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紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅲ
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第七篇 ホワイトシャーク

 窓の外は一寸先も見えぬ暗闇。夜になったみたです。城内は、城と似合わず、発光ダイオードの電球で(とも)されていました。

「あっ、(さめ)!」

 フロールが窓の外を指差してそう叫んだため、熊沢さんは不審に思い、窓の外を見る前に

「お嬢ちゃん、鮫ですか? (こい)(のぼり)とかではなく? あっ、でも鯉幟にしてはunseasonal(アンシーゾナル)、季節外れですし……」

 しかし、暗闇の豪雪の中、宙を優雅に(およ)いでいるのは、季節外れの鯉幟ではなく、鮫です。

「これは、(たま)()ましたね……。どこから見ても、あれはシャークですね……」

 一瞬、いや、数秒間目が合ったように感じ、

「なんか、嫌な予感がするんですけど……」

「鮫、こっちに来るね」

 相対的な2人。慌てる熊沢さんと、天然のフロール。鮫がだんだんと城に迫ってきます。あのBGMが聞こえてきそうです。

「逃げたほうがいいのかな」

「そりゃ、逃走したほうが、身のためでしょ……」

 久しぶりの逃走劇が始まる。 Run(ラン) for(フォー) the() life(ライフ).

 鮫が窓を割り、巨大な体で壁も壊す! 鮫は推定でも、全長が10メートルはあるだろうか。デカすぎ。

「こんなことなら、バイクの修理してたらよかった……」

 と、ぼやく熊沢さん。

「魔法でも、知らない構造のものは直せないよ」

 フロールの言うとおり、知らないものは魔法を使ってもできないようです。

「自分で直せますよ……。はぁ~」

 熊沢のバイクは玄関にほったらかしです。

Repentance(リペンタンス) comes(カムズ) too(トゥー) late(レイト)……. どうにかなりませんか? 後ろのジョーズ……」

 と、熊沢さん。英文は、後悔先に立たず。

「でも、正体が解らないし……」

「鮫の正体ですか? あれは、マッコウ──」

「それは、(くじら)だよね?」

「ツッコミ、ありがとうございます」

 この状況に似合わない会話と空気。でも、そんな事でもしないと、気が気じゃない。

「後ろのヤツをフカヒレにでもお願いします」

 熊沢さんがオーダーしたが、フロールは

「キャビアの方がいいんじゃない?」

「あれ、(ちょう)(ざめ)の卵を持っていますかねぇ……?」

 突き当たりを2人は右折して、階段で上の階へ。階段を上るのが辛い。フロールは、階段を上りきってすぐに後方を向き、呪文を唱える。鮫の下に魔方陣が発生した。

「キャビア♪ フカヒレ♪」

 上機嫌な熊沢さん。しかし、鮫は(こつ)(ぜん)と消えてしまいました。

「あれ?」

 どうやら、本物ではなかったようです。

「フカヒレ、どこへ行くー! キャビアよ、何故消えんとす……」

 うるうる涙目の熊沢さんは、断ち切るしか術はなかった……。

「厳密には、過去形だよね?」

 天然、フロールのツッコミは、どんな鋭利なものよりも心に深く刺さった。

 ちなみに、"何故消えんとす"は、"どうして、消えようとするのだ"ということ。確かに、厳密には過去形にしないといけない。いや、問題はそこじゃないですよ。


To be continued…


フロールが、たまに天然なのか頭が良いのか分からないツッコミをしますね。

第四篇の後書きに書いたとおり、受験シーズンネタに含有されるのかな。

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