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紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅳ
37/39

第三十七篇 ありったけの魔力で……

 熊沢がバイクで釣り竿を宅配。

bait(ベイト)を選んでたら時間がかかってしまいました」

「ベイト?」

 気力も減ってきたシェイは英語の意味を考える。

「……エサか!? ()(ぎわ)らしいな!」

「大物を釣るなら、()()()より本物がいいっておっしゃってくれたんですけどね」

()()なんて選ぶ必要あるか!?」

 頭の回らないシェイはツッコミもグダグダだ。

()()(ばり)はどのような?」

 ロバが熊沢のボケを処理するようだ。

「ジャジャン! 擬餌はエビ!」

「……で?」

 ロバの一言に、熊沢は持っていた釣り竿と擬餌を落とす。

(流石に、それは言わなかったけど、実際に言われると一番痛いな……。まぁ、エビは無いだろ)

 シェイは熊沢が落とした釣り竿を拾う。

「熊、釣り竿の先にルアーが元々ついてるんだが……」

 熊沢がやっと動くと思いきや、涙目のうるうる

「だって、鮭のエサが分からなかったんだよ……」

 鮭は餌を食わないらしい。だが、釣れる。その因果関係については、面倒なので説明は割愛です。ところで、確か熊沢は鮭を釣っていたはずだが……。河童が釣れたこともあったが、釣りをしていたような……。

「鮭の餌って、塩サンマ?」

 熊沢が突如そう言ったが、

「さぁ?」

 釣りに詳しい者は居なかった……


 さて、字数と話数、それに時間がもったいない。早く進めてくれ。

 シェイは釣り糸に魔法をかける。釣り針はなく、取っ手のようなモノを先に付けた。

「熊、龍の口を目掛けて一振り頼む」

「では、代表して」

A(エー)S(エス)A(エー)P(ピー)!!」

Let's(レッツ) go(ゴー)!」

 熊沢は釣り竿を振りかぶって、大きく振る!

 ルアーは龍の口のやや上、鼻に当たるかと思われたが、

「ナックル!」

 急にルアーが下へ落ち、見事に口の中へ!

「俺がルアーを操作してるんだが……。あと、knuckle(ナックル)は"指の関節"って意味だからな。ボールじゃないが、ナックルボールの略って言うなら話は別だが……」

 集中したいシェイだが、自分自身も自分が壊れかけていることを感じている。高熱で寝込んでいるときのような感じだろうか。いや、それ以上か?

 シェイの代わりに補足すると、ASAPは"as soon as possible"の略で、"可及的速やかに"という意味だ。


 最初はフロールの手を掴み歩いていたが、フロールが歩かなくなり、背負って歩くこととなった。スミシュにとっては、なかなかハードな気がする。いや失敬。さほどハードではなさそうだ。

 フロールの意識は幻想空間に()り。その幻想空間が自分の無くした記憶の断片であることは知らず。

 スミシュの目の前にルアーが泳いできた。最初は宙に浮いていたが、浮遊の力はほんの少しで無くなってしまった。


「熊、あとは任せた……」

 シェイはその場に倒れ込む。栗鼠山が倒れるのもそう遅くはない。

「リールを巻けばいいんでしょうか……?」

 テンパる熊沢。釣り竿が(しな)る。

Hit(ヒット)!?」

 獲物ではなく、フロール達が気づいたのか?

「ゆっくり巻けばいいのでしょうか……?」

 メナードリーはその光景を見て、祈るしかできない。熊沢を見て

(せん)(せん)(きょう)(きょう)……」

 と呟く。戦々恐々とは、恐れてびくびくする様子を表す。ちなみに、この字は代用であり、"戦戦兢兢"と書く。

 リールをゆっくり巻いては、時々止める。熊沢はそれを繰り返す。手応えさえも分からない。リールを巻くのを止めると、釣り竿が撓る。


To be continued…


ブログ版をぶつ切りにしているので、たまに短くなってしまいましたが……。

さて、話数の多い『紅頭巾3・4』でしたが、あと2話です。最後までよろしくお願いします。

なお次回は、同じくブログ連載時の仲間である『メイズ・ラビリンス』に合わせて、23日夜に更新です。

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