夕食の祝い飯、ウナギ
ブクマ増えててウレシイ・・・ウレシイ・・・。
ありがとうございます。
さて、牛タン定食を食べて腹も満腹。
食欲も満足。
そうしたら、この後の用意をしないとな。
とりあえず・・・少し部屋を片づけておくか。
特にこのレア素材たち。
これはしっかり管理しておかないと。
後は、ああ。
紙コップでも用意しておこうか。
コーヒーとか飲むときに必要だろうし。
で、実際の魔石とアクセサリーを用意して・・・。
・・・よし、こんなもんで大丈夫だろう。
作業台も完備したし。
あとはあの根性ちゃんの腕次第だ。
だが、まぁ。
ぶっちゃけ、あんまり腕が良くなくても問題はない。
そもそも1人でこの量なら終わらせれるしな。
今回は懐にも余裕があったからお願いしただけだし。
「すいませーん!」
お、どうやら到着したようだ。
―――――――――――――――――――――――――
「魔術師さん、今日からよろしくお願いします!!」
「いえ、こちらこそよろしくおねがいしますね。では早速始めましょうか。」
「はい!!」
「あ、あと私手伝いさん雇うの初めてだからさ。何かしらあったら遠慮なく伝えてね。」
「わかりました!!」
凄い元気。
気合入ってるなぁ・・・。
「あ、あとコーヒーと紙コップそこにあるから。遠慮なく飲んでね。」
「あ、ありがとうございます!」
さて、どんなものか。
実際にその腕前、見せてもらおう。
「魔術師さん!こっち終わりました!」
「ありがとう。」
凄く元気。
そして、凄く速い。
仕事もしっかり、細かいミスも全くない。
これは・・・凄いぞ。
「少しコーヒーでも飲んで休憩してて。その間に魔石の加工しちゃうから。」
というか、休憩してもらわないと。
そのスピードについていけない。
「わかりました!ではお言葉に甘えて!」
「報酬にも多少色付けておくよ。ここまで早いと思ってなかったし。」
「いいんですか!?ありがとうございます!」
「むしろこっちがお礼を言いたいくらいだよ。ここまで早く終わるとは思ってなかったからね。先方への納品も早く済みそうだ。」
「そうですか!?でしたら、また同じような依頼あったら是非呼んでいただければ!!」
「そうだね・・・だったら、ネックレスの方もお願いしようかな。その分報酬も2倍にするけど、どうする?」
「是非お願いします!!」
「よし、じゃあもう少し休憩してて。その分も用意しちゃうから。」
この勢い、このスピード。
折角なら一気に終わらせちゃえ。
その分私にも自由な時間ができる。
さぁ、準備しますか。
―――――――――――――――――――――――――
「今日はありがとうございました!!」
「いや、こちらこそ。明日もまたお願いね。」
「はい!!」
さて、もうすっかり夕方だ。
そして今回の大口依頼、ものすごいスピードで終わってる。
恐らく明日には終わってるから、あさって納品だな。
しかし、早いのは良いんだが。
魔石の加工が中々大変だった。
というより、早く作らないと根性ちゃんの作業が無くなってしまうからな。
こりゃ今日の夜のうちに魔石の加工終わらせとかないと。
だが、その前に。
―――飯を、食いに行こう。
集中していたからか、それとも頑張ったからか。
もう昼に食べた牛タンが、胃袋の中から消えている。
うん、依頼も早く終わるし。
祝い飯だ、少し高いものでも食いに行こう。
さて、飲食街に来たが。
今日の祝い飯、何を食おうか。
焼肉、というのもありきたりだし。
最近豚だが食べたからな。
いまここで焼肉はなんかこう、違う気がする。
となれば・・・鍋?
いや、なんか、鍋もなぁ。
まぁいい、歩いて店を探そうか。
なんかあるだろ、多分。
食堂。
うーん、ちょっと祝い飯には遠い。
パス。
レストラン。
祝い飯となれば・・・コース料理か?
でもなぁ・・・パス。
うなぎ。
うなぎ・・・うなぎ?
ウナギといえば、この前食べた寿司に合ったやつ。
あの美味しいやつだよな。
何々・・・うな重とな?
へぇ、いいじゃないの・・・。
よし、ここに決定だ。
「いらっしゃい。お好きな席へどうぞ。」
おお、寡黙な大将。
そして焼いているのは・・・ウナギ。
凄い、焼肉にも負けないこの音、香り。
とりあえずカウンターに座って。
あー、カウンターに座ったら。
更にすごい、焼いているウナギの香りが・・・!
この香りの暴力、私の食欲がもはやもんどりうっているぞ。
店も何だか、歴史を感じさせるような作り。
これはきっとこの長い歴史、それを料理として食えるに違いない。
さぁ、メニューは、おお。
・うな重
並、上、特上があります。
うな重、のぼりにも書いてあったな。
これはもう、うな重は決定だ。
グレードも・・・特上、行っちゃえ。
あとは何か、もう1品欲しい所。
と、思ったら。
・う巻
卵焼きの中にウナギが入ってます。
見つけてしまった、この2文字。
「う」と「巻」だけのシンプルなメニュー。
これだ、これにしよう。
私の直観がこいつを食えと叫んでいる。
よし、注文は決まった。
「すいません!」
「はい、お待ち。まずう巻ね。」
おお、これが、うが巻かれた卵焼き・・・!
