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初めての焼肉定食なんだ、ここは初物、ケチらず行こう。

最近焼肉回多いですね・・・?


自分で書いてて不思議。

「効果の長持ちするポーション、ですか。」


「ああ、知り合いが何とか用意できないかってな。一応市販のもあるんだが、それじゃ効果が微妙らしい。」


さて、今日の天気は曇り。

そんな中、私は冒険者ギルドに来ていた。


今回はいつもの冒険者パーティーからの依頼。

というか、元気ちゃんやクールちゃんがいるあのパーティーだな。


「え、でもポーションって結構長持ちするんじゃないんですか?」


お、元気ちゃん、最もな質問だ。

確かに普通のポーションでもかなり効果が長持ちする。


じゃないと置き薬なんでできないからな。

まぁ、確かに強力なポーションだと時間の減衰もあるといえばあるが・・・。

それでもあまり気にならないレベルだと思うんだが。


「まぁ、そうなんだがな・・・。そいつらは主にダンジョンで生計を立ててるんだわ。その分潜る時間も凄く長くてな。」


なるほど、長期で潜るパーティーか。

そりゃポーションの使用期間も気になる・・・のか?


「それでも普通のポーションで十分だとは思いますが・・・。」


「いや、それなんだがな、最長で2か月も潜るらしいんだ。」


「・・・え?2か月?」


私の聞き間違いだろうか。

2か月もダンジョンに潜るなんて、尋常じゃないぞ。


「まぁ、そんな反応するわな。そいつらは主にダンジョンの調査員でな。マッピングとか、初心者に役立つ情報とか、いろんな要素を調べ回るんだ。そんなもんだから、普通のポーションだと使用期限が切れたりとかしちまう訳よ。」


