というか鳥とたまご、何気に親子雑炊でもあるな。
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お暇な時間があればぜひ!
さて、今日は雨か・・・。
土砂降りじゃない、しとしととした雨。
まぁ、偶にはこんな天気も良いだろう。
そんな中、今日の私の仕事は・・・まさかの学院がらみ。
どうも元気ちゃんやクールちゃんの発言がもとで、いつもの女性教師に話が言ったらしく。
ポーションについて依頼を受けたんだが。
まだその言葉しか聞いていないため、今から学院に向かうところだ。
・・・とんでもない事言い出さないと良いが。
いや、言い出されても断ればいいのか。
頑張れ私、負けるな私。
さ、シャワーでも浴びて学院へ向かうとしますか。
「あ、魔術師さん!こんにちはっ!」
「どうも、先生。ご無沙汰してます。」
さて、いよいよご対面だ。
しかし先生、久しぶりに会ったな。
相変わらず、なんというか、あれだな。
小さいですね・・・?
「?どうかしましたか?」
「あ、いえいえ、何でも・・・。ええ・・・。」
いかんいかん、仕事なんだから余計なことは考え無いようにしないと。
「では、こちらへ。」
「ええ、失礼します。」
―――――――――――――――――――――――――
「それでですね、早速なんですが。」
「ええ。何やらポーションの事についてと伺っていますが。」
「・・・その、失礼なんですけども。」
「はい。」
「ポーションの製作工程を、こうですね、ええと・・・?」
「あ、申し訳ありませんが、ポーションの製作工程はちょっと・・・。」
「あうぅ、そうですかぁ・・・。」
流石にそれはNGだ。
多分どんな条件でもNG出すと思う。
というかポーションの作り方なら薬師ギルドにでも行けばいいんじゃないだろうか。
「ちなみに薬師ギルドには行ってないんですか?」
「行ったんですが、その・・・。私が受け持つクラスの子たちだと、中々・・・。」
ああ、なるほど。
確かにあのクラスだと難しいかもしれない。
「・・・あきらめるしかないのでは?」
「うぅ、そこをなんとかぁ・・・!」
「いや、流石に制作工程は無理ですよ。申し訳ありませんが・・・。あ、そうだ。私は無理ですが、知り合いに薬師ギルドで働いてる奴いますよ。そいつ紹介しましょうか?」
「え、本当ですか!もしかして初級の製作工程とかも・・・!?」
「まぁ、そこは交渉次第ですが。気の良いやつなので多分受けてくれると思いますよ。」
「ありがとうございます!是非お願いします!」
「わかりました。伝えておきますね。」
「助かります、魔術師さん。うぅ、本当にどうしようかと・・・。」
しかし、今の学院の生徒は薬師ギルドから教えてもらえるのか。
私が生徒の頃は自分で調べて作ったけどなぁ。
エリクサー作るの、大変だったが中々楽しかった。
っと、隙あらば自分語りは止めておこう。
「しかし、以外ですね。先生もポーションは作れるでしょう?」
「作ることはできるんですが・・・。学院の決まりで、一定のレベルの魔術師、もしくは薬師ギルドの補佐が無いと授業ができないんです。」
おお、そんな決まりになってるのか。
ますます時代の流れを感じる。
「へぇ・・・まぁ、分かりました。顔なじみには連絡しておくので、予定などが分かったらまたお伺いしますね。」
「すいません、是非お願いします。」
「では、失礼します。」
うん、この後顔なじみの所へ行っちゃうか。
明日か明後日にでもまた学院に来て打ち合わせだな。
―――――――――――――――――――――――――
ふぅ、驚いた。
まさか顔なじみ、薬師ギルドの副マスターにまで昇進していたとは。
久しぶりに会ったが、前会ったときはまだ平のギルド員だったよな?
だが、何とか学院の授業のOKはもらった。
薬師ギルドの副マスターが行うポーションの授業。
・・・凄い豪華な授業だな。
まぁ、あのクラスがそれに気づくかどうかはしらないが。
先生は間違いなく気づくだろう。
さて、そうとなれば。
そうだな、ここは。
―――飯でも食いに行くか。
今日はこれで終わりだし。
雨で少し体も冷えてる。
なら美味い料理で体を温めないと。
ああ、美味い飯を想像しただけで腹がグッと減ってきた。
早いとこ飲食街へ向かわないと。
しとしと雨が降る中、やって来ました飲食街。
今日は何を食べるかな。
雨で少し体が冷えてるし・・・。
やはり温かい料理が良いだろうか?
