表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅳ
30/39

第三十篇 似非魔法使い

 少し間が開き、ロバはさらに追加で

似非(えせ)魔法使いは、約20年前にある屋敷を消失した話もあります……」

 それを聞いた途端、フロールと熊沢は

「屋敷って……、あの(やかた)ですか!?」

 熊沢が最初に言い、フロールは

「じゃあ、お父さんのお祖父ちゃんは……」

 熊沢は兄から聞いた話を呟く。

「20年前、館で大火事の時、フロールの父方の祖父が亡くなりました。曾祖父は強い魔力を秘めた人で、魔導師のトップの父と、エリートの魔法使いである母から産まれて、強い魔力の持ち主……。その人の魔力が石に染み付いて呪詛石ができました……」

 シェイは龍の様子を目視したあと、

「呪詛石は3つ。その1つだろうな……」

「その女の人ってどこにいるの!?」

 フロールの質問にロバは

「呪詛石によって不老不死となったあと……、7年前龍に食われたとか……」

「無未来事件。通称、アグザンフの最期ですね……」

 熊沢の調子が上がってきたようだ。ちょくちょく首を突っ込んでくる。

「7年前、ルディシオンである何者かによってディアモスが復活。ディアモスは帝国大王が極秘で造っていた生物化学兵器……」

「帝国大王は、女が実権を握っていた時期を示します……」

 熊沢の話にロバが補足していく。イオが自分の考えをメナードリーに問う。

「その7年前にルディシオンが、似非魔女を捕まえるためにディアモスを用いたということですか?」

「逆ですね……。似非魔法使いがディアモスを復活させて、国を潰そうとした」

 フロールがそれらを簡潔にまとめるかのように、

「ってことは、悪い魔女が国王さんを龍に変えてしまって、その悪い魔女が国を支配していたんだよね? 20年前に立ち向かった魔術師が魔女を退治するんだけど、魔女が怒って魔術師の家を燃やしたんだよね? 7年前に魔女がまた国を支配するために、ディアモスでルディシオンっていう国王さんから国を奪おうとしたら、また魔術師の知り合いに倒されるんだけど、今度はディアモスに食べられちゃったっていう話だよね?」

「……正解ですね」

 ロバはそれしか言いようがなかった。説明不足のところも補われていて、偶然か知っていたのかは分からないけれど、説明の手間は省けたかな。シェイは1つだけ聞く。

「矛盾してないか? 国王は双子って言ったよな? 7年前に出現したのは複合キメラのディアモスだ。そして、今回出てきたのは、龍のディアモスだ。融合して龍になったという話を聞いてるが……」

 すると、メナードリーはついに

()(たら)()を言えば、必ずボロが出る……。分かってはいましたが……。もう隠すのはやめておきます。龍が国王であることは間違いありません。複合キメラの件ですが……、似非魔法使いを食ったのは龍です。そうなると、7年前にキメラと龍が同時に出現していたことになります。キメラについては一切分かりません。龍は魔術師によって、封印されてたことは確実です。何故あやふやに出鱈目を話したかというと、全ての出来事を実際に見ていたことを隠したかったからです。私は似非魔女を許せなかった。国王は、父親のような存在でした。その国王をあの似非魔女は……!! 呪詛石に、勝手に、あいつに復讐したいことが叶えられたようで私はあいつに復讐できるまで、あいつも私も不老不死ですよ……」

「じゃあ、ロバさんは魔女を倒さないと解けない呪いにかかってるってことなの」

 フロールがそう言うが、空までも徐々に(どん)(てん)模様となる。


 しばらくすると、雲は森まで覆った。雲は雪ではなく、豪雨をもたらし、雪を溶かして火事を消す。

 街の大通りは傘を差す人々で混雑していた。雨具を着用する者もいれば、逃げることを何よりも優先する者もいる。家屋は何棟か倒壊し、パトカーや救急車、消防車が道を走る。

 ロバが恐れていた事態にはまだ至っていなかった。龍へ攻撃する(やから)は現在のところ無し。しかし、いつ現れてもおかしくはない。事は一刻を争うことにかわりは無いのだから…。

「ロバさん、ウユーブリッジのギミックってご存じですか?」

 熊沢が気になって仕方のない仕掛けについて訊くと、

「残念ながら知りませんねぇ……。調べてみしょうか?」

「お願いします」

 モヤモヤが少し晴れた熊沢は、バイクに乗って熊沢書店を目指す。シェイとフロールは、龍を街から遠ざけるため、魔法で龍を誘導する。魔力温存のため、出来る限り節約していく。イオは携帯電話で情報交換をする。

「──というわけで、龍の封印に手間取ってます」

 電話の相手は

『龍の生き残りはイオだけだ。あとは……』

「あの騒動のなかでしたからね……」

『こっちからも緊急の報告がある──』

 報告を聞いたイオは

「そんな…、じゃあデラル大国は!? ──まさか……」

 イオ側も(きゅう)()に追い込まれているようだ。ちなみに、電話の相手はイオの恩人であった。


To be continued…


フロールが話をまとめることで、現状を整理しつつ次へと進行中。

『黒雲の剱』から登場のイオに関しては、かなり後の話なので『黒雲の剱』本編で”デラル大国”が登場するのは、来年以降の気が……。いや、来年出れば早いほう……?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