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昼過ぎのカレーウドン

評価増えてた。

ブクマも増えてた。

皆さんありがとうございます。ウレシイ。

ああ、いい朝だ。

昨日は休日なのに二日酔いで大変だったからな。


毎度毎度二日酔いを回避したいのに回避できない、この酒飲みの性よ。

だれかこのデバフを消去してくれないものか。


だが、そんな休日の過ごし方も偶にはいいだろう。

二日酔いも完全に治ったし、この後の営業を頑張らないと。


えーと、行き先は確か・・・ジュエリーショップか。


では、向かうとしよう。




「いらっしゃいませ。」


「オーナーは今いらっしゃいますか?この後商談の予定が・・・。」


「オーナーでしたら、先ほど昼食を食べに行くと言って出られましたが。」


「えっ。」


おいおい、どうなってるんだ。

まさか店間違えたとかないよな?


―――――――――――――――――――――――――


「大変申し訳ありませんでした、魔術師さん。」


「いえいえ、大丈夫ですよ。幸いこの後の予定は何もありませんでしたし。」


「いや、本当にすいません。」


ジュエリーショップのオーナー、さっきからずっとこんな感じだ。

というのも今回の商談、時間を間違えていたらしい。


いやしかし、私もまさか2時間待たされるとは思っていなかった。


待っている間に気を使ってくれたのか、お茶を受け付けの人が何杯も入れてくれたが。

おかげでお腹がもうタプタプだ。


さて、それよりも商談をしないと。


「それでこちらがカタログとサンプルですね。」


「おお、これが・・・。」


今回持ってきたカタログ、及びサンプル。

ジュエリーショップらしく宝石系の商品だ。

と言っても凄く高いものではない。


いやまぁ、安いわけでもないが。

コスパが良いアクセサリーと言った方が良いだろうか?


「中々、これは・・・。」


「見習いの職人が手作りで作成したアクセサリーでして。ですがしっかり工房の親方の目を通っている商品です。値段の割には凄く良い商品だと思います。」


「ほお。確かに凄く精巧ですね・・・。こちらの宝石は?」


「ああ、それは私が加工した魔石ですね。こういったものも取り扱っているので。」


「おお、これを魔術師さんが!それはまた凄い・・・。」


魔石といってもこれもそんなに高いものではない。

ゴブリンの魔石、その中でも大ぶりの物を綺麗に加工しただけだ。


魔石って案外もろいから加工大変なんだよな。


「この魔石を先ほどの指輪やネックレスに嵌めることは・・・。」


「可能ですね。ただしその場合、私が加工をするので少しお時間をいただきますが。」


「そうですか。」


うーん、どうなんだろうこの反応。

一応買ってはくれそうだが。


1回限り、ないしは少量を定期的に卸す様な感じになりそうだ。


「・・・でしたら、魔術師さん。」


「はい。」


「この加工した魔石を・・・こちらの指輪とネックレスに嵌めた物。これを200セットいただきたい。」


「・・・200?200ですか?」


聞き間違いか?

とんでもない数が聞こえたんだが。


「ええ。200お願いします。あと嵌めていないものもそれぞれ100ずつお願いします。」


「え、ええ。わかりました。しかし・・・。」


「数ですか?はは、大丈夫です。良い商品はいっぱい仕入れる。ただそれだけですよ。」


「あ、ありがとうございます。」


まさか、いきなり大口が決まるとは。

これはまた、明日から忙しくなりそうだぞ・・・!


―――――――――――――――――――――――――


「では、失礼します。」


「今日はありがとうございました、魔術師さん。」


「いえ、こちらこそ。商品が出来たらまたお持ちしますので。」


「ええ、よろしくお願いします。」


いやぁ、こいつは嬉しい。

本当に最近は順調だな。


まぁその分明日から忙しいんだが。

だがこれは嬉しい悲鳴、商売をする人間にとっては大歓迎だ。


しかし、凄い数が決まったからか。

ほっとしてたら、何だか。


―――腹が、減ってきた。


これはもう、お祝い飯だ。

・・・でも居酒屋はやめとこう。


良し、とりあえず飲食街だ。




到着、飲食街。

今日の祝い飯、果たして何になるんだろうか。


空っぽになりそうな胃袋、早く飯をと急かす食欲。

君たちは何が食べたい?


ああ大丈夫、答えは聞いてない。

どうせ美味いものなら何でもいいんだろう?


となれば、歩いて店を探すとするか。



居酒屋。

昨日二日酔いになったばかりだ。

今日は酒は飲まない、パス。


居酒屋。

・・・パスだ。


屋台。

実質居酒屋みたいなものじゃないか。



これはまた。

何というか、居酒屋へ行かないと意識すると余計に居酒屋が見えてくる。

酒よ、酔っていない時まで君は私を惑わすというのか。


どこか、酒から逃げれる場所は。


・・・何だ、この、いい匂い。

これはカレーか?

どっちだ、こっちからか・・・?




「いらっしゃいませ!こちらのカウンターへどうぞ!」


カレーの匂いに誘われて。

着いた店はここ、「カレー屋 セキトバ」。

なんかこう、走り出しそうな名前だな。


さて、カウンターへ座ると。

ああ、カレーの良い香り。


この香りだよ、この香り。

カレーはこの香りじゃないと。


では早速メニューをみようか。

と言っても頼むものは決まって・・・え・・・。


・当店お勧め!カレーウドン!


