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勝利の女神は微笑まない~最弱だった僕が神になるまでの軌跡~  作者: あろ
第4章 ジェフティ・トートリス
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第90話 転職とスキル

「逆に言えば『スキル・ジョブ相互作用の法則』でこのスキルさえ持っていれば、錬金術師に()()()んだよ。」


「――はぁ?!なんだそれ、飛び級ってことか?!?!

ってか、なんだその法則聞いたことねぇ。」


師匠の言う凄さに、ヒロだけは気づけたらしい。珍しく食い気味に声を出した。

僕が頭の中を「???」だらけにして2人の顔を交互に見ると、師匠はため息を吐いてから説明してくれる。


「順番に説明する。長くなるが、よく聞けよ。


まず大前提として通常、錬金術師になる為には『道具師』の系統と、『調合師』の系統の両方を極める必要がある。


そして両方を極める為には最多で8回の転職が必要。つまり、第9ジョブに転職して、やっとなれるジョブだ。」


師匠が左右の人差し指輪立て、くっつける。その説明に目をむいた。

転職は回数を重ねるほど、肉体的にも強くなりジョブもまた、強力な物を選択できるようになることが、世間一般の常識だからだ。


そんな中、2系統を極めないとなれないジョブに、すぐなれる可能性が提示されているなら、確かに笑ってしまう。


「だが、別に飛び級自体は珍しい事ではない。

錬金術師というジョブも、あくまで最多で8回目というだけだ。

その道で普通に仕事をこなしていれば、5回やそこらでなれる。

現に私も、転職4回目の第5ジョブでなった。」


「そう…なのか?」


「そうだ。そして飛び級に関係してくるのが、さっきの『スキル・ジョブ相互作用の法則』だ。


例えばの話な。ジョブの名前が『剣士』なのに、剣を使えない、なーんて奴がいたら世界の理に反する。


それを世界は修正しようとし、影響を与える。つまりジョブには"最低限必要なスキル"という物があるんだ。

剣士の場合だと、ジョブが剣士になった時点で勝手に習得済みになる【剣技】というスキルがそれにあたる。


コレは『スキル・ジョブ相互作用の法則』の一側面だがな。」


「なるほど……。けど師匠、普通は、"剣技のスキルを持ってるから剣士になれる"んじゃないんですか?」


僕は普通の感覚と事実にズレを感じて指摘してみる。

すると師匠は否定せず、頷いた。


「そういう風に考えるよな。そしてそれも勿論可能。

今回の場合なら【錬金初級】のスキルを取れば錬金術師になれる可能性があるってことだ。


だからこそ『スキル・ジョブ相互作用の法則』なんだよ。

要するに、必須のスキルとそれに対応するジョブは、どちらが先でも良いってこった。」


「はーい、トートリス先生質問でーす!」


「なんでしょう、ヒロマサ君」


2人は突然ふざけた様に呼びかけ合うが、どうやら質問の内容は真面目なようだ。


「そんならなんで、"なれないジョブ"なんて物あるんだ?

というか、次のジョブって神様が勝手に決めちまうんだろ?

俺、転職するときに【剣技】のスキル持ってたのに、決まったジョブは戦士なんだけど!」


「なんだ、ヒロマサ。お前転職のシステム知らないのか?

いいか、『転職時点でのスキル構成によって、次の転職先が決定する』んだ。

ヒロマサ、盾を装備し始めたのはいつ頃だ?」


「えっ、最初っからだけど…」


「だからだよ。転職する時に、【剣技】と同時に盾系のスキルを持ってたんだろ。

そんで結果、スキル構成が戦士寄りになって、転職先は戦士が選ばれたってこった。


そんで戦士の必須スキル【武器効力上昇・微】は、転職した時勝手に覚えてただろ。」


師匠の言葉に「あー、そーいや確かに」とヒロは納得がいった様子だった。


「つまり、必須のスキルを持っていても、他のスキルと組み合わせると別のジョブになるかもしれない……ってことですか?」


「あぁ、その通り。御名答だな。」


ジェフ師匠は、ポンポンと僕の頭で手を弾ませる。

褒められ慣れていない僕は照れくさくて、若干視線を落とした。

どうやら師匠は随分ご機嫌らしい。


一通りの疑問が解決したところで、師匠は改めて僕のスキルが書かれた紙を持ち出す。


「話を戻すぞ。

現在習得可能なスキルの欄に、【錬金初級】のスキルがある。

いいかニケ、コレは絶対に取れ。

うまくいけば、史上最少回数での錬金術師誕生だ。

もし今回ダメでも、現状最少回数の記録は3回目だ。次に錬金術師になれれば、その記録を塗り替える事になる。

しかもだ。ひょっとして、もしかしたら……、本当に万が一の確率だが、未知のジョブ系統を歩むことになるかもしれない。」


ゴクリ


生唾を飲んだのは、僕だけじゃない。ヒロマサも、そして師匠もまた、異様に緊張していた。


「そしてもう一つ。このスキルも取っておくといいぞ。」


そう言って師匠の指が差したのは【瞬発】というスキルだった。

一体どういうスキルなんだろうか?


「脚力を瞬時に強化して、爆発的なスピードで飛び出すスキルだな。

普通は戦闘系のジョブに発現するスキルなんだが……。まぁ、ニケはちょっと特殊だからな。


瞬発のスキルは、回避と攻撃の両方で使い所がある上、単純故にリスクは少ない。無いとは言わないがな。」


僕が頷くのを確認すると師匠は、「あとはま、テキトーに好きなものとりゃ良いさ」と言って、僕に紙を手渡した。


この中からよく選べ、という事なのだろう。


「そんじゃま、ニケがスキル選んでる間にヒロマサの還元やってしまおうかね。」


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