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昼から酒と串焼き

ブクマがまた増えてた、嬉しい。

「どうも魔術師さん。」


「どうも。」


ジュエリーショップ。

最近大口依頼を受けた依頼先。

晴れの日、それも快晴と言っていいだろう。


少し早すぎたか?と思わなくもないが・・・。

まぁ、出来たらすぐに納品すると言ったし、問題はないだろう。


「早速ですが・・・もう出来たので?」


「ええ、納品に来させていただきました。」


「おお、それはありがたい!ではでは・・・。」


「ええ、こちらですね。」


お、良かった良かった。

早すぎるとか言われたらどうしようかと思っていたからな。




「しかし、本当に早くて助かりました。」


「いえいえ、私もこんなに早く終わって驚いてます。実は今回の依頼、魔道学院の方で手伝いを募集しまして。その手伝いが凄く手際が良く手ですね・・・。」


そう、本当にこんなに早く依頼が終わるとは思っていなかった。

魔道学院の根性ちゃん、もし次があれば指名依頼したいレベル。

そのくらい仕事が速くて正確、しかもミス1個も無し。


おかげで今回余った分を追加納品できた。

・・・ちなみに指輪とネックレス、1つずつ余分に上げたのは学院には内緒。

依頼主さんも笑って了承してくれたしな。


「そうだったんですか・・・。いや、ほんとに仕事が早いなとは思ってたんですが。」


「私1人では中々このスピードは難しいですよ、はは。」


「いやいや、魔術師さん1人でも結構仕事早かったでしょ?な~んて、はは。」


「あはは。」


―――――――――――――――――――――――――


「・・・しかし、今度の祭り、私達もよろしくお願いしますね。」


「ええ、是非。むしろこっちからお願いしたいくらいです。ですが・・・まだ日にちも決まっていなくて。」


「そうだったんですか?てっきりすぐに決めているものかと。」


「いやぁ、周りとの折り合いも付けないといけませんし。それに近い頻度でポンポン祭り開くのもどうかと思いまして。」


「あー・・・。まぁ、私はいいと思いますけどね。でも確かに運営側となると大変なんでしょう。」


「色々な店のリサーチも必要ですし・・・ただ、次回は前回よりも規模を大きくする予定ですよ。ですがそれに伴ってまた用意が・・・。」


ああ、そういやまだ屋台のリスト完成してないな。

いかん、早めに作らねば。

当日屋台のスペースががらんどうとかシャレにならんぞ。


「では、これで失礼しますね。」


「おっと、もうそんな時間でしたか。今日はありがとうございました、魔術師さん。」


「いえいえ、こちらこそ。また何かありましたら是非お声がけ下さい。」


さて、そうと決まれば。

祭りの準備、少しだけでもしておくか。


確か家に資料あったよな・・・。


―――――――――――――――――――――――――


おっと、もういい時間だ。

資料をまとめていたらもう昼過ぎじゃないか。


しかし、改めてみると。

前の祭り、結構な量の屋台が出店してたんだな。


これ、次回の祭りのときここから更に増やすんだろ?

収集着くかな、これ・・・。


いや、次回は警備員も増やすだろうし。

ギルドも何か考えてるだろう。


大丈夫なはず・・・だ、うん。


私は屋台と料理屋、あとはステージについてしっかりピックアップしていかないとな。


そうときまれば、後は。


―――飯を、食いに行くだけだ。


良し、今日はこれで終わりだし。

酒でも入れちゃうか。


昼酒、素晴らしい響き。


さぁ、飲食街へ向かおう。




到着、飲食街。

今日は何を食べようか。


この前ウナギ食ったが・・・もう一回ウナギでもいいな。

それくらいあのうな重は美味しかった。


いや、でも、流石に続けて食うのは無粋か?


まぁいい、いつも通りだ。

歩いて店を探すとしよう。



食堂。

うーん、何というか、気分じゃない。

パス。


レストラン。

ここもなんというか・・・違うな。


ウナギ。

ウナギ、ここにもあったのか。

名残惜しいが・・・今日は別の店だ。

パス。


さて、こうなると何の店に行こうか迷うところだが。

・・・そうだ、屋台。


快晴だし、屋台で昼飲みというのも乙な物だろう。

では、屋台を探すとするか。




「いらっしゃい!お飲み物は何にします?」


おっと、店主の先制パンチ。

しかしここでは動じない、それが一流の魔術師というもの。


「あ・・・じゃあ、エールで。」


「あいよ!」


いかん、少し動じてしまった。

まぁいいか。


さて、改めて。

こじんまりとした屋台、名前は「串焼きの店 ヨシ・オータム」。

何ともお洒落な名前だが、内装とメニューはいぶし銀。


だって、ほら。


・親鳥

・上シロ


こんな奴らがラインナップに乗ってるんだ。

そりゃいぶし銀と言いたくなるのも分かるでしょ?


