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もはやこのリゾット、食のテーマパークだな。

ブクマが増えてました。

嬉しい、感謝、メルシー。

今日の天気は・・・雨か。

家にいる分は雨音がどこか心地いいんだが、営業の日だとどうしてもなぁ。


こう、降ってくる雨がうっとおしくなってしまう。


そう、今日はまた営業の日なんだよな・・・。


ええと、持っていく物は。


ポーションのカタログ、良し。

サンプル、良し。

名刺、良し。


営業のセットも・・・あるな。


準備もできたし、一度朝風呂にでもするか。

上がったころに雨やんでると良いんだが。




あー、べたべただ。

結局雨やまなかった。


というか朝起きた時よりひどくなってるし。


うーん、そろそろ新しいローブ買おうかな。

耐水性も少し悪くなってきたし。


ただなぁ。

良いローブ、高いんだよなぁ。


先輩の店でお手頃価格なやつ取り寄せてもらおうか?

・・・でもこの前いたずらしたばっかなんだよな。

まだ怒ってる可能性もあるな。


いやでも、流石に仕事に響かない・・・よね?


いかん、何だか怖くなってきた。


「おう魔術師。どうした、顔色悪いぞ。」


「あ、いえいえ、大丈夫ですよ、ええ。はは・・・。」


おっと、今から商談だってのに。

こんな調子でどうするんだ。


「では、今回もよろしくお願いしますね。」


「おう。」


今日の相手はこの前討伐で組んだ冒険者パーティー。

というかいつもポーションを購入してもらってるお得意さんだ。


「こちらがいつものポーションですね。」


「これか。ありがとな。」


「いえいえ。所でポーションですが・・・前に変えられましたがどうでした?味とか効果とかは・・・。」


「ああ、何も変化はないぞ。むしろ使いやすいくらいだ。」


「良かったです。あとは・・・。」


―――――――――――――――――――――――――


「・・・では、今回はこれで。」


「ああ、まぁいつも通りといえばいつも通りの結果だな。」


そう、ここまではいつも通り。

しかし今回は新しいポーションも用意してある。


「実は更に新商品がありまして。」


「お、そうなのか。」


「ええ、新商品はこちら・・・ホットポーションとクールポーションです。暑い日や寒い日にそれぞれ飲めば快適になりますよ。」


「へぇ・・・。」


「まぁ、使ってみないと分からないと思うので。こちらサンプルお渡ししますね。」


「おお、分かった。一度使ってみるわ。」


「ええ、是非。」


きっと使ってみれば分かるはずの快適さ。

何せ自分で使って試してみたからな。


特に暑い時のクールポーション。

あれはもはや一仕事後のエールにも似た爽快感があったぞ。


「では、これで失礼しますね。」


「おう、またな。」


うん、順調順調。

次の依頼先へ向かうとしよう。


―――――――――――――――――――――――――


あー、終わった。

今日は全部順調に進んだ。


しかもホットポーションにクールポーション、こいつらも良い感じにばらまけたし。

きっといくつかの取引先では注文が来ることだろう。


何せ結構な自信作だからな。


だが、順調に進んだからか。

それとも忘れていただけなのか。


―――腹が、減っている。


うん、きっと両方なんだろうな。

順調な時は時が進むのが早いんだ。


逆に嫌な事とかは時間が遅く感じたりする。

不思議だが、人間ってそうだよなぁ。


と、時間の事はどうでもいいんだ。

飯だ、飯にしよう。


そうと決まれば出発、飲食街だ!




到着、飲食街。

さぁて、今日は何を食べようか?


ああ、しかし腹が減ってる。

私の食欲よ、今日は何が食いたい?


・・・ダメだ、エネルギー切れだ。

私の食欲はいつも肝心な時に役に立たない。


うん、いつも通りだ。

歩いて店を探すとしよう。



食堂。

ここでもいいんだが、並んでるな。

焦って食うのは好きじゃないんだ、パス。


焼肉。

焼肉って気分でもないなぁ。


居酒屋。

並んではないが・・・席が埋まってるな。

相席もちょっとアレだし、パス。


レストラン。

お、レストランか。

席は・・・空いてる。


ある程度人が捌けた後なんだろうか?


まぁ何でもいいか。

席に座れて飯が食える。

ならそれでいい。


「レストラン グロッソモンド」、ここに決定だ。




「いらっしゃいませ。御一人様でしょうか?」


「ええ。」


「かしこまりました。お席までご案内します。」


これはまた、キリッとした目つきの銀髪イケメン。

どうしてこうも飲食街の従業員は美男美女が多いんだろう。


特にイケメンの給仕。

別に何か勝負しているわけでもないが、こう、負けた気になる。


さて、案内されたのは2人掛けのテーブル席。

カウンターでも別に良かったが。


まぁ、案内されたという事は此処で良いんだろう。

有難くテーブル席を広々と使わせて貰おうか。


しかしまた、最近の飲食街のレストラン。

店の中が格式高くはないんだけどお洒落というか。


リラックスできる様な格式の高さというか。

そんな内装が多いんだな。


おっと、それよりメニューだメニュー。

私は今日飯を食いに来たんだ。


さーて、なにがあるかな・・・?


