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紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅳ
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第十六篇 再出発

 シェイが退院したのは、医師の予測よりも(はる)かに早かった。シェイには、医療に関する知識は無い。だから、医学関係の魔法は使えない。ならば、回復力が高かったからだろうか。いや、結論は1つ。フロールだ。シェイは自ずから魔法を手に入れたが、フロールはほとんど本からの独学で魔法を手に入れている。医療関係を知らなくてもそれらの魔法が使えてもおかしくはない。つまり、フロールがシェイを治したのか。まさか、熊沢の意外な一面が……、とかいうオチはないだろう。

 豪雪のなか、西へ進むリムジン。熊沢は爆睡していた。こういった場合、(いびき)が迷惑になるなどの展開になるだろうが、熊沢は鼾を一切かかなかった。無論、睡眠時無呼吸症候群でもない。

 シェイは外を眺め、栗鼠山はクルミを割り、フロールは運転手のロバと話をしていた。

 平和だ。そう思えた。西の国では、ディアモスが暴れていると思われるが、今は何もできない。魔法で瞬間移動ができれば、話は別だが、瞬間移動には膨大な魔力を消費し、修得難易度が極めて高い。今のシェイでも不可能。無論、フロールも出来ない。そして、時間を魔法で意図的に動かしたり止めたりすることは、禁忌である。今の彼、彼女らは(のん)()である。

 リムジンは国境に差し掛かった。


それから数時間が経過した。リムジンは止まった。目的地に到着したのだ。しかし、そこは、想像絶する世界だった。ディアモスは複合第二形態キメラになっていた。第二形態キメラは、やや一回り小さくなり、龍のような(よう)(ぼう)になっていた。

「ヤツを必ず止める」

 シェイは1人で敵の攻撃範囲に突入する! 魔法も短距離のほど、威力も命中率も格段に上がる。


 龍は蛇行する。メネアの魔法をものともせず、空を(よぎ)る。

 "のんきなくまさん"は、フロールと見物人として、メネアと龍を目で追う。

「この先に、大都会がある。そんな所に龍が行けば、言わなくても分かるよな?」

 シェイは唇を噛み締めた。

Needless(ニードレス) to(トゥー) say(セイ),()(てん)(ろう)は大パニックですよ」

 くまは、リムジンに積んだバイクを降ろす。

「燃料はフルにあるし、タイヤのエアーも十分にあります」

 くまはバイクのエンジンをかける。

(……By(バイ) the() way(ウェイ),何故に私は平仮名で"くま"なんですか!?)

 無論、演出です。

(……無意味なのでは?)

 くまの額を汗が流れる。

 フロールはリムジンに乗り、くまが乗るバイクの後ろを追う。リムジンを運転するのは、驢馬(ロバ)。助手席には栗鼠山が乗る。

 バイクには、くまが運転、メネアが後ろに乗っている。龍を追って、さらに西へ。

 シェイは、途中から素になっていたことに気付いた。メネアの芝居どころでは無くなってきていたから、是非に及ばないのも無理無い。龍を追って、熊沢はバイクの速度を徐々に加速させていく。

「久し振りに、アレをやりますか!!」

 熊沢のテンションが上がり、ウィリー体勢へ!

「熊、調子に乗るなよ!」

 シェイが叫ぶが、熊沢の耳には届かない。


 一方、フロール達の乗るリムジンでは、

「運転手さん! あのバイクの後を追ってください!!」

 取り敢えずギャグを言ってしまう、熊沢病(?)感染者のフロールはそう叫んだ。

「残念ながら、向こうもこっちも、タクシーではありませんが……」

 運転手のロバは、苦笑いをするだけだった……。


To be continued…


明けましておめでとうございます。2020年です。この話から『紅頭巾4』の物語が始まります。

龍を再び追いかけるのですが、いつ追いつくのやら……。『紅頭巾3・4』としては、半分ぐらいなのかな。

今年もよろしくお願いいたします。

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