さて、そんな中頼むのは・・・。


・串焼き盛り合わせ


コイツだろう。

コイツなら確実に外れはない、そんな気がする。


「すいません!」




「はいお待ち!お通しとエールです。串焼きもう少し待って下さいね。」


おお、お通しで酒飲むの、久しぶりな気がする。


・お通し

お通しという名のキャベッジ。薄い色のソースがかかっているが、果たして。


・エール

昼飲み、そうと決まればコイツでしょ。しっかり冷えてて良い感じ。


では、いただきます。



さて、お通しだが。

凄くシンプル、キャベッジにソース。

お通しはその店の看板だと個人的に思っているが、これはどうなんだろう?


まあ、食べれば分かるか。


一枚箸で摘んで、と。


―――パリッ、シャキッ、そして漂うほのかな塩味。成る程、これは良いお通し。


シンプルな見た目に反して、しっかり美味しいキャベッジ。

これは・・・見た目に騙されたな。


更にベジファーストだったか、食事で最初に野菜を食べる。

これは健康にも良いと聞いた。


一皿で二度美味しいお通し、これはもうガツガツとごろかパリパリ進む。



そしてパリパリ食べるキャベッジ、その合間に。

お供のエールが進むんだよなぁ。


―――口の中のキャベッジ農園、そこに天からエールが降り注ぐ!これだよこれ、これが昼のみの醍醐味だ!


あー、堪らんッ!


この昼から飲むという、背徳感すらあるこの行為。

エールがそれを思い切り私に伝えてくれる。


しかもお通しが美味い。

それに合わせて飲む酒、これが不味い訳あるだろうか、いや、無い。


更に言えば、音と香り。

そう、串焼きを焼いている光景。

調理場を見ながら、私が頼んだ串焼きの出来る工程を見ながらの酒。


素晴らしい・・・。

お、焼きあがったのか?

皿にのせてる。



「はいお待ち!串焼き盛り合わせ!熱いんで気をつけて下さい。」


おお、メインディッシュのお出ましだ。


・串焼き盛り合わせ

若鳥、親鳥、砂肝、皮、つくね、軟骨。これはこれは・・・2本ずつあるから壮観だな。


では、いただきます。



先ずは親鳥。

こいつがどんな味か楽しみだったんだ。

塩味、そのままガブリと。


―――ゴリゴリした美味さ、圧倒的食感。串焼き界のパワーファイター、ここに見参。


これは、何とも。

凄く力強い味だ。


噛むたび味が滲み出るこの美味しさ、食べるだけで力が湧いてくる。


大規模なモンスターの討伐作戦の時とか、全員で酒を飲む代わりにこれ食べた方が良いんじゃないか?

絶対気合い入るぞ。


むさ苦しい漢でも納得の美味しさが、ここにはある。



となれば、若鳥。

こいつは親鳥と違って柔らかい。


さあ、力強い味を噛み締めた私を満足させてくれるだろうか?

いざ。


―――親と違い、柔らかいこの美味しさ。でも食べ応えはあって、エールが進む!


串焼き界、そのオールスター。

いつでもどんな時でも外れない、串焼きの主役。

そう思わせる程の圧倒的な美味しさ。


エールにも抜群に合うじゃないか、コイツ。

ガブッと食べて、エールをゴクッと。

これだけで、ああ、幸せを感じる。


この味もまたいいんだ。

淡白さを微塵も感じさせない、この味。



そして次は・・・よし、砂肝。

こいつもしかして始めて食べる?

いや、食べたことあったか?


まあ、どうでもいいか。

美味けりゃいいんだ。

さて、そのままガブリとな。


―――コリコリ、そして、ジューシー?不思議な感覚の中には確かな美味しさがある。


何というか、そう。

若鳥が串焼きの主役なら、こいつは串焼きの魔術師。

コリコリした後のまた別の感触、これは堪らない。


親鳥がむさ苦しい漢なら、こいつは上品な指揮官といった所だろうか?

