EX:もし魔術師が女性だったら(73話改変)
本当はエイプリルフールにやろうと思ったネタです。
言い回しが変わってるだけで、ほとんど内容は同じです。
本編はまた深夜に更新します。
今日は快晴ね。
いや、少し雲があるから快晴じゃないのかしら?
まぁ、そんなことはどうでもよくて。
今日も仕事、場所は確か・・・商店街の公園だったかしら。
とっとと行って、パパっと終わらせちゃいましょう。
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「あそこに新しくできたカフェ、いったー?」
「行ってない。どんな感じ?」
「あのねー・・・。」
「あら久しぶり!今日はどうしたの?」
「久しぶりね。少し裾を直してもらおうと思って・・・。」
相変わらず人が多いわね、ここ。
買い物するなら商店街、近くの人は便利そうだけれど。
にしても、カフェねぇ。
最近行ってないし、久しぶりに行ってみようかしら?
というかそんな話、若者はするのね。
確かに私はそんな話、挨拶回りでしてないけど・・・。
・・・そんなこと思ってたら、孤児院のガキんちょを思い出した。
何がちんちくりんよ。
と、そんなことはどうでもよくて。
早く依頼主の所へ行っちゃいましょうか。
「あ、どうも魔術師さん!」
「どうも。いつもお世話になってます。」
さて、今日の依頼主は宿屋の若大将。
高級な宿屋を経営してて、評判も結構良い。
その内装に関わらせてもらってて、それ以来長い付き合いがあるわ。
にしても、何で今日は公園なのかしら。
晴れてて日光がまぶしいんだけれど。
「いやいや、すいません魔術師さん。わざわざこんなところへ。」
「ああ、いえ。大丈夫です。それで今日は・・・?」
「その、実はですね。新しい宝石のアクセサリーが欲しくって。でもこの前買ったばかりだし、妻に怒られそうな気がしたもんで。」
「なるほど。」
コレクションが増える、それを奥さんにばれたくない、か。
それにしても宝石やアクセサリーをコレクション・・・いつ聞いても珍しいわね。
「それでどんなものをお探しですか?この前はネックレスでしたけど。」
「ええ、それなんですが・・・指輪って、今良いやつあります?」
「指輪ですか・・・。あ、そういえば私の取引先で新しいモデルが出たらしいですが。」
「お、本当ですか!」
「確かカタログのこのページに・・・あった、これです。」
そこそこ有名なブランドの工房。
私が昔から取引している工房の1つ。
私も外出用のアクセサリーとしていくつか持ってる。
何といっても最近新しいデザイナーが入った、これは重要よ。
これのおかげで更に人気が出てきてるし。
まあ、確かにみごとなデザインだったけれどね。
「お、おお・・・!これいいですねぇ!これ下さい!」
「わかりました。石の部分はどうします?このモデルならいろいろな宝石を石留めできますが・・・。」
「あー、そうですねぇ。」
一般的にはダイヤやルビー、サファイアだけれど。。
魔石をはめたり宝石を加工したものを石留めする人もいるわ。
私のアクセサリーはブルーストーンをはめてるし。
「うーん・・・魔石、にしようかな。赤色の物で。あまり高すぎるとばれた時妻に怒られそうだし。」
「わかりました。赤の魔石ですね。ではでき次第また納品しに行きます。」
「お願いします!あ、なるべく妻にばれないように・・・。」
「ふふ、善処しますね。では。」
結構簡単に今日の仕事おわったわね。
ついでだし・・・工房へ発注もかけちゃいましょう。
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うん、モデルも確保したし。
赤の魔石は家にあったはず。
加工してはめるだけで結構良い値段になるし、今日は上々ね。
あとは、そうね。
ご飯でも食べていこうかしら?
まぁ家に帰っても後で食べに行くんだけれど。
料理ができる人、羨ましいわね。
うん、ついでだし、食べていっちゃいましょう。
さて、飲食街についたけど。
いったい何を食べようかしら?
あ、そういえば。
あの若い女性二人、カフェの話してたわね。
カフェで昼食、か。
うん、良さそうね。
今日はカフェで昼食にしましょう。
食堂。
ちょっと、女性1人だと入りにくい店ね、ここ。
でも今日はカフェで昼食と決めたから、パス。
焼肉。
カフェよカフェ。
パス。
カフェ。
発見、カフェ。
中々お洒落な外見だし。
席も空いてるし、ここにしましょうか。
「いらっしゃいませ!おひとり様ですか?」
「ええ。」
「あちらのカウンター席へどうぞ!」
カウンター席、ま、いいでしょう。
1人だし。
別に・・・友達いない訳じゃ、ないけど。
それに、コーヒーの良い香りを楽しみながら料理を選べるのは嬉しいし。
さ、早くメニューを見て決めちゃいましょう。
メニューは、あら。
ハンバーガー。
結構久しぶりにこの文字を見た気がする。
そう、そうね。
これも何かの縁だし。
今日はハンバーガーにしちゃいましょう。
「すいません。」
「はい!ご注文はお決まりでしょうか?」
「お待たせいたしました!アイスコーヒー、フィッシュバーガーのLセット、チキンカツナゲットです!ごゆっくりどうぞ!」
お洒落・・・だけど結構量多いわね。食べきれるかしら。
・フィッシュバーガー
ふわふわのパンでサクサクのフライを挟んだこのバーガー。
・フライドポテト
厚切り三日月形、アツアツほくほくフライドポテト。
・アイスコーヒー
冷たいコーヒーがアツアツのバーガーとベストマッチ。
・チキンカツナゲット
チキンナゲットではなく、あえてのチキンカツをナゲット風に食べるこの料理。
まぁ、とりあえず食べるとしましょう。
まずはこのふわふわフィッシュバーガー。
あら、手で持つと中々ふわふわじゃない。
それでも、中の魚がぎっしりした感じ。
この重量感嫌いじゃないわ。
これは、はしたないけど・・・齧り付いちゃいましょう。
―――美味しいじゃない。ふわふわ、サクサク、食べるたび美味しくて楽しい。
ふわっふわのパンズ。
噛むたびにしっとりと吸いついてくる、もちもち感すら感じる。
コイツに齧り付き、歯が刺さっていった、その先には。
サクサク、アツアツ、それでいてジューシー。
そんな魚のフライがご登場。
これはもう、たまらないわ・・・!
