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紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅲ
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第六篇 ルディシオン

 熊沢は言い切りました。それを聞いた、フロールの表情は少しずつ変わり……変わり……ません。少しの間が開いて、

「……どういうこと?」

 と訊いた。熊沢はフロールに、こう伝えたのだった。

『お嬢ちゃん、あなたは、ただの魔法を使える女の子ではありません。兄貴の言った通り、西洋魔術士の頂点に立ったと言われる高祖父と、エリートの魔法使いである高祖母から産まれた曾祖父。その曾祖父の3人孫娘の1人で魔女の母から、少なからず多少の血を引いています。そして、お嬢ちゃんには──』

 熊沢は言い切った。フロールのことを……。それは、シェイの耳にも入る……。


 戦闘中に、魔術師から話を聞かされ、

「嘘だろ? 呪詛石の生成、その本当の原因が……」

 シェイが立ち止まり、魔術師は

「真実ハ 残酷ダロウナ……。知ラナケレバ幸セダッタノニ、お前はそれを望んだ。真実がいつも幸せを運ぶわけではない。真実は時に牙を()く。そして、誰も得しない真実もある。全く、(もろ)いもんだよ……」

 フロールは、ルディシオンの元凶である。

 フロールはその意味を知らない。熊沢さんは、その意味を言わなかった、いや、言えなませんでした。でも、シェイ君はその意味を知っていたようです。

「何故、君が(ほう)(こう)する必要があろうか。倒さないのか? 見逃すのか? 私を……」

 魔導師は、そう言うと、笑みを浮かべてスッと消えました。なにそれ、ホラーですか?

「ルディシオン……。(かつ)ての帝国大王の名、それと同時に、悪魔を意味する……」

 シェイは、拳を握り締めた。



 外の積雪は2メートルに達していました。城内2階の窓から眺めも、豪雪は止む気配が無く、このまま埋もれてしまうのではないかと心配そうに、フロールは暗い空を眺めています。

 少し離れて、廊下の角で熊沢さんが壁に(もた)れ、フロールからは死角の壁にシェイが凭れていました。熊沢さんは、シェイ君が飛蝗君であることを知っていますが、フロールは知りません。

「直接的には、会わないんですか?」

 熊沢さんは、フロールに聞こえない程度でシェイに聞きました。シェイは、

「解ってることを訊いてどうするんだよ……」

May(メイ) I(アイ)──」

「大きなお世話だ」

「まだ途中なんですけど……」

 シェイは溜め息をついて、

「ルディシオン。……もしかしたら、封印が解かれる恐れがある」

「……困ったことになりましたね。ただでさえ、お嬢ちゃんの呪詛石封じをしなければいけないというのに……」

 熊沢がそう言うと、シェイは黙ってその場を去る。

「お嬢ちゃんの誕生と共にできた呪詛石の封印を……」

 熊沢さんは、シェイが去ったことに気付き、フロールのもとへと歩くと、

「お嬢ちゃん、行きましょうか?」

「ねぇ、ディアモスって知ってる?」

 熊沢さんは目を丸くして、仰天。

「……どこで、それを?」

「昔、お母さんとお祖母ちゃんが話してるのを聞いたんだけど、ディアモスって何かなぁって」

「……」

 無言で硬直する熊沢さん。

「くまたん?」

「魔術の怪物。もっと言えば、魔術によって形成された巨大な怪物って感じですね。確か、全長2(キロメートル)だったと思います」

「2粁?」

「えぇ、推定で」

 熊沢さんが言うと、一層信じられない大きさですが……


To be continued…


昨日、第五篇を更新しましたが、12月1日は全作品の同時刻更新日です。12月1日はブログの開設日で、自分の作品を初めてネットに公開した日なので、記念日として去年に引き続き、全作品が更新されます。

なお、本日より『路地裏の圏外 ~MOMENT・STARLIGHT~』が連載開始です。去年の『龍淵島の財宝』と同様に、『紅頭巾』のキャラが登場です。そちらもよろしくお願いします。


(ただ、この後書きを書いている時点だと、『路地裏の圏外』は着手前です)

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