・ふわふわ卵のオムライス


・熟成ビーフシチュー


・厚切りタンステーキ


おうおう、どれもこれも美味しそうな名前の物ばかりじゃないか。

これは参った、注文が迷宮入りしそうだ。


他には、どれ。


・マンドラゴラ薫るキノコのリゾット


お、これ。

何かピンときた。


キノコのリゾット、良いじゃないか。

・・・だが、これ1つじゃ足りないかもな。


もう1つ何か注文したいところだが。

ここはサイド的な物を1つ行きたい。


何かないかなーっと。




「お待たせいたしました。お先にオクトパスとオイスターのアヒージョ、セットのパンになります。お熱いのでお気を付けください。」


おお、スキレットの中にオリーブの海が・・・!


・オクトパスとオイスターのアヒージョ

オクトパス(タコ)とオイスター(牡蠣)、2大魚介がオリーブオイルでぐつぐつと。オイスターはふっくら、オクトパスはコリコリそうで、もう見た目の破壊力が凄い。


・セットのパン

破壊力の凄そうなアヒージョ、それをパンと一緒に。漬けて良し、乗せて良し。嬉しいこんがり焼き加減。


では、いただきます。



まずは・・・オイスター。

コイツから行こうか。


このふっくらプリプリの見た目。

そこからオリーブオイルとガーリックの良い香りが、また・・・!


もうこのまま齧り付きたい。

いや、もう齧り付いちゃうもんね!


―――あっ、アツッ、ウマッ、美味い!オイスターから旨味が弾ける!


うおっほほ、なんだこれ。

もう、たまらん。


オイスター、美味さの時限爆弾。

ガーリックを纏って危険な香りがしていたが、食べればやはり、大爆発。


オイスターの美味さ、ガーリックの効き加減、全て私に効果抜群。

こいつはやられた。


しかも出来立てアヒージョ、アッツアツ。

思わず口の中火傷しそうになった。


でも、止められないぞ、この美味さ。


大爆発したオイスターの美味さがまだ口の中に残ってる。


そしてスキレットから漂う、ガーリックの香ばしい香り。

嬉しいことにオイスター、ごろごろ入ってるから、また。


これはもう、2口目も行っちゃうでしょ!


―――あ、ハフッ、アッツゥ!・・・でも美味しい・・・。


おっと、パンを忘れるところだった。

オイスターがこれだけ美味しいんだ、もうパンなんかに乗せちゃったら。

美味しいのはもう決定的だ!


カリカリのパンの上に、オイスターをちょこんと。

そして大きな口で、一気に行っちゃえ!


―――いい、いいね、いいねこれ!オイスターの美味しさ、ガーリックの効き具合。これをパンが受け止めている!


うーん、合う、合うぞ!

凄く美味しい!


パンに乗っけるといえば肉やチーズだったが。

アヒージョのオイスターも凄く美味しい。

新しいパンの具、オイスター、大正解。



こうなったらもう、次の新しい具、オクトパスも食べなければ。

このぶつ切り感、私嫌いじゃないぞ。


1口サイズのこの大きさ。

果たして食べ応えは・・・?


―――オクトパスの小さい体、食べ応えは怪物級。身がもう、コリッコリ。そこに加わるガーリックの破壊力!


おー、おお。

こうなるのか、凄く美味しい。


食べ応えのあるオクトパスにインパクトのガーリック。

そりゃ美味しいのは当たり前なんだが、中々こういう組み合わせを食べることが無い。


しかし、本当に。

オクトパスがコリコリ、オリーブオイル、ガーリックとの相性抜群。

何度でも言おう。


相性が、抜群なんだ・・・!


想像してほしい。

オクトパスのぶつ切り、そこにガーリックをまぶし、オリーブオイルで煮るんだ。

ほら、もう美味しそうでしょ?


そして、そんなオクトパスを。

先ほどのオイスターの様に、パンの上へ!


オクトパスパンの完成だ。


さ、1口・・・。


―――美味い、美味いぞオクトパス。パンとの相性もばっちりだ。


これもまた、凄く美味しい。

オクトパスのコリコリ感とパンのサクサク感、これがぎっちりベストマッチ。

そこに加わるオリーブオイルとガーリック。


海の幸とパンの相性の良さ。

これを改めて知った。



・・・パンが1枚だけ、余ったな。

これ、どうしようか。


・・・。


うん、そうだな。

あれをやるしかない。


パンを半分に割って。

オリーブオイルを、べっとりと・・・!


