晴れの日と照り焼きチキンのハンバーガー
ブクマ増えてました、ありがとうございます!
あー、良い天気。
でも今日は結構忙しいからな。
それもこれも全て昨日が悪い。
いや、正確には昨日の私が悪いんだが。
つまり今日の私は悪くないんだが、まぁ、忙しくなってしまった。
だが、その分昨日食べた焼きウドン、唐揚げ、ライス。
凄く美味しかった・・・。
うん、美味い飯を食ったならば。
しっかりと働かねば。
少なくとも私はそうやって生きている。
さて、今日の営業先を回るとしようか。
―――――――――――――――――――――――――
「どうも、いつもお世話になってます。」
「お、魔術師か。ちょっと待ってろ。」
ようやく、本日最後の営業先。
結構疲れたが、ここで最後。
しかもここは気心の知れた昔からの取引先。
そうそう疲れるようなことは無いだろう。
「待たせたな。まぁそこ座れや。」
「ええ、失礼します。」
ちなみにここ。
結構大きい酒場だ。
ギルド風といえばいいんだろうか?
バーなどの静かな雰囲気じゃなくて、こう、冒険者たちが思い切り騒ぐための酒場。
そして奥にはステージがあって、たまに吟遊詩人や音楽隊が演奏をしている。
「それで、どうだい。調子は。」
「ええまぁ、ぼちぼちやらせてもらってます。」
「そうかい。まぁぼちぼちが一番だ。・・・ああ、なんか飲めや。こんな時間だから、俺んところで最後だろ?一杯サービスだ。」
「そうですか?でしたら・・・そうですね、無難にエールを。」
「おう、待っとれ。」
酒場でお茶やコーヒーではなく酒。
なんか前にもこんなことがあったような。
まぁ、親父さんの言う通りここで最後だし。
お言葉に甘えて飲んじゃっても大丈夫だろう。
―――――――――――――――――――――――――
「それでなぁ、娘がなぁ・・・!!」
「えええ、そうですよね、大変ですよね。」
ああ、勘弁してくれ。
勢いよくエール飲み干して、その後また飲んだかと思えば。
もうこの通り。
とんでもない泣き上戸だったなんて知らなかったよ。
というかあなた1杯目は普通でしたよね?
何だろう、いきなりアルコールが回ったのだろうか・・・。
「なぁ、分かるだろう、魔術師よぉ。」
「ええ、そうですね、大変ですね。」
本当に大変なのは私の様な気もするが。
しかしここまで見事な泣き上戸。
今時中々いないんじゃないだろうか。
じゃなくて、この状況。
誰か、私を助けてくれ・・・。
「ごめんなさいねぇ、魔術師さん。」
「ああ、いえ、はは。大丈夫ですよ、ええ。」
「もう、あの人ったら、話すだけ話してそのまま寝るなんて。後できつく言っておきますわ。」
「あはは、まぁ、お願いします。」
いや、本当に。
結局最初から最後まであの調子、商談なんて何もできなかった。
まぁ、偶にはいいけど。
古い付き合いだしな。
「では、失礼しますね。」
「ええ、本当にごめんなさいね、魔術師さん。」
さて、今日の営業は終了か。
ああ、でもこの後家で加工もしなきゃいけないんだった。
しかも思ったより時間取られたし。
こりゃのんびりはできないな。
ま、それでも。
―――今から飲食街、行くんですけどね。
美味い飯を食うにはやはり飲食街が一番。
腹も減ってるし。
というかすきっ腹に1杯とはいえエールを入れてしまった。
しかし、その感覚が何だか。
更に食欲を湧き立たせているというか。
うん、とりあえず移動しよう。
いざ、飲食街だ。
そして到着、飲食街。
ここはパパっと疲れた体を美味い飯で癒そうじゃないか。
さあて、何にするかな。
私の食欲は、うん。
今日もあてにならないな。
いや、深夜の時はあてになったか?
