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勝利の女神は微笑まない~最弱だった僕が神になるまでの軌跡~  作者: あろ
第4章 ジェフティ・トートリス
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第91話 ポイント制

ここ数話説明回が続いてしまい、申し訳ないです。


ここでは"スキルは取り放題ではない"ということだけ分かればOKなので、読むのが面倒な方はスルーしてください。

「っしゃ!」


木箱の上で習得したいスキルを吟味(ぎんみ)していた僕は、ヒロの短い歓喜の声に顔を上げた。


「どうだった?レベル上がった?」


「上がったぜ!前の街でダンジョンのボス倒したのが効いたらしいな。

なんとレベル上限までラス1!」


ヒロは満面の笑みで、僕にV(ヴイ)サインを向けた。

それを満足そうに眺めた師匠は、次いで僕を手招きする。


「どうだ、決まったか?

今のレベル上限はたった20だからな。取れるスキルはそう多くないだろうが、満足のいく構成になりそうか?」


「えっと、師匠オススメの2つを取ると、ほとんど取れるスキル無いんですけど……。

あの、余った分って、次のジョブに持ち越せるんですか?」


僕らが話しているのは、スキル取得のためのポイントについてだ。

といっても、神様からポイントという物が付与されるわけではない。


まず前提として、スキル候補を告げられる際に、必ず数値が共に告げられる。

そしてこの数値は、必要なレベル()()()数だ。

例えば今のレベルが5で、新しくスキルを取得したばかりだとする。

さらに、必要レベル数が3の取得スキル候補が発現した。

この時、目的のスキルを取るためには、レベルを8まで上げなければならない。


これを分かりやすい概念に置き換えた物が、スキルポイントだ。

レベル1上昇につき、1ポイント取得すると仮に考えることで、スキル取得の際に行う計算を単純化し、管理しやすくするために、先人が生み出した知恵だ。


上の例で置き換えたら、「必要ポイントが3のスキルをとりたいが、今は0ポイントなのでレベルを3つ分上げてこよう。」といった具合だ。

大変わかりやくなったはずだ。


そして今師匠に質問したのは、欲しいスキルを取るには足らないけれど、余ったポイントは次のジョブに引き継げるのかだ。


「持ち越せる。だから、基本的には転職前にレベルは上限まで上げておいた方がいいな。

逆に途中で転職すると、弱いまま転職回数だけ重ねて、どっかで行き詰まるから気をつけるんだぞ。」


「はい!わかりました!」


僕は師匠の助言に従い、取得スキルは【錬金初級】と【瞬発】を選択した。

続いて師匠は、転職のためのスキルを使用する。


そして僕の人生はじめての転職によって、神様から与えられたジョブは――。


「『調合師』か……。これは報告書と同時に論文を書かなければならないな。

『スキル・ジョブ相互作用の法則』の不完全性について、ってところか。」


師匠は落胆と困惑を隠しきれない声で言った。

僕も若干期待していただけに、少し落ち込んでいる。

もしかしたら、師匠と並べるかも……と、そんな淡い期待は儚くも散っていった。


「ま、そう落ち込むな。『調合師』だって本来なら、その下の『薬師』のさらに下である『薬師見習い』から出発するジョブ系統の、終着点だ。

かなりの飛び級をしていることに、違いはない。」


「そうなのか?すげぇじゃん、ニケ!」


「うん……。ありがとう、ヒロ。」


痛いくらいに軽快に叩かれる肩に、若干元気をもらえた気がする。

師匠は僕が立ち直ったことを確認すると、ひとつアドバイスだと言った。


「『調合師』になれば【調合上級】が強制的に取得される。

ニケは今後調合を繰り返してスキルに慣れつつ、道具の製作スキルを取得する方向で進めよう。

『錬金術師』になるために足らなかった要因として、最も考え得るのが道具製作の経験不足だからな。」


「はい。でも師匠、ならなんで【錬金初級】のスキルが候補に発現したんですか?」


僕の疑問に、師匠は珍しく考え込み、ゆっくりと口を開いた。


「恐らく、という推測の域を出ないが……、可能性はあるにはある。

私が錬金する為の素材作りを手伝っていたり、一時期【模倣(もほう)】のスキルで錬金をやらせてみたりしただろう?

それが影響しているのではないか、と考えている。


ま、あくまでも私なりの推測だがな。」


スッと両肩をすくめる師匠。

けれども存外、師匠の推察は正しい様に思えた。

なぜなら、候補の中には挑発もあったし、瞬発だって、きっと模倣で兄さんの真似をしていたから候補にあがったのだろうと予想できるからだ。

師匠の修行では、脚力のスキルをすでに会得しているので、瞬発は修行とは関係ないところで得たと考えられる。


師匠もそれらを見て、先の推論を述べたのだろう。


ともかく僕は今日、人生初の転職を終えて、自身の成長を噛み締めたのだ。





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