となると鍋やラーメン、ウドンが候補だな。
いや、ここは酒で温まるというのも悪くない。
あー、迷うな、迷い腹だ。
仕方ない、歩いて探そう、そうしよう。
食堂。
あー、混んでるな。
パス。
ウナギ。
お、いいんじゃないかと思ったが。
雨の中皆んな並んでるよ・・・パス。
レストラン。
此処に至っては準備中か。
仕方ない、パスだ。
これは、さて。
どうしたものか。
このまま彷徨い続けるのは良くない。
路上で飢えるのは一番キツいからな。
かと言って、目的の料理も無いし。
さあどうしよう。
こうやって考え続ける間にも腹はどんどん減っていく。
飢えるのが先か、店を見つけるのが先か。
このデッドレースの行き先は・・・。
「いらっしゃい。一人かい。」
「ええ。大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。好きな席にどうぞ。」
じゃあ・・・そうだな。
端っこのカウンター席に座らせてもらおう。
というかここカウンター席しかないな。
いや、奥にテーブル席もあるのか。
だが少し狭そうだ。
黒い壁に黒い椅子。
そして木でできたカウンター。
照明も明るすぎず暗すぎず。
良い感じに、こう、男心をくすぐるじゃないか。
「居酒屋 竪穴」、渋い名前に良い雰囲気の店だ。
彷徨ってた時、街角でポツンと見つけたこの居酒屋。
これは運命の出会いだと思い入ったが、良さそうな店で一安心。
と、店の雰囲気も大事だが、更に大事なのはこの店のメニューだ。
さて、何があるのかな・・・?
お、日替わりランチがある。
・トンカツ定食
・もつ煮込み定食
・牛すじ定食
今日はこの3種類か。
うーむ、定食でも良いんだが。
居酒屋に入るとこう、ね?
お酒がね、欲しくなってね?
少し冷えたこの体、そこにポーションじゃなく、酒を入れたい今日この日。
となれば・・・定食は、スルー!
酒は、あれだ。
ニホンシュの熱燗をメインに組み立てよう。
そうなれば、温かい料理。
さっき定食に合った牛すじの煮込みを組み込もう。
あとはメニューに載ってる奴をいくつか適当に・・・。
「はいお待たせ。牛筋の煮込みと地鶏のもも串、ぼんじり串。あとニホンシュ熱燗ね。」
第一陣、到着だ。
酒精の良い香りが漂ってるぞ・・・!
・牛筋の煮込み
プルプル柔らかな牛筋の煮込み。黄金色の様なこのスープもまた美しい。食べるのが楽しみだ。
・地鶏のもも串
地鶏・・・という名前の鶏肉の串焼き。炭火で焼かれてるからだろうか、結構黒い。ちなみにこの鶏肉、かなり手間暇かけた鳥の肉らしい。
・ぼんじり串
もも串とついで、ぼんじり串も頼んでみた。炭火焼の焦げ加減がまた中々良さそうだ。
・ニホンシュ熱燗
いつぞや飲んだブラックドラゴン、それを熱燗でいただく。立ち上る湯気、優しい香り、ああたまらん。
では、いただきます。
さ、まずはこの牛筋から行こうか。
おお、箸で持つと分かるじゃないの。
プルプル柔らかそうなこの筋肉。
一体どれくらい煮込んだんだろうか。
さ、一口・・・。
―――ほくほく、ほっこりするこの美味しさ。ジューシーで味染みてて、凄く美味しい。
これは、なるほど。
定食のメインメニューにもなれる、その実力が確かにある。
こう、肉が凄く柔らかい。
これだけでもう牛筋の煮込みって美味しいのに。
そこにこのスープ、こいつが良い仕事してるなぁ。
こう、ほっとする味。
それを地で行く、カントリーロードの様なそんな味だ。
しかし本当に。
この牛肉、何時間煮込んでるんだ?