「でしたら、使用期限の長いポーションを買えばいいのでは?」


「そこが重要でな・・・実は市販で使用期限の長いポーションってやつは効果が微妙なんだわ。というかそもそも市販のものは一般人向けが多いしな。」


だから俺の所もお前に頼んでるわけだ、と冒険者。

まぁ確かに私の作るポーションは市販の物より効果は高い。

それこそ簡単な治癒ポーションですら市販の物より高いだろう。


・・・その分値段も高いが。


「成程。」


「で、できそうか?知り合いが言うには最低2か月、できれば4か月くらい。しかも効果が俺らが使ってるポーションと同程度だと嬉しいって話だが。」


「まぁ、できますよ。」


「え、できるんですか!?」


できるんですよ、元気ちゃん。


「もう、少しは大人しくしようよ・・・。」


「え、でも4か月だよ!私たちが学院で作ったのだって2週間程度だったじゃん!」


おお、その年でもう2週間レベルが作れるとは。

やはり優等生だ。


「まぁ、その分代金は高くなりますが。」


「ああ、そりゃ向こうにも確認済みだ。いくらくらいになる?」


「そうですねぇ・・・。」


恐らくこの依頼、定期的に私へ来るはずだ。

だが、それでも4か月か。

定期的とはいっても半年に1回くらいになりそうだし。


そうだな、少し高めに設定しよう。

こっちもその分高い素材を使うから御相子だ。


「まぁ、大体このくらいですかね。」


「どれ・・・おお。やっぱ結構高いな。」


「まぁ、そうでしょうね。余り需要が無いわりに結構いろいろな素材使いますので。」


「ん、分かった。この値段ならアイツらもOK出すだろ。一応俺が代理で来てるから、それで制作進めてくれ。」


「わかりました。納品は明後日くらいで大丈夫ですかね?」


「ああ、大丈夫だ。俺に渡すか・・・もし俺がいなかったら、受付嬢に言っといてくれ。」


「分かりました。」


んじゃ、早速素材買い集めますかね。


「あの・・・魔術師さん・・・。」


おや、クールちゃん。


「なんでしょう?」


「ポーション作ってるとこ、見せてくれたりは・・・?」


「無理ですね。」


「ですよね・・・はい・・・。」


家のポーションの製作法は企業秘密なんです。

すまないな、クールちゃん。


―――――――――――――――――――――――――


ふぅ、買い物がやっと終わった。

しかし今回、中々安く材料を仕入れれた。


これは嬉しい誤算だ。

安くなった分だけ私の利益が増えるからな。


それにしてもばあさんの店、本当にいろんな素材があるなぁ。

あの店で仕入れれない物無いんじゃないだろうか。


更に嬉しい誤算、なんと雑貨屋の先輩の店でセールやってた。

色んな余り物の素材との事だが今回のポーション作成に必要な物ばかり。

全て買ってしまったよ。


先輩も売れて嬉しい、私も安く買えて嬉しい。

まさにWIN-WINだ。


素材もそろったし、この調子ならすぐに作成できそうだ。


さ、後は。


―――あ、腹減ってきたな。


そういえば、今日朝飯食ってなかったな。


しかも時間は昼過ぎだし、そりゃあ腹も減る。

いかん、意識しだしたら急激に空腹感が・・・。


うん、家に帰る前に飯食っちゃおう。

とっとと飲食街へ出発だ。




さて、飲食街に到着した訳だが。

今日は何を食べようかな。


昨日は回転寿司を食べたし・・・今日は何でも良いかも。

それこそ食堂で定食、それも良いかもしれない。


まぁ結局はいつも通り歩いて店を探す訳だが。

私の食欲も何も言わないしな。


良し、さっさと店を探すとしよう。



レストラン。

おお、並んでる。

ここ美味しいのかな、チェックだけしておこう。


居酒屋。

あー、夜からの営業か。

残念無念。


ラーメン。

此処も並んでるか、驚いた。

流石に今の状態で並んでラーメンは・・・パスだな。


と、なれば。

やはりここは食堂とかが候補になるな。

迷ったら食堂、覚えておくと良い。


という訳で、食堂を探して見ると。

お、あったあった。


上りに書かれた定食の文字。

これは正しく・・・あれ。


ここ焼肉屋じゃん。


焼肉って気分じゃ無いが・・・定食があるのか。

じゃあ、此処でも良いかも?


「焼肉工房 センキ」、うん、此処でいいか。

これも何かの縁だ。

定食が無かったら諦めて一人酒飲み焼肉に走ってしまえばいい。




「いらっしゃい!一人?」


「ええ。」


「そこのテーブルにどうぞ!今は人少ないからね!」


「あ、ありがとうございます。」


それ、後から人が来たらどうするんだろう。

・・・まぁ、どうでもいいか。


取り敢えず案内された?のは四人がけのテーブル席。

真ん中に焼き台があるこの席、いかにも焼肉屋って感じがする。

いや、焼肉屋なんですけどね。


そしてこのテーブルの広さ。

一人焼肉大宴会に相応しいな。


最も今回は焼肉定食を頼むつもりだが。


しかし、あぁ~。

焼肉のこの良い香り。

いかん、一気に腹が減ってきた。


空腹にこの香りはつらい、いや、もはや罪だ。

これは早いとこ注文しないと。


さてさて、メニューは?


・カルビ


・ロース


・上カルビ


・上ロース


うん、肉のページ。

焼肉屋だからそりゃそうか。


今日求めて来たのは定食だから・・・名残惜しいけど、スルー!


あ、酒のページも・・・うぐぐ、スルーだ!


・焼肉定食


・上焼肉定食


・ホルモン定食


お、あったあった、定食のページ。

しかし定食は三種類か。


これはどうしようか。

ホルモン定食はパスとして、残り二つだが・・・良し。

決めた、上焼肉定食にしよう。


初めての焼肉定食なんだ、ここは初物、ケチらず行こう。


「注文お願いします。」


「はーい!」


女将さん、元気が良いなぁ。




「はいお待たせ!上焼肉定食ね!」


来た来た、おお、いい赤身肉じゃないの。


・上カルビ

サシが綺麗な赤身のカルビ。これはもう、見るだけで美味いのが分かる。


・上ロース

こっちもまた綺麗な赤色だ。そこにこの厚さよ、食べ応え抜群だろう。


・牛タン

分厚い牛タンまであるのか、この定食。先ずはコイツからだな。


・ライス

流石定食、ライスは付き物。この肉を前にライス無しは厳しそうだ。


・テールスープ

焼肉屋のスープと言えばテールスープ…らしい。この前顔馴染みが言ってた。良い香りが漂っている。


うーむ、充実してる焼肉定食。

では、いただきます。



先ずは肉を焼こうか。

順番に肉を網の上へ。


ジュウゥゥウー・・・!


