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私は今ホワイトソースという名の海、グラタンという名の大地を探索している。

大 遅 刻。すいません。


評価、ブクマ増えてました!ありがとうございます!

今日は・・・うーん、良い天気だな。

気温もちょうどいいし、今日は過ごしやすい1日だな。


まぁそんな中、私は家の中に籠って作業をするわけだが。

今日は加工の依頼をまとめて行うと決めたのだ。


さ、早速加工依頼の開始・・・の前に。

1杯コーヒーでも飲むとしようか。




「いらっしゃいませ・・・魔術師さん。」


「どうも。」


「豆?」


「いえ、仕事前に1杯飲もうかと。」


「毎度ありがとうございます。好きな席に座って、注文決まったら教えてね。」


さて、やってきたのは「コーヒー グラウ」。

私が家で普段飲みするコーヒーの豆もここで購入している。


家から近いし、コーヒー美味しいし。

しかもスイーツも美味い。


が、そうだな・・・。


今日はスイーツを軽食に変えて、朝ごはんの代わりにでもするか。


そうと決まれば早速メニュー。

定番どころは・・・うん。

サンドイッチやパスタだな。


だがサンドイッチは昨日食べたし、パスタを朝から行くのは少しがっつきすぎている。


他にこう、私の食指が動くようなメニューは何か・・・。

あ、ミートパイ。


これ良いじゃないか。

私の食指も縦横無尽に駆け回っている。


これだ、これにしよう。


あとはホットコーヒーでいいだろう。




「お待たせいたしました。ミートパイにホットコーヒーです。」


待ってた、待ってたぞミートパイ!


