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紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅳ
25/39

第二十五篇 停車

 この街に存在する唯一のタワー。高さは290メートルと低めだが、街で一番高い。25階展望台から町を望む少年。火の玉を吐く龍を見て

「見つけた。あれが(はぐ)れ龍、螮蝀(ていとう)。別名は潜竜(センリョウ)

 少年はすぐにその場から龍のもとへ向かう。


 一方、リムジンではある深刻な問題が発生していた。ロバはシェイ、同時に栗鼠山へ話す。

「危機的状況のため、率直に申し上げると燃料不足によりものの数十分後にはガス欠に至りそうです……」

「……」

 シェイは後方を見て、龍との距離を推定する。

(今の魔力の残り具合から考えても、このリムジンを動かす魔法は()(ちく)すぎる……。後方に合図を送るしかないか……)


 熊沢のバイクは龍の尻尾にまで追い付いた。

「このまま龍を追い越す!」

 熊沢がバイクをさらに加速させると、フロールがセンターラインを見て

「ここ追い越し禁止だよ」

 すると熊沢が咳払いをして

「センターラインがオレンジだと一般に追い越し禁止と思いがちですが、実際は追い越しのための対向車線はみ出し通行禁止なんですよ」

「……へぇー?」

「……理解出来てませんね。まぁ、良いですよ。えぇ……」

 熊沢のドヤ顔はスルーされ、いわゆる骨折り損のくたびれ(もう)けであった。フロールはすぐに

「くまたん、リムジンがランプ点けてるよ!」

 熊沢が目視によって確認すると、

「ハザードランプが点滅してますね」

「龍に感謝してるのかな?」

「お嬢ちゃん、それは違うと思いますよ。走行中のハザードランプの点灯は非常事態、減速など後方に知らせるモノであって、本来はお礼を意味するものでは……って、聞いてますか?」

 熊沢の悪い予感は的中。フロールは熊沢の小難しい話についていかずに、新たな魔法の呪文を唱えていた。

「どうせこんなベアーなんか誰も……」

 熊沢はバイクを一気に加速させる!

「緊急事態だよね?」

 フロールはリムジンへ魔法をかける。熊沢は一応問う。

「……ナンノ マジック デスカ?」

「急停車の魔法」

「……えっ?」

 熊沢には耳を疑う時間など無い。バイクはリムジンの後方50メートルの位置にまで来た。急停止の魔法をリムジンにかけたということは、必然的に展開が読める。急停止するリムジンに加速中のバイクが追突事故を起こす。しかも、路面凍結となると絶体絶命。バイクが急ブレーキをかけた場合、リムジンとの衝突は回避可能だが体勢を崩してスリップにより熊とフロールが大怪我をするだろう。ハンドルをきるのも1つだがタイヤ(こん)を走っていたため、それ以外の路面(火の玉にて解凍された路面を除く)は完全に凍結してスリップは避けられない。従って、熊沢の出した結論は

「あのリムジンを飛び越える……。お嬢ちゃん、手助けを頼みます!」

 熊沢はバイクの速度を上げる! 前方のリムジンから急ブレーキの音とタイヤが空回りする2つの音が。

 ここでフロールが一言。

「リムジンを路肩に寄せるね」

「え?」

 熊沢はバイクを徐々に減速。バイクが止まった頃には、前方で龍が旋回を完了していた。

「無限ループって、怖くないですか?」

 熊沢は脱力感によって、バイクの旋回は諦めた。

 フロールはリムジンの方へ。リムジンからロバが降りて

「燃料切れのため、ハザードランプで通知しましたが、無事に停車できたことをお礼申し上げます」

「大丈夫だった? よかった」

 熊沢はバイクを押してフロールのもとへ走る。一応、リムジンとバイクの追突事故を避けることができた。

「お嬢ちゃん、落ち着くのはあのドラゴンをなんとかしてからですよ」

 龍は低空飛行で熊沢達のすぐ真横を過ぎ、熊沢は吃驚(びっくり)


To be continued…


イオ君が登場。『黒雲の剱』のキャラですね。『路地裏の圏外』ではなく、本編でキャラが交流するのは、機会が少ないものの何回かあります。時間軸的には、『黒雲の剱』がかなり先に進んだ話ですね。そもそも、現時点の『黒雲の剱』だと、イオ君喋ってないです。

螮蝀(ていとう)”って、ちゃんと表示されるのかな。

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