でもあれもガッツリ系としか言わなかったしな。
ま、いいや。
いつも通り、歩いて探しますか。
食堂。
満席か。
しょうがない、パス。
レストラン。
ここも満席?
うーむ・・・。
居酒屋。
ここ昼営業して・・・る。
けど並んでるじゃないか。
ああ、もう歩く度空腹が響いて来る。
どこか、何かないのか。
あ・・・カフェ。
カフェか。
軽食ならあるよな?
まあ無かったら仕方なし、コーヒー飲んで出ればいい。
取り敢えず何か胃に入れる為にも先ずはここにしよう。
「カフェ ア・ジタート」、ここに決定だ。
「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」
「はい。」
「失礼しました!お席までご案内します♪」
何だろう、不思議な給仕だな。
さて、2人用のテーブル席か。
少しこじんまりしたスペース、しかしクラシック調がそれをお洒落に仕立てている。
うん、いい感じに落ち着くじゃないか。
インテリアも良い物使ってる、こりゃ当たりの店かも知れんぞ。
と思ったが。
先ずはメニューを見ないと当たりかどうかは分からんな。
さてさて、どんなメニューか・・・。
うん、カフェらしく軽食、しかし。
中々気になるメニューがあるじゃないか。
照り焼きチキンハンバーガー。
更にセットでポテトとドリンク。
いかん、なんだか無性にハンバーガー、こいつに惹かれてきた。
他にもパスタとかあるというのに。
ああ、もう駄目だ、完全にハンバーガー腹になってる。
これだ、これに決定!
「お待たせ致しました!照り焼きチキンのハンバーガーとセットのポテト、アイスコーヒーになります♪」
待ってました!
・照り焼きチキンハンバーガー
ふわふわバンズ、その間に千切りキャベッジと照り焼きチキンがどどんと鎮座。しかも中々大きいじゃないか。
・フライドポテト
厚切りの三日月型ポテト。コイツも中々ボリュームがある。ハンバーガーにはポテト、これは鉄板だな。
・アイスコーヒー
選べるドリンク、ならばコーヒー。このカフェの腕前、ドリンクで見せてもらおう。
では、いただきます。
先ずはこのハンバーガー、コイツを食わなきゃ始まらない。
この燃えたぎる食欲の火、それをハンバーガーで鎮火するんだ。
おっ、見た目通り。
手に伝わる重量感、食べ応えの証拠。
さあ、齧りつこう。
―――お、いいじゃん。これは良い。しっかりしたハンバーガー、美味し。
見た目通り、いや見た目以上のこの美味しさ。
しっかり手が込んだ特性ハンバーガー、これはこれは・・・。
こう、凄く美味しいハンバーガー、私凄く好き。
ハンバーガーに齧りついた時、先ず来るのふわふわのパンズ。
このパン、ここで焼いてるんだろうか?
パンだけでもかなり美味しいぞ。
そしてシャキシャキ感の演出家、キャベッジのご登場だ。
野菜ってパンに挟むと何故か凄く美味しいよね。
そこで待ってましたの照り焼きチキンだ。
この齧りついた時の濃厚な美味さ。
噛むとしっかり肉汁がでてジューシー。
それをふわふわパンズとシャキシャキキャベッジに合わせるんだ。
もう、堪らんね。
この甘い感じの味付けも、パンとキャベッジに合っていて。
これ、癖になりそう。
シンプルにパン、野菜、肉。
そんなハンバーガーなのに、一口、もう一口と食べる手が止まらん。
シンプル、だけど果てしなく美味しいこの味。
ハンバーガーが凄く美味い、確かな手腕。
やはりこの店は当たりだった。
おっと、大丈夫。
忘れていないぞ、ポテト君。
ハンバーガーのお供、やはりそれは君しかいない。
この美味さで潤った口の中。
そこに君を放り込む。
さ、早速。
―――ほくほくポテト、良い感じの塩味と食べ応え。これがポテトの醍醐味よ。
豊かな大地の恵み、それをこのカフェで味わえるとは。
これは驚き。
凄くほくほくしたポテト。
カリカリじゃないのがまた、このハンバーガーに合ってる。
こう、久しぶりに食べる食感というか。
確かにカリッとしてるんだけど、それ以上にほくほくなんだよなぁ。
そしてそのほくほく、そこに塩味が加わると。
ほら、ね?
