ったら真の美味しさになったというか。


あー、どういえばいいんだろう、この感じ。

誰か私の言葉を代弁してくれ。

そのくらい美味しいんだ、このハヤシライスは。


上品なのにガツガツいけるハヤシライス。

これを涼しいレストランで食べれる、この絶好のロケーション。


今度から私、猛暑日にはハヤシライス食べようかな・・・。



と、ハヤシライスばかりに夢中になってた。

忘れてないぞ、ローストビーフ。


ハヤシライスの牛とはまた別、その分厚さと色で私を魅了する肉。

こいつには確か・・・このソースか。

ええい、全部行っちゃえ。


ハヤシライスがこれだけ美味しいんだ、この肉にソース、まず間違いないだろう。


良し良し、ソースも滴る良い肉になった。

さ、いただこう。


―――おっほ、流石は自信作。肉、柔らかく、旨味、凝縮。そんな肉にこのソース、この美味しさをどう語ろうか。


いや、本当に自信作なのかどうかは知らないが。

でもロースト三兄弟、その一番上にいるんだから自信作なんだろう。


だってそう思うほど。

これ美味しい。


しっとりとして食べやすい。

噛めば噛むほど肉の旨味が染み出てくる。

極めつけはソースとの相性抜群。


こんなローストビーフ、どこにもケチをつける要素が見当たらない。

そこまでの美味しさがこの肉1枚1枚に込められている。


更に言えばこのあっさりとした風味。

この風味のおかげであら不思議、1枚、また1枚と口の中へ消えていく。


手が、脳が。

勝手にローストビーフを求めだす。


もはやこの肉とソースに洗脳されたといっても過言ではない。

皆の物、牛肉を称えよ・・・。


っと、何考えているんだ私。

暑さにいよいよやられたか?


ならば尚更このローストビーフ、こいつでスタミナをつけなければ。


そういう訳でもう1枚。

次はこのローストビーフ。

その後ろにある葉野菜で巻いていただこう。


―――あ、なんだろうこれ、新しい美味しさを見つけた。あっさりソースが野菜にピッタリ、肉にもピッタリ。


美味しい、美味しいぞ。

肉単体でも美味いのに、野菜と組んでも美味いときた。

これはもう、全方位死角なしのローストビーフ。


野菜のあっさりした感じ、そこに肉の美味さがばっちりフィット。

更にそれをソースでコーディネートしたこの美味しさ。


肉とライスならぬ肉と野菜、その真理を垣間見た気分だ・・・。



いやはや、これは。

私の食欲、そこに火が灯り始めた。


美味いハヤシライスに美味いローストビーフ。

こいつらが私の食欲を燃やし続ける。


冷房でしっかり涼んだ私の体。

しかしその内面は今、熱く燃え滾っている。


ハヤシライス、ローストビーフ。

そしてまたハヤシライス、ローストビーフ。


この繰り返し、たったそれだけで心は熱く、体は冷静になっていく。

そしてその心の熱、こいつが猛暑にも負けない新しいパワーとなって、私を突き動かしてくれるんだ・・・!


さぁ、食え、食うんだ私。

暑さを乗り切れ、美食を味わえ。

ガツガツ食らい、明日につなげろ。


上品なハヤシライスへがっつき、ローストビーフを狼の様に貪り食うんだ。

食え、食うんだ、食い進めろ。

美味い料理に、パワーをもらえ・・・!




「ありがとうございましたー!またのお越しをー!」


あー、やっぱり外は暑い。

でも何だろう、少しすっきりした気分。


飲食街に来る前よりも、今の私の体。

明らかに元気がある。


やはりこれが美味い飯のパワーという奴か。

暑いときも寒い時も、とりあえず美味い飯を食う。

これが大事なんだな。


さて、とりあえず一服・・・と思ったが。

流石にこの炎天下だ。


大人しく家に帰って涼むとしよう。


あー、シャワー浴びてエールでも飲もうかな。

きっと美味しいだろうなぁ。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。風呂上がりのエールが止められない20代。


カジノのオーナー(男)・結局椅子が決まったのは3日後だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