表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅳ
28/39

第二十八篇 封石

 地上に落下した龍は叫び、イオがすぐに行動する。

「……暴れるのはもうやめておけ。今、その呪縛を解く」

 封石が白く光り輝き、龍を封印しようと働く。だが龍はそれを拒み振り払おうとする。

(封ずる力が弱いのか!?)

 イオが一瞬そんなことを考えた直後、龍が全てを振り払う!!

(無理か!? 封石は対応する龍の力に合わせて、形や大きさが異なる。あの龍を封じるには封石の力や大きさが足りないのか!?)

 石と言えば、現在シェイとフロールがそれぞれ1つずつ呪詛石を所持しているが…。


 龍を抑えきれない封石は()(れつ)が走る。このままでは砕けてしまう。イオの心の中では

(龍にとってこれがどれほど苦しいのか、俺は分かっているというのに……。(ちく)(しょう)!)

 シェイは石を見てある可能性を模索した。

(あの石とこの石はどっちも同じ石かもしれない……。それに、この呪詛石を使えば……、願いを込めればどんな願いでも代償を払えば叶う! それなのに……! なぜ石を持ってる俺とフロールは龍を助けたいと願っても叶わなかったんだ……?)

 その疑問があたかもロバに伝わったかのように、ロバは

「呪詛石の願いは1人1回のみ。そして、自覚はなくともその願いをひそかにずっと抱いていなければ叶わない。つまり、呪詛石はその人が願う一番の願望を叶えてくれる。そう考えれば、全てのことが説明可能になります……」

 ただ、この声は近くにいる栗鼠山ぐらいしか聞こえていない。この発言により、熊沢の呪詛石に2回願い事を頼んだことが嘘となる。この嘘が意図的のものかどうかは分からないが。

 フロールとシェイの魔法はまだ持続可能。しかし、封石はもう無理だ。

「やむを得ない……」

 イオは封石を下げて、龍に訊く。

「人間には戻れないみたいだが、いつから?」

 いつから龍であるか問うも、龍は応えず。

 他にも手段はいくつかある。しかし、リスクが高い。安全に行うならば、協力者に説明する必要がある。避けて進みたかったが、そうは行かせてもらえないみたいだ……。

 フロールが龍を抑えつつ、イオが簡単に話す。

「あの龍は元々人間だった。ある理由で龍の姿となり、我を忘れている。あの龍を人間の姿に戻すことはもう手遅れで、最後の手段はどちらか2択。多少のリスクはあるものの時間をかけて龍をおとなしくさせるか、龍を安楽死させるか…」

 もちろん、後者は避けて前者の方が望ましい。しかし、現状からそうとも言っていられない。

「他に選択肢は?」

 シェイが問うとイオは

「リスクがあまりにも高い方法ならある。だが、二次災害の恐れもあるからそれは避けたい」

「龍を助けないと」

 フロールがそう言うが、ロバは暗い表情で

「助けるには様々な危険と膨大な時間が必要となります。龍か街か。この国にいるのは私達だけではありませんから……」

「やだよ!」

「お嬢ちゃん……」

 熊沢もどうすべきか分からない。

 積雪は1.6メートル弱といったところだろうか。今降っている雪は、積もる雪ではなさそうだから新たに積もることは取り敢えずなさそうだ。だが、雪が崩れないか少々心配だろう。

 熊沢は前置き、もしもの予防線を張るかのように

「素人が突っ込む話じゃないんですけど、イオ君の石って呪詛石との違いは…?」

「……他に似たような石があるってことか?」

 イオがそう言うと、説明のためにフロールが簡単に首飾りをはずそうとして

「外すな」

 シェイが注意した。シェイ自身が持っている呪詛石をイオに見せる。

「はっきり言って、分からない……。微妙というか……」

 判別はつかない。イオが石を持とうとするとロバが注意をする。

()(かつ)に触ると取り返しのつかないことになります」

 確かにそうなのだが…


 龍を救いたいと言うフロールだが、元々少なかった方法がさらに限られてきてしまった。

 シェイと熊沢はフロールの願いを理解しているが、打つ手なし。ロバは街の心配、このあと起こりうる出来事について不安でいた。栗鼠山の考えは不明だが、おそらく案は無いのではないか。そうすると、イオの作戦しか道はない。いずれにせよ、リスク無き成功無し。

 作戦のための準備をしていると、ロバが電話をしていた。フロールはロバが電話を切ったあとに、電話について問うと、

「ロバさん、誰に電話?」

「……難しい話で長くなりますが、聞きますか?」

「魔法で即伝達ができるが…」

 シェイはロバへ承諾を求めると、ロバは

「時間が惜しいですからどうぞ。ただ、ある事柄に関してのみ私に質問されても答えられません」

 即伝達魔法。伝えたい事柄を瞬時に複数人へ伝達する。その際、脳裏に直接アクセスしてやり取りを行う。そのため、一瞬間で正確に伝達するため重宝されていた魔法であった。最近はその人の知られたくない情報も同時に伝達されるおそれがあるため、需要は低くなっている。あくまでも、その人が見た光景や聞いたことがありのままに伝達される。もう一つ言えば、ありのままに伝達されることから第三者の情報までもが伝達されるおそれも十分にあるのだ。

 ロバの承諾を得たシェイが即伝達魔法を使用。それにより、以下のことを把握した。龍は国王自身である。他国の技術を利用し、あることに備えるために兵器開発を余儀なくされていた頃、その他国で実験に失敗。その他国の名はガドライン国といい、現在は存在しない。デラル大国との戦いによって敗北し、今はデラル大国の一部である。

 なお、以降は(も?)ファンタジー要素が抜けるが再び戻ってくるだろう……。


To be continued…


イオ君の設定を思い出すために調べたら、『黒雲の剱』が第9部が終わった頃のお話ですね。いや……、なろう投稿中の『黒雲の剱』が追いつくの、いつだよ。いま、第6部(ブログ版だと第5部)終わって、これを書いたのは、2012年2月頃。もう8年前なのか。イオ君の設定を思い出すために調べたら、『紅頭巾4』は『黒雲の剱』第9部が終わった頃のお話ですね。いや……、なろう投稿中の『黒雲の剱』が追いつくの、いつ? いま、第6部(ブログ版だと第5部)終わって、唯でさえ優先度を下げて止めてるのにな。

気長にいきますか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