牛筋って普通はこう、柔らかくても筋が少し残る様な感じなんだが。
こいつは全然筋を感じない。
なのに歯ごたえは柔らかく、跳ね返るその弾力が肉だと私に教えてくれる。
歯ごたえのある肉もいいが、柔らかい肉もまた、良い。
そしてそんな肉、そこから染み出るスープの味。
かーっ、これはもう。
酒飲むしかないでしょう。
熱燗を御猪口に注いで・・・。
おっとっと。
溢れたら勿体ない。
さ、こいつを一気に、グイっと!
―――あー、これだよこれ。体に沁みいる様な酒精の味。ふくよかな香りがまた美味しい。
美味い、ただひたすらに美味い。
少し冷えたこの体。
そこに情熱の酒が沁み込んでいく。
ああ、五臓六腑に沁みわたる。
私、病院で点滴の代わりにこれを打ちたい。
しかしブラックドラゴン。
結構いろんな店にあるんだな。
もしや有名な酒なのか?
まぁ、私に大事なのは有名かどうかじゃなく、美味しいかどうかだからな。
その点でいえばこのお酒、間違いなく美味しい。
冷で飲んでも熱燗にしても美味い酒、まさに名酒だ。
さて、こんな美味しい酒を飲んだら、酒の肴も必要というもの。
ここで飛び出る酒の肴。
それが串焼きなわけだ。
という訳でまずは地鶏の串焼き、行ってみようかね。
この黒色、今の私にとっては黒光りするキャビアにも勝る。
それくらい黒くて美味そうな串焼きだ。
こいつは串から、ガブリと行こう。
―――美味い。黒い衝撃が私の口から胃袋へ。ガツンと来る男味、これは女性でも好きな味。
いやぁ、この色、この香り。
そして食べて分かるこの弾力。
噛めば噛むほど、鶏肉特有の美味い汁が口の中で爆発する様だ。
串焼きなのにこんなに食べ応えのある鶏肉。
打てばそれ以上に響いてくる、素晴らしい地鶏の串。
ああ、炭火焼なんだろうか。
この鶏肉の香り、酒の香りにも負けないぞ。
口の中、鼻の中で酒精と大喧嘩しているようだ。
私はその光景を眺める野次馬といったところか。
と、なれば。
このついでで頼んだぼんじり串。
コイツにも期待が凄くかかる訳で。
たしかこいつ、コリコリしてるんだっけ。
まぁいいや、食べればわかる。
それに食べる前から美味いと分かってるんだ。
さ、行こう。
―――あ~、なるほど。そういう攻め口、とってもあり。コリコリからの肉汁ドバァ。
凄い、まるで脂。
美味い脂に食感をつけて食ってるかのような。
でもそこにくどさはなくて、どこか淡白な鳥の味。
脂なのにくどくなく、コリコリとした食感がある。
この字面じゃ何を食っているか全くわからんだろう。
でもそんな魅力がこのぼんじりの串焼きにはある。
淡白なのに濃厚、これはもうクセになるぞ。
「はい、続いてお待ち。茶碗蒸しとハマグリの網焼きだ。二つとも熱いから気をつけてな。」
お、串焼き食ってたら第二陣のお出ましだ。
・茶碗蒸し
何気に久しぶりに食べる茶碗蒸し。見た目はプリン、しかしその味茶碗蒸し。
・ハマグリの網焼き
シンプルにハマグリを網で焼いた料理。この大きさ、食べ応えも抜群だろう。嬉しい3個が1セット。
良し良し、食卓も温まって来た。
いただきます。
先ずは、そうだな。
ハマグリから食べちゃうか。
アツアツの内にこの美味そうなハマグリ、口の中に入れちまえ。
身を箸で離したら、良し。
さあ、いざ!
―――アツ、はふ。うんま~い・・・。焼肉にも負けない、良い焼き加減じゃないですか。
これは美味い。
プリッとした身、それを噛めば美味さがじゅわあ。
大きさもあるから食べ応えがある。
海の美味しさ、これを噛み締めながら飲める酒。
へべれけになっても仕方がない、そんな美味しさが此処にある。
そして忘れてはいけないのが。
この、貝殻に溜まった海のスープよ。
ハマグリから滲み出たスープ、そこにショウユが混ざった天然スープ。
これはもう。
グッといかなきゃ、ハマグリに申し訳ない。
―――あー、ダメダメ、こんな美味しいスープ、反則。
こんな反則技食らったらもう。
酒で追いかける、これしかない。
―――くーっ、何だか体が火照ってきた。美味い肴に美味い酒、たまらんっ!
