表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅲ
8/39

第八篇 アグザンフの最期

 虚偽の鮫に追われた結果、ある部屋の前にたどり着きました。鮫が消えた後、フロールはその部屋のドアを見て不思議に思い、迷うこと無くドアを開けると、

「やっぱり、ここ知ってる。ここは……」

「左様、クリズン家のお屋敷で御座います」

 突然、廊下にタキシードを着た男性が奥から現れました。

Who(フー) are(アー) you(ユー)?」

 熊沢さんが、その男性に、"あなたは誰ですか"と聞くと、

「私は、クリズン家の元執事で、一応ですがこの町の(おさ)です。名は、ありません。ですが、フロールお嬢様に頂いた名前、クェーヴァーを今も尚、大切にしております」

「あっ、それは、昔飼ってた犬の名前で……」

 フロールがボソッと言ったことが、熊沢さんには聞こえた。

「まぁ、いいじゃないですか」

 と、熊沢さんは他人のことのように言いましたが……。

「……って、あれ? 執事さん、今クリズン家って……? 確か、フロール・クリズン……。えっ? えぇーー!? ってことは、ここに住まわれていたんですか!?」

 変に敬語になった熊沢さんに、フロールは(うなず)くだけだった。


 (かつ)て、フロールがまだ産まれて間もない頃、この地、アグザンフは賑わっていました。しかし、ある事件以来、川を渡った東側に住民が大移動したのです。ある事件とは……

「……"アグザンフの最期"から、7年。ということは、フロールお嬢様に会うのは、7年ぶりになりますね」

 クェーヴァーは、ハンカチで涙を(ぬぐ)う仕草をした。涙は出てないけど。

「アグザンフの最期って……?」

 フロールが初めて聞く単語について聞くと、熊沢さんがカンニングペーパーを取り出して、語る。

「7年前、ルディシオンによって、ある1体の巨大な怪物、ディアモスが復活を果たしました。ディアモスはもともと、嘗ての帝国国王のルディシオンが極秘で造っていた生物化学兵器です。その起動装置を破壊し、封印した魔導師が呪われたんです。元々、魔術がコーティングされていたようで……。確証はありませんが、その起動装置の役割を果たそうとしているのが、呪詛石らしいんです」

「石なら、庭にありますよ」

 クェーヴァーの発言に、少なくとも1人というより、1頭が硬直したことは言うまでもない……


 場所を移動して、中庭なのだが……

「コレって、雪の中、探さなきゃいけないってことですか?」

 熊沢さんは、執事に一応確認しましたが、

「石は、確か……、あの辺りですが……」

 クェーヴァーが指差した先は、銀世界の真っ(ただ)(なか)にうっすらと見えると言えば見え、見えないと言えば見えないギリギリのところに大きな石っぽいものがあるような……。見ているだけでも、寒さを感じ、意識が(もう)(ろう)としそうです……。霜焼けになりそう……

「……魔法で何とかなりませんか?」

 熊沢さんがフロールに聞くと、

「雪は止められないけど、大きな傘で屋根みたいにすることはできると思う……」

 この時、熊沢さんはふと思いました。フロールの魔法を使えば、あの橋を楽々渡れたのではないかと。

Repentance(リペンタンス) comes(カムズ) too(トゥー) late(レイト)...」

 後悔、先に立たず。

 フロールが巨大な傘を出現させ、屋根の役割を果たしますが、積もった雪で移動が難しいです。

 なんとか石に近づくと、4メートル以上はあるでしょうか。

「呪詛石……」

 考える前に、熊沢さんはフロールにある呪文を伝えます。フロールがその呪文を唱えると、呪詛石が光を放ち、一瞬のうちに小さくなり、色形共に変わってしまいました。

「それが呪詛石、第2の姿"呪われた宝玉の首飾り"です」

 熊沢はそこで台詞を止めました。忘却というよりも、知らないからです。それもそのはず。何故なら、(ほとん)どが兄から聞いたものでしたが、聞いたことは全て話してしまったから……。

「コレをどうするの?」

 フロールの疑問に、熊沢さんは答えることができません。

「それ以上のことは、アンノーン、未だ知らずです……」

 熊沢は頬を()くのみ……


To be continued…


フロールの過去の暮らしぶりが明らかに。まさかのお嬢様でした。熊沢さんが、フロールのことを呼ぶとき、お嬢ちゃんって呼び方をしてましたが、間違いでは無かったようです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