おお、パンが綺麗なオリーブオイル色。

では、早速。


―――お、ああ、なるほど?そんな感じの美味しさになるんだ。


美味い、そりゃそうか。

パンにバターやマーガリン塗るけど、あれも油みたいなもんだよね?

私は詳しく知らないが。


ならオリーブオイルも合わない訳が無い!・・・筈。


でもこのアヒージョのオイル、これ、凄く合う。

こう、海鮮の美味しさとガーリックがしっかりパンに染み込む感じ。


うーん、アヒージョ、大満足。



「失礼します。お待たせいたしました、マンドラゴラ薫るキノコのリゾットになります。お好みでこちらのブラックペッパーをかけてお召し上がりください。」


お、メインディッシュが来た。


・マンドラゴラ薫るキノコのリゾット

お洒落なネーミングのリゾット。キノコがたっぷり、恐らくマンドラゴラも使われているんだろう。こう、濃厚ないい香りがする。


こりゃたまらん。

一旦アヒージョを横にどかして、と。


では、いただきます。



おお、とろける様なこのクリーム感。

そこにキノコが大量に潜んでいる。


ライスも良い感じに粒が残ってるじゃないか。


これはもう、一口スプーンで行っちゃおう。


―――お、おお、こう来たか!美味しい、どことなくマンドラゴラを感じて、良い。


美味い、流石メインディッシュ。

滑らかなチーズにしっかり感のあるライス。

これくらいの硬さが私は好みだ。


そして、キノコ。

このサクサクしたコリコリ感。

オクトパスとは全然違うこの感じ。


これがまた、ライスとチーズに凄く合ってて美味しいんだ。


そうやってキノコを食べていると感じるのは、独特な香り。

きっとこれがマンドラゴラの香りなんだろう。

こう、食欲を増すというか、ずっと嗅いでいたい、そんな香り。


これは確かに、マンドラゴラ薫るキノコのリゾット。


あー、チーズの滑らかさがライスにピッタリ。

チーズの味も濃すぎず、かと言って薄すぎず。


ライスにピッタリのチーズ。

そこにキノコもチーズを纏って、もう無敵の美味しさだ。



あ、そういえば。

ブラックペッパーを好みでかけて、と言っていたな。


うん、もう3分の1くらい食べてしまったし、ここでかけてみるのも悪くない。


さ、パッパッと、な。

・・・良し、これくらいでいいだろう。


あとは、実食するのみ!


―――おお、これは、新しいリゾットの概念。リゾットにブラックペッパー、意外に合うんだな・・・!


いい、良いぞ。

これは良い。


私、こっちの方が好みかも。

こう、美味しいリゾットが更にパンチ力を増したというか。

優しいパンチのリゾット、これも悪くない。


そして意外なことにマンドラゴラ。

ブラックペッパーをかけたというのにしっかり薫る。

そしてそれがまた、美味さの後押しをしてくれる。


キノコのサクサクコリコリ感。

チーズの滑らかさ、ブラックペッパーのパンチ。

ライスの程よい感触に、薫るマンドラゴラ。


もはやこのリゾット、食のテーマパークだな。


1度食べるだけで様々な美味しさがあふれてくる。



ああ、何だか食べ勧めるのがもったいなく感じてきた。

・・・まぁ、食べるんですけどね。


でもこのアヒージョ、そしてリゾット。

本当に美味しいんだ。


アヒージョ、まだアツアツ。

オイスターもオクトパスもまだ残ってるな。


ぷりっぷりのオイスターにコリコリのオクトパス。


そしてリゾット。

こちらは森の恵み、キノコとチーズ。


ああ、1つのレストラン、2つの料理で海と森を制覇してしまった。

こんな贅沢、許されるんだろうか?


私の食欲が、この贅沢を前にフリーズしている。


一口行けば、美味い。

二口行けば、更に美味い。


もはや美味いの連打、美食の猛攻。

私の食欲が延々と打ちのめされていく。


ああ、美味い、美味いなぁ・・・。




「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」


最後までピシッとしてるイケメン給仕。

銀髪でイケメン、さぞかしモテるんだろうなぁ。


いやーでも、本当に美味しかった。

リゾットにアヒージョ。

そんなお洒落な料理にあの美味さ。


そして、そんな美味い料理を食べた後。

この煙草で一服する時間がまた・・・良い。


・・・ふぅー、ああ、良い余韻だ。

良いだけに、なんちゃって。


さて、帰るか。


願わくば、次も美味い店に会えるように。


主人公(男)・魔術師。後日アヒージョに挑戦。見事スキレットが融解した。


「レストラン グロッソモンド」の給仕(男)・実は雇われのアルバイター。夜は居酒屋で働いている。銀髪イケメン。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 股のお越しって下ネタみたいで笑った ひらがなでか書くか、又って書く方が表現としては正しいのかもしれません
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