・ミートパイ

サクサクのパイ生地、そこにひき肉がぎっしり入ってる。これに齧り付くと絶対美味い、私の直感がそう告げている。


・アイスコーヒー

ミートパイ、そのお供にアイスコ―ヒー。爽やかな苦みが食欲を増進させる・・・筈。


では、いただきます。



さぁ、ミートパイ。

今までのサンドイッチとは違う、このサクサクのパイ生地。

それでいて中にはひき肉がぎっしり、これはもう期待せざるを得ない。


さぁ、思い切り齧り付こうじゃないか。


―――ひき肉の充実感、あふれ出る肉汁。このジューシーな充実感、ミートパイじゃないと味わえない。


おー、美味しい。

思い切り齧り付き、頬張って食べる。

そこには確かな肉の充実感。


頬を膨らませながら食べる私。

この味、この感触、この充実感。

きっとこれはこのミートパイでしか味わえない。


まるで、そう。

サク、ジュワァ。

まさにこれを体現しているかのような、そんなミートパイ、天晴。


やはりここの店主、コーヒーだけじゃなく料理の腕も一級品だ。

その器用さ、少し私に分けてほしい。



そんな美味しいミートパイ。

そのお供に飲むのは。

これまた美味しいアイスコーヒー。


なんだかんだ言ってここのコーヒー。

これが一番私に合ってるというか、何というか。


さ、ストローでするっと行けば。


―――爽やかであっさりな苦み、冷たさと一緒に。美味しいだけじゃなく爽快感まで感じるこのコーヒー、美味。


うん、いつも通りのコーヒー。

そしてそのいつも通りが美味しいんだ。


ミートパイで騒ぎ出してる胃袋、食欲。

それをスッと鎮火させてくれる。


そう、まるで、そうだな。

ミートパイが勇者なら、このアイスコーヒーは賢者。


よくある勇者の物語で言えばそんなところだろう。



このコーヒーにしてこのミートパイ。

この組み合わせ、有り中の有り。


サクサクパイに爽やかコーヒー。

これはもう、朝には無敵の組み合わせ。


うん、しっかり食べて、加工依頼を頑張ろうじゃないか。

ああ、サクサクのパイ、この心地よさ。

素晴らしい。


―――――――――――――――――――――――――


ん、ああ。

気づけばもう昼過ぎてた。


ミートパイを食べた後、絶好調ともいえるスピードで加工をこなしていたが。

やはり私は夢中になると、周りの事を忘れるらしい。


だがおかげで中々良い作品ばかりで来た。


とくにこの杖。

世界樹とまではいかないが、中々貴重な木材を使用したこの杖。

依頼で作成したが、中々良い出来だと自負している。


しかし、夢中になっていたからか。

それとも必然なんだろうか。


―――腹が、減ってた。


夢中になると気づかないのに、ふとした時に自覚するこの空腹感。

そして一旦自覚してしまえば、それを止める方法は無く。

何かを食うまで延々と主張してくる、この感じ。


今まさに私は、腹が減っているんだ。


うん、この空腹。

私はもう耐えられない。


行こう、飲食街へ。




到着、飲食街。

さぁ、今日は何を食べようか。


あー、しかし。

いい匂いだなぁ。


これはいかん、空腹の私にはよく効く・・・。

ああ、早いとこ店を見つけなければ。


とは言っても何を食べるか全く決まっていない現実。

とりあえず歩いて店を探そう。



食堂。

並んでる、パスだ。


焼肉。

今日はそんな気分じゃない。


居酒屋。

そもそも開いていない。


おっと、これは。

腹が減ってて何でもいい、そんなときに限っての我儘腹。

何でもいいけど気分じゃないものは嫌という、この我儘っぷり。


さてさて、そんな私の救世主になるような店は何処だろう。

ふらふらと、迷い歩いて、飲食街・・・。




「いらっしゃいませ!おひとり様ですか?」


「ええ。」


「お席にご案内しますね!」


さて、あの後迷い迷ってたどり着いたこの店。

「レストラン Antique」、中々良い雰囲気じゃないか。


給仕は銀髪の美人、しっかりとしたエプロンドレス。

ニコッと笑顔がチャームポイント。


店内は最近流行りなのか、ウッド調に白色のテーマ。

椅子、机も中々洗練されてて良いじゃないの。


案内されたのは2人用の席。

ここを1人で使えるとは。

何だか椅子や机の良さと合わせて、少し贅沢してる気分だ。


お、照明もシャンデリア。

あれ、中々高いやつだぞ・・・。


と、内装はもうどうでもいい。

今の私は空腹、腹が凄く減ってるんだ。


さて、メニューをみよう。


・・・おお、いろいろある。

レストランなのに定食があるのは珍しいな。


メンチカツ定食、ハヤシライス、凄く魅力的。

へぇ、ボルガライスなんてのもあるのか。


だが、こう、うーん。

惹かれるんだけど、ちょっとなぁ。


もっとピンとくるメニューは・・・あ、グラタン。

シーフードグラタンもある。


いいな、グラタン。

久しく食べてないような気がする。


うん、グラタン、こいつにしよう。


後もう一品欲しい所だが。

さーて、何にしようかな・・・。




「お待たせいたしました!ペスカトーレになります!」


おっと、グラタンより先にパスタが来た。


・ペスカトーレ

魚介の旨味がふんだんに詰まったパスタ。色々な魚介類がパスタと一緒に乗ってて美味しそうじゃないか。


「グラタンはもう少しお待ちください。」


「ああ、分かりました。」


ではこのパスタ、グラタンの前の一品として。

つまりは前菜として、豪快に頂いちゃおう。


では、いただきます。



さて、このペスカトーレ。

様々な魚介が入っているが。


中でも一際目立つのは、シュリンプ。

コイツだろう。


丸く丸まってパスタの合間に隠れるも。

その美味そうな外見が存在を隠しきれていないじゃないか。


・・・うん、パスタの前に、こいつを一口。


―――ホカホカシュリンプ、旨味がぎっちり詰まってる。この1尾で分かった、このパスタは絶対美味しい。


これはこれは。

シュリンプ1尾食べただけだというのに。

凄く美味しいじゃないか・・・。


シュリンプ、正にシュリンプ!て感じ。

丸まってるその姿に隠しきれないこの旨味。


では、それを踏まえてパスタの方に行ってみよう。


―――美味い、まず最初に出るのはその言葉。魚介の旨味とトマトソース、異端のコラボがここに実現!


このコラボ、凄いな。

トマトソースが魚介の旨味を完全に味方につけている。

この異端のコラボ、一体何に例えよう。


・・・ダメだ、私の貧しいボキャブラリーでは例えが全く思い浮かばない。

思い浮かぶのは美味しい、ただそれだけだ。


しかし本当に、このトマトソース凄い。

パスタにしっかり絡んで、絡んだ分だけそのまま美味しい。


具材の1つ1つもごろっとしてる。

例えばこの貝。


ムール貝とこの店の人は呼んでるらしい。

メニューにそう書いてあった。


コイツを、ええい、手で持って食べちゃえ。


―――あ、貝、貝だ。ムール貝、こいつは凄く美味い貝だ。


独特の形の貝。

その形から想像がつかないほどの美味しさ。

噛めば噛むほど旨味が出てくるじゃないか・・・!


そしてそのままパスタに戻れば。


―――貝の余韻、トマトソースを纏ったパスタにピッタリマッチ。魚介のパスタ、とってもボーノ!


うーん、これは美味しい。

グラタンの前に何か1つと思ったが、これはとっても嬉しくて美味しい誤算だったな。




「お待たせいたしました!グラタンになります!お熱いのでお気を付けください!」


おお、メインディッシュのご登場だ。


・グラタン

シーフードとかではない、普通のグラタン。具材はマカロニ、鶏肉、オニオンの3種。シンプルなグラタンだ。


でも、この普通こそ。

今の私が求めているグラタンなんだ。


さ、いただこうか。



スプーンをグラタンの中に沈みこませて・・・。

おお、この手に伝わる感触。


私は今ホワイトソースという名の海、グラタンという名の大地を探索している。


さぁ、一番最初に発見したお宝は・・・?


