第二十一篇 違和感
「どっちにしろ、俺は未習得。それに……」
シェイは少し黙って、連絡魔法を使った。
しばらくすると、シェイは
「まずいことになった。龍は、街にいる」
最初に、熊沢はシェイに聞いた。
「どこにtelephoneしたんですか?」
「知り合い……だな」
シェイのその一言で、熊沢は変な疑問を抱いた。
「friendに捜索依頼ですか?」
「……そうなるかな」
熊沢は鎌をかける。
「最初からfriendsに頼めば良かったのに……」
「そんなこと、出来るかよ。気まずくてな……」
熊沢がとどめに
「動物の勘って、凄いモノですよ。人間の時にいう第六感より強くてですねぇ、信憑性が妙に高いときがあるんですよ。メネア君とは、短い時間ながら一緒にいた。だからこそ……」
「熊、何を……?」
フロールは分かっていないようだが、ロバと栗鼠山、熊沢は感じていた。彼は誰か? そして彼は存在しない。
「メネア君の性格をこれでも十分解っているつもりですよ」
「フロール、こいつら変だぞ」
「……変なのは、君だよ。誰?」
フロールも見破った。
シェイが舌打ちをして、
「……残念だな。このまま黄泉に連れていってやるよ」
シェイ、いや偽物が本性を現した。
一方、本物のシェイは真っ暗ななか、ただ1人、立っていた。
(異空間か? おそらく、虹色に輝いたときだろうな……)
シェイは魔法を使えば、この空間から脱出できるが、フロール達を見つけるのが先決であると考え、周りを見渡した。しかし、誰もいない。だが、一周だけ周りを見たあと、前を向くと目の前に人が立っていた。
「!?」
驚いて声が出なかった。
「誰かと思えば、靴屋の子供か……」
誰か一瞬分からなかったが、今分かった。フロールの母親、マードレ・クリズン。
「ここは、フロールのお母さんが作った空間ですか?」
シェイの問いにマードレはただ一言だけ
「否」
その答えを聞いたシェイは、今後一切の質問において、返答が認めるか否認のみだと感じた。シェイは、フロールの母親であるマードレが作った空間だろうと推測したが、先程マードレはこれを否定した。
「靴屋の子供、まじゅちゅしの……」
あっ、噛んだ。
「まぢゅ……」
噛みました。
「……魔法力を持つ者の血縁。フロールから離れなさい」
マードレは諦めて言い換えました。シェイは
「フロールから離れるため、街から追放するために俺の祖父に病を」
「逆だ。お前の祖父は死んでいたはずだ。いや、言い方が違うか……、すぐに死ぬはずだった。しかし、 」
*
花屋の前で、一人の老い耄れた男性が、店員と思われる女性に頭を下げている。男性は
「お願いだ! あの子には、もう親がいないんじゃ。あと3年、いや2年でいい! あの子が一人前に、立派になるまででいいから、あと少しの余命を頂きたい!!」
女性は無視を続ける。すると、店長と思われる人物が
「魔法で寿命を延ばすことなんてできるのか?」
その問いに答えたのは、外が騒がしくて様子を見に来た、隣の店舗の店長らしき人物で、
「寿命を延ばすことは不可能だが、病気をある程度遅らせることは可能らしい。未知の病だろ? 今は本屋を営んでるが、知識はある」
花屋の店長は男性に本屋の店長をこう紹介した。
「……彼は、医学部に進んだが金の関係で医者になれなかった本屋の店長だ」
「世界のどの病院に行っても治らないと言われた……。頼む!」
To be continued…
正月休みもそろそろ終わりですかね。『紅頭巾』は次回より、もとの更新間隔になります。年末年始でかなり進んだように見えて、話の展開はぼちぼちと?




