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紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅲ
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第四篇 街の城

 いかれたエンジン。もう使い物になりません。ずぶ濡れのフロールと熊沢さん。バイクは、もう動かないでしょう。

Finally(ファイナリー)、ドボーンですよ、ドボーン……。落ちるとか」

 と、熊沢さんが言うと、

「受験シーズンだよ」

 と、フロールの無心の言葉が熊沢を硬直させます。確かに、冬は受験シーズンですが……

 そよ風は冷たく、無音の街。いつの間にか、空を厚い雲が覆っていました。雨は降っていませんが、水溜まりが至る所に点在しています。(がら)()は割られ、看板も塗装が()げていました。電球の切れた街灯に絡まった新聞は、遥か昔のもので、もう読めません。

「あのキャッスルが目的地ですよ」

 熊沢は、街の西に位置する白い城を指差します。ギャグじゃないです。白い城なんです。



 雪では無く、本当に白色の城。長い歳月が流れても、この城はほとんど無傷です。しかし、庭は荒れ果ています。

「……なんか、初めてじゃない気がする」

 フロールがそう呟くと、熊沢さんは

「デジャビュってやつですか?」

「ううん。分かんない。だけど、……」

 フロールは黙り込みました。そうではないとも、そうだとも言い切れなかったようです。

「"懐かしい"って感じですか?」

「ナツカシイ?」

 フロールには、自分の感覚がはっきりと解らないようです。

「まぁ、カルチャーショックみたいなやつですよ」

 熊沢さん、それは違いますよ。懐かしいは、カルチャーショックではありません。

 フロールは黙り込んだまま、答えが出ないようです。

「……まぁ、形容しがたいほど、素晴らしいキャッスルですからねぇ~」

 熊沢さんは、そういっていつものように振る舞います。しかし、熊沢さんは、心当たりがありました。この件も、兄貴から聞いていたから……


    *


 昨夜のことでした。アルバイターが店の整理をしている最中、熊沢さんは、フロールを隣街に連れていくことを、兄に話していました。熊沢さんの兄は、

「馬鹿か? アレを見るのも知るのもまだ早すぎる。あの街に行かせるな! 特に、魔女と魔導師の血を引く子になど……」

「……兄貴? 何で、そんなこと知ってるんですか?」

 熊沢さんは、兄の口から出た言葉の意味がよく理解できなかった。

「簡単に言えば、俺が     だからな」

 熊沢さんは、驚いて理解できずに聞き逃してしまいました。城についても、それを悔いていました。それともうひとつ、

「俺は、お前の実の兄じゃないぞ」

 と、兄が真顔で言っていたのです。じゃあ、次から何と表記すれば良いのでしょうか……。


To be continued…

受験シーズンってツッコミは、ブログ掲載時と同じままです。そもそも、ブログ掲載時は2011年2月14日。受験シーズン真っ只中ですね。

今回は、11月スタートになったので、作中の世界で受験シーズンってことで。(改変?)

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