カレーウドン、お勧めなのか。

でも私、カレーライスを食べに来たんだが。

でも、お勧めはウドン。


ウドン。

ライス。


落ち着け私、これは究極の選択だぞ・・・。

後悔しない方を、しっかり選ぶんだ・・・!!




「お待たせいたしました!カレーウドン、セットのオニギリです!」


来たか、私の最適解。


・カレーウドン

悩みに悩み、選び抜いたカレーウドン。お勧めの文字があっちゃあ頼まずにはいられない。カレーの良い香りがウドンから漂っている。


・オニギリ

セットで付けれるワカメのオニギリ、それが2個。カレーはなくともライスは頼んだ。


では、いただきます。



さぁ、伸びないうちにカレーウドン。

コイツを思い切り啜らなければ。


あ、でも服には飛ばない様に気を付けよう。


麺を箸で持って、ああ、カレーが凄く絡んでる。


―――そして口の中で融合する、この美味しさよ。


カレーウドン、美味!

そりゃカレー屋のカレーを使ったウドンだもんな。

不味いはずがない。


何より一番驚いたのはこの麺。

コイツ、ウドン屋のウドンみたいにコシがあってもっちり。

それが口の中から胃袋までつるっと一直線。


凄く手間がかかってる、そんな美味しい麺だ。

そしてその美味しい麺に絡む、このカレースープ。


恐らくこれ、ウドンの出汁にカレーを足しているんだろうな。

で、そんなカレーと出汁。

こいつら喧嘩するどころか互いが互いに取り込んでいる様な、深い味のスープになってる。


まるで、そう、スライムだ。

互いが互いに取り込んで、1つの究極的融合体になる。

カレーウドンはスライム、また1つ私は賢くなった。


カレーの香りはそのままに。

味もカレーに近いのに。

ライスではなく、ウドン。


食べれば食べるほど美味しさ、そしてその深さに嵌り込む私。

カレーウドン、まるで螺旋階段、スライム的美味さ。


美味い、間違いなくこの料理は、美味い。



いかん、何だか変な考えに陥ってる気がする。

これは・・・そうだ、オニギリ。

コイツでいったん持ち直そう。


ワカメとゴマが混じった、シンプルなオニギリ。

でもこのシンプルな見た目、私好きだぞ。


本来なら手で持って食べたいが・・・ここは箸だな。

まずはそのまま、いただきます。


―――美味い。ワカメとゴマ、そしてライス。この3つがくっついただけで、ここまで美味しくなるのか。


シンプルに美味しい、このオニギリ。

カレーウドンのお供にも最適じゃないか。


見た目を裏切らない、素朴な感じのこのオニギリ。

カレーウドンで疲れた口を癒す、カレー界のオアシス的存在だ。

一息つくためのオニギリ、それもまた良し。


しかもワカメ、結構多く入ってる。

これが食べるとき、こう、ワカメ独特の食感というか。

海の味、それを伝えてくれるような感じで楽しくなってくる。



そんなオニギリ、癒してくれる優しいコイツ。

それを踏まえても、やはり。


私はどうしても、このカレーウドンのスープと一緒に食べたくなってくる。

すまないオニギリ。

食欲に負ける私を許してくれ。


カレースープをスプーンで掬い、口へ。

そしてオニギリ。


―――ああ、この組み合わせ、悪魔的発想。カレーじゃなく、カレーと出汁の融合体だからこそ、このオニギリにがっちりハマる。


これは、凄い。

オニギリの癒し感、それが一気に0になった。

そして出てくるは凶暴的な美味しさ。


さっきまで優しかったオニギリ、それをこんな悪魔的美味しさにしてしまったのは私だ。

この破壊的なこの美味しさ、私は甘んじて受け入れよう。


・・・もう1つオニギリあるし、こいつはカレースープと一緒に食っちゃえ。

恐らくオニギリにここまで語り掛けて食う奴、私が初めてなんじゃないだろうか。



さて、カレーウドンに戻ろう。

カレーという茶色い海、そこに水竜のごとく潜むウドン。

ならば私は人類の英知、道具である箸を使い、水竜を討伐する戦士。


カレーウドンと私、そのひそかな戦い。

思い切り啜ると服汚れるからな。


だが、そんなひそかな戦いの中には、確かな美味さが存在している。

ウドンのコシ、カレースープの深さ。

そして陸地に鎮座するオニギリ。


美味い、どんどん食べ勧めれる。

カレーウドンから少し休憩するときにオニギリ。

そのカレーの余韻とオニギリの相性もまた、素晴らしい。


オニギリを食べたら、またカレーウドンに戻るんだ。

麺を啜り、カレーを味わう。

ここには確かな幸せがある。


さぁ、もっとだ、もっと食べ勧めるぞ!!




「ありがとうございましたー!」


うーん、力強い美味しさだった。

カレーウドン、ウドンの新たな可能性。

その素晴らしさを身をもって体験した。


さて、煙草を取り出して一服。


ああ、カレーの余韻、煙草の煙、どちらも良い感じだ。


さて、家に帰って用意をしないと。

明日は仕入れにもいかないとな。


まさかの大口、しっかり準備しておこう。


願わくば、次も美味い店に会えるように。

主人公(男)・魔術師。内心ウキウキ。依頼が順調で凄く嬉しい。



「カレー屋 セキトバ」・馬が好きな店主が命名。別に深い意味はない。


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