これだよこれ。
ハマグリ、この大きさの貝だからこそ。
このスープを味わえるんだ。
小さい貝の酒蒸しとかも好きだけど、それはそれ、これはこれ。
さてさてお次、茶碗蒸しだ。
このプリンの様にプルプルした見た目。
しかしそこから除く香りは、非常にまろやかというか、優しいというか。
さぁ、そこにスプーンを突っ込んで。
いただき、ます。
―――あ、ほわほわ、ほわっほわの茶碗蒸し。美味い。心が安らぐ、大草原の様な茶わん蒸し。
しかも優しいだけじゃない。しっかりとした茶碗蒸しの美味しさが、ここにはある。
酒で酔っても、酒を飲んでいなくても。
どんな状態でもこの茶碗蒸し、絶対に美味しい。
そして掬えば、ほらほら出てくる。
黄金のプルプルした大地、そこに埋まっているお宝。
鶏肉、シュリンプまで入ってるじゃないか。
まるで今の私、トレジャーハンターの様だ。
この具材もまた、しっかり火が通ってて美味しそう。
どれどれ。
―――うん、やっぱり美味しい。この優しい味付けにきちんと具材が巻き込まれている。
この美味しさ、しっかり完成された茶碗蒸し。
そこら辺の食堂じゃ絶対に味わえない味だ。
酒のあてにも良い感じ。
・・・と、酒がもうなくなってる。
結構ハイペースで飲みすぎただろうか?
しかしこれはちょうどいい。
そろそろ〆のアイツが「はい、鳥雑炊ね。」ほら来た。
・鳥雑炊
鳥のスープにライスをドボン。そこにたまごをさらっとかけて。ああ、この香り、見た目。〆にふさわしい。
さぁ、〆の鳥雑炊。
いただきます。
スプーンでガバっと掬って。
さ、これを一口入れれば。
―――アッツっ!あ、はふ、でも美味い!これぞ出来立て、柔らかな鳥の味とライス、魅惑のコラボレーション!
あー、これだこれ。
このグッとくる、でも優しくじんわりとした美味しさ。
これを酒が入ったこの体で食べる、この幸せ。
素面でも美味しいが、酒が入ってるから尚の事美味しいんだ。
こういうのがあるから、居酒屋の飯って素晴らしい。
ああ、熱いのに2口目、3口目と進んでいく。
体が、脳が、この鳥雑炊を食べる手を止めさせてくれない。
口の中は火傷しそうなのに・・・!
というか鳥とたまご、何気に親子雑炊でもあるな。
このふわっとした卵の部分がまた美味しいんだ。
出汁をすって、茶碗蒸しにも負けない優しさがある。
いかん、他のつまみも残っているのに。
鳥雑炊を止められない。
美味い、美味いぞ鳥雑炊。
私の腹にするする入る。
・・・というか。
多分この鳥雑炊、食べきってもまだまだ入るな。
これは、うん。
お代わりタイムにでも行こうかな。
おっと、すまなかった鳥雑炊。
君を食べているときに他の事を考えるのは失礼だったね。
さぁ、どんどん食い進めるぞ。
足りないのがなんだ。
足りなかったらもう一度食えばいい。
それができる、一人飯だ。
「ありがとうございました。またのお越しをー。」
おっと、フラッと来た。
いかん、熱燗はいかんなぁ。
美味しいからと調子に乗って飲むとすぐこうだ。
しかも頭じゃなくて足に来るから尚悪いんだよな。
落ち着くためにも煙草で一服。
火をつけて・・・ふぅ。
さて、この後どうするか。
まだ日も明るいし、ここは。
2件目、行っちゃおうか。
うん、そうしよう。
熱燗を飲んだら次は冷たい酒が飲みたくなってきた。
いつものバーにでも行くとしよう。
願わくば、次も美味い店に会えるように。
主人公(男)・魔術師。二日酔いになっていつも後悔してる20代。
学院の先生(女性)・色々大きくなるように、最近牛乳を飲みだした。無駄な努力。