第十三篇 ガソリンスタンド
ガソリンスタンドで給油を無事に終えた熊沢だが、やはり、気になることが…
「料金のことでちょっと…」
「あちらのお客様がお支払いになりましたが…」
店員は奥から2つ目の所で給油する、高級車から徴収させて頂いたとのこと。
熊沢はまた寝ていたフロールを起こして、
「リムジンに乗っている方に挨拶しに行くので、一緒に来てください」
と。フロールは目をこすって、熊沢のあとについていく。
白いリムジンに見とれる熊沢は、恐る恐る、
「Excuse me?」
と英語で言った。すると、リムジンの後方の窓が少しずつ開き、熊沢は一言!
「きょ、教官!?」
フロールも目を疑った。リムジンに乗るのは、栗鼠山さんだ!!
「えぇっ!?」
熊沢の開いた口が塞がらない。
栗鼠山さんの左手には黄金のクルミ。そして、サングラスに黒の帽子を被っていた。
「運転手は!?」
と、熊沢。運転席の窓が開くと、
「私、エキュル・ウォーレル様のドライバーの務めております、メナードリー・グルミィです」
と、ロバが言った。
「へ!?」
と、熊沢。完全に目を覚ましたフロールが
「エキュル・ウォーレル様って?」
「あっ、栗鼠山教官の真の本名です。人間だった時の」
と、熊沢は言った。
「じゃあ…」
「クルミクラッシャー・リスヤマは、森の集会で決めたあだ名です」
と、熊沢は答えた。で、森の集会って何だ? 熊沢はロバに
「それで、Where is he going?」
「タンペットです。ここから西に行って、ネージュ大国の首都を目指します」
と、ロバは言った。ちなみに、ロバを漢字で書くと"驢馬"となる。
「ネージュ大国って、確か豪雪エリア……」
熊沢の半疑問には、栗鼠山が答えた。栗鼠山は黄金のクルミを割り、うなずいて食べた。中身はいたって普通のクルミだった。
「また雪の中ですかぁ~? スノーはロートン国だけで、十分です。あの豪雪を抜けるだけに何時間かかったことやら……」
熊沢はハンカチで芝居をした。
このガソリンスタンド付近は、雲ひとつない快晴であった。この付近では……
ディアモスである、複合キメラのNo.13と龍のNo.16は、ネージュ大国よりも西へ向かう。シェイには、推測がたった1つだけあった。ディアモスは、呪詛石のもとに向かっているのではないかという推測だ。呪詛石は、シェイとフロールが1つずつ持っている。残り1つがある所は
「ヤーヤル植民地。規制が厳しすぎて、入れなかった所か」
鳥の背中に乗るシェイは、魔法で白い鳩を出した。
「至急、熊に知らせろ」
白い鳩は熊沢達のもとへと飛んでいく。
「さて、俺の魔力もそろそろ限界だな。このまま、鳥の背中に乗るのも厳しくなってきた……」
後方から鷹に抜かれる。
「危なっ」
シェイの乗る鳥は、大きく左へ墜落する。
「今のって……」
To be continued…
栗鼠山さん登場。謎の多い無言キャラですね。森の集会って何だ?
話し口調の文面でしたが、少し前から普通の文面に切り替えです。本当は、『紅頭巾2』の中盤で切り替わっていたんですが、『紅頭巾3』の導入までは書き換えました。