大地の恵み、その美味さがここに降臨するじゃないか。
ハンバーガーの相棒、酒のつまみ、美食の前菜。
何でもこなせるその万能さ。
でもハンバーガーの相棒はコイツで固定されてるような、そんな気がするのは私だけだろうか。
さて、このほくほくポテト。
やはりポテトだけあって、水分が欲しくなってくる。
そこにこのアイスコーヒー、コイツですよ。
カフェの味ともいえるコーヒー。
やはりカフェといえばコーヒー。
コイツは外せないでしょう。
では、店のバリスタよ。
その腕前を見せてもらおうか。
―――アイスコーヒー、キレ、抜群。このかすかな酸味、このコーヒーもまた美味しい。
いつも飲むコーヒーとは明らかに味が違う。
なのに、美味しい。
バリスタよ、中々の腕前をお持ちの様で。
恐らく焙煎が浅めなんだろう、この酸味。
しかしこの酸味が、また新しい味わいを私にもたらしてくれる。
それに何より、このアイスコーヒー。
このハンバーガーセットに、凄く合う。
こう、スパッと切れるこの味。
これがハンバーガーやポテトの余韻をさっぱり流す。
すると、ほら。
また新しい気分でハンバーガーやポテトを食えるわけだ。
齧り付いて、拾い上げて、飲む。
この一連の動作、その永久機関の立役者。
それこそがこのコーヒーなんだろう。
それにしてもこのコーヒー、結構気に入った。
これ、中々癖になる味だ。
いつものようにリラックスするための苦みも良いが、こういうすっきりした酸味も良い。
これは豆を買うべきか・・・?
いや、今はそんなことどうでもいいな。
まずはこの目の前にある美食。
ハンバーガー、ポテト、アイスコーヒー。
こいつらに向き合うのが礼儀というもの。
さぁ、さっぱりした口の中。
もう一度ハンバーガーに齧り付けば。
―――あ、ちょうど肉の中ほど、私の一番好きな部分。
さっぱりした口で肉のこう、好きな部分を食い当てれた。
何だかこういうの、ちょっぴり嬉しいよね。
ポテトもつまんで、うん。
この変わらない塩味、ほくほく感。
これは良いものだ。
良し、ガンガン食べ勧めよう。
私の空腹を、食欲をこのハンバーガーセットで癒すんだ。
あ、もうすぐハンバーガーが無くなる。
でももう少し食えそうだ。
ここは・・・お代わり、しちゃおうかな・・・?
「ありがとうございました♪」
いやー美味しかった。
・・・でも結局足りず、ハンバーガーをお代わりしてしまった。
そして更に、ついつい買ってしまったコーヒー豆。
グラウの店主さん、浮気してごめんなさい。
でも美味しかったんです。
そんなことを考えながら、煙草で一服。
ふぅ、煙の美味さが沁みる。
しかし、何というか。
不思議な給仕さんだったな。
こう、文字にするとたまに語尾に♪がついてそうな。
だがそれも美人だから許されるんだろう。
私の語尾に♪なんてついてたら大変なことになる。
と、いかん、変なことを考えてる場合じゃない。
とっとと帰って作業しないと。
うん、帰ろう。
願わくば、次も美味い店に会えるように。
主人公(男)・魔術師。胃もたれを回避するべく頑張って起きていたが、無事寝落ち。結果寝坊しそのまま休日に。
「カフェ ア・ジタート」の給仕(女性)・実は作曲家。作曲作業の息抜きにバイトをしている。美人。