いや、違うか。


だが、確かなのはこの砂肝。

凄く美味しくて、そして。

凄く、酒に合う!


あー、この味をエールで流し込むこの爽快感、堪らん!



そしてここで登場するは・・・皮だな。

この縮れた皮、これがまたそそるんだ。


エールもなくなったし、ここいらで何か新しい酒でも入れるか。



「はい、お待たせ!レモンサワー濃いめ!」


・レモンサワー濃いめ

レモンとサワー、その2文字だけで感じる爽快感。濃いめがあったら、そりゃ頼んじゃうでしょ?


良し良し、皮とレモンサワー。

第2の宴と行こうじゃないの。


ではでは・・・。


―――ぱりぱりの皮、でももちもちの皮。これが皮の美味さなのか?


これはまた、美味しい。

パリッとした食感が端の方、そして皮本来の少しモチっとした食感。

このダブルの美味さ、私にとって。


こうかは ばつぐんだ!


そんな皮を食べながら、レモンサワーを思い切り。


―――あ”-、凄い。濃い目、これを頼んで大正解。


エールとは違った、少し甘さと苦さを感じるこのサワー。

これだよこれ。


この甘くて苦い飲み物が、大人の味なんだ。

・・・多分。



いやはや、何だか楽しくなってきた。

次は、良し。

軟骨!


つくねはラストだ。


では、この三角形の様な軟骨を、いざ。


―――コリコリ、コリっコリの、コリコリ感。圧倒的コリコリに塩の味、とんでもなくベストマッチ。


コリコリ美味しい、素晴らしい味。

そうか、これが串焼きの軟骨か。


もはや語彙力が無くなってコリコリしか言えなくなりそうなくらい、コリコリ。


でもしっかり中まで火が通ってて、塩味が効いて凄く美味しい。

親鳥とはまた違ったこの歯ごたえ。


これは・・・焼き鳥界の工作兵だな。

コイツを食えば食うほど。

噛めば噛むほど。


酒を、飲みたくなる。


―――美味い軟骨、美味い酒。そこにあるのは確かな幸せ。



これを思う存分味わってから。

その後行くのは、そう、つくね。


このこんがり焼けた、団子みたいなつくね。

3個刺さってるのがまた嬉しい。


さぁ、いただきます。


―――美味い。ほくほくしててこんなに美味しいつくね、中々食べられないぞ。


ふわふわ、ほくほく。

普通じゃ食べられない様な、そんな美味しさのこのつくね。


これはもう、思わず笑顔になっちゃうような。

そんな美味しさのつくねだ。


これはコイツをラストに残しておいて、正解だ。


まぁ全部まだ1本ずつ残ってはいるが。



良し、食べよう。

1人宴会、折り返しだ。


いやぁ、しかし。

串焼きってこんなに美味しいものだったか?


何というか、こう、晴れの日の昼。

そこで飲みながら食べる、この雰囲気。

それも大事なんだろうな、きっと。


あー、親鳥!

この歯ごたえ、味、こいつはとってもクセになる!


これは今度、顔なじみたちに教えてやらないとな。

いや、先輩にも教えてみようか。


・・・やっぱりやめよう。

あの人、酒好きなのにすぐ酔って絡み酒始めるからな。


あれのせいでいろんな奴が吐かされた。


串焼き、昼の1人宴会。

これは今日、ここにきて大正解だった。




「ありがとうございました!」


あー、少し飲みすぎた。

濃いめのレモンサワー、ついついお代わりしてしまったが。

あれは調子に乗って飲んじゃいけない奴だ。


あれ、私何杯お代わりしたっけ?

串焼きも結構食べたし、ええと・・・。


だめだ、思い出せない。

もしかして今、結構酔ってる?


こりゃ行かん、早く帰らないと。


煙草・・・は今回はいいや。


願わくば、次も美味い店に会えるように。


・・・でも、何だか飲み足りないような。

梯子酒、行っちゃう?

行っちゃうか!

主人公(男)・魔術師。無事二日酔い。学習をしない男。



「串焼きの店 ヨシ・オータム」・実は串カツも大人気。魔術師はそれに気づかないまま満足していた。


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