マカロニ、ここで来たか。

では、アツアツのこいつをそのまま口へ。


―――アッツアツハフ、はふ。あー、この美味しさ、もうたまらん!


今日私が求めていた味。

グラタンを見て、すっかりグラタン腹になった私の腹。


そこにこのマカロニが、思いっきりクリティカル。


このシンプルな美味さの、ぶっきらぼうなマカロニ。

それがホワイトソースを纏って私の口に入るもんだから、もうたまらんよ、これは。


食べる前から絶対美味しいと分かっていたが、食べて初めて分かるこの満足感。

期待通り、私の欲しいものリスト、そこをど真ん中で駆け抜けていった。


マカロニを食べた後、更にそこからスプーンで探索を進める私。

お、またマカロニを発見!


そして嬉しい、グラタンの焦げチーズ。

こいつがぐーーーーんと伸びてくる。


さっきはシンプルにホワイトソースマカロニ。

しかし今回はチーズ纏いマカロニだ!


―――ああ、こいつも美味い。美味くてアツアツ!とろけるチーズが良い味出してる!


チーズの旨味、少し焦げたことで尚更美味しくなってる気がする。

それをホワイトソース、マカロニと一緒に食えるこの幸せ。


グラタン、こいつには人を魅了する何かが詰まってるぞ。



だが、ここらへんで鶏肉やオニオンも掘り当てておきたい。

ここは1つ反対側から探索・・・いや。


浮足立っていろいろなところに穴をあけては物悲しい。

落ち着け、私は今グラタンを食べているだけなんだ。


このまま端の方から真ん中へスライドしていく。

そうすればいずれ鶏肉やオニオンとも出会えるだろう。


・・・とか言ってたら、ほら。


鶏肉とオニオン、両者のお出ましだ。


これ、見ただけで分かる。

絶対熱いやつだ。


もう湯気からその熱さが良くわかる。


でも・・・。

行くしかないよね、こんな美味しそうなの。


口の中、火傷したってかまわない。

いざ、いただきます!


―――あー、アツアツアツ、そしてウマウマ美味い!ホワイトソースと鶏肉、オニオン、全てが一体となって私の食欲へ襲い掛かる!


これは、熱くて熱くて。

そして美味しい、ごちそうだ。


ほくほくジューシーな鶏肉。

噛めばプリプリなその食感。


そしてオニオンはくたくた。

でもシャキシャキした繊維感が残ってて、食べるのがすごく楽しい。

しかもこいつ、噛めば噛むほど甘いんだ。


そんな鶏肉とオニオン。

こいつらがホワイトソースを纏えば、ほら。

もう無敵じゃないか。


ホワイトソースに鶏肉、オニオン。

たったそれだけなのに、どうしてここまで美味しいんだろうか。


いや、そりゃこの店の腕が凄いからか。

シンプルな料理をここまで美味しくするその手腕。

唯々見事、そういわざるを得ない美味しさ。


あーしまった、セットでパンをつければよかっただろうか。

そうすればこの鶏肉とオニオンと、そしてホワイトソースと。

絶対美味しい組み合わせになっただろうに。


今回はパスタ頼んだから頼まなかったんだが・・・唯一の失敗か?


・・・まぁ、このグラタン凄く美味しいし、別にいいか。

グラタンをそのままグラタンでいただく、この贅沢を味わうとしよう。



さぁスパートをかけようじゃないか。

食べ進めるうちに良い温度になるこのグラタン。


いや、私の口が熱さに慣れただけかもしれないが。

更に言えば美味しいからかもしれない。


ガツガツ、正にそんな擬音が付きそうなくらい、グラタンを食べ勧める私。

グラタンが来る前にペスカトーレは食い尽くしてしまった。


グラタンと私、そこにあるのは熱と美味さ。

そして真摯に料理に向かい合う私。


パンやライスの無い、久しぶりの1対1。

料理と私、唯々向き合い続けて、食べ続ける。


先ほどパンを頼めばよかったと思ったが。

うん、今回はこれでよかったのかも。


ただ目の前にある物を、唯々美味しいと思いながら。

延々と食べ続けれる、これもまた美食の幸せ。


美味い、グラタン、美味い。

そう、今の私にはそれだけでいいんだろう。


―――充実した、昼食だった。




「ありがとうございましたー!」


ああ、美味しかった。

久しぶりにこう、唯々何も考えず食べ勧めたような気がする。


しかし、口の中。

少し火傷しちゃったか?


まぁでもそれだけあのグラタンが美味しかったんだ。

後悔はしていない。

いや、むしろ満足感の方が強いな。


さて、煙草を一本・・・。


ふぅ、沁みる、この美味さ。

美味いものを食った後、そこでしか味わえないこの余韻。


さーて、一本吸い終わったら帰るか。

加工したものまとめないとな。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。グラタンが大好きな20代。



「レストラン Antique」の給仕(女性)・本業学生のアルバイト。本来は夜のシフト。いくつかバイトを掛け持ちしている。

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