・う巻
綺麗な卵焼き、その中にウナギが潜んでいる1品。見た目良し、香り良し、あとは味だ。
では、いただきます。
いや、しかし。
この焦げ目1つない、綺麗な卵。
そしてその切り口から見えるこのウナギ。
こいつがまた結構大きいじゃないか。
これはこれは、食べる前からもうドキドキ感が止まらない。
うな重の前の前菜、う巻、さぁ、いざ。
―――う巻、美味きウナギここにあり。これは美味いと叫びたくなる。
これはもう、美味しい。
本当に叫びたいくらい美味しいぞ、この前菜。
綺麗なふわふわ卵、そこにこれまたふわふわなウナギが潜んでて。
こんな風な、甘トロの感触、私はこれまでに味わったことが無い!
出汁巻の甘い卵、こいつの中にいるウナギ。
これ、最強の前菜なんじゃないのか。
それでいてウナギと卵、完全に混ざってないもんな。
ウナギはウナギ、卵は卵。
しっかりと独立してる、その美味しさよ。
そして独立しているこの2つ、こいつらが手を取り合えば、ほら。
この最強のう巻、これの完成だ。
ああ、1口食べれば次の1口。
―――これはもう、止まらない美味しさ!
う巻、ウナギと美味さを巻いている。
素晴らしい前菜、天晴。
これを食べながらうな重を待てる幸せ。
じっくり味わうとするか。
「はいお待たせ。うな重特上ね。」
来た、来たぞ、今日のメインディッシュ・・・!
・うな重 特上
四角い器、白い飯、そして何よりウナギがドン!量もしっかり、ウナギも美味そう、素晴らしいじゃないか。
・肝吸い
ウナギの肝を使ったお吸い物。ちょっぴり嬉しい。
では、いただきます・・・!
まずは・・・肝吸いからにしよう。
さっきのう巻、それを食べた感動がまだ口の中に残っている。
それをまずは少し無くしてから、改めてうな重に行きたい。
というわけで、まずは肝吸い、1口・・・。
―――ああ、沁みる、沁みるぞウナギ。肝になってもまだ美味しい。
美味しい、美味しいじゃないか、肝吸い。
ウナギ、その美味しさをお吸い物になっても私に伝えてくる。
そしてこの味。
何より、落ち着く味。
美味しいのにこう、湧き上がらないというか。
じわじわと私の食欲に火をつける、まるで導火線の様な美味しさ。
そして、肝。
このウナギの肝。
―――プリッと美味しい。
じわっと広がるその美味さ。
肝もお吸い物も美味しい。
これだけで、もう。
うな重、その美味さが分かるというものだ。
さぁ、メインディッシュ。
今日の祝い飯、うな重よ。
君を食べる時が来た・・・!
おお、良い香りがする。
そしてウナギ、良い感じに焼けて光っているじゃないか。
さぁ、箸でウナギを切って。
その下のタレが沁み込んだライスと一緒に。
―――ふ、はは、笑いがこぼれるこの美味さ。唯々、この美味さに私は感動する。
ウナギ、これだよこれ。
この美味しさこそ、ウナギなんだ。
前に寿司屋で食べた、あのウナギ。
アイツも美味しかったが・・・このうな重を前にしちゃ、少し弱く感じる。
まぁあれは寿司でこれは重だから、当然か。
だがこの美味しさ、素晴らしい。
先ほどまで食べたう巻、肝吸いを忘れさせるかの様な、強烈なパンチ。
1撃で私の食欲を地面に沈める、超強力なパンチだ。
もはやこの味、ウナギとライス、それだけじゃない。
この店の歴史、店主の手腕。
それが具現化したのが、このうな重に違いない。
私は今、この店の思いを食べている、そうだ、きっとそうなんだ。
ふわふわのウナギ。
それをしっかりと支えるライス。
たったそれだけ、それだけなのに。
そこには確かな、美味さがある。
そしてその美味さを味わえる、幸せがある。
・・・おや、ライスの下から、これは。
―――ウナギじゃないか、これ。
上からウナギ、ライス、ウナギ、ライス。
まさかのウナギ2段構え。
これは何とも嬉しい誤算。
そうか、だからこその特上か。
じゃあ早速。
ウナギとライス、そしてウナギを挟んだこの1口。
―――ああ、幸せ、美味い、ブラボー、スパシーバ、ウナギ。
もはや幸福、そして感謝の言葉。
それがむやみやたらに口から出てしまう。
ああ、幸せ。
もはや祝い飯とかどうでもいい。
この美味さ、美味しさにただ平伏すのみ。
それでいいんだ、きっと、そうなんだ。
うな重、う巻、肝吸い。
素晴らしい、今日の夕食。
また今度、ここに来よう。
次はうな重、特上を大盛で頼むんだ。
「ありがとうございました。」
ああ、美味しかった。
ウナギ、素晴らしきかな。
今日の祝い飯、それにばっちりハマったぞ。
ウナギ、その底力。
私は寿司で見ていたが、あれはまだまだ氷山の一角。
うな重にして初めてウナギの底力を見た、そんな気分だ。
ああ、しかし、本当に美味しかった。
これはまた、絶対に食べにこよう。
そうだ、顔なじみに自慢してもいいかもしれない。
さて、煙草を一服。
ああ、ウナギを食べて幸せなこの気分。
それが煙草で、こう、不思議な感じになってる。
さて、帰るか。
気合も入ったし、残りの魔石の加工をしてしまおう。
そうすれば明日には終わりだ。
願わくば、次も美味い店に会えるように。
主人公(男)・魔術師。後日、そこには顔なじみ達へうな重を自慢しまくる魔術師の姿が。その後無事ダイエット中の先輩に追いかけまわされ、果てる。
根性ちゃん(女性)・美少女。稼いだお金は家計の足しにしている。いい子。