あー、良い音。

最近鳥の焼肉を食べたが、牛は牛でまた素晴らしい音色だ。


・・・というか、考えたら最近焼肉多くないか、私。


いやでも今回は定食なんだ、だからセーフだセーフ。

それに前食べたのも鳥だし。


さて、肉を並び終えたら。

スープでも飲んで、はやる食欲を落ち着かせるか。


しかし、このテールスープ。

うっすらと白い透明の水面、そこから立ち上る湯気が。

私にある事を教えてくれる。


こいつ、絶対に美味いぞ。

だってこんなにも良い香りしてるもの。


最初はスープから行こうか。

どれどれ。


―――ああ、あったまるこの美味しさ。いや、待て。食欲が、一気に沸騰して来た様な・・・!


グツグツと煮え沸る私の食欲。

スープ、たったひと匙で此処まで私を沸らせるのか。


いやぁ、美味い。

しみじみと美味い、美味いぞ、テールスープ。


この圧倒的な奥深さ。

この味を人はコクと呼ぶのだろうか?


口当たりも凄く柔らかく。

でも、ただ柔らかいだけじゃ無くて、ピリッとした刺激もある。


そう、このテールスープに入っている胡椒、コイツがたまらん仕事をしてるんだ。

調味料、仕事出来過ぎ。


だが、テールスープはまだ終わらない。

むしろ此処から真価を発揮する、そう思う人もいるんじゃないか?


だって、ほら。

テールスープのテール肉、コイツが此処にあるんだぞ。


ちょっと小ぶりなこのテール肉を、良し。

スプーンの上に乗せたら。

後は、いただきます。


―――うっほおうん!変な言葉が出るほど美味い、テール肉!


少し癖のあるこのテール肉。

しかしその癖、私に効果抜群だ。

小ぶりなのが惜しい、美味いぞテール肉!


これはもう、私の食欲が叫んでいる。

ライスと一緒に食えと!


どれ、肉を食べてライスで追えば。


―――あー、成程ね?うんうん。もう幸せ。最高。


美味いスープが滴る美味い肉、それをライスで追っかけるんだ。

そんなの幸せに決まってるじゃないか。


いかん、焼肉定食、その焼肉をまだ食べていないのに。

もう凄く満足している私がいる。


・・・え?

食欲さんはまだまだ足りないと。

そうですか、そうですか。


それは失礼しました。



と、いう訳で。

そろそろ焼けた肉を頬張って行こうかな。


最初、エントリーナンバー1!

厚切り牛タン、行ってみよう!


おうおう、牛タンさんよ。

良い焼き跡付いてんじゃないの。


へっへっへ、私は豪快に一口で行っちゃうもんね。


さ、大きく口を開けて。


―――コリっからの肉厚ジューシー!淡白なこの塩味、手間かけて焼いた甲斐があった…!


美味い、凄く美味いぞ厚切り牛タン。

楽しい食感からの淡白かつ、ほとばしるこの美味しさ。


我慢して焼いた分、尚の事美味しい・・・!


こう、何て言えばいいのか。

タンって奥深さとかはあまり感じないのに、癖になる美味しさがあるよね。


脂がジュワァと溶ける訳でも無いのに、どうしてこうも美味いのだろう?


あー、こんな美味いタン、もう我慢できん。

ライス、タンで巻いて食べちゃおう。


―――これよこれ。タンと塩味、そこにライスが加わって。もうライス何杯でも行けそう。


これは、ハマる。

ハマってもう、抜け出せない美味しさ。

私もう片足どころじゃない、全身ズブズブにハマってる。


此処のタン、驚きの美味さだ・・・。



こんな美味しいテールスープと牛タン。

これに出会えたのは正に行幸。


と、なれば。

次はロース、肉の王様。

これを食わねば漢じゃない。


・・・異論は認めます、はい。


いやそんな事はどうでもいいんだ。

さ、タレに付けて、と。


いただきまーす。


―――お、おおう、おおおおう。肉だ、間違いなく赤身の肉だ。これぞ肉、噛み締めるたび肉の旨みが溢れ出る。


やはり、肉。

やはり、焼肉。

そこに、ロース。


この確かな肉の食べ応え、まるでステーキの様なこの赤身肉。


そうだ、これだよこれ。

これぞ焼肉、肉の王様、牛ロース。


噛むたび確かな充実感、美味い肉はこうで無くちゃ。

魔物の肉にも負けないぞと、確かな味と食べ応えで私に応えてくれる。


そこにタレ、この美味いタレ。

この甘辛い、正に焼肉の為に生まれて来たかの様な、タレ。

コイツが絡んじゃ、もうどうしようも無い。


私の食欲は延々と肉の王様に平伏すのみ。


いやしかし、本当に此処の焼肉のタレ美味しい。

タレが美味い焼肉屋は、焼肉の楽しさ、美味しさを引き上げてくれる。

タレまでしっかりこだわった焼肉屋。


そりゃ肉も美味いわけですよ。



さて、最後はこのカルビ。

焼いてる途中に肉の脂が滴って・・・。

こう、私の中の肉食獣が飛び起きる様な、そんな破壊力抜群のカルビ。


こいつをタレに付けて。

そしてライスの上でバウンドさせて。


口の中へ、いただきます!


―――おー、ほっほ。ロースにも負けないジューシーさ。噛むたび肉汁があふれ出す。いや、これは脂か?どっちでもいいか、凄く美味い。


今、私の中で。

カルビがロースと対をなす、肉の王様になった。


それくらいこの美味しさ、こいつはもう、たまらん!


ロースとはまた違った感じでタレを纏って。

でもその美味しさは凄くて。


ああ、こういう時どう表現すればいいのか、私にはわからない。


かろうじて私が分かる事、それは。

こいつ、ライスと一緒に食うと絶対に幸せだろうな。

そんな事だけだ。


なので、私は幸せを味わいに行きます。


2枚目のカルビを、タレに付けて。

口へ放り込み、追いかけライスだ!


―――美味い、ライスと肉のコラボレーション。肉が、ライスが、タレが、口の中で大騒ぎ。


余計な言葉は不要。

ただ、美味い。

それだけで十分だ。


・・・決して私のボキャブラリーが少ないわけじゃないぞ、決して。



良し、食おう。

まだまだ肉はあるんだ。

とことんまで、肉とライス、テールスープに食らいつこう。


しかし焼肉定食、こんな形の焼肉もありだな。


普通の焼肉だとどうしてもいろんな肉に目移りしがちだが。

こうやって最初から決められた肉を食う、これもまた良いものだ。


それにここの焼肉定食、結構ボリュームがあるしな。

ライスがお代わりし放題というのもまた嬉しい。


そんな訳で。


「すいません、ライスお代わりお願いします。」


「はいよ!」


お代わりし放題だとついついお代わりしちゃう。

仕方ないよね、人間だもの。




「ありがとうございました!」


あー、美味しかった。

焼肉定食、これは他の奴にも教えてやらないと。


しかし本当に、最近焼肉ばっか食べてる気がする。

・・・いや、別に良いんだけどさ。


美味いものを好きな時に食ってるだけだし。


とりあえず煙草を取り出して・・・。


火をつけて、吸う。

ふぅ~、焼肉、何となく一仕事終えた感がある。

一人焼肉だと尚更だ。


さて、家に帰るか。

肉からパワーをもらったし、パパっとポーション作っちゃおう。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。回転焼肉とか考えてたら焼肉を食う羽目になった。でも美味しかったからOKです。


「焼肉工房 センキ」・お昼のみ焼肉定食がある。夜は常連さんでにぎわう焼肉屋。

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