魚のフライ、噛むたびジュワァと魚のこう、汁みたいなものが口に広がる気がする。
いやほんと、このフライ美味しいの。
もちもちふわふわからのサクサクジューシー。
これは・・・卑怯よ。
悔しいけど最高、それくらいしか言えないわね。
そして、そこに名脇役のチーズとタルタルソース。
トロリととろけたチーズ、激しい主張をしてるのに、脇役としてしっかり仕事していて。
私、タルタルソース大好きよ。
このすっぱ美味い感じが、魚のフライに加わってもうたまらないのよね。
お洒落なカフェで美味しいハンバーガーを食べる、素晴らしいランチ。
久しぶりだけど、偶にはこんなのもいいかもね。
あ、そんなくだらない事考えてたら・・・もうフィッシュバーガーを食べ来ちゃいそう。
ここはいったん落ち着いて・・・そうね。
次はチキンカツナゲット、これにしましょう。
この特製ソースに付けて食べるのよね。
こんな食べ方初めてだけど。
その味、期待させてもらいましょうか。
―――サックサク、からのサクサク、そしてジューシー。特製ソースとカツの相性、抜群じゃない・・・!!
フィッシュバーガーのフィッシュ、それといい勝負してるレベルのサクサク感。
肉の味もしっかり。
硬すぎなくて、ジューシーな肉の美味しさ。
チキンカツナゲット、美味しいじゃない・・・。
そんなナゲット、やっぱり語らなければいけないのは。
この、ソースね。
ソースに付けて、もう一度・・・。
―――多幸感が、圧倒的母性が私を包み込むような、そんな美味しさ。
凄い、何というか、母性豊かなソースの幻影が見えたわ。
先ほどタルタル大好きと言ったけど、ごめんなさい。
この魅力に浮気しちゃいそう。
一旦小休憩しましょう。
このままだと食べきっちゃいそう。
そこで登場、アイスコーヒーとフライドポテト。
ブレイクタイムと行きましょうか。
まず、アイスコーヒーから。
―――うん、冷えてる、美味しいコーヒーね。
スッと口に入る冷たさ、そして苦み。
ブラックのその落ち着いた感じが私の食欲を落ち着かせてくれる。
このアイスならではの控えめな香り、これがまた良いのよね。
そしてアイスコーヒーを飲んだら。
フライドポテトに行きましょう。。
定番の味、失敗という文字の無い安定した料理。
落ち着いた食欲、消えかけの炎に薪をくべるとしましょう。
―――ほくほく感、美味しい料理特有、幸せの味。この万能さ、正にポテト。
しょっぱい塩味、やっぱりポテトはこの味ね。
中にはケチャップ派もいるらしいけど、私は塩味が一番好き。
ポテトフライ、その万能さには頭が上がらない。
でも、ここで試したいのは。
このチキンカツナゲット用、特製ソース。
これに付けて食べてみましょう。
―――んっ・・・あ、美味しい。止まらなくなりそうな、病みつきになる味だわ。
ポテトフライとこのソース、凄く相性ばっちり。
ポテトのシンプルな味にソースが凄く絡んでる。
これは・・・また私、浮気しちゃうかも。
いえ、ダメよ。
淑女がそんな簡単に浮気なんてしちゃいけないわ。
もう一度チキンカツナゲットを、ソースに付けて。
―――うん、この定番の味。美味しいわね。
・・・あ、フィッシュバーガー。
少ししんなりしてるけど、忘れてないわよ、ええ。
タルタルソース、浮気はしないわ。
・・・あ、美味しい。
しっとりしても尚美味しいなんて、流石私が認めたソース。
フィッシュバーガーをそのまま食べ勧める。
がっつり食べて、満足したらチキンカツナゲット。
そこからポテトフライに伸び、アイスコーヒーで休憩。
女性が一人、カフェで軽食。
ありがちな光景だけど、食べてる本人は唯々食べることに集中してる。
はしたないかもしれない、けど。
止められない。
食べる手が、止まらない。
偶にはカフェでの昼食、これはこれでアリね。
―――ごちそうさまでした。
「ありがとうございました!」
ふう、満足。
もうお腹いっぱいだわ。
それにしても、あのフィッシュバーガー。
私ハンバーガーは肉派だったけど、あの美味さ。
今度から魚派になっちゃうかも。
チキンカツナゲットも美味しかったわね。
特製ソース、あれ売ってないかしら?
さ、家に帰ってアクセサリーの用意をしないと。
若大将、奥さんにばれないと良いけど。
ま、私が考えることじゃないか。
願わくば、次も美味い店に会えるように。
主人公(女性):魔術師。ちっちゃい。