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紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅲ
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第九篇 ディアモスの復活

 執事のクェーヴァーは、暖炉のある大広間に2人を案内し、

「お食事を御用意させて頂きました。どうぞお召し上がりください」

 テーブルの上には、一生に一度食べられるかどうかと思えるほど、それはそれは豪華な食事が用意されていました。

「クェーヴァーさんの料理、久しぶりだなぁ……」

 訂正しなければならない。フロールがここにいた頃は、豪華な食事を毎日食べていた。よって、一生に一度という表現は、フロールには当てはまらないようです。


 食事を終えて、熊沢さんが欠伸(あくび)をして間もない時のことです。フロールが所持している、あの首飾りの宝玉が漆黒の光を放ち始めました。

「まさか、復活するんじゃ……」

 だが、知識の無い熊沢ではどうにも出来ない。その光が弱まると、地が揺れる。付近の山から地響きがして、周囲に(とどろ)く。

「Extraordinary(イクストローディナリ) natural(ナチュラル) phenomenon(フェナメナン)!?」

「くまたん、何?」

 何語か聞き取れなかったフロールですが、熊沢さんは天変地異って叫んでます。


 城内最上階。

「ディアモス……、龍が復活するのか……? 7年前と合わせて、この世界に2体目が現れてしまうのか……」

 シェイは唇を噛み締め、震源地である北西の山々を注視していると、山々から巨大な怪物、龍、ディアモスが復活を果たし、天へを上っていきます。

「天変地異と共に、2体の龍が目覚めたとき、唯一の命令を(まっと)うする。それは、"隣国の壊滅"。旧帝国国王が成し遂げようとした野望か……」

 シェイは壁に拳をぶつけ、

「馬鹿な先祖だよな。(こう)(いん)にとんでもないことを押し付けて……」

 シェイは黙り込み、振り向かずに

「何の用だ? さっきは勝手に消えて」

 すると、奥の方から魔術師が現れ

「解凍魔術が発動した。もう1体が19時間程でここに来る」

 魔術師は光となり、消えて()く。

「勝手に、成仏かよ……」

「やむを得ない。呪いが解けてしまった。孫娘を頼むよ」

「……俺には荷が重いよ。もう会う気にもなれない」

 シェイは壁に(もた)れた。

「呪詛石に、君は"フロールにもう一度逢いたい"と願った。それなのにか?」

「……逢ったよ、飛蝗としては。会えば、俺もフロールも辛いからな……」

「やらずに後悔するくらいなら、全身全霊で良い結果になるように少しでも取り組んでから、悔やむんだな……。フロールのことは任せた」

 魔術師は今度こそ消え去り、シェイは

「いずれにせよ、あの首飾りが必要だから、俺は2人の前に姿を見せなきゃならない……」


 シェイは階段を下り、フロール達がいる大広間に通ずる扉の前まで来た。しかし、ノブにまで手が伸びません。

 すると、中から声がして、扉が開き

「お嬢ちゃん、私はね、兄貴から聞いたことしか分からないんですよ。……って、おっ!? ビックリした!」

 熊沢さんは、目の前にシェイがいたことに驚きました。前を向くのが少しでも遅れていれば、ぶつかっていたかもしれません。

「すまない……」

 暗い雰囲気のシェイに、熊沢は背中を叩き

Chance(チャンス) meeting(ミーティング)(かい)(こう)ですね」

 笑顔であった。何も知らないから仕方なかった……。フロールは真顔で

「誰?」

 空気が(とどこお)り、熊沢さんは(まばた)きをするのみ……


To be continued…


天変地異の英語。振り仮名は10文字までなので、英単語にカタカナをいれようとしたら、Extraordinaryが10文字を越えていたので、振り仮名が中途半端な感じになってますが、仕様なので気にしないでね。phenomenonはギリギリ10文字なのでセーフ。

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