表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅳ
19/39

第十九篇 ランダム

 フロールのランダム魔法で、巨人が出た。ドシーン! ……。

「違うの出たけど、行っちゃぇ」

 フロールが巨人に命令した。熊沢が

「お嬢ちゃん、余計な一言でgiant(ジャイアント)の威勢を殺さないように……」

 即座にシェイは

「お前が言うのかよ」

 このコントを見たロバは微笑(ほほえ)んだ。

「仲の良いメンバーですね」

 そんなやり取りのなか、巨人が龍を抑える! が、龍が暴れて尾が熊沢のバイクに激突!!

「アァー!? 五千万のバイクが!!」

 熊沢、失神。

「五千万のバイクなんか、戦闘が起こることが分かっているのに乗ってくるなよ……」

 シェイはそう言ったが、フロールが

「メネア君も乗ってたよね」

「何とも言えないけど、バイクの持ち主兼運転手は熊だからな……」

 いつの間にか、フロールに対してため口になっていた。フロールはランダム魔法を続けて唱えるが、空振り。ロバは道路地図を広げて、

「ランダム魔法で出るモノは、自分が目にしたモノや体験したモノでなければならない。でしたよね?」

「あと、想像したことのあるモノでも大丈夫らしい」

 シェイは実のところ、ランダム魔法が使えない。階級を少なくともあと2つ上がらなければ、使用できないのだ。フロールの階級ならば、タブー以外はほぼ全ての魔法が使用できる。階級は、協会が定めているらしい。詳しいことは、魔法使いでも、ごく一部の人が知っているぐらいで、他は噂のみだ。

 影が最も薄くなっていた、栗鼠山は尚もクルミを割っていた。熊沢が一言、

「あっ、そういえば教官もいたんですね」

 それを聞いた栗鼠山は、割っていた手を止めて、熊沢を睨み付けた後、大きく振りかぶって、割っていたクルミを投げる!! 熊沢の顔面直撃!!

「痛いですよ、教か……」

 熊沢は一瞬間だけフリーズした。そのすぐ後、栗鼠山が大量のクルミを熊沢にぶち当てる!!

「イタタタタタタタタ──」

 1秒間に3個のクルミが激突!

「くまたん! バイクが星になったよ!!」

 フロールの声がかろうじて熊沢に届いたようで、熊沢は涙を流していた…

 熊沢のバイクは壊滅的だ。

 熊沢とシェイもリムジンに乗り、再び飛ぶ龍を追うこととなった。


 7年前の無未来事件。ルディシオン。フロールの母方の曾祖父。フロールの母親の失踪。ディアモス。複合キメラ第二形態。シェイにフロールを託したフロールの曾祖父。呪詛石。20年前の館の焼失。

 一旦、整理する必要がありそうだ。それに、熊沢の兄の話とクェーヴァーの話に若干の矛盾があることに気付いているだろうか。熊沢兄は火事で父方の曾祖父が亡くなり、曾祖父の強い魔法が石に染み付いて呪詛石となったと言っていた。しかし、クェーヴァーは、7年前にディアモスを封印した魔術師が呪われて、その呪われた魔法によって呪詛石になった。白い城でシェイと会った魔術師により、7年前にディアモスを封印したのは曾祖父であったことが分かる。しかし、呪詛石についてはそれほど語られなかった。では、呪詛石を作ってしまったのはどっちか。答えは簡単だった。

「呪詛石を誕生させるキッカケを作ったのは、どちらも。呪詛石は3つある。フロールが見つけた、白い城にあったモノ。俺が見つけたモノ。そして、あと1つ。おそらく、城の石はフロールの母方の曾祖父の魔法だろう。俺が見つけた石はフロールの父方の曾祖父だと思う。3つ目は、俺の曾祖父の魔法だろう……」

 シェイは、このままフロールに明かすつもりで言った。メネアという偽名もここまでだろう……

 フロールは首を(かし)げて

「メネア君の父親?」

「あぁ、俺」

 次の瞬間、シェイの口が動かなくなった。不審に思ったフロールは

「どうしたの?」

 と問うと、シェイはただ

「何でもない……」

 それしか言えなかった。我慢しなければ、(たちま)ち涙が(あふ)れただろう。ぐっと(こら)え、シェイは熊沢に向かって

Fate(フェイト) was(ワズ) cruel(クルーエル).」

 たった一言、そう伝えた。

 テンションが低い熊沢はそれを聞いて、

Cruel(クルーエル) fate(フェイト) can(キャン) be(ビー) changed(チェンジド) by(バイ) my(マイ) hand(ハンド). I(アイ) would(ウド) like(ライク) to(トゥー) believe(ビリーブ) so(ソー).」

 と呟き、外を眺める。

 シェイは、"運命は残酷だ"と言い、熊沢は"運命は自分の手で変えられる。そう信じたい"と呟いたのだった。


To be continued…


五千万のバイクは多分嘘じゃないかなぁ。ただ、熊沢の労力を考えると、金額以上に価値のあったものかもしれない。ちなみに、熊沢さんって何台所有しているんだろうか……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