表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅頭巾Ⅲ・Ⅳ ~呪詛石の戦慄~  作者: サッソウ
紅頭巾Ⅲ
14/39

第十四篇 雪国緊急病棟24時(前編)

 一方、リムジンに乗るフロール御一行様は、高速道路を終点まで乗り、蓊鬱諸国(おううつしょこく)北バイパスを走り、ネージュ大国へと行く。

「汚いバイクをリムジンに載せちゃって大丈夫なの?」

 フロールの言葉が熊沢をズタズタにしていることは、言うまでもない。

「お嬢ちゃん、言葉って言うものはですねぇ……」

「もうすぐネージュ大国です」

 ロバのファインプレーで熊沢は言葉を失った。

「そう言えば、くまたんの真名って、何?」

 フロールの疑問を熊沢はこう答えた。

「覚えていない……、呪詛石に記憶を奪われました」

「呪詛石って、記憶を奪うの?」

「フツーは、姿のみを奪うのですが、私は二度、呪詛石に願ってしまいましたから…」

 熊沢の表情が暗く……

 キキーー!!

 熊沢が前に飛ぶ!?

「グハッ」

 前のシートに投げ出された。

「くまたん、後部座席のシートベルトの着用は義務化されたんだよ」

 シートベルトを締めていた、フロールと栗鼠山は無事だ。

「この体格だと、シートベルトが締まらないですよ…」

「だから、バイクなんだ…」

 と、フロール。そういう問題だろうか。

 栗鼠山が新たなクルミを物凄いスピードで割り始める。

「空から人が……」

 ロバは(きっ)(きょう)していた。

 熊沢は「そんなバカな」とリアクションしようと思ったが、その時、脳裏に電流が走った。

「クレナイマジックでシートベルトの長さを調節すれば良かったんだ……」

 苦笑する熊沢。って、そっちかよ。

 フロールが外に飛び出す!

「メネア君!?」

 積雪の道路脇に血を流して倒れているのは、メネアだ。

「なんというタイミング……。道中で、先に行ったシェイが傷を負うも、偶然乗り込んだリムジンの目の前に落下して、再会するという仕組まれたかのようなこのシチュエーション……」

 熊沢よ、そんなことを言う暇があるなら、さっさとシェイを助けてやれ!

 負傷のシェイをリムジンに乗せ

「これから、このリムジンを緊急車両とし、ネージュ大国の病院に急行します。ちゃんとシートベルトを締めてください!」

 人が変わったじゃなくて、ロバが変わった運転手は、ダッシュボードに何故置いていたのか、気になっていた赤いサイレンをリムジンの屋根に載せて、緊急車両と変化を遂げた。

「もしかして、警察官ですか?」

 熊沢が問うと、ロバは

「現役の警察官ですよ」

「警察でイメージするのって、犬なんですけど……」

 熊沢はある歌を口ずさむ。♪迷子の、迷子のこ……

「ウチの警察署は、78%がロバで、11%がシマウマ、8%が水牛、2%がヘビです」

 と、ロバは言った。

(残りの1%が凄く気になる……)

 しかし、ロバは何故残りの1%を言わなかったのだろうか。もしや、聞いてはいけないものなのだろうか……。熊沢には迷いが生じていた。いつもは空気を読んではいないが、事故になってしまえば、ツッコミがいないから危ない。かといって、このまま聞かずにいれば、眠ることができないような気がしてならなかった。そして、熊沢は意を決して、

「あとの1%は?」

「あぁ、"か"ですよ、カ」

「蚊?」

 疑問がいくつも残る、謎のアニマルな警察署。人間はいないのかよ!? えっ? ツッコミを入れる所が違う?

 雪が降る静かな道を、サイレンを鳴らしながらリムジン一台が走行する。信号も人も対向車もいない。緊急車両に変わった意味はあったのか、こちらにも疑問が残った……


To be continued…


ちょくちょく出てくる諸国名や国名。他作品でも登場するけれど、確認取ってないが多分大丈夫でしょう。蓊鬱諸国(おううつしょこく)と言う名称を修正したような気もするけれど